私の浅草 (新潮文庫 さ 10-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101291024

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  • 1996年に亡くなった役者・沢村貞子が、生まれ育った浅草の風物、
    家族の思い出等、下町の暮らしを綴ったエッセイである。

    なんだろう、この人の文章の上手さは。気のきいた言い回しなどない
    のだが、すーっと気持ちに入って来るのだ。

    下町の、貧しいけれども身の丈にあった暮らしを精一杯生きた人々の
    記憶でもある。ほろりとさせられる話もあるが、全編温かい気持ちが
    伝わって来る。

    ほんの少しいたんでいるみかんを「あたりみかん」なんて言うの、
    いいねぇ。

    読みながら大笑いしたり、ニヤニヤさせられたりする本はあるが、
    本書は知らず知らずににっこりさせてくれる。

    こんなエッセイを書ける人は、本業の文筆家でも少ないのではない
    だろうか。

  • 2ページから長くても5,6ページ程度。
    出てくる人々がみな、生き生きとしている。
    エッセイということだけれど、「パン屋のしろちゃん」や「秋田の女」などなど、それぞれが小説のようなひとつの「お話」として成り立ちそう。

    白粉、物売り、髷、芝居に祭り、年中行事…。
    古きよき浅草の、風情や情緒に包まれてた1冊。

    あの沢村さんの、つややかだけどしゃんとされた姿のもとは、ここにあるのかもしれないと思った。

  • 市井の人々の暮らしの匂いが随所にする。
    こぎみいい東京の下町の家族が活写されている。

  • あたたかく強い母とはこんな人。子育て中のお母さんに是非とも読んで欲しい本です。

  • 大切な本

  • 現在まで版を重ね続けるベスト・セラー。著者が幼少期を送った浅草の日常が、生き生きとした筆致で語られている。単なる回想記などにとどまらない、普遍的な魅力を持っている本。

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著者プロフィール

1908年(明治41年)東京・浅草生まれ。俳優・エッセイスト。本名大橋貞子。日本女子大学在学中に新築地劇団に参加。前衛演劇運動に加わって投獄を経験する。34年、日活太秦現代劇部に入社、映画俳優としてデビュー。小津安二郎監督作品をはじめとした映画、舞台、テレビで名脇役として活躍した。生涯で出演した映画は100本以上。78年には、半生をとりあげたNHK連続テレビ小説「おていちゃん」が放送された。89年に俳優を引退。文筆にも長け、77年『私の浅草』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。ほか『貝のうた』『わたしの台所』『わたしの献立日記』など著書多数。96年(平成8年)没。

「2023年 『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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