- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101290331
作品紹介・あらすじ
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
感想・レビュー・書評
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幼少期からクラッシックピアノを習っていた
10年は習ったのだろうか…
世の中のクラッシックファンの前では口が裂けても言えないのだが、とうとう一度もクラッシックピアノを好きにならずに大人になってしまった
好きでもないことを練習するのは子供心に相当苦痛であったため、余計に屈折した拒絶反応を身に着けてしまった気がする
しかしながら、唯一ショパンだけは違った
ショパンだけはなぜか好きだった
理由は今でもわからないし、ショパンのことは何も知らない…(恥)
先日読んだ「また、桜の国で」の作中での「革命のエチュード」を久しぶりに聴いたこともあり、本書を読みたくなった
物語の舞台は19世紀中盤のパリ
1846年11月から天才音楽家ショパンの死まで、2月革命前後の約3年間に焦点が当てられる
ショパン、ドラクロワを中心とした芸術家たちの心の葛藤や孤独、彼らを取り巻く人間関係をその時代の流れと同じようにじっくり描かれている
ファスト文化に慣れ親しんだ最近の我々には、もどかしさを覚え、こういったじっくり読みものを通読できない人も多い気がする(もちろんブクロガーさん達のことではないですよ!)
しかしこの時間のゆったりと進む時の流れを面倒くさがらず向き合い、とことんこの時代のパリ、そしてたくさんの登場人物達の元へタイムスリップする…
そんな醍醐味が得られる作品だ
文体も時代を感じさせるよう工夫が凝らされ、まるで一昔前の翻訳した作品のようで良い味を出している
また心理描写の文章の長さや古典的な技法もあちこちに散りばめられ、深いこだわりを感じる
平野氏が3年以上の月日をかけて書かれたと聞く
この時代の出来事や知識を相当な時間をかけ、調べ抜き、労力を惜しまず完成させた感が随所に溢れている
フランス語の原文でフランス文学を読まれているだけのことはあり、一貫して全く日本人が描いた作品には思えない!
「マチネ…」しか読んだことがなかったためか、驚いた
重厚だとは聞いていたがこれほどまでとは…
その時代、その場所にすごい力で持っていかれる
というわけでここでは本書の本題にも入らない程度の紹介にとどめる
なんせ長いから慌てる必要もない(笑)
次回から本書の内容に触れていきたい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書感想文は苦手なのだが、この小説に感想を書こうなんて百万年くらい早い気がしてきた・・・。
再読しなければ、感想など書けないような、
そんな壮大な作品だった。
読み始めて挫折されている人が多いようだが、私も実にその一人である・・・。
読書にじっくり時間を割けないのであれば、
この作品は読まない方がいいのかもしれない。
じっくり向き合える時に読むべき、超大作なのではないかと思う。
この作品は「作者名」で「作者買い」してしまった一作なのだが、作者の初期の作品だからそこまでではないだろうと思ったのが敗因。。。
これは素晴らしい。
何度も何度も読み返し、web で調べて、また進んで、戻っての繰り返しだった。
そのくらい深く、難しく、自分の中でイメージを固めるのに時間がかかった。
私にはまだ早かったのかなぁ?と何度も諦めそうになってしまった。
やっと1冊終わったところだが、話は今とても面白くなっている・・・。
さて、私、次を読み進めるのか・・・。
一旦休憩するのか・・・。
私にもまだわからない。。。 -
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ。音楽家ショパンと画家のドラクロワとの友情を軸とし、女流作家でショパンの愛人でもあるジョルジュ・サンドを始めとする人物たちが織り成す豪華絢爛な芸術賛歌を描いております。
これは自分の中でずっと読むのを避けていた小説のひとつで、理由はというとなんといってもテーマの重厚さと原稿用紙2500枚分という膨大なボリュームからでした、しかし、今回この小説を読むきっかけとなり、また、僕の背中を押してしてくれたのは、誰あろう筆者である平野啓一郎氏その人でありました。
以前、平野氏のツイッター上で『葬送』の話題になっていたときに僕が
『僕も読もうと思っておりますが、あの重厚さに二の足を踏んでおります。』
と書き込んでみたところ、なんと平野氏本人から
『読み始めるのは大変ですが、ぼくの小説の中で一番好きだと言ってくれる人も多いです。最初が重たいとよく言われる小説ですので、第二部上のショパンのコンサートから読んで、この前後ってどうだったんだろうと、遡ってみるというのも、一つの方法かもしれません。』
というメッセージが返ってまいりました。
原作者からそこまで言われれば読まないわけにはいかないと。ある種の決意を持ってページを読み勧めてまいりました。物語の舞台になっているのは十九世紀パリ。芸術的な動向としてはロマン主義の真っ盛りだそうで、その辺の知識が欠如しているのは非常に残念です。物語の軸となるのは『天才音楽家』の称号を恣にしたフレデリック・ショパンと近代絵画を確立したウージェーヌ・ドラクロワとの友情とショパンの愛人であり、閨秀作家のジョルジュ・サンドとの関係を中心にして物語は進められていきます。ショパンやドラクロワにかかわらず、当時のサロンで語られている芸術論の情熱的な語り口や、彼らを取り巻く弟子、友人、そしてサンドの子供たちとショパンとの複雑な関係からにじみ出るような緊張感も非常にスリリングですし、特に、サンドの娘であるソランジュの結婚にまつわるひと騒動はとても印象に残っております。
当時の社会情勢や芸術界について、もっと自分に知識があれば物語世界に踏み込んでいけるんだけれどなぁと残念この上ないのですが、ショパンとドラクロワと取り巻く『人間ドラマ』としてこの小説を読んでも、深みのある物語ですし、当時の世相というか、芸術の動向を知る手がかりとしても面白く、何でこれを今まで読まなかったのかと、若干の後悔を持ちながら長い長い旅路をはじめたような気がいたします。
今後、彼らがどうなっていくかはまだわかりませんが、楽しみに読んで行こうと思っております。それにしても改めて知ったのですが、平野氏がこの作品を世に問うたのが25歳の頃。この事実を再確認するにつけ、本当の天才というのはやっぱりいるのだなと、筆者のような人間が『芸術の神』に愛された存在なんだなと、そういうことをとみに思うのでございました。 -
ショパンとサンド夫人は、愛し合っていたのかと思っていたんだけど、この本を読むと、壊れないようにお互いが気を遣っていて息苦しい関係だったように思える。
ショパンが純粋で優しい。
ショパンもドラクロワも体調が悪く「どこもかしこも病人だらけ」。
そういえば、最初の葬式シーンにサンド夫人は出ない。
ドラクロワはデュマのファンなのか、「家でモンテクリスト伯ばっかり読んでる」らしく、自分も同じものが好きで嬉しくなった。しかし、ショパンともども「面白い、それだけ」という感想。病人には「疲れなくて済む」作品が必要だと共感した。 -
全4巻から成る大作の、一冊目。
この巻は主人公たるショパンとドラクロワの人物像、彼らの日常と交流の様子、その周辺人物と舞台である19世紀のパリの街並、といった背景の描写が中心となっていて、何か重要な事件が起きるわけではない。だから正直、重苦しい語り口とも相俟って、読みやすいとは言い難い。
しかし300ページも使って語られるほどに作り込まれた人物像、舞台背景はとても魅力的で、念入りに推敲されたのであろう重厚な文体はまるで、一つの荘厳な建築物を思わせる。
読み進めるにつれて、冒頭から立ち込めていた「死」の匂いが次第に濃くなり、『葬送』という題名の意図するところが見え始めてきたところ。
繊細なピアノの音色が流れ、勇ましくも思索に満ちた絵画が飾られた、この聖堂のような大作を、最後まで、心行くまで堪能したいと思う。 -
「葬送 第一部(上)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.08.01
356p ¥540 C0193 (2023.06.19読了)(2010.10.02購入)
【目次】(なし)
千八百四十九年十月三十日
第一部(上)
一~十一
☆関連図書(既読)
「ショパンとサンド 新版」小沼ますみ著、音楽之友社、2010.05.10
「ショパン奇蹟の一瞬」高樹のぶ子著、PHP研究所、2010.05.10
「愛の妖精」ジョルジュ・サンド著、岩波文庫、1936.09.05
「ショパン」遠山一行著、新潮文庫、1988.07.25
「ドラクロワ」富永惣一著、新潮美術文庫、1975.01.25
「ウェブ人間論」梅田望夫・平野啓一郎著、新潮新書、2006.12.20
「三島由紀夫『金閣寺』」平野啓一郎著、NHK出版、2021.05.01
(アマゾンより)
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
ショパン生誕200年のメモリアルイヤーを彩る、美と感動の長編小説 -
平野さんの表現方法に挫折。。
どうしても眠くなり読み続けれない。
小説の時代背景は好きな時代なので★3つですが、自分の読書能力の低さに悲しくなります。 -
ドラクロワの葛藤が印象的だった。
何度も画集も眺めながら。