- Amazon.co.jp ・本 (86ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101292366
感想・レビュー・書評
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あの物語の違う一面を見られる幸せ。
二人の間に流れるゆったりとした時間。
会話の間が秀逸で、引き込まれる。
昔の話を大切な人としたいなと思う。
なんとも言えない絵の表情がまた物語を趣深くしてくれている。
余韻に浸かることができる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
結局のところ、作者である川上さん自身もツキコさんとセンセイの事が大好きで、また逢いたくなってしまったのだな。。ツキコさんの少女時代の話に耳を傾けている先生の穏やかな横顔やふっくらとした大きな手が全てを包み込むような木漏れ日の初夏の午後。
『センセイの鞄』もう一つの穏やかな時間。 -
あっという間に終わってしまった。
手のひらにすっぽり入ってしまいそうなお話
読んだことを内緒にしておきたいような、不思議なお話。
センセイが温かくて、優しい。
またセンセイに会えてよかった。 -
谷崎潤一郎賞の『センセイの鞄』の二人のある一日が描かれたボーナストラック的な一冊。
「昔の話をしてください」
優しくお茶目なセンセイが、ツキコさんにそうお願いするところから始まる物語。
たぶん、こんな感じだったのだろうと、川上弘美が描く二人の空気感が変わらず漂っている。
ツキコさんの幼い頃の不思議で苦い記憶が夏の風が吹くなかで語られる。
午睡という言葉が浮かぶのは僕だけだろうか。
『センセイの鞄』読んだ方はぜひ。
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簡単な言葉で、確かなこころの震えを綴ることができるひとというのは存在していて、川上弘美がそうだということを確信した。雰囲気系の文章を敬遠していたふしがあったけれど、この非常に短いお話のなかに溢れ出る、真実味というか、ほんとうのことをきちんと書くというか、そういう創作にたいする誠意みたいなものがひしひしと感じられて、ああなんてきちんとした小説なんだろうと驚いた。これからはもっと心して川上弘美を読もうと思う。
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センセイの鞄の続編(番外編)
短いけれど、川上弘美ワールドはしっかり展開される。ツキコさんとセンセイが作る(盛る?)素麺の描写はシンプルなのにものすごく美味しそう。
センセイとまどろむ時、夏なのに、温かいのにどこかひんやりした空気を感じる所。突然現れる異質な存在、自分だけの特別であってほしいという小さな嫉妬心。
「センセイの鞄」と「椰子・椰子」が合体した短編、といった感じか。遠くいつかの記憶にある光は温かくて、でもさみしくてかなしい気分にもなる -
お昼のそうめんでお腹がくちくなり、センセイとてのひらを重ねまどろむうちに、ツキコさんの心にぽっかり浮かび上がる少女の日々。ある日突然あらわれた「モノ」たちとの交わりと、胸の奥が小さく波立った教室でのあのこと。忘れかけていたけれど、ずっと心の底に残っていた不思議な出来事を、愛らしいイラストとともに描く、名作「センセイの鞄」から生まれ出たもうひとつの物語。
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『センセイの鞄』の番外編。
センセイとツキコさんにまた会えた。
ゆるゆる。好き好き。
素麺が食べたくなる。
薬味たっぷりで。
この人の本のごはんは本当に美味しそう。
いっつもお腹がへって困る。
センセイみたいに
食事を「楽しめる」人が大人なんだと思う。 -
気分転換に、なんでもいいから、薄くて行間が広くて字の大きな本をと思って読みました。
最初のそうめん食べる描写がとてもすてき。
センセイに言われてツキコさんが話し出す、おそらく小学生のころの話だと思うけど、私にも記憶にある日常的な描写の中に、見える人にしか見えない非日常な不可思議の存在。
タイトルのパレードは文中に確かに出てくるんだけど、天狗が何をしたのかまでは描かれない。ただ、天狗の心境は文中のヒントから推し量ることができる。その光を見てツキコさんが悲しい、きれいと表現するのがとても素敵だ。
ゆう子ちゃんに天狗のことを話すきっかけのシーンが個人的にとても好きだ。ほっとした、というのが、残酷で、とても理解できるのがつらい。
あと、教室に届く給食のにおいって懐かしいなと思いました。 -
センセイとツキコさんの、とある一日。
かつての自分の記憶を、ふいに取り戻したかのような読後感。
懐かしさと、もう戻らない時間への切なさが、広がる。