きのね〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 宮尾登美子
  • 新潮社 (1999年3月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101293103

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きのね〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 宮尾登美子の作品は初めて読んだ。女流作家らしく丁寧に心情を汲み取っていてさすがと思わせる。
    11代目市川団十郎の妻をモデルにした作品。梨園の世界は大変だとは聞くけれど、果たして今でもこれほどまでに尽くす女性がいるだろうか。光乃が雪雄にささげた半生の描写もさることながら、歌舞伎の魅力も余すことなく描いている。今さらながら成田屋の芝居を見てみたい。

  • *大正~昭和初期、戦時中の生活風景ーしかも冒頭、主人公光乃の学生時代までは、貧しさで一家離散する家族の、そして光乃が女中として働きだしてからは、松本幸四郎家や市川団十郎家をモデルとした歌舞伎役者の家のーがよく描かれていて、「自分の知らない人生を知る」という読書の楽しみの一側面については、まず申し分なく満たされる。

    *十一世団十郎(当代海老蔵のおじいさん)がモデルということで画像検索してみたら、今の海老蔵にそっくり。かっこいい。頭のなかでは海老蔵主演で映像化しながら読むので、活字なのに目の保養ができます。イケメン(が登場すると面白い)の法則クリア。

    *しかも貧しい田舎出の特別美人でもない女中光乃が、雲の上の存在であるとわかっていながら、主であるそのイケメンに恋い焦がれ、そしていずれは結ばれる(まだ上巻しか読んでないし史実も詳しくは知らないけど、少なくとも子をなす、それが十二世団十郎)、そういう物語である。恋愛小説として考えても、王道。

    *そして、歌舞伎役者のこととにかく知りたいファン(かつ初心者)にとっては、今をときめく海老蔵さんのルーツ=市川宗家の近現代史を楽しく学べる、最高の参考図書であります(「教科書」は中川右介の本)。

    下巻早く買わなきゃ。

  • 十一代市川団十郎と妻光乃の、壮絶で不器用な真っ直ぐな生き方。戦前戦中戦後の日本の生活文化、歌舞伎の世界の厳しさ賑やかさが、行間から立ち上り、強いエネルギーに眩みながらの読了。十一代が病に冒されていく様子が十二代の最期と重なり、涙した。

  • 段々面白くなってきてる。ミツノの心情がよく描かれてる。

  • 会社員になりたての頃、同期とこの本の感想を熱く話したのは懐かしい思い出。
    耐えて耐えて生きる女性の話。

  • 健気な少女が奉公に出て、御曹司に恋をするといっても単純なシンデレラストーリーではなく、嫉妬や羨望といった自分の醜悪な感情とも向き合い、罪の意識も持つようになるところが人間くさい。
    宮尾さんの作品を読むのは初めてだけど、なるほど、女性の情念の表現が上手いと引き込まれました。
    雪雄は、あの時代だから憧れに値する男性かもしれないけど、癇癪持ちで手が早く、現代なら間違いなくマスコミに叩かれそう。私なら役者としての彼はファンになっても絶対に配偶者にはしたくないタイプだなあ。

  • 最近なぜか急に歌舞伎に興味が出てしまい、歌舞伎座で歌舞伎を観てからというものすっかりその魅力の虜になってしまいました。
    というわけで遅まきながら本書を読んだというわけです。
    あくまでフィクションではありますが、成田屋の12代目のお母さまが主人公のモデルになっている本書、宮尾登美子さんだけあって女性の生き方を見事に描き切っています。たいへん面白いです。
    …が、やはり成田屋やそのごひいきの方が良い顔をしなそうだよな、ということも同時に思いました。

    そのあたりのことはさておいても、歌舞伎に魅せられ、歌舞伎役者としての坊ちゃんに魅せられたお光の生き方は波乱万丈で、健気。
    現代の感覚からすると、「ダメ男に尽くす女」な構図で理解できない!となりがちですが、でも心から好きになるというのはこういうことなんでしょうね。

    何も歌舞伎の知識がなくても十分面白いと思いますが、やはり知っているとさらにさらに面白いです。
    光乃の別称である「野崎村」、そして「助六」(助六縁江戸桜、ですね)あたりのストーリーを頭に入れて読むとなお一層楽しめます。
    まさに主人公の光乃の生き方は「野崎村」のお光に通じるものが…!とか思いますからね。
    「助六」なんかはストーリーというよりは、「助六」が持つ歌舞伎における意義や位置、ふんだんに盛り込まれている型なんかを知って読むと、「なるほどなー」と思えますね。

  • 実話を元にしていて人物描写がとてもこまかい。一気に読んだ。

  • ・あらすじ
    十一代目 市川団十郎の話。メイドの子。
    ・かんそう
    読んでよかった。裏側を覗けた。伝統芸能っていいね。

  • 海老蔵さんのお祖父さんとその夫人の話。


    母からこの小説を薦められた。
    母は海老蔵さんのお祖母さんを見て、歌舞伎俳優の奥さんらしくない、控えめで地味な方だなと幼心に思ったらしい。
    私は写真でも見たことがないんだけど、これを読んで見てみたい気持ちが大きくなった。

  • 蔵とは正反対の性質をもった主人公の話。そんなに我慢しなくても・・・と思うほどだ。
    歌舞伎の世界を垣間見ることができるところもよく、今の海老蔵がこのおじいさんに似ているのでは・・・と今の歌舞伎の世界を見るのもおもしろい。

  • お友達に借り手読み始めました。すぐに引き込まれました。実在の人がモデルというのも、興味深い。歌舞伎界の人の生活を垣間見ることができるのも、おもしろい。

  •  これくらいの時代の女性の言葉ってすきです。歌舞伎は一度も見たことが無く、まだ未知の世界。あまり興味もなかった世界だけれど、これを読んでちょっと足をつっこんでみようかしら…と迷い中です。

  • 内容は稀代の歌舞伎役者を陰でずっと支え続けた一人の女性のお話。

    主人公の光乃は家業が傾いたため、叔母の家に身を寄せ、やがて歌舞伎役者の家に女中として働くこととなる。
    その時光乃は18歳。
    その歌舞伎役者の家には3人の男の子がいて、光乃は長男の雪雄に心惹かれるようになる。

    やがて雪雄には特定の女性が出来、その女性との間に子供が出来る。
    さらに雪雄は別の女性と結婚。
    雪雄つきの女中となった光乃は新婚夫婦の家庭で激しい嫉妬に日々苦しむ。
    そしてその嫉妬心がほんのボタンのかけ違いで不仲となった夫婦の間を決定的にとりかえしのつかないものにし、雪雄は離婚する。
    やがて戦争が始まり、雪雄と二人で暮らす光乃。
    その内二人は主従の関係を越えた仲になる。

    この雪雄という人、ワガママで内弁慶で神経質、気に食わないことがあるとすぐに暴力を振るうんですが、性根は誠実で真面目、それも不器用で一人では何も出来ないので憎めない。
    こういう男をほっとけない光乃の気持ちも理解できます。

    それにしても憧れの人と添い遂げたとはいえ、最初はその状況を有難がっても段々と人間ってその幸運を当たり前と思うようになり少しずつ傲慢になっていくもの。
    それがこの光乃にはないのがすごい!
    決して自分は前に出ようとせず、謙虚に控えめに。
    昔の耐える日本女性という感じです。

    このタイトルの「柝の音」は舞台の始まる合図の柝の音のことです。
    まだ光乃が雪雄にとってはただの女中、名前すらろくすっぽ覚えられてない時、ふと雪雄に
    「どんな芝居が好きか」
    と聞かれます。
    その時に光乃が「何よりも好きなのは、きのねでございます」
    と答えるんですが、それに雪雄が大笑いして
    「きのねとはいわないの。柝はたくと読むらしいが、芝居では柝を打つ、とか柝を入れる、柝が鳴る、とかいうね。強いて言いたかった柝のおと、ならいいよ」
    と言いそれから光乃を「きのね」と呼ぶようになったところからつけられてます。

    舞台の始まりを告げる「柝の音」の緊張感、清清しく強い音は主人公の光乃さんそのものだったのじゃないかと思います。

  • 以前にも読んだこの「きのね」当時は歌舞伎の事も全く知らず、ましてやこれが11代目團十郎をモデルとした作品と言う事も知らなかった。
    今回は歌舞伎や團十郎のことも少し知って来たので、もう一度読み直したくなりました。
    以前の時も十分面白く読めたけれど、歌舞伎の事を知るとより面白さが増しました。

  • はまりまくってました。
    誰がモデルか思い浮かべつつ、芝居の台詞を思い出しつつ。
    歌舞伎座行きたい

  • 現在の11代目市川海老蔵のおじいさん11代目市川団十郎とそのめかけのお話。梨園の裏側がよくわかります。

  • 女学校を出たての光乃は当代一の誉れ高い歌舞伎役者の大所帯へ奉公にあがった。やがて当家の長男、雪雄付きとなる。使いに行った歌舞伎座の楽屋で耳にした、幕開けを知らす拍子木の、鋭く冴えた響き。天からの合図を、光乃は聞いた。文庫のあらすじ紹介文が素敵だったので抜粋しました。豪華絢爛な梨園を覗ける作品。隅から隅まで描写された文章も手伝って、ものすごい読みごたえのある作品です。

  • 市川海老蔵のおじいさんの若かりし頃をモデルにした小説。

    パッとしない地味な娘が、歌舞伎界の御曹司に奉公することになり、天才肌の気難しい坊ちゃまに献身的に仕え、純愛?を実らせるというストーリー。
    今風に言えば、モラハラDV夫と共依存の妻ですね。

    主人公の献身を美化せずに、ちょっと突き放した筆で描いており、読んでて共感できないしスッキリしないし。もうちょっと素敵な主人公だと共感できるんですけどね。

  • 海老蔵、いやいや市川新之助の祖父11代団十郎の奥様をモデルとした話。
    父親は次々と母親を代え、腹違いの兄弟の中、育った光乃。家族もバラバラになり、口入やの斡旋で梨園の家に女中として働くことになる。無口でまじめだけが取り柄のような人だが、そっと心に想う人はその家の長男。
    梨園の世界はなかなか分からないものだが、そんな世界を垣間見れる。

  • とても久しぶりに良質の物語を読みました。人物のかきこみが半端ない。そして私は個人的に、「雪雄」サイドの物語(独白)が読みたくてしょうがない。

  • 少し前に読みました。実在の人物をモデルになさってるとのことですが、うーん・・・梨園の内情を伺い知ることが出来るという点で、お話としては面白かったですが、主人公はどうしても好きになれませんでした。
    健気というより憧れの人の妻の座を手に入れる為には何でもアリというか、すごーく強かだなあという感想を持ちました。

  • 梨園で生きることになった主人公の人生が淡々と描かれているが、迫力大。
    実在の人物の話だと思うと、ただひたすら強い女性だったんだなぁと尊敬しちゃう。

  • エ○様のおじいさまがモデルのお話らしいですね。
    うちにあった歌舞伎鑑賞ガイドの家系図と首っ引きで
    読んでしまいました。
    映画化は無理かも・・・

  • キーワードは「歌舞伎」と「着物」。
    正確には「着物」は関係ないんだけど、
    大きな括りでの「和物」ってことで。

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きのね〈上〉 (新潮文庫)の作品紹介

上野の口入れ屋の周旋だった。行徳の塩焚きの家に生れた光乃は、当代一の誉れ高い歌舞伎役者の大所帯へ奉公にあがった。昭和八年、実科女学校を出たての光乃、十八歳。やがて、世渡り下手の不器用者、病癒えて舞台復帰後間もない当家の長男、雪雄付きとなる。使いに行った歌舞伎座の楽屋で耳にした、幕開けを知らす拍子木の、鋭く冴えた響き。天からの合図を、光乃は聞いた…。

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