- Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101292311
感想・レビュー・書評
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川上氏の夢をもとにした摩訶不思議なお話。「もぐらと一緒に写真をとる。…小学校六年生くらいの背丈で、顔も、どことなく人間じみている。」と、相変わらず初っ端からやんわりと強烈である。何となく通り過ぎたものの、「おやっ、ちょっと待てよ??」と立ち止まり振り返るような感覚。おそろしく自然に、淡々と、おそろしく奇妙な出来事が綴られているのだ。好きな人はかなり好きになるだろう。こういう世界。
山口マオ氏のいい味出したイラストも合わせて楽しめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「十一月二十日
デートにさそわれる。
長い間の片思いがついにみのるかもしれないので、できるだけ洒落た恰好をしてでかけることにする。
(中略)
何をするかと待ちかまえていたら、町はずれでまだ枯れずに残っている草を摘んで、それでデートはおしまいだった。
家に帰ってからだんだん腹がたってきたので、地団駄を踏みながら廊下を五往復した。」
てところがすき。 -
お読みになったら吃度気に入られます。
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全くもう川上弘美という作家はなんなんだろう?
縄文人の街に出かけたり、子どもたちが2倍に膨らんだり、庭がバオバブの木で埋め尽くされたり、恋人の肩の上で「きりつ、れい、ちゃくせき」をしたり。
挿絵を描いた山口マオさんとの対談(あとがき)を読んで、これは川上さんの夢日記から生まれた物語らしいと知る。
毎晩、鳥のジャンとルイがいる奇跡実演講座に出掛けたり、ぺたぺた足音を響かせる男と同棲したりする世界にいるのかと思うと、まったくもう、なんなんだろう?
挿絵も好い。
ぱらぱらと、適当なページを読んでもとても面白い。 -
川上弘美さんお得意の「うそばなし」と
山口マオさんのイラスト・オブジェで綴る
「私」の春夏秋冬の夢日記。
奇妙で 不思議で 不気味なのに
やすらかで おおらかで 和ましい。
こんなにきれいに嘘をつかれたら
もう参ってしまうしかないじゃない、と
憎んでしまうくらいに愛おしい。
川上さんの本の中で一番好きかもしれない。 -
何だこれ。と思いつつ、不思議とこの変な世界に入り込める。
絵もおかしな味わい。
今夜はこんな夢を見られます様に。 -
子供を箪笥にしまうというくだりが、とても印象的。摩訶不思議。挿絵もすてき。
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シュールすぎる。
うそばなしを、自分で消化しきれなくなると、読んだ話を人に話したくなる。
ぺたぺたさんが衝撃的。
なのに、最後のあとがきと解説を読んだ後、また読みたくなる。