太陽の塔 (新潮文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • 新潮社 (2006年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290515

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太陽の塔 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 著者のモテない芸には辟易している。
    にもかかわらず、『四畳半』を読んだ勢いで本書を買ってしまい、3時間たらずで読了してしまった。
    全ての男の中に、主人公のような非モテ男子が潜んでいるのだと思う。
    問題は、そいつからどれだけ距離を取れるかだ。
    自分は、自分の中のそいつを愛おしく思いつつも、そいつのままでいたら生き延びることができなかったから、そいつを捨てた。
    だからこそ、そいつに耽溺している主人公に、心から共感する。
    非モテ学生路線に溺れた著者が新しいものを書けなくなってしまったことが、心から悲しい。
    河原町ルヴォワールみたいに、京都の夜のエキゾチズムを突き詰める方向性もあったのではないか?
    童貞大学生ノリがウケて、そこにはまってしまったのだろう。
    もっともっと、京都の夜の魅力を書けた人だと思う。
    安きに流れてしまったことが、本当に悲しい。

  • 在学デビューとなったファンタジー大賞作。文豪文体の絶え間ない一人称。悪ノリで書いたらエライことになったんだろうか。有川浩のキケンが女性目線の男子の可愛さだとすれば、男性目線の男子がまさにコレ。失恋を認めない彼の憎めない愛らしさに繰り返し会いたくなる。

  • 「ええじゃないか」の場面の描写は臨場感があって素晴らしい。その後の水尾さんのことを思い出す半ページあまりが愛情にあふれていて切ない。読み終わってふと表紙を見ると、表題が塔のようにせせり立ち、大阪の太陽の塔よりも京都側で、ふもとから叡山電車が走るデザイン。夢の中の水尾さんがいる世界を表しているようで秀逸だと思う。

  • 京大生って昔から変わらないんだなぁって

  • 約10年ぶりに再読。

    彼女に振られたダメ大学生のダメな思考や生活を描いている。
    序盤はやや不快感を感じるほどのダメさだが、徐々に愛すべきダメ人間に変わっていく感じ。

    なんやかんやで特に何も起こらない話ではあるが、何となく楽しい話ではある。

  • 森見さんデビュー作。彼は日本語を日本一上手に操る作家さんだと思います。

    『太陽の塔』も例に漏れず森見ワールド全開でした。京都を舞台に繰り広げられる、男汁満載の小汚く切ない男子学生の妄想世界。くすりと笑える日本語を駆使した面白さ。

    なのに読んでるうちに世界に引き込まれて、ラストには胸がぐっとつかまれて、なんと涙まで出てきそうになりました。

    冴えない男子学生たちとちっちゃな不思議系ヒロイン。森見さんの作品に登場する人物たちは、常に人間臭い愛すべきキャラクターばかりです。

  • 好き嫌いが別れる文章、小説かもしれませんね。
    私自身はまあ別にいいけど、、独特の言い回し、京大に入った人のナルシストぶりなどがうまいこと風刺混じりに描かれている部分が、笑えるところでもあり、人によっては不快な部分でもあるんじゃないかな・・。
    私はどっちでもいいけど、あまりにもどっちでもよすぎて、過去に一度読んだなこれ。。。っていうのをエンディングの部分を読んでいて気づきました!
    (どんだけインパクト残ってないんや・・あーあー)

  • 京大生の「私」は三回生の時にできた恋人「水尾さん」が忘れられず、事実上のストーカー行為を繰り返し、ストーカー行為を行う自分自身を正当化するとさらにストーカー行為を行う自分自身を正当化している自分を正当化し、そうして自己を支える自意識を肥大化させながら、肥大化した自意識に振り回されつつ饒舌な言葉の海に溺れていく。

    つまりは青春の話である。

    初めて読む森見登美彦の作品だがなるほど面白かった。

    こういう「イタい」体験というのは私は身に覚えがあって、私も大学時代はクリスマスが来るたびにこいつら爆発したら良いのにと世界を呪っていたので気持ちはよく分かる。

    そういうグロテスクな自己を象徴し、そこに滑稽な偉大さをたたえたシンボルとして「太陽の塔」がそびえ立ち、何故か静けさの中「水尾さん」は太陽の塔をじっと見つめるのである。

    短い文章の1つ1つに憎しみや寂寥感を微かに滲ませながら、全体としてドタバタなコメディにしている文体は気が利いていると思う。

    余談だが「法界悋気」という言葉を活字で読むのは小谷野敦先生の傑作
    『もてない男』
    以来初めてである。この京大生の私は実に熱心に小谷野敦先生の著書を読んでいたに違いない。

  • 四畳半神話大系をアニメで観て森見登美彦さんを知り、ほかの作品の小説を読んでみようと思い購入した。デビュー作であるからか、森見さんの世界観はすでに作られているものの、ストーリー全体としてそれほど波もなく、エンディングもそれほどハチャメチャなものではなかったのでいまいち楽しめなかった。
    森見さんの作品は、あの独特なアニメーションと相まって面白いものになるのかなと思ったので、4月公開の「夜は短し、歩けよ乙女」を楽しみにしている。

  • 彼女にフラレてしまった男子大学生のお話。
    男の人の精神面は基本小学生のまま変わらないと聞くけれど、今回の主人公はまさにそんな感じの人だった。
    あとがきにあった、本上まなみさんが言う通り、起こる事件がへもすぎる。学生時代って総じてそうなるよね。楽しいファンタジーでした。

  • 最初の方から、「男だけのフォークダンスを踊り狂った。」とか「一生このまま踊り続けて踊り念仏の教祖にでもなるしかない・・」とか、どうしたらそんな表現ができるのか、と著者の表現力にはどの本を読んでも感心させられる。

  • 男子大学生の元彼女観察追っかけが軸。なかなかに捻くれた思考と文体、京都ならではの表現が物語を彩ってくれる。同じ男子大学生として、このような思考の主人公に共感できてしまうところが少し悲しい。

  • 失恋男の話というより、男どもの妄想・迷走・独善話。そして多分(?)皆いい奴なはず。当方には判る、何故なら同じ一味だから。
    太陽の塔の意味合いが正直イマイチ分からなかったけれども、まぁそんなことは良いでしょう、愛すべき猛者どもは十分笑わせてくれます。彼らは全ての女性と過半の男性には理解されない世界の住人かもしれないが突き進んでいってくれ。
    何気に手に取った本作ですが当たりでしたわ。

  • 作者の他の作品で好きなものもあるんだけど、これはうーん…。悪くないんだけど、町田康の下位互換って感じ。

  • 妄想と自己憐憫と自虐にまみれた青春を送る
    青年の日々の独白。
    振られた女性相手のストーキングから話が始まる。

    読み始めてすぐ「なんだコイツ、ヤバイやつーーー!」(笑)

    ファンタジー大賞受賞らしいけれど、ファンタジー要素
    ごく少なめ。

    ただ圧倒的な言葉使いの面白さとセンスにやられました。
    他のも読んでみよう。
    「ええじゃないか騒動」最高!!

  • 本作品は向き不向きがある。私には向かなかったようだ。

    唯我独尊傲岸不遜のように振る舞う京大生たちの様が私にとっては寒々しく感じながらも、作者の極めて高い文章力がそれらの違和感を凌駕していた印象だ。物語展開の発想と文章の構成、言語選択と仔細描写は読者を唸らせるものがある。

    前半はストーカーまがいの描写と悪乗りが強く好き嫌いが分かれるであろうが(私は苦手だった)、後半は京都とクリスマスイブ、そして太陽の塔というシンボルが相まって不思議な物哀しさを伴う幻想的な作品となっていた。

  • この疾走感が好き。登場人物もみんな好き、憎めない。おかげで太陽の塔にも2回行った。
    森見作品は「太陽の塔」に限らず、「誰かを嫌い」という言葉が少ない。「嫌い」という言葉を使う登場人物があまりいないのかな。これは作者の人柄かな。読むと心が漂白されたようになる。それが好き。

  • デビュー作とあって、文章や構成は粗削りな面もあるけど、そこは若さと勢いでカバー。基本は男汁まみれの拗らせ男子大学生の阿呆話だけど、叡山電車の印象的な使い方は『夜行』に通じるものがあるし、水尾さん研究に励む主人公のストーカー気質は『夜は短し~』の先輩みたい。「猫ラーメン」だとか「緋鯉」に「ジョニー」と、この後にモリミー作品に登場する単語がちらほら見受けられ、ここから森見ワールドが広がって行ったのだと、確かに感じ取れる作品です。『ペンギンハイウェイ』の時のように、ラストは不覚にも胸がきゅんとした。

  • はっきり言って読みにくいナリ。
    主人公目線なので、主人公の性格や言動がそのまま文章にあらわれており、もろに影響しています。

    つまらなくはない。ただ、読みにくいので。
    女性、あとリア充な男性、そういった方々には余計読みづらいかも。モテない青春を過ごしたミーでもそうなんで。

    レベルが問われます。。。

  • 所謂、リア充を素直に受け入れられない意識高い系の男子のお話。頭が良いからこそ、手に終えないなぁって。でも、ちょっと気持ちがわかるかも。

  • 1人のストーカー男子大学生の、男臭さに溢れた失恋物語。
    時間を食いつぶすように、怠惰と将来へのほのかな絶望感に苛まれながら暮らす男子たち。明らかにむさ苦しくて臭そうで、未来なんて無いし八方ふさがりで鬱っぽくて愚かなのに、なぜか嫌悪感を感じず親しみすら覚えるのは、森見さんの軽快な文章のせいだろうか。
    ラストはしんみり、でも綺麗にまとまっていた。

  • 恋愛に振り回された自分自身が好きな人の話

  • 日本ファンタジーノベル大賞受賞作にして作者のデビュー作。
    後の京都を舞台にした「夜は短し歩けよ乙女」や「四畳半神話大系」などのエッセンスが過剰に詰め込まれた妄想的ファンタジー。

    華のない大学生活を送る、誇大妄想癖という病に冒された主人公の男臭い青春と友情と、恋愛を描いている。
    失恋という苦い思い出からこの話ははじまる。
    そして”私”の一人称で語られている。

    主人公の頭の中が巨大迷路じみていて、読者はそれに付き合わされる。
    読んでいるこちらも京都と大阪、夢と現実を右往左往させられる。
    まるで主人公が愛車の自転車”まなみ号”で京都を縦横無尽に走り回るように。

    大言壮語的な物言いは作者の真骨頂。読んでいて気持ちがいいのである。
    大仰な文語的言い回しが、現実の四条河原町のクリスマスイブの喧騒とまったく異をなしており、ファンタジー的にしている。

  • 20数年前ですが学相(学生相談所)の掲示板に貼り出された紙片に群がる若者たち(京大生)の姿を知っているので、フィクションとは思えない話でした。

    お気に入りは、錦市場で海老塚先輩と私が出遭う場面。「さっさと食えよ。なんでそんなに痩せてるんだオマエは。結核か。もうちょっと栄養つけろ」は、何回読んでも笑えます。

    平成の話なんだけど、昭和臭さを感じさせる人生のアルバムのような作品です。
    こんな人間がいたって「ええじゃないか」こんな本があっても「ええじゃないか」

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太陽の塔 (新潮文庫)の作品紹介

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

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