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この作品からのみんなの引用
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「本当でも嘘でも、かまわない。そんなことはどうでもいいことです」
― 145ページ -
『「いいですか」
彼女はゆっくりと言った。
「お礼は後日、私が直接お持ちするとお伝えください。あなたは何をする必要もないのですよ。天城さんが冗談であなたに何か要求するかもしれませんが、決して言うことを聞いてはいけません。どんな些細なものでも決して渡す約束をしないで下さい。あの人は少し変わった人なのです。」』
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吉田山のこちらにいると、お祭りの賑わいがほとんど分からないのですが、だんだん近づいていくうちに、しんしんと冷えた空気が温まって行って、あるところでぱっと回りが温かくなります。とても冬とは思えないほど、道行く人々が皆、頬を染めてぽかぽか温かい顔をしているのです。そんな中を歩いていると、お祭りの空気にくるまれて、ふわりと体が軽くなって、足を動かさないでも、どこまでも運んで行かれるような気分になりました。
― 52ページ
みんなの感想・レビュー・書評
森見作品としては軽妙な森見節もあまりないけど、全編丁寧でノスタルジックな文体で書かれていて心地よし。
湿度は高いのに温度は低い、京都の古都ならではの雰囲気が感じられて面白い。じうじう とか ふつふつ とか擬音が醸す風情が良かった。
明確なオチがないため、雰囲気小説になってしまっている感が否めませんが、京都の古道具屋や古屋敷を舞台に繰り広げられる不気味で幽玄な世界を堪能することができました。
ちょっとホラーな不思議な話の短編集。
核心には迫らず、
謎を残したまま終わる。
京都に感じる歴史だとか情緒が詰まっている、不思議な作品。
日本のダークファンタジーとでもいいましょうか。
京都が舞台で大学生も出てきますが、『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』といった他作品とは違った雰囲気を持っています。
筆者の『夜は短し、、』や『四畳半、、』と比較すると、やや妖怪奇譚なお話。京都という街には、少しほの暗い、奥底知れない感覚がある。観光地然とした顔の裏に、『陰陽師』や『祇園祭』に代表される、妖の都としての裏の顔。本作は、短編の集合ながら、関連した世界観を作っており、背後にクトゥルフ神話のような体系がうごめくような雰囲気を感じる。
森見さん、たまに、こういう風な話書きますよね。
なぜか、森見氏の書く、仰々しくない文章の話にはついていけない体質らしいです。途中で、状況についていけなくなるという、おおよそ読み手としては最悪な事態に陥るのであります。
本当に頭が悪いってことは、人生でいろいろ損させられますね。
森見富美彦氏のホラー短編集。お馴染み京都を舞台に、ホラーというよりは不気味な、仄暗い、気味の悪いお話を四作。『きつねのはなし』『果実の中の龍』『魔』『水神』収録。
おのおの話は違えども既視感を覚える描写や人物などが登場します。
小道具屋の主人が恐れる物置にしまわれた古い狐面。
柿らしい果実の中でとぐろを巻く龍の美しい根付。
ひどく胴が長い、人のような顔を持つ狐に似たケモノ。
祖父が熱心に参っていた中庭の社に祀られた何か。
・・・
森見さんの噺は『おはなし』という感じがしてよいですね。読んでいても描写が重くないのでさらさらと読めます。伏線もうまく敷いており、「おう!」とラストでたまげてしまう話もあります。
特に『果実の中の龍』が私のお気に入りですね。先輩はきっと森見氏本人、もしくはそれに近い何かなのではないかな。先輩と『私』の関係がとても感慨深いです。
今1番好きな作家さん。ただ、本書は私には合わなかった。他の作品にあるテイストを期待する著者への先入観を外してみても、残念な読後感。ホラー&ファンタジーみたいな感覚で、独特の表現や短編同士の繋げ方は巧くておもしろかったが、内容に入れなかった。めちゃくちゃ偉そうな言い方をしたら(本書が好きな方は読まないでください!)、その独特の世界観からテクニックだけで走ったようにも感じた。いや、そんなはずはない。私の読解力が足りないだけだ。そうに違いない。ただ、残念ながら、読み返そうとは思わない。「果実の中の龍」は、まあまあおもしろかった。
怖い話しを書かせたら次々に映画化しそうな雰囲気がある。世界観が不気味すぎて何が怖いんだかよくわからない。もうこの人がただ「その石垣の道を歩いていたのである」と書いただけで、曲がり角からモノノケが出てくるんじゃないかと疑ってしまう。恐るべし。
京都が舞台の、奇妙でぞくっとする話を4話収録。
4話が少しずつ繋がっていて、4話に渡って出てくるのが不気味なケモノ。
『狐に似ているが、顔は丸く狐のように尖ってない。胴がいやに長い。こちらを見る目は獣というより人間めいている』
話はすらっと読めた…けどもやっとした感じで終わるのが、私はあまり好きじゃないー。
短編が少しずつ重なり合って一つの物語を形成する仕組みがぞくぞくする。かなり前に読んだが、再読して段落メモを作成。あらためてその仕掛けの凄さに感動。また、たまたま琵琶湖疎水事業にも興味があったので、ストライクど真ん中。
うーん、可もなく、不可もなく。(星2つ半、かなぁ)
森見さんて「夜は短し・・・」テイストではない本もお書きになるのですね。
個人的にはちょっとだけ、期待はずれで残念です。
短編の体裁をとった連作、なんだろうなぁ。
だた、時々、語り手と話の終着点を見失ってしまった。
最終章で「語りたかったことは何だったのだろう?」と首をかしげ、これも『キツネに化かされた』結果なのだろうかといぶかしんでみる。
私の感想を大きく左右する原因として、少し前に読んだ「恋都の狐さん」が影響しているようだ。
京都を舞台にした、4つの短編集で、各話にほとんど繋がりは無いものの、共通の骨董屋やお寺、不思議なケモノが出てきて、少しずつ重なっている感じ。
どの話も因果関係をちゃんと突き詰めたくなる人には向かないです。
ただ、ジワジワと不気味な雰囲気を味わえるだけで満足出来るなら、有りかも。
文章がどことなく古めかしく、京都の路地に迷い込む描写、古い屋敷に潜む何かの息遣い等印象的で、私はすごく楽しめました。
多分、また読み返してこの本の持つ空気に触れたくなりそうな気がします。
家のこたつの上にぽつんとあったので読み始めましたoこの作家の小説は、何年か前に短編集の中で『夜は短し歩けよ乙女』を読んで、いまいち理解できなかったことが印象で、読みたいとも思わなかったのですが、この小説は全く違う暗い雰囲気だったので、読み始めたら続きが気になり、1話読めばもう1話読みたくなる様な感覚で読み切ってしまいましたo
4つの短編の中でも『果実の中の龍』が一番面白かったですo他のお話にはそれぞれ、得体のしれない生き物や人物が出てきますが、このお話でその役目を果たしたのは拾ったノートと先輩の欲だと思いますoこういう人間の狂気は、きっと私達もそれぞれ何処かに隠し持っていて、この先輩の場合は嘘を塗り固めていくことへの快楽だったのでしょうoお気に入りのお話ですo
ナンバーガールのNum-Ami-DabutzのPV思い出した。ちょっと怖い。小泉八雲の怪談のような。夢に見そうだから、読み返しません。
これはちょっと異色ですね。森見氏独特の文体ではないし。
京都を隅々まで知り尽くした人が書いているなという印象は同じですが、これ以外の(私が読んだ)森見作品では「京都のちょっとフシギでオモシロオカシイ感じ&京大生の青春」が描かれているのに対し、この作品では「京都の不思議で密やかな感じ」を描いているような印象でした。好みの小説です。

骨董店でアルバイトをする大学4年生の主人公は謎の人物・天城さんへの使いを頼まれ、幾度となく通うようになる。
そしてある日、天城さんと取引をしてしまう。バイト先の女主人から固く止められていたにも関わら...





