- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101292359
感想・レビュー・書評
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高校生の時に恋愛小説をとにかく貪るようにして読んでいた時季があって、その時に初めて文春文庫で読んだ。
さっぱりとして可愛いく感じた表紙と、最高の恋愛小説という評判に胸を高鳴らせて読んだのを覚えてる。
でも正直高校生の時の自分がこの小説に対してどんな感想を細かく持ったのかまでは覚えてないのだけど、
これが最高の恋愛小説??
なんか大人な恋すぎてわかんないな・・・ぐらいな気持ちだった気がする。
あれから10年くらい経って、今また読み返したら最高の恋愛小説だと仰々しく言う感じではないけど、でもこの小説にはいくつになっても人が恋する気持ちってきっと変わらないんだ・・・と言う思いがじんわりと胸に広がって、
高校生の時20歳を過ぎたら凄く大人になるんだと漠然と思っていたあの日から、実は案外気持ちの上では大人になるってよく分からないんだなと思う気持ちが思い返されて、高校生の時にはよくわかんないやと感じた気持ちが、今はちょっと分かって切なくなってる自分がいることに気付いて、
自分も気持ちの上ではやっぱり高校生の時と比べると少し大人になったんだなと思った。
そう、だからきっとこの本は、一度若い時に読んでほしい。
そしてたっぷりと時間をあけてある時にふと読み返してみてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゆっくり育まれるセンセイとツキコさんの日々が暖かくて、良かった。
カタカナのセンセイ、ツキコさん、
の表記が好きです。
季節感が、音や空気、酒の肴から目に浮かぶ様で、うまいなと思いました。
個人的には、センセイの気持ちが、ツキコさんにまっすぐ向かうようになるまでが良かったかな。
二人が気持ちを確認しあってからは、少し生々しい感じがして、ふんわりと乾いた関係が壊れるようで、ちょっと残念な気がしてしまいました。 -
ふと川上弘美さんの文章が読みたくなって、本屋さんへ行き、題名で選んで読みました。
連載されていた作品ということもあり、
季節のうつりかわりが美しい。季節の変わり目を、肌で感じるようでした。
そして、静かな、あたたかい小説。
「ツキコさん」と「センセイ」とのきのこ狩りやけんか、お花見や旅行、「デート」……それぞれの場面が、やさしい色合いで心に描かれました。
最後の数ページでは、うるっときました。まさか……。でも最後まで、あたたかい空気感でした。
自然に任せてゆるりと、しかし感情に素直に、生きたいと思いました。
(個人的には、川上弘美さんの擬態語がたまらなく好きです。「ほとほとと」とか。)-
「ほとほとと」
こういうのって、どうやって考えつくのかなぁ~と不思議に思ってます。
「ほとほとと」
こういうのって、どうやって考えつくのかなぁ~と不思議に思ってます。
2012/04/24
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実はわたしも学校のとある「センセイ」に、憧れやら興味やら、よく分からない感情を抱いたことがあって。
それ以前から名前だけは聞いていて、ずっと気になって仕方なかった作品。大学受験が終わってから、やっと読むことができました。
わたしもいつか、こんな風に、懐かしい気持ちで「センセイ」のこと、振り返られたら好いなあ。 -
37歳のツキコさんと、中学生時代のセンセイ70代との物語。居酒屋でカウンターで1人飲みながら、約束するわけでもなくそこで会い、お互いに惹かれていく。
センセイのポツリポツリと話す感じがいい。本当にいい子ですね、ツキコさんは。と頭をなでながら言う想定が好き。センセイが男っぽさをあまりださない所も良かった。
出だしはスローで、・・・?って感じだったけど、どんどん引き込まれた。 -
読む前から「年齢差のある者の恋愛なんて気持ち悪い」と考えてる方は本を閉じた方が良い。
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こういう恋愛に憧れるのか、憧れないのか、どっちなんだい? あ、こ、が、れ…ないっ!
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2022.10.7 読了。
学生時代は特に親しくあった訳ではない国語教師「センセイ」とひとり通いの居酒屋で偶然再会した37歳のツキコの緩やかに揺蕩うように営まれていく恋愛小説。
年齢も離れ、過去は先生と生徒という立場だったけれど互いに歳を重ね大人になって再会しお酒を一緒に飲み、季節の移ろいと共に季節を感じながら出掛けたりしていく静かな文章が好きだった。
解説にもあるように「中高年のオヤジたちが感動し涙する」という批評も読んでいて感じるところは確かにあったが、そこはお酒を飲んで酔っ払って夢心地の中にあったら中高年オヤジでもツキコのような女性でも漂うように夢のような恋愛小説であってもよいのではないかと思う。
センセイとツキコさんと呼び合うような関係性の距離感が読んでいて心地よかった。とにかく静かに静かに、けれどツキコの心境がきちんと想像ができるところも所々に押し付けがましくない程度に「月」が登場してくる雰囲気も良かった。 -
恋愛小説史上最高のベストセラー。
私がセンセイに恋するなら、きっと私はあの時の社会科のセンセイだろうな。