- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101292335
感想・レビュー・書評
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こういう飾らず日々のままの本が落ち着く。
世の中SNS映えありきで回ってることに対して違和感を覚えまくる今日この頃だからか、最近こういう飾らず日々のままの本を欲してならない。
私は映えありきで生きるのがどうも疲れそうだからと、SNS発信をしていない(このアプリは例外にさせてほしい)「絶滅危惧種」的人間だけれども、この見え張りとも言える頑固さを、悪くないよね!と思わせてくれる。
マイノリティをしていると同年代と話が合わず生きづらさを感じることもあるけれど、大丈夫。いつも心に川上弘美(様)!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長くない文章で淡々と日常の出来事を綴るのが好き。
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川上さんの文章は、エッセイでも柔らかくやさしいのですね。
ほろ酔いのときや、おふろに入りながらよみたい温度感。
独特な感性に、共感したり唸ったりできます。 -
毎年、年末になると棚から引っ張り出してくる。ぱらぱらめくって、適当に読む。最後の表題作だけは、それこそゆっくり噛み締めながら読む。一年を振り返るのに、これ以上のものはない。
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わたしは女性の書いたエッセイを読むのが、好きだ。その中でも、好きなもの、そうでないものと、わたしなりの好みがあるから、あらためて、みずからの嗜好にかなうエッセイとはどんなものか、思い巡らしてみた。
息の長い文章が好きだ、と思う。細かく切れた文章は、なぜか読みの呼吸がうまくあわずに、気持ちよくなれない、心地よいドライブ感がないのだ。おそらくこれは生理的な問題だ、と思う。
わたしは、「である調」で書かれたものが好きだ、と思う。文末が「である」で綴られていると、リズムが生じて、なんだかとても心地いい。「ある」っていう表音のコロリとした語感が、とてもかわいい。
またゆる~い、日常の些細なことに一喜一憂しているエッセイが好きだ、と思う。些細なことを一まとまりの文章にすることは、意外に難しい。その出来事やその際のこころの動きは、なにせ忘れやすいし、日常ではそれほど頻繁に心が動いているわけではないから(大きく動いてないから日常なのである)。できれば、みずからをかるく揶揄するゆる~いユーモアが加われば、わたし好みである、ように思う。
と、いくつか嗜好にかなうエッセイの要素を挙げてみたけど、以上のような考えるきっかけをくれた、川上弘美さんのエッセイに、キリッと頭を垂れる、わけですね。 -
川や、町並みや、
友人や酒や、
そして多くの本と言葉からや、
目に留まるあらゆるものへ、
真摯で率直に、思いが広がっていく。
散歩に行きたくなる。
酒が飲みたくなる。
友人に会いたくなる。
読み終わった後で、
飲み屋で待ち合わせをしたあゆちゃんにそのままあげた。 -
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hongoh-遊民さん、こんばんは
「なんとなくな日々」も好きな本です
わたしも、今日またもや川上さんの本を買ってきてしまいました(^^)hongoh-遊民さん、こんばんは
「なんとなくな日々」も好きな本です
わたしも、今日またもや川上さんの本を買ってきてしまいました(^^)2013/06/03 -
やっと見つけました、「ゆっくりとさよならをとなえる」
やはり、探した価値のあるエッセイ集。
なんでもない日常の、ゆったりと流れる時間の何...やっと見つけました、「ゆっくりとさよならをとなえる」
やはり、探した価値のあるエッセイ集。
なんでもない日常の、ゆったりと流れる時間の何と豊饒なことか。
2013/07/22 -
hongoh-遊民さん、見つかってよかったですね
この頃、新刊じゃなくなったら、なかなか見つけられなくなりましたね
でも、本を読んでいい時間...hongoh-遊民さん、見つかってよかったですね
この頃、新刊じゃなくなったら、なかなか見つけられなくなりましたね
でも、本を読んでいい時間を過ごすことが出来ること、うらやましいです2013/07/23
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本を読むこと、まごまごと日常を送ること。
そうして過ぎていく時間の中に、在りし日のセイシュンの姿を重ね合わせる。
「こういうよろこびをいったい何というのだろう。「ささやかな幸せ」というやつだろうか。青春と呼ばれる時代にはあんなにささやかな幸せを忌み嫌ってきたのに、人間変わるものだなあと思いを致した夏でもあった。人間変わるものだ、などという感慨も、そういえば昔は忌み嫌っていたっけ」(P.48)
教訓を引き出さず、ただ楽しみのために本を読み、幾つもの場面に、逐一日常の面白さを見出すことができるとしたら、、「生きることは歓びなんだよ」(P.150)という、著者がためらって言えなかった言葉も、いつか言えるようになるのだろうか。 -
・ポジティブで美しいエッセイは好き。
・最後が良い。表題作をめくる前のドキドキ感といったらない。
・というかまさか、川上弘美が大女とはしらなかった。
・紹介されてる本とか、何気なく出てくる本に興味が沸いた。読んでみよう。-
「ポジティブで美しいエッセイ」
何と言うか、、、ほんのり可笑しいエッセイですよね。ちょっと浮世離れした感じが川上弘美にはお似合いだと思いまし...「ポジティブで美しいエッセイ」
何と言うか、、、ほんのり可笑しいエッセイですよね。ちょっと浮世離れした感じが川上弘美にはお似合いだと思いました。。。2012/07/24
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今までエッセイをあまり好まなかったのだけど、彼女の紡ぐ日常のひとこまが、彼女の流れるように綺麗な文章で綴られると、一気に引き込まれる。
どの話も好い。
本が読みたくなる。
美味しいものが食べたくなる。 -
川上弘美は元理科教師。ウニを捕まえるのが得意。喫茶店のナポリタンが好き。恋愛小説が好き。でも恋愛は不幸だと思っている。
この本は川上弘美の色々な面がわかる。サービス精神が強く、好奇心旺盛で、引きこもり、夢と現実の間は曖昧。
本が好きですぐ本の話ばかりする。
彼女の思考の愉快さは「べたべた」を読んで納得。
好きな句に「人参は赤い大根は白い遠い山」をあげているのがなんだか嬉しい。
あとがきに連載が終了時のあの跳躍の理由に触れている。「淋しくなる」とてもシンプルな理由だった。
扉座、横内謙介の芝居中に本を読み終えるのが惜しくてわざとページをゆっくりめくる。物語と別れがたくわざとページをゆっくりとめくる。というのがある。
物語を愛する故の最後の悪あがきをタイトルの「ゆっくり」にも感じた。 -
やっぱりエッセイは好きになれないかなぁ。
観点を広げるという点では良いけど、なんせ主張がない。
世の中の神秘とか超人的な部分への言及は嫌いではないけど。
やっぱり自分ってロジカル好きかも。
ただ、好きとは言え、なんでも理屈で解釈しようとするのはだめ。
ダメというより、それやってたら理不尽なことが多すぎて生きてけない。
空気感や感覚部分こそ全てを知っているのは確かだから。
「人知では計り知れないところで、何かと何かがつながりあってる」
→出会いもそう。人間って作られたものだ。
「若くても年取っててもみんないろんなことがわかってる。すごいもんだなぁと感心した」
→子どもを見てれば人間の子となんて大半わかる。小手先の打算的な大人との対人コミュでは見えないものが子どもの正直さの前では全て見える。目を見て話さないと子どもは聞かないし。人が感じる感覚って絶対だ。子どもはその部分が強い。
「青春と呼ばれる時代にはあんなにささやかな幸せを忌み嫌ってきたというのに、人間変わるもんだなぁと思った。人間変わるものだ、などどという感慨も、そういえば昔は忌み嫌っていたっけ」
→なんかわかる。たいそうなことを思い描くもんだ。
「一つの真実を深く語ることはすなわち全ての真実を語ることに繋がる」
→ひとつを極めれば、各分野のトップと仲良くなれるのはこれが理由。
「自分の不器用な生をめいいっぱい喜んでいた」
→幸せは主観。その人が才能を生かしきるのが一番大事。それを探しきれずに人生生きてる人が多すぎるのが悲しい限り。
「幸福の形はひとつしかないが、不幸の形は幾通りもある。それは恋愛にも通じる。すると恋愛は実は不幸に似通ったものなのかもしれない」
→でも答えがあるならどんだけ失敗しても掴み取りたい。だいたい正解って一個なんだ世のなか。夫婦の倦怠期って正解の中に含まれてるのかってのも微妙。
「人を驚かせようという自意識が恥ずかしい」
→打算は恥ずかしい。 -
表題「ゆっくりさよならをとなえる」が大好き。
思わず朗読してしまった。
川上弘美氏にはいつも「そのままで良いんだよ」と言ってもらっている。
精神の安定のために川上氏のエッセイは側に置いておく。 -
幸福
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エッセイと本に纏わる思い出と。
海外の小説を読んでカンゾウ?ショウガパンとは何ぞや?と知らない海外の文化に頭の中が「?」で埋め尽くされるあの感じ。自分も同じく不思議で仕方なくて、想像で自作したショウガパンのくだりには苦笑いしたり、他は全て揃っているのに1冊だけ見つからないシリーズ本に血眼になる姿に「あるある」と共感したり。
共感しつつも、小説と同じく独特の世界観と柔らかい空気に満ち溢れている。なんだかしんどいな…と思う時、パラパラっとめくって一編ずつゆっくり読んでいる。
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感想
着飾らない日常を綴る。簡単なようで確かな観察眼が必要。文章に気取りを持たせても具合が悪い。日々を大切にし何気ないことに心を動かしたい。 -
一箱古本市
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一編が文庫3ぺージに収まる長さで、ほっと心が休まるエッセイ集。
あ~そうですそうですと、思い当たるようなちょっとした出来事や、出先で見聞きしたことなどが書いてある。
中でも川上さんが引用されている本は、読みたくなってしまう。
好きな食べ物は飽きるまで食べる、なんかそのこだわりが良く分かる。私も米粉パンを卒業して今は塩バターパンに凝っている。
どこを読んでも、川上さんの人柄がにじみ出ている。拘らない楽そうな生き方や、作家で主婦でお母さんの、ゆったりした毎日が微笑ましい。
身近なものに向ける視線もユーモア含みのほっとする文章が納まっている。
" 織田作之助の「楢雄は心の淋しい時に蝿を獲った」にふれ、そうやって楢雄は自分の不器用な生をめいっぱい喜んでいたんじゃないだろうか、その人の奥底も知らずに、と思う。
少し淋しかったので風呂場に潜んでいた蚊を潰した。”
言葉で書いてある「あやとり」をやってみる。
そして再び小説に、もどる。安らかさとは正反対のところにある営為に。正反対にあるからこそ、いっそのこと安らかなのかもしれない、営為に。
博物館に行ったり、古本屋をめぐったり、昼顔を見たり、漫画の欠けた巻が近所ではどこにもないので、電車に乗って探しにいく。
あてもなくのんびりと電車に乗って隣りの町に行くことを信条としている私の人生が、たった一冊のマンガによってすっかり血走ったものになってしまった。
”「田紳有楽」という本を借りた。仰天したままその日のうちに本を読み終えた。「すごいね」とマリ子さんに言うと、マリ子さんはエヘへと笑った。以来私は「田紳有楽」という本を愛してやまないのだが、いまだにその全貌をうまく把握することができない。なんだかわからないけれど、小説ってものは、やはり凄いな、と私は思ったのだ。”
数えてみれば全部で59編あった。218ページにそんなに入っているのに、楽しく暖かい。
最後に詩のように日々の生活から切り取った言葉が並んでいる。
”(略)今まで言ったさよならの中でいちばんしみじみとしたさよならはどのさよならだったかを決める(決まったら心の中でゆっくりさよならをとなえる)
連載エッセイを書いていて、最後の回になると、私はさみしくてたまらなくなってしまいます、表題作も連載最後の回に書いた文章です。” -
日常のひとこまが、ゆるゆると綴られるエッセイ集。私の毎日も実はとても贅沢で、すてきなものだったのだなと気づかされます。いつまでも浸っていたい温度。
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読みやすいエッセイ集。
本のことと日々のこと。 -
川上弘美の本をはじめて読んだ。
ちょっと洒落ていて、
ところどころで、ハッとさせられた。
タイトルがカッコ良すぎる気がして、
(個人的にあまり好きではない類)
もぞもぞしながら読みすすめたが、最後の最後で、
このタイトルの一節が出てきて…
やられたー!!
となりました。
普段は思い出さない昔のことや、思い出などを
振り返させられ、
しみじみ。
読めてよかった? -
ところどころいかにもエッセイというふうに肩に力が入ったものもなくはないが、基本は本と酒とダラダラするのが好きという、とても共感できるものが通底にあり心地よい。途中まで読んで、ずいぶんと間が空いてしまったので、最初のほうは忘れてしまった。まあそれもよし、またダラダラと読み返す楽しみがあるというものだ。
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173ページ
『坊やはこうして作家になる』片岡義男著(水魚書房)。片岡義男の小説が昔から好きで、でも作中人物のあまりのいさぎよさにときどき驚いたものだった。一種の自伝ともいえる本書を読むと、その理由がよくわかるような気がする。幼いころからなんと自由だった人だろう。自由を尊重し、自由でないものを徹底的に非難する。その筋の通し方と、いっぽうにあるやわらかな身のこなしのバランスが、この作者の物語の魅力なのだ。きっと。
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とても好きな空気です。
たくさんの本のこと、と、まごまごした感じ、が、心地よいです。平らかな気持ちになりました。
魚喃キリコさんや小川洋子さんの本を読まれていたりするのも嬉しいところです。
居酒屋さんや本屋さんにも行きたくなります。
読みたい本も増えます。良かった。 -
図書館で借りて読んだエッセイで、買って読み直したいと思ったのは、向田邦子とこの人だけ
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大学にて。
ぼやっとして柔らかい文章。 -
2017.4.22市立図書館
川上さんのさまざまな感覚に親しみを感じる。お酒が飲めないので、そこだけは共有できなくて残念だけれど。通勤などのすきま時間に読むのにもちょうどよい短い文章がいっぱいつまっている。本関係のエッセイがやはり興味深く、服も化粧品も買わずに本代(と飲み代)にするのわかるわ〜とか、あのマンガの16巻はけっきょく手に入ったのだろうか、という後日譚も気になる。 -
16/06/27
タイトルに惹かれて。
ゆっくり、さよならを、となえる。
『なんとなくな日々』は響かなかったけど、こっちのエッセイは好き。角田光代さんぽいかんじ。 -
ほっこりとした気分で読めました。
池波正太郎さんの様な、滋味とおかしみあふれる渋系エッセイ。 -
数ページずつのエッセイ集。
日常の、なんでもないところから話が発展していたりして、う~む。と思ってしまうことが何回か。
この人の書く小説はあんまり好きじゃなかったけど、これは面白かった。