センセイの鞄 (新潮文庫)

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著者 : 川上弘美
  • 新潮社 (2007年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292359

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センセイの鞄 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ひとり飲みの居酒屋で、偶然隣り合ったのは
    高校時代の国語の先生だった。

    37歳、独身の「ツキコ」と
    元教師の70がらみの「センセイ」の
    静かで不思議な関係。

    ひょうひょうとして、ちょっとお茶目なところもある「センセイ」
    なんだかひとと少しずれている感じの「ツキコ」

    このふたりならでは、の静かな愛の形

    でも、自分がこんな恋愛がしたいかと思うと
    それはいやだな~(笑)
    私なら小島くんのほうがいい(笑)

  • 現実はこうもうまくいくまい、と思いつつ年のはなれた(元生徒と国語教師)男女の恋を描いた恋愛小説。ツキコのセンセイへの恋慕にページをめくる手が止まらなかった。恋敵への嫉妬、同級生への違和感と反発といった第三者の存在を通してツキコのもやもやした恋情を明確にさせる。恋愛文学の王道を踏みつつ、二人の佇まいが静謐で清潔。それに季節と食べ物とお酒が美味しそうで、思わず鱈と春菊が食べたくなる。著者の文章も魅力的でくせになりそう。文章は書き出し一文目が肝要というが、冒頭一文で物語世界に読者を引きずり込む。句点で心情を表現する機微も繊細で一文ずつ噛みしめながら読んでしまった。
    ひらがなや漢字でもないカタカナの"センセイ"表記もおもしろい。カタカナ表記は口承や伝承といった声音を思い浮べるが、この小説では片仮名表記で声の届く範囲=センセイとツキコの距離感を表したのかなと。ツキコとセンセイの偶然の出会いは居酒屋で隣あったのがきっかけ。ぼそぼぞと声が届く距離感はツキコとセンセイの恋愛模様そのもの。と、ごちゃごちゃ考えることもできる素敵な小説でした。

  • まだ読み終わっていませんが★満点です。完全に「今の」自分だから満点です。何年か前だったら面白くないと思っていたこの分野が開花してきている気がします。(西加奈子のうつくしい人を読んだ時の言葉の綺麗さ(でしょうか。。。?)、スーッと入ってくるあの感じを2度目にこの本で経験することができました。)

  • 友人にもらった本。

  •  37歳の独身女性「ツキコ」と学生時代の国語教師(老人)の静かな関係、という、控えめに言って生理的にやや厳しい小説。37だけど女性は少女のようでセンセイは一人称が「ワタクシ」などと、やや現実離れした感があり、ファンタジーを読んでいるような気さえする。
     一回りも二回りも離れた年下女性に劣情を抱く残念な男性なども職場にゴロゴロしているし、こうした小説を真に受けて勘違いの暴走機関車と化すのだろうか、と思う。純文学はベストセラーになるべきではないとすら思う。

     とはいっても、ぼんやりとした二人の関係は、途中に出てくるヒロインと同年代の男性「小島孝」から発せられる明らかな「恋」よりも、互いの欠けた部分を埋めるような、非常に自然な感じの関係にも思える。
     「一羽だと可哀そうだからです」と二羽のひよこを購めるセンセイや、「お正月」に描かれるツキコからは、二人の心にぽっかりと空いた穴が見えるようだ。
     それでいて、互いのテリトリーを守ろうとするところは、この二人の個性か、あるいは歳を重ねた人同士だからこその恋愛なのかもしれない。
     だが、恋愛はそんなテリトリーなど浸食してしまうし、終わった後にはセンセイの鞄の中のように、何もない空間を自分の中に抱えなければならない。そんな通像的哀しみから読者を逃さないところも、また心憎い小説。

  • お酒が呑めないので、サトルさんの店やおでん屋さんや先生の家でのシーンが美味しそうで楽しそうで羨ましかった。
    途中、何箇所も泣くまいと思って読んでいましたが、最後の2ページほどで涙がはらりと溢れてしまいました。
    なんにせよ、いい意味で焦れったくもあり、クスリと笑う部分も多々あり、ほっこり心を温めてくれる、今の季節に炬燵で読んで良かったと思える作品です。

  • 静かな小説だった。静かに、降り積もる時間に、確かに熱い人間の感情が細く絡みつく。そういう小説だと私は思う。

    私が惹かれた点はまず、肴の描写だった。日本酒が好きな酒飲みなので、ひとり飲み、しかも落ち着いた日本居酒屋を選ぶところに好感を抱いた。

    そこで出会ったセンセイと肴の趣味が合うことから知り合うのもいい。食べ物の趣味が合うことは大事だ。それで長く続く関係もある。

    お互いが自立していて、ほどよい距離感があるのがとてもいい。お互いを認めているのが伝わる。

    対比であろう、ツキコさんの昔の恋人である小島孝の「男女」の付き合いは違う。くどくて、もつれてて、型にはまっている感じがした。

    私は生臭いものが好きじゃない。
    17の章にわかれた小説には海の幸の肴も、島の海も、生臭さはない。ドロドロした感情の生臭さもない。心地よい風が吹いている。


    段々とセンセイが心を占めてきてバランスを崩すツキコさんは本人も言う通り子供のようだ。

    ツキコさんとセンセイの距離は遠い。それは「因った環境」でもなく、年の差によるものでもなく、遠くにある。

    「たまたま」近くにあった。
    だんだん、「たまたま」が重なった。
    そして、「たまたま」が重なるようになればいいと思うようになった。

    そういう関係を読んでみませんか。

  • いつまでも読んでいたくなる本。

    積読状態で放置していたはずだが、全編読んだ覚えがあった。こういった、抑揚のあまりない日常を描いた小説が大好きで、大概終わりがけになると、終わってほしくないという理由だけで長期間積読にしてしまう。

  • 最初は漫画でいう日常系みたいな小説だと思ったのだが、後半になって胸を締めつける切ない恋愛小説になった。
    ツキコさんとセンセイは恋愛関係にならないと思ってたし、なったとしても肉体関係にはならないだろうなと思ってたのを、見事に裏切られた。
    でも、そんなものしなくていいというツキコさんに対して生真面目に、
    「あれは、そんなもの、でしょうか」
    と答えるのはやっぱりセンセイらしいなと。

    「日常系」パートでは「二十二個の星」が好き。なんだこのカワイイやりとりは。思わず微笑んでしまう。なんでそんなに巨人が憎いの。
    ツキコさんは自分でも認めている通り、子どもっぽい。意地っ張りだったり、すぐにすねたり。でも肝心なところで素直で。舞台が居酒屋じゃなかったら、女学生とセンセイの話に思えてしまうかも。
    にしてもこの二人、酒飲みすぎ。γGTPは大丈夫なのだろうか(笑)。

    しかし、センセイが老年の男性であるため、このほんわかした物語には別離の予感が常につきまとう。それは見事的中するわけだけれど、もし「いつまでも幸せにくらしましたとさ」で終わっていたら騙された気分になっていたことだろう。二人はそう遠くない将来に死で袂を分かつことを了承した上で「恋愛を前提としたお付き合い」を始めたのだから。
    センセイの名前も馴染まないうちにきた別れ。残ったのはセンセイの鞄。

  • 自分だけ知っている美味な肴を横にお酒を飲みながら読みたい一冊。

    37歳、独身のツキコの思いと一緒に漂う心地よさ。

  • とても素敵な物語だった。
    センセイと私の微妙な関係。
    きっと若いころに読んでいたら、主人公の気持ちを汲み取ることはできなかっただろう。
    大人の恋愛というのは、若い人のそれとは違ってゆっくりと穏やかなものなのかもしれない。
    作者は真っすぐなものの見方をする人なんだろうなと思った。

    (読了から10日も経ってしまい、感動や記憶が薄れてしまったように思う。感想は読了直後に書かねばと反省)

  • 読み終わったら、なんだかちょっと泣いていた。でも、読んでいる最中は自分が37歳になった時、どう感じるんだろう、ばかり考えていた。

    今感じるのは、この二人の年齢差の恋愛を、現実のものとしては全く想像できないということ。
    自分がこの歳になったら、果たして現実味を帯びて読めるのだろうか?

    あとは、お酒が好きだったら登場するお酒、つまみにもっと反応して読めるのかしら?ということ。

  • 恋愛小説なんだけれど、ファンタジーとして読んだ。

    わたしはセンセイよりツキコさんに近い年齢だけど、父親より年上の、昔の学校の先生 (大学ではなく高校の) に恋慕するというのは正直想像できない…
    なので、リアリズムの小説ではないと結論づけ、そこをファンタジーとして読めば、文体も内容もわたしごのみでした。

    30代後半の独身女性がひとりで呑む図なのに、なんというか矜恃が保たれているのが、これまたあまりリアリスティックではないのだけど(^_^;)美しい。

  • 癒された。心が荒んだときやほっこりしたいときにまた読みたい。
    2015/10/23

  • 高校時代のセンセイを好きになってしまう女性の話・・・とかくとごく普通だが、それが40女と70男となると、色んな不器用かつほほえましいエピソードも、ちょっと不気味な気がする。
    世の中にはおじさま萌えの女性もいてけっこうウケるのかな、でも男性は70でも20代の女性を求めるのではないかなと思ったり。

  • 一人居酒屋で晩酌する37歳のツキコ。
    いつもの居酒屋で呑んでいたら声をかけられた。

    この人誰だっけ?
    どこかで会ったことがあるような…。

    その人はツキコの高校時代の国語教師「センセイ」だった。

    別に待ち合わせをする訳でもない。たまたまカウンターで出会うたびに二人の距離は縮まっていく。むしろツキコの方がセンセイに惹かれていき、センセイもとうとう「正式なおつきあい」を申し込む事になる。

    30歳も年の離れた、言ってみればおじいちゃんとの恋愛。
    本当に静かに、でも絶え間なく打ち寄せる波のような愛情。それを二人はゆっくりと育てていった。

    最後センセイは亡くなってしまうのだけれど、そこも後日談として静かに語られる。

    私は次恋をするならこんな恋愛をしたい。

  • 大人の恋愛って感じがした。
    でも年齢が上の方だったから感情移入がしにくく、一気に読み終わったという感じでもない。
    内容自体は軽く読みやすいと思う。
    ゆるいユーモアも読んでいて楽しかった。
    年齢を重ねるごとに印象が変わる本だと感じた。
    大人になってもう一度読みたい本。

  • 読んでいる最中に覚えるのは、ゆらゆらとぬるま湯に浸っているような、ちょっとした他人事感。
    それなのに、どういうわけか、他のどんな感情移入をしてしまう主人公たちよりも、一緒に笑ったり泣きたくなったりしてしまった。
    こんな恋愛ができたら、いや、こんな風に付き合える人に出合えたら、それはきっと幸せな事なんだろう。

  • とてもロマンチックで少し切ない部分もあり、後半はらはらと涙がこぼれる...ステキな恋愛のお話でした。正直、憧れますね。
    1冊前に読んだ百田さんの文体とくらべたら月とスッポン。どこまでも穏やかでゆるやかで現実離れした雰囲気のある文体でした。久々に◎

  • 好きだなーこの静かな雰囲気。
    と思った、そういう小説。

    リタイアした元国語教師と30代後半女性の淡い恋。
    派手さは全然なくて、ゆっくり進む。
    行くべきか、行かざるべきか、でも心は…という。

    言葉の使い方が好きだと思える作家さんの本って純粋にいいなと思うし、とにかく読みやすくてするする吸い込むみたいにして読める。
    この小説が流行った当時、60~70代の男性に夢を与えたらしい。30歳以上年下の女性との恋愛物語だから。
    確かにそのくらいの年齢の男の人で本気で口説きにかかる人たまにいるなと思って。笑
    男の人はとくに、いつまでも夢を追いかける性質のイキモノなのかなと思ったりする。
    この物語の場合、絶対にありえないことではない、というのがまた読者をそうさせるのかも。

    センセイとツキコさんの、お互いに孤独な感じ。独立しつつも、寄り添いたいと思う感じ。
    「お正月」の章がとくにさみしくて好き。

    作中のセンセイの言葉
    「心意気さえあれば、どんな場所でも、人間は多くのことを学べるものですよ」
    印象に残った。
    こんなこと言ってくれる先生がいたらいいなって。

  • 高校生の時に恋愛小説をとにかく貪るようにして読んでいた時季があって、その時に初めて文春文庫で読んだ。
    さっぱりとして可愛いく感じた表紙と、最高の恋愛小説という評判に胸を高鳴らせて読んだのを覚えてる。
    でも正直高校生の時の自分がこの小説に対してどんな感想を細かく持ったのかまでは覚えてないのだけど、
    これが最高の恋愛小説??
    なんか大人な恋すぎてわかんないな・・・ぐらいな気持ちだった気がする。

    あれから10年くらい経って、今また読み返したら最高の恋愛小説だと仰々しく言う感じではないけど、でもこの小説にはいくつになっても人が恋する気持ちってきっと変わらないんだ・・・と言う思いがじんわりと胸に広がって、
    高校生の時20歳を過ぎたら凄く大人になるんだと漠然と思っていたあの日から、実は案外気持ちの上では大人になるってよく分からないんだなと思う気持ちが思い返されて、高校生の時にはよくわかんないやと感じた気持ちが、今はちょっと分かって切なくなってる自分がいることに気付いて、
    自分も気持ちの上ではやっぱり高校生の時と比べると少し大人になったんだなと思った。
    そう、だからきっとこの本は、一度若い時に読んでほしい。
    そしてたっぷりと時間をあけてある時にふと読み返してみてほしい。

  • ゆっくり育まれるセンセイとツキコさんの日々が暖かくて、良かった。
    カタカナのセンセイ、ツキコさん、
    の表記が好きです。

    季節感が、音や空気、酒の肴から目に浮かぶ様で、うまいなと思いました。

    個人的には、センセイの気持ちが、ツキコさんにまっすぐ向かうようになるまでが良かったかな。
    二人が気持ちを確認しあってからは、少し生々しい感じがして、ふんわりと乾いた関係が壊れるようで、ちょっと残念な気がしてしまいました。

  • 会話の言葉の選び方がとても好きです。

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