太陽の塔 (新潮文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • 新潮社 (2006年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290515

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太陽の塔 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 女性に縁なく生きてきた私に、2年前初めてできた彼女、水尾さん。
    毎日愉快で楽しかった。
    でもあろうことか水尾さんに袖にされ、納得のいかぬ私は、日夜「水尾さん研究」にふけるようになる。
    時はクリスマスファシズムの嵐が吹き荒れる12月。

    “敢えてこの手記を読む人は、貴重な経験をすることになるだろう。もちろん愉快な経験とは言えまい。良薬とはつねに苦いものである。
     ただし、苦いからと言って良薬であるという保証はどこにもない。
     毒薬もまた苦いのだ。”

    今まで読んだどの作品よりも煩悩全開、プロローグからもりみー節全開♪
    まだ読んでいなかったこの処女作。
    もりみーは、最初からもりみーだった。原点を感じた。

    もりみーといえば、堕落した大学生。ノスタルジーあふれる京都の町。そして現実と非現実の交錯。
    でも何より、若者の煩悩を高尚に書かせて、もりみーの右に出る者はいないと思う(←ほめてる!)。

    “世界平和のためには我々一人一人が責任を持って荒ぶる魂を鎮めねばならぬ、社会に生きる者の義務とは言えつらいことだと嘆きながら、禍々しい生殖本能の矛先をそらすために培われてきた膨大な作品群を前にして私は右往左往し、各コーナーに高らかに響き渡るY染色体の哄笑を聞き、そして割合まめに新作をチェックする。”

    すいません、ここで引用するような箇所じゃないけど、何度読んでも笑える(笑)
    「そして割合まめに新作をチェックする」って、なぜか最後だけそのまんまなおとぼけっぷりがいい。
    (あ、これはビデオショップの一角ピンクコーナーの描写であります。注釈はいらんか。)

    構成はあっちへいったりこっちへいったりするけど、これは読者のいる壮大な失恋日記なんだと納得する。
    日本ファンタジーノベル大賞というより、ノンフィクション部門な気もする(どこまで経験に基づくんでしょう?)。
    彼氏のいない女子大生にとっても、クリスマスは憂鬱な季節だったけど、ここまでクリスマスファシズムに抗うことはできなかったなぁ(笑)
    むしろ清々しい。ええじゃないか、ええじゃないか。
    色々もう楽しすぎて「やっぱり面白い!新作が読みたい!」と思って読了。

    個人的に、久しぶりのもりみーで爆笑だったのと、京都の土地勘があって情景が想像がしやすいのとで、星はちょっと甘めにつけちゃいました。

  • モテないことに胡座をかいた京大生森川の日課は自分を袖にした元彼女の水尾さんをさりげなく観察・研究すること。

    しかもこの研究活動は水尾さんの新恋人と思われる遠藤氏にバレており、再三警告される始末。これも己のジョニーに振り回されている所以か。

    この時点でかなりしょっぱい感じがするのだが、彼の友人もまたかなりしょっぱい猛者揃い。
    森川、飾磨、井戸、高藪ら、モテない四天王はうだうだ青春する。鴨川等間隔カップルを呪い、クリスマスを呪い、大文字山で酒をあおりながら安い肉を焼き…。
    そして憎むべきクリスマスに備え、飾磨が発案した「ええじゃないか」大作戦。

    太陽の塔はともかく、この無茶苦茶な感じ、好きです。人生のうち一度くらいはこの手の阿呆と恋愛してみるも楽し。ソーラー電池で動く招き猫はノーサンキューですが。

    記念すべき2013年最初に読了した一冊。
    Gキューブが恐ろしすぎる・・・伊坂氏流にせせらぎキューブと言い換えますか。。

  •  なるほど原点。腐れ大学生っぷりが見事。
     水尾さんの魅惑さはどこか某乙女風でもあり。それに惹かれて研究しているのだ。
     決して未練だの煮え切らないだので付け回しているストーカーなどという者ではない!
     なんやかんや言いながら自らの正当性を必死に主張していて言外に間違いを認めてる感(笑) カップルなんて!クリスマスなんて!リア充爆発しろ!といいながら羨望が滲み出ている感(笑)
     もうなんもかんも間違ってるけど叩く気になれん愛らしさがそこにある!
     処女作へ遡るとどこか初々しさやたどたどしさがあるものだけど、森見氏は変わらない。進歩や成長が無いと言う意味ではなく、デビューから完成度が高かったという意味。
     Gキューブはダメ!あかん!読んでてゾワゾワした 癶(癶;゚ё゚;)癶 カサカサ

  • ―何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
    ―なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

    法界悋気…聞き慣れない言葉である。というかまず読めないだろう。作中で連発されるこの単語は作品を如実に表している。
    場面が目まぐるしく入れ替わり、止まることはない。一体どこまでが回想でどこからが今なのかわからなくなる。こういう場合自分は叙述トリックを警戒してしまうがそれは杞憂に終わったw

    全体的に伏線未回収の嫌いがある(夢玉の真の持ち主、邪眼、海老塚との悶着、三田村さんやら湯島やら枚挙にいとまがない)がそもそも回収する気がないようで、完結してないという意味では文学的レベルはあまり高くないように思う。しかしそこは院生時代に書いたデビュー作ということで目を瞑ることやぶさかでない。

    基本的にはモテない男たちの自虐的な笑いの物語。
    でもグッとくるのはやっぱりラスト6ページ
    突如として溢れだす強がる男の本音。たまには弱音を吐いてもええじゃないか。時には自分に酔ってもええじゃないか。思い出に浸ってもええじゃないか。

    ―何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
    ―そして、まあ、おそらく私も間違っている。

  • まるでジェットコースターのような勢いで進む妄想の世界に引き込まれ、怖いもの見たさに、ページをめくる手が止まりませんでした。
    登場する男たちの行動は、突飛で、なかなかお茶目で、ちょっとせつなくて、最後の最後まで、圧倒され続けでした。

  •  森見登美彦のデビュー作品である『太陽の塔』

     デビュー作から「森見節」は健在で、読みやすく作品の内容とマッチしてテンポよく進んでいく。

     作品としては、解説の本上まなみさんの文章を引用すると「ふられた男子の真冬のさえない独白小説」ということになるだろう。
     言ってしまえばそれだけのことなのだが、それが非常に豊かな物語として読めるがまさに森見節なのである。

     さて、僕がこの作品をとても好きな理由は、この主人公の水尾さんに対する恋愛物語にはまさに恋愛の普遍性が描かれていると感じたからである。

     それは、この物語が失恋を通して自己愛を獲得する物語であるということと、この物語において恋愛の対象である水尾さんがほとんど出てこないということ。この2点である。

     この作品は先にも書いたように「ふられた男子の真冬のさえない独白小説」なので、物語として「恋愛の成就」というゴールもなければ、「恋愛の破綻」というゴールもない。(物語はフラれてからスタートするので)
     ではこの物語の本筋は何なのかというと、それは「自己愛の獲得」だと僕は思う。
     恋愛がうまく行かなかった=他者による自己の否定 を通して、絶対的な自己肯定=自己愛 を獲得するこのパラドックスに恋愛の本質がある。
     
     そのことは次の2カ所に集約されてる。
     まず作品冒頭少しの部分
     「恥をしのんで書けば、私はいわゆる「恋人」を作ってしまったのである。(略)それでも正直に言おう、私は嬉しかった。それでいて喜んでいる自分に対して唾を吐きかけていたのであった。「恋人」ができたくらいでそんなに嬉しいのかオマエは、と。」

     そして、物語の終わりの1ページ前
    「しかし、酔うまい。決して自分に酔うまいぞ。そう自分に言い聞かせながら、雪降る夜明けの町を歩き、しばらくうんうん頑張ってみたが、せめて今日ぐらいは自分に酔わせてくれと思って私は泣いた。」

     物語冒頭、恋人を勝ち取った「勝者」の主人公は「自分に唾を吐き」、物語最後フラれて惨めな「敗者」の主人公は「自分に酔う」のである。

     もう一つは、水尾さんをめぐる恋愛物語であるのに、水尾さん本人はほとんど出てこないということである。

     恋愛の本質は相手の不在による。
     不在の相手を思う気持ちこそが恋愛であり、その仮想性が物語になる。
     この物語に書かれている水尾さんをめぐる様々なドタバタ劇のほとんどは、水尾さんには何の関係もなく、感知もせず、影響もないことなのだろう。水尾さんの不在において勝手に繰り広げられているのである。これぞまさに恋愛なのではないだろうか。

  • 森見登美彦さんワールド全開。

    よくよく考えると、
    女に免疫のない京大生が、同様の冴えない男たちと群れて、「別に女なんて興味ないし。クリスマスとかどうでもいいし。」とか言いながら、なんだかんだで彼女がほしいんだー!
    というだけの話なのだが、それがなんとも愛らしく、面白く、描かれている。

    太陽の塔を見に行ってみたくなった。
    それから、京都旅行にも。

  • 数年ぶりの再読。
    親しい友人からストーカーと呼ばわりされることがあり、いやいやこいつ(主人公)よりもましであろうと自分を慰めるために読んだ。

    …………なんだろうこの共感は。

    クリスマス時期に読まなくてよかった。

    けれどいつも思うのは、太陽の塔グッズを買い集める水尾さんが、ソーラー招き猫をいらないというのが解せない。どっちもどっちだろう。
    むしろソーラー=太陽=岡本太郎でええじゃないかというくらいのひとであっても良い気がする。
    夢の中にもソーラー招き猫がいるし、そんなに、そんなに嫌だったなら忘れてしまえばいいし、少しでも良い意味で覚えているのなら、ゆるしてあげればいいのに。

    と、水尾さんに変な感情をぶつけながら読んでしまい、純粋に読書として楽しめはしなかったと思う。すみません。

  • 男汁がボトボト滴る、モテない男の為の物語。
    私は森見さん独特の、言葉を捏ねくり回すセンスが大好きなので
    それなりに楽しみました。
    いやはや、「可愛い」と「キモい」は紙一重ですね。

  • 森見節炸裂のデビュー作、再読。ファンタジーと言われながら、半分以上は主人公の日常を描いた妄想日誌である。
    きっと京都という土地は、このような恐るべき男子大学生がうごうごする魔境なのであろう。

    太陽の塔というタイトルなのに、太陽の塔の存在感は存外薄いものです。氏の他の作品を既に読んでいるので、やはり荒削りなのかしらという印象も受けるけど、とても楽しい作品でした!
    そして登美彦氏の描くヒロインは、いつも決まって魅力的。

    --

    私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

  • リア充爆発しろ!

    て叫びが聞こえてくるような作品。森見さん作品お馴染みの京都を舞台に、男くさーい考えが終始描かれている。男の子の不器用さと、壊れやすいびいどろのような心に惜しみない拍手を!

  • この小説の見所は、素晴らしい表現の数々と主人公の独白を通して
    誰もが一度は経験するであろうバカみたいに青臭い葛藤が
    すごく豊かに、ある意味生々しく感じられるところだと思います。

    特に自分は、独白ですら見栄を張り、自分に自分で突込み、
    時には傷つく主人公に自分を重ねたり、かわいく思ったりしているうちに
    どんどん小説に引き込まれていきました。

    特に自分のようなダメ男子の方は、
    登場人物の誰かしらに共感できると思います。
    そういう方には是非お勧めです。
    かといって俺イケてるから読むの止めようとか思わないで欲しいですが。

  • どういうきっかけでこの本を手に取ったかは思い出せない。
    たしか、「夜は短し~」の人だっけなーくらいの軽い気持ちで
    某大手古本チェーンにて100円で購入。

    でかした!当時の自分のなにげない軽い気持ち、でかした!

    震えるほど、おもしろかった。
    くだらない!清々しいほどにくだらない!
    読み終わる前に、この人の本をすべて読みつくそうと決心するに余りあるほどの、おもしろさであった。

    松尾スズキとかのエッセイでは笑ってしまうことが今までにもあったけど、小説でこの阿呆さ、くだらなさ。
    くだらないながらも、切ない。
    君、ストーカーですね!

    その後、もりみー作品は読みまくっているが、この作品を超える衝撃はないかな。
    本当に衝撃的だった。

  • お馴染みの京都を舞台にした"へもい"大学生の失恋の物語。二十歳前後の特有の、微かだけど拭いきれない孤独感が漂いながらも、そんな自分たちをシニカルに笑い飛ばす。ダサいんだけど、愛らしくて憎めない。どこか懐かしくて、なぜだか頼もしいとも思った。

  • 2つ下の後輩にフレれた主人公の生活を描く。青春物語。モテない主人公の周りには同じような男汁に溢れた友人が集まる。

    作者の独特な言葉遣いが面白く、主人公の感情が読み取りやすい。

    好きだった後輩との思い出が溢れ出した時はなんだがぐっとくるものがありました。

  • デビュー作とあって、文章や構成は粗削りな面もあるけど、そこは若さと勢いでカバー。基本は男汁まみれの拗らせ男子大学生の阿呆話だけど、叡山電車の印象的な使い方は『夜行』に通じるものがあるし、水尾さん研究に励む主人公のストーカー気質は『夜は短し~』の先輩みたい。「猫ラーメン」だとか「緋鯉」に「ジョニー」と、この後にモリミー作品に登場する単語がちらほら見受けられ、ここから森見ワールドが広がって行ったのだと、確かに感じ取れる作品です。『ペンギンハイウェイ』の時のように、ラストは不覚にも胸がきゅんとした。

  • ええじゃないか。

  • いまいち掴み切れてない
    掴み所がないということ自体がこの作品のいいところなのかしらん

  • 京大生の話は京大生にしか書けないよね、という理由から京大文人(造語)には一定の需要があると信じています。

    男性の描写ばかりで(あの大学の男女比考えたら当たり前なんだけど)、読み進めてもいまいちヒロインの「水尾さん」に感情移入ができなかったんだけど、 「ソーラー招き猫事件」のエピソードで理解できました。
    「私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です」
    京大生はいつだって合理的。
    こういうのって理屈じゃないんだけどね。

    大学生らしいくだらない日常が、さも高尚であるかのように描かれた愛すべき文学。

  • 途中でぷっと吹き出してしまうことがあって、外で読むには危険です。でも本人達は大真面目で、そこがまた面白い。

  • くだらなさの中にキラキラが詰め込まれてて、微笑ましかった。読み切った〜みたいな達成感がないのが森見さんの特徴のような気がする。

  • 途中で退屈。

  • 男汁溢れる、でもちょっと切ない物語。


    森見登美彦お得意の疾走感。さくさく読めます。
    今回も主人公は京大生。

    女が読んでもおもしろい。
    クリスマスなんて爆発しろって思ってる非リア充男子ならなおさら共感できるでしょう。

    とにかくカオス。おもしろかった。
    おまけに語彙力もUPします。

  • 全てのクリスマスファシズムと闘う者に読んでもらいたい一冊。誇り高き主人公は屈折すること180度。初めはのうちはもはやホラー。だが、次第に彼に畏怖の念さえ感じ、最後には360度回転して戻ってくると、可愛いらしくなってきてしんみり。くだらなくて、時々ぶっ飛んでいて、でも美しい森見ワールド全開である。なんといっても彼の文体が好きだ。日本語ってこんなに綺麗で奥深いのかと再認識できる現代作家さん。太陽の塔の描写は絶妙だった。それでいてくすりと笑いを誘う言い回しが魅力的。

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太陽の塔 (新潮文庫)の作品紹介

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

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