どこから行っても遠い町 (新潮文庫)

  • 1680人登録
  • 3.49評価
    • (69)
    • (180)
    • (200)
    • (48)
    • (10)
  • 191レビュー
著者 : 川上弘美
  • 新潮社 (2011年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292410

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
川上 弘美
伊坂 幸太郎
三浦 しをん
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 舞台は東京の小さな町。商店街の様々なお店の人々、そこに暮らす人々はそれぞれ淡くつながっていて、何食わぬ顔をして暮らしているけれどそれぞれ色んな過去や思いを抱えながら生きている。
    そんな淡いつながりを連作で描いた短編集。

    平凡な人生って何だろう、と考える。
    端から見れば平凡で穏やかに暮らしているように見える人でも、実は他人からは見えない何かを抱えて生きているかも知れないし、「あの人は恵まれているよね」と噂されるような誰かにも、もしかしたら計り知れない苦悩があるかもしれない。
    実際毎日色んな人と会話をしていると、じっくり話してみて初めて分かることは山ほどある。イメージや思い込みとは全然違った、ということも日常茶飯事だ。

    この小説はまさしく、端から見れば“普通の人”である登場人物たちに、一人ずつスポットを当てて描いていて、そこには平凡な人生なんて言うものはひとつもない、という風に思わされる。
    核には“男と女”という厄介なものがあって(私はそう感じた)一旦がんじがらめになった果てに他人からすれば理解できないような形に収まった人もいたりして、しかしそれさえも「さもありなん」なんて思ってしまう。

    川上弘美さんの小説は、根底がとても静謐だ、といつも思う。
    どろどろした関係性を描いていても、どこか静かで、諦めのようなものが漂っている気がする。

    一番印象的だったのは「貝殻のある飾り窓」
    雨のしずくの写真を撮るのが趣味である20代のユキと、ロマンという謎のお店(たこ焼き屋?)に勤めるあけみという中年女性のお話。
    あけみはちょくちょく登場するのだけど、何だか妙に気になる脇役的な感じで好き。

    他人の噂って生きていればしょっちゅう聞くしうまく避けなければ自分も加担してしまうものだけれど、自分だってどこかでその“他人の噂”の的になっていることがあるはず。ひっそり暮らしていても、人と人はどこかで必ずつながっているから。
    その“他人の噂”のなかには、どれくらいの真実が潜んでいるのか。
    そんなことを思った、淡い空気の短編集。

  • 川上弘美の世界観が読みたくなって手に取りました。
    全ての短編が少し前の時代の商店街の人の平凡そうで平凡でない人生を淡々と綴る。
    全部の短編が繋がっていたことでまたいつか読み返そうと思う。

  • もやもやを家事にぶつけるタイプの男子高校生の話、ものすごく善良な感じがしてとてもよかった

  • とってもよかった。
    川上弘美のあたたかさは健在。
    切ないと美しいとあたたかいをどこか醒めた目線で語る彼女の文体はとてもとても好きだ。
    いくつもお気に入りのいいまわしに付箋を残した。

  • ひとつのまちの住人達がどんどん描かれていく。不思議で、面白い。好きだな、と思った。
    感想すぐに書かなかったからうろ覚えなんだけど。

  • 人と人との間には、いつも周りからだけじゃ見えない感情や真実がある。それをそっと大切にしていたいな。

  • 川上弘美さんらしい短編小説が11編。連作で、それぞれがゆる~く繋がっています。東京の下町風の郊外(?)での、日常を描いていますが、皆さんはそこからなにを感じるでしょうか。

  • 穏やかなのに息苦しかったり、もやもやしていたはずなのにさわやかだったり。
    細かな繋がりに少し嬉しくなる連作小説。

  • 読了 2013/8/22

    捨てたものではなかったです、あたしの人生ー。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ主婦と姑、両親の不仲をみつめる小学生、そして裸足で男のもとへ駆けていった女…。それぞれの人生はゆるくつながり、わずかにかたちをかえながら、ふたたび続いていく。東京の小さな町を舞台に、平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す連作短篇小説。

    《目線》
    1 予備校の英語教師・唐木妙子
    2 穏当でない父をもつ小4・枝元譲
    3 家庭内別居の両親をもつ三田村サチ
    4 介護ケアマネ3年目・谷口聡
    5 非凡な義母をもつ平凡な千木良時枝
    6 「ぶどう屋」板前・廉
    7 違わない世界観を想う榊原潮
    8 東大中退の占い師・川原清
    9 雨の写真を撮る津原由起
    10 決定する女を疎む羽生高之
    11 20年以上前に亡くなった春田真紀

  • ”結婚は、こわい。たった一回の失敗でそんなふうに思うなんて、ただの臆病者なのかもしれないけど。”

  • 都心から電車で20分ほどの場所にある商店街のある街。
    そこに関わる様々な人のストーリーを短編集で物語っていく。

    下町のような風景描写があり、でも下町らしいストーリーがあるわけでもないため、様子を頭に思い浮かべることができず、すっと自分の中に入ってこなかった。

  • 都心から電車で20分、人口も多く大型スーパーなどもあるのに商店街が“善戦”している町。そこに住む老若男女の人生模様を綴る連作短編集。
    連作短編集の面白さの一つは、次はどの登場人物が主人公になるのか、というワクワク感である。前の一編では小さな小さな脇役だった人物が、次の、もしくはもっとあとの一編では意外なドラマを見せてくれたりするとうれしくなってしまう。
    そういう意味ではこの短編集はまさしく意外なドラマの連続であった。
    意外と言えば死者の語りでしめるのもかなり離れ業だ。しかもそこで物語の中の謎の一つが明かされる。この作者でなければできないような自然さで。そこがすごい。
    一方、「四度目の浪花節」の廉ちゃんと央子さんや「急降下するエレベーター」の佐羽と南龍之介などはもっと行く先を見てみたい気もする。

  • ある小さな町に住む老若男女たちが、少しずつ関わったり、どこかでこっそり見られていたり、実は誰にも知られていない事情があったり…
    なるほど、ここは”街”ではなくて、”町”なのですね。
    人が日常を生きていく場所。寂しさや憂いをいっぱい含んだ場所。

  • とても不思議な作品。

    ひとつの町を舞台にした連作なため、他の章で登場する人物がひょっこり現れて交点は見えるけれど、決して一本にはまとまらない。

    不思議な関係があっても、それがすべて明らかにされることはなく、最後まで読んでもくっきりとした輪郭は出てこない。

    でも、人間ってそういうものなのかもしれない。

    中の文章を借りるならば、自分の存在など何の決め手にもならないと思っていても、ただ生きてすれ違うだけで、人は他人に何かしらの影響を与えてしまうのかもしれない。
    そして、そういう影響が重なり合って人間関係が、町がつくられているのかもしれない、と思った。

    ぽろっと気になる文章が作品中に落っこちているので、それを拾うために立ち止まりながら読んでもおもしろかった。

  •  とある町のオムニバス。1話1話独立しているようで、あぁやっぱりつながっていたか…と。
     ちょっとせつなくなるような…。
     商店街…。現在、居住する町の商工会会員でありながら、設計事務所、という、商店ではない自分の仕事。でも第1話の魚屋の2階は設計事務所だった。まったく物語には出てはこないけど。
     あの設計事務所はやっぱり商店街の一員なんだろうか…という、どうでもいいことが気になった。多分、私だけの感想。
     蔵書になるだろう…は装丁のせいもあるだろう。

  • ひんやり、ひたひた。
    時折、ほっこり。

    人と人と、否、自分と誰かの繋がりについてふと思いめぐらせる。
    私とあの人、あの人と誰か。あの人たちと私。
    小説並みに不思議なことも感じることはある。
    何て頼りないんだろう、目に見える物事のかたちとは。

    そんなことを思いながら、不思議な手触りの遠い町に引き込まれた。

  • なんというか、いつも川上さんの本には期待しすぎてしまう気がする。
    なんというか、思ったよりなにも起こらないし、淡々としていて、まるでフランス映画のような読後感にいつも物足りない気持ちになる。

    このものたりなさこそ川上さんなのかも。

  • どこにでもありそうな、東京の商店街の人々の物語。近くて遠い街のお話。

  • 東京の下町、商店街
    そこに住む人々の「平凡」な日々を丁寧に描いた
    連作短編集

    幸せって何だろう、平凡って何だろうと思わせる
    優しい物語。

  • 今まで見た本とは違う感じだった。なんだか、普通のようで普通ではないような話。なんとなく全話がつながってるのかな。もうちょい大人になったらもう1回読み返したい。

  • 小さな町の商店街を中心に、その町で暮らす人々の心の内を綴った連作集だった。

    これと言って心を打たれるものもなく
    これと言って心に残る作品もなく・・・。

    なんかスッキリしない、靄がかかったような読後感だった。作者はこの作品で何を伝えたかったのか・・・・。
    私には読み取ることが出来なかった。

  • 誰かにとってはひと時の人でも、その人それぞれに違う人生があって、たくさんを背負いながら生きている。ひとつの街に生きている、生きてきた人々をそれぞれの視点から語ってゆく。どう繋がって、関わって、時代が変わって、生死の世界が変わって、どこからの視点でも彼らは彼ら自身を考えている。生きるとは、静かに考えてみて、がむしゃらじゃなく、どこかに足を踏み入れているような感覚と、泣きたくなるような感覚。わりとわかりやすい表現と、展開と、話構成で読みやすいですよ。

  • 読み終わるまで少し時間がかかった。

    善いとか悪いとか関係なしに、ただそこに在る。そこに、漂っている。
    それを肯定も否定もせずに、ただ見つめるということ。

  • 途中で読むのをあきらめた。

    私と川上さんは合わないのかも・・・。

全191件中 1 - 25件を表示

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)の作品紹介

捨てたものではなかったです、あたしの人生-。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ主婦と姑、両親の不仲をみつめる小学生、そして裸足で男のもとへ駆けていった女…。それぞれの人生はゆるくつながり、わずかにかたちをかえながら、ふたたび続いていく。東京の小さな町を舞台に、平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す連作短篇小説。

どこから行っても遠い町 (新潮文庫)の単行本

ツイートする