古道具 中野商店 (新潮文庫)

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著者 : 川上弘美
  • 新潮社 (2008年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292373

古道具 中野商店 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 恋愛モノだって気付いたのって読み進めてだいぶ後。
    不思議モノかと思ったのに。でも良かった。
    少年ぽい笑顔じゃなくて中年そのものの笑顔(笑)の中野さんはリリー・フランキーさんになぜか変換して読んでました。
    人との関係ってレンアイ関係じゃなくても良くも悪くも変わっていく。
    そういうもんなんだってもういい年なんだから分かってるけど、イライラしたりさっぱりしたり、寂しくなったりもするけど、申し訳ないなと反省もする。
    ひとみちゃんが数年後、タケオに「悲しかったよ」って言えて良かった、いいなぁーと思った。
    3冊目にしてようやく川上弘美作品の魅力が分かりました。よかった。

  • お仕事小説であり、恋愛小説であり、人間ドラマでもある。面白いバランスの作品だった。

    主人公は、中野商店という古道具屋でアルバイトをしているヒトミ。経営者の中野さんはけっこう適当で、仕事中たびたび出かけて行っては、不倫相手のサキ子と会っている。
    ヒトミは同僚アルバイトのタケオと、付き合っているのかいないのか、微妙な関係が続いている。
    中野さんの姉であるマサヨさんは芸術家で、中野商店の面々と程よい距離感で絡んでいる。
    そして月日が過ぎ…というお話。

    雰囲気は緩いのだけど、実はものすごく深い。
    人と人の関係(とくに恋愛)のままならなさ。若いからこそお互い意地を張ってすれ違って、そこから数年過ぎた頃、大人になって素直さを手に入れたらすんなり進んでしまうちょっとあっけない感じ。
    でもやっぱり、大人になっても別のままならなさがあったりして。
    3組のカップルが出てくるのだけど、みんなそれぞれに小さな苦しみがある。

    著者の川上弘美さんの弟さんが実際古物商をされているらしく、古道具屋の仕事の内容や競りの様子なども描かれていて興味深かった。
    住み分けじゃないけれど、この店はどの分野に強い、とか同業者でもお互い何となく線引きしている感じが面白い。

    日常の些細な痛みをあぶり出すのがやっぱり巧いなぁ、と思った。生きていればそういうことの積み重ね。
    ドラマチックなことなんて、そうそう起きるわけじゃないものね。

  • 東京の西の近郊の町で
    古道具屋を営む、
    女にだらしなく浮き世離れした
    中年親父の中野さん。


    語り部であり
    主人公の
    中野商店アルバイト店員のヒトミさん。


    同じくアルバイトで
    右手の小指の先がない
    タケオ。


    中野さんの姉で
    きっぷのいい芸術家の
    マサヨさん。


    凛とした中野さんの愛人の
    サキ子さん。


    どこかちょっと変わってるけど、
    憎めない登場人物たちが織りなす
    心ほぐれていくストーリー。



    店に来るお客がまた
    あやしくて
    一癖も二癖もあるような連中ばかりで
    ホント飽きさせません。


    川上さん特有の
    上手いなぁ〜と思わず唸るほど美しい文体と、
    ドキドキするような言い回しと、
    瑞々しい
    恋する女性の心理描写。


    印象的なシーンも
    沢山あります。


    三日月が浮かぶ
    夜の公園のベンチで、
    ヒトミさんが
    ひとりチーちくをアテに
    缶ビールを一杯やってる場面。


    タケオとヒトミさんが酔っ払って
    公園でキスをする場面。


    タケオからの留守電を聞きながら
    コンビニで買ったプリンを
    ゆっくりと食べるヒトミさん。


    タケオが携帯に出れない
    あらゆるシチュエーションを
    ヒトミさんが妄想する場面。


    どれも劇的な出来事ではないけれど、
    普通の日常の中の
    小さな幸せの粒を
    見逃さず掬い取ってくれる感じ。


    それにしても
    生きるのがヘタで
    じれったい恋に悶え苦しむ、
    ヒトミさんとタケオの
    ぎこちない会話が、
    どうにも切なくて胸が震えます(≧∇≦)


    誰かを好きになればなるほど、
    不安になったり
    怖がったり
    胸が張り裂けそうな思いを
    嫌でも味わうことになる。


    でもそれでも、

    過去にどんなに痛い目に遭ったって、
    人は人をまた好きになるし、
    性懲りもなく
    ある日突然
    恋に蹴つまづく。


    人は本来、永遠や、
    限りないものに
    憧れる傾向があるらしいけど、

    限りあるものや
    いつかは無くなってしまうものほど、
    いとおしく思える体質な自分には、


    埃の匂いのする古道具屋での
    可笑しき日々と、
    亀のように進む
    じれったい恋を描いたこの小説は、
    読み終えてしまうのが勿体無いくらい
    空気感がハマった作品です。


    民法ではなくNHKで
    全5話くらいの
    ドラマにしてほしいなぁ〜(笑)

  • 中野商店に集まる、一風変わった人々のエピソードがおかしくて、吹き出しそうになりながら読みました。
    ヒトミとタケオの恋愛が、不器用でじれったいのだけれど、応援し続けてよかったー!最後は感動でした。
    姉のマサヨさんの率直な一言が、毎回気持ちよくて、感心しちゃいます。

  • あまり感情の起伏のない主人公だなぁと思いながら淡々と読んでいたので、ラストの「悲しかったよ」でびっくりしてもらい泣きしそうになった
    ヒトミちゃん、悲しかったの?!分かりにくいよ!!っていう。
    この人の小説の、そういうところがわりと好き。自分の感情なんてそんなに出すつもりはないし他人に分かってもらおうとも思いません、でも間違いなくそこにあるしだからほんのたまに、自分ではどうしようもなく漏れでてしまうことがあるんです、という孤高なところ。

  • アンティークでも骨董でもなくどこかテキトーな古道具を扱う中野商店。
    そこに集まるのは人たちもダメっぽかったり、不器用だったり、
    大人になりきれない人たちばかり。
    中野商店に漂うゆるい空気は
    そんな一癖も二癖もあるモノや人をすっぽり包み込みこんでくれます。
    ちょっと寂しく切ないけれど
    「ちゃんとしてなくていい」というある種の居心地よさに
    どっぷり浸れる一冊です。

  • ゆるりとした日常が、ゆるりとした文章で描かれていていて、なおかつリアルな感じで心地よい。日々は驚きで詰まっているわけではなく、こんななんとなーくな時間のつらなりだなと思う。

  • 『古道具 中野商店』は、どこかにあるような無いような、不思議に懐かしい気がする古道具屋さんで起こる物語。
    最初の一文からするっと『古道具 中野商店』の世界に入って行った、という感想。
    主人公のヒトミは、はっきりしない、今どきじゃない人
    で、そのゆらゆら感に共感してしまう。
    じわじわと沁み込んでくるような不思議な存在感ある文章、また味わいたくなりました。
    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-150.html

  • 川上弘美にしては珍しくリアリズム小説。少なくても日常を超越したり(この人の場合は超越というよりは逸脱か)はしない。東京のどこかの街(特定されてはいないが、タイトルにある中野だろうか?)にあった、古道具の中野商店を舞台に、そこに集う人々がヒトミの視点から語られる。ここでの川上宏美の方法は、中野商店を設定し、主要な人物(ヒトミ、テツオ、ハルオ、マサヨ)の基本的な性格付けを行った後は、これらの登場人物たちに自由に行動させたのではないかと思われる。終わってみると、なんだか一場の夢だったかのようだ。

  • タケオにどきどきした。

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古道具 中野商店 (新潮文庫)の作品紹介

東京近郊の小さな古道具屋でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。どこかあやしい常連たち…。不器用でスケール小さく、けれど懐の深い人々と、なつかしくもチープな品々。中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と世代をこえた友情を描く傑作長編。

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