ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

  • 3696人登録
  • 3.52評価
    • (268)
    • (478)
    • (773)
    • (99)
    • (28)
  • 571レビュー
著者 : 川上弘美
  • 新潮社 (2006年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292342

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ニシノさん、
    西野君、
    ユキヒコ、
    幸彦、
    西野くん、
    ニシノ、

    などなど、
    呼ばれ方は違うけど、
    様々な時代の
    様々な歳の女性たちの
    恋愛話の中から

    ニシノユキヒコという
    ひとりの男が見えてくる構成。

    いやぁ〜
    面白かったです(^_^)


    どこか
    「100万回生きたねこ」を連想したし、
    (様々な女性たちのもとに現れては、結局誰も愛せない様は
    真実の愛に気付く前の絵本の中のねこそのもの)

    女性たちから見れば、
    興味を惹かずにはいられない
    野良猫のような人だと思いました。



    甘い顔と清潔さと几帳面さと
    全天候型の抑揚のない声

    そして少しの冷気を併せ持った
    ニシノユキヒコ。


    クールに振る舞いながらも努力家で、

    褒めたり甘えたり
    叱ったり、
    女性が望む様々なことを
    いとも簡単に
    またとないタイミングで
    見事に叶えてあげられる技術を持つ。


    誰かに愛されたいと願いながらも
    いつも上の空という
    掴みどころのない男。


    いや、実際どうなんでしょう(笑)

    世の女性たちは
    ニシノユキヒコのような男性を
    どう思ってるんやろ?

    ちょっと聞いてみたい気がします(笑)



    コレはニシノユキヒコの辿ってきた
    中学時代から
    50歳を過ぎ亡くなってしまうまでの恋愛遍歴を、
    年代をシャッフルした
    構成で並べた連作短編集です。



    それにしても
    過不足なく行き届いた
    心地いい言葉、

    それでいて高ぶらず品のある
    川上弘美さんの文体は
    この作品でも健在で、

    上手いなぁ〜っと
    思わずにはいられませんでした。
    (ただ、川上作品の特徴であり、柔らかさを印象づけていた
    心地よい食事の場面がほとんどなかったのは少し寂く感じたなぁ〜)


    どうしようもないダメな男性の
    恋と冒険を描きながらも

    裏を返せば
    実は凛とした
    カッコいい女性の生き様を描いた
    小説でもあるんですよね。



    恋って
    いい人だから好きになる、
    大事にしてくれそうだから好きになるというものでもない。


    どうしようもない人で
    周りは反対するけど、


    「でも好きやねんっ!!!」


    って胸を張って言える瞬間は
    誰にでもあるだろうし、


    男でも女でも
    誰の中にも
    ニシノユキヒコ的なものは必ずあるのです。



    しかし、歴代彼女が
    俺のことを語った話を
    もしまとめたらと思うと、

    ああ〜っ怖〜っ!!!

    です(≧∇≦)

  • 稀代のモテ男・ニシノユキヒコの爛れた女性遍歴を、相手方の女性10人がそれぞれの視点で語り下ろすという連作。
    「稀代のモテ男の生涯」という意味では、源氏物語みたいなものなのだろうか。読んだことないからわかんないけど。

    非モテな私としては、恥ずかしげも文脈もなくさらりと中二みたいなことを言ってしまう感じとか、なんやかんや言って結局彼とそういうことになってしまう展開とか、いきなり始まる観念的かつ感応的なハルキスト的な問答に随分イラッとさせられました。
    非モテな私にはあまりはまらなかったわけですが、女性が読んだらどう思うんだろう。

    作中に登場する10人の女性にぜひ集まってもらって、ニシノユキヒコについて語りあってみてほしいと思った。
    はたしてそれが、「ニシノユキヒコファンの集い」になるのか。
    それとも「ニシノユキヒコ被害者の会」になるのか。
    私はそれを、ぜひ覗いてみたい。

  • ニシノユキヒコは、女の子の理想。
    見た目は、それなり、キスもさりげなく、セックスも心を癒す。そして優しい。
    10人の女性との恋物語。
    淋しく切ない恋。
    川上弘美のゆったりとしたすてきな時間を堪能できる作品。

    「おやすみ」
    わたしたちは愛しあいかけていた。けれども愛しあうことはできずに、愛しあう直前の場所に、いつまでも佇んでいた。

    「ドキドキしちゃう」
    夜の海が満ちて、あたしたちを沈めて、そうしたらあたしたちは小さな蟹になればいい。
    波がときおり大きな音をたてて、寄せてくる。海が大きく満ちてくる。夜の中で、あたしはいつまでも、ドキドキしている。

  • 川上弘美さんが描く純リアリズムの恋愛小説。年齢も様々な10人の女性たちが語るニシノユキヒコの物語。恋の相手に恵まれるニシノだけれど、それらはけっして長続きしない。それはそうだろう。「2人は末永く幸せに暮らしました」では恋愛文学にはならない。忍ぶ恋、禁断の恋、破滅的な恋こそが恋愛小説の王道だ。だから、この物語にはいつも別れが待っている。女たちは本質的な孤独がニシノに内在することに気づいてしまうから。その上に彼は絶対に叶うことのない、姉への恋愛感情までを秘めているのだから。寂しい、そして寂しさが似合う小説だ。

  • 実はこの本を読むのはこれが3回目です。一度読んで面白くてすぐ2回目を読み、公開中の同名の映画を近々観るためのおさらいで今回また読んでみました。

    優しくほのかに暖かい物腰で女性に近づくニシノユキヒコ。付きあっている女性の前で、悪びれもせず「二股をかけたいけど、女の子がたいがい許してくれない。」と言ってしまうニシノユキヒコ。ニシノユキヒコが心の底から女性を愛せないように、物語の中でニシノと関わった女性たちもまた心からニシノを愛せた人はいなかったのではないかと私は思いました。

    それは虚しい物語のようにも思えますが、けっしてそうではなく、女性の目線で語られる優しいだけではないニシノの捉えどころのない魅力、その内に秘められた過去のつらい記憶が浮き彫りになって私の心を捕まえて離しませんでした。

    ニシノユキヒコ。現実にはなかなかいない男性だとは思いますが、もし自分の前にニシノユキヒコが現れたら、私はニシノに関わることを拒むことができるだろうか?そんなことが頭に浮かびました。

  • つるつると、掴み所のない完璧さ、低く甘い声。イヌのような眼差し。「愛し方がわからない」死ぬまで迷走を続けたニシノユキヒコ。彼が愛した10人の、いろんな意味でかっこいい女性たちが語る彼についての物語。人間の色気と暖かさとをじっくり味わえる良作。竹野内豊主演で映画化だとか。かなり彼のイメージに近く、映画も楽しみだ。きっとダメな男とわかっていてもみんな彼にやられてしまうんだろうなぁ…。

  • 「ニシノユキヒコ」氏は女にもてる。
    ろくでなしである。
    こんな男が傍にいたら全力で逃げるべきである。
    誰かを愛したくてたまらないのに、自分に恋をする女なんて興味ないのだ。
    友人がこんな男と恋愛していたら、さっさと別れた方がいいと助言するだろう。
    そんなことを言いながら、ニシノ氏が傍にいたら、私はたぶん恋に落ちてしまう気がする。

  • ニシノユキヒコを愛した10人の女性の話。
    中学生のニシノユキヒコから幽霊のニシノユキヒコまで。


    ニシノユキヒコみたいな男って…稀にいるよね。
    ダメ男って言葉で済ましたらそれまでだけどw
    自分のことを棚にあげてるって言ったらそれまでだけどw
    人を深く愛せない、愛してるつもりでも伝わらない、平気で浮気するくせに、相手の愛は全て自分に向けていてほしい。
    都合がいいヤツなんだけど、そういう人に惹かれちゃう女性が多いのも事実。
    なんでこんな人がもてるんだろう?って思うけど、自分も惹かれちゃってたり。


    でも結局、
    そういう男性と付き合っても、自分も一歩ひいちゃうんだよね。客観的に醒めて付き合っちゃう。
    熱をあげても無駄だなって気づいちゃう。
    年齢を重ねると余計に。



    ニシノユキヒコに苛つきながら読了しました。
    川上弘美最高!

  • 「ニシノユキヒコ」という1人の男の姿を、彼と関わった10人の女が振り返る。
    愛し合っているはずなのに、決して距離が縮まらないもどかしさ。いつか離れてしまうと気付きながらも、止められない気持ち。そんな繊細で切ない描写が素晴らしかった。

    彼を語る10人の女性たちはみな、自立していて洞察力に長け、賢い。そんな女性たちでさえ太刀打ちできなかったニシノユキヒコという男。
    でもわたしは、彼はどの恋愛も本気だったし、目の前の女性を愛し抜こうと誰よりももがいていたように感じる。

    タイトルに「冒険」とあるように、彼はずっと、自分自身を探していたのではないかな。
    そしてそれを見つけ、愛してくれる女性を求めていた。
    だけど彼は生涯孤独だった。
    彼を心底理解できた女はいなかったし、彼自身も、最期まで自分を理解することができなかったんじゃないかと思う。

    でも「草の中で」の山片、「ぶどう」の愛、「水銀体温計」の御園に対しては、彼は弱くてもろい部分を出した。彼は自分に惚れない女に対しては、心を許すことができたのかな。彼女達にはどことなく、自分と似た部分があるから。

    そして他の女性たちにおいては、死んだ姉とその娘にダブらせて愛したのかもしれない。

    わたしはニシノユキヒコのことを「女たらし」だなんてちっとも思わなかった。
    苦しくて、情けなくて、ものすごくいとおしい。

  • 現代の源氏物語という感じがする
    ニシノさんのかっこよさに痺れるのもよいが、でてくる女性陣をこの人苦手だな〜とか素敵とか考えて読むのも面白い

    私は断トツでマナミが好き
    おやすみを読むと切なくて胸がぎゅっとなる
    マナミは源氏物語でいう六条御息所ポジションかな〜

全571件中 1 - 10件を表示

川上弘美の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
伊坂 幸太郎
川上 弘美
有効な右矢印 無効な右矢印

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)の作品紹介

ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ…。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)はこんな本です

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)のKindle版

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)の単行本

ツイートする