仁淀川 (新潮文庫)

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著者 : 宮尾登美子
  • 新潮社 (2003年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101293172

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仁淀川 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 宮尾登美子の自伝的作品。『櫂』『春燈』『朱夏』に続く作品。満州から帰ってきてから,母父が亡くなるまでを描く。舞台は戦後の高知。

    ・満州から帰ってきた姿のきたなさにショックを受ける。確かに私は戦争を知らないと思う。

    ・人間はいくつになったら大人っていうことはないんだなと思う。母と慕うひとの前ではいつまでも娘らしいわがままと甘えを見せ,父の前では昔からの印象の良くない思い込みでいつまでもわだかまりを感じる。

    母・父の死してのち,「お母さあん」「お父さあん」と心で絶叫してのちの,綾子の娘の顔はどこに行くのだろう。

  • 朱夏のあまりの壮絶さに、高知へ戻れば暮らしも楽になろうと楽観して読み始めたけれど農村の因習の呪わしさというのは凄まじいものだな…。働き者は美徳と思っているけれど、いちをみているとそうとも言い切れないなと考えも変わる…。
    要は何故農家の長男でありながら町の娘と結婚しようと思ったんだろう、と今更ながらの疑問も。生涯別家庭で通せると甘くみていたのかしら。
    喜和の愛情には心救われるばかり。

  • 読んで損はなし。

  • 1日1冊綾子シリーズ。
    びっくりするのが、この本の発売が2000年だということ。
    櫂が出たのが1970年代ですからね。
    これはファンは待ち望んだだろうなぁとおもいます。

    戦争も終わり、満州から帰ってくると、平和が訪れるのですが
    その平和が綾子には耐えられなかったのだろうな。
    エリザベートみたいなところがあるこの綾子の性格が
    可哀想だよなぁ。

    櫂とか見ると、母親巴吉太夫のように育てば非常に才能をいかせただろうに、
    あの喜和に(大嫌いですね本当に)甘やかされ続けたばっかりに幸せになれない綾子。

    その綾子が高知から離れた農村で、どんどん追い詰められていくような話。

    実際問題、綾子はその後小説に生きがいを見いだし、
    命からがら満州から帰ってきた夫を捨て、借金を抱えて
    東京へと出てくる。

    しかし、2000年になってもまだ、そのあたりの問題については語られず、あと20年、をまたずに宮尾さんがお亡くなりになってしまったので綾子のその先を知る由がありません。
    それが非常に残念です。

    いろいろネットで晩年の話を見ると、東京からばっと高地に移住したりしてる。
    それを次女がそういう人だからと語るのですが、
    介護も全て語るのは次女。
    長女美耶は。
    気になります。

  • 「櫂」が太宰治賞を取り、後「朱夏」、「春燈」に続く。そして4部作最後となるのが「仁淀川」だとはこの本を購入するまで知らなかった。

    たまたま「櫂」を先に読んでいたので順番としては最初と最後を読んだ事になる。

    やはり宮尾登美子の真骨頂は、内省(内声)描写だろう。くどいと思うこともあるけれど、ああでもない、こうでもないと色々悩む中、ひとつの方向性を出してそれに進んでゆく力を感じる。

    少ない宮尾登美子経験で言えば、彼女の作品の最後は随分とあっけない。ここまで登場人物の内面を語らせていながら、作家「宮尾登美子」を生み出した肝心の部分については、全く触れられずに終わっている。

    これまた偶然、私の憧れる背の高い女優が、文庫本の最後に解説ならぬ感想文(?)を書いている。彼女も宮尾登美子が「生まれる」キッカケについて興味を持っているのだが、今年この著者は亡くなられた。

  • 宮尾登美子の自伝的小説である綾子四部作のうち、最後の作品。
    初めに「櫂」が書かれ、満州で過ごした体験を娘に残したいという思いで「朱夏」が書かれ、その間を埋めるように「春燈」が書かれたそうです。そしてこの「仁淀川」が、時期も作品の連なりとしても一番最後に書かれたという流れになります。
    3作目「朱夏」で終戦を経て満州から引き揚げてきた綾子一家のそれからの生活を軸に、1作目「櫂」で離縁した喜和と岩伍が時を経て和解でき、それぞれ天国に旅立っていくまでのお話です。のちに離縁する事になる夫・要と徐々に溝が出来ていく過程も実感することができます。

    これらの作品達は、読んでいるうちに平成に生きる自分でさえ綾子の時代にタイムスリップしたかような気になります。
    そう思えるくらい当時の光景や心の動きがまじめに描かれているし、情景描写が豊か。
    それが何故成し得たのかは、「仁淀川」の作中で綾子が日記を付け始めて、だんだんに書く事に意義を見出していくようになったところから始まっているのだとわかりました。

  •  昨年逝去された著者の自伝的小説ということで、手にとりました。
     書き出しの仁淀川とその周辺の情景表現に、思わず感嘆!
    満州からの引き上げ、いつか故郷に帰れるにという、その気持ちの支えが一挙に噴出したかなのうな、迫ってくるものがありました。
     焼きだされた都市と、食糧のある田舎。没落してしまった父と兄。頑強な姑と病弱な嫁である私。
     夢見た故郷での暮らしの現実の多難と、若さゆえに測りきれなった両親の心が切なさを誘います。
     自伝小説の年代を遡って読んでみようと思います。

  • 読んでいる内にこの物語はどうも続きっぽいなと感じと思ったらやっぱりそうでした。
    「櫂」「春燈」「朱夏」に続くお話のようです。
    「櫂」は確か映画になっていたような・・・。
    主役が名取裕子だったような・・・?
    そんな記憶がおぼろげにあります。

    満州から引き上げて故郷の高知の田舎町に帰ってきた綾子とその夫、子供。
    満州でのもの乞い同然の暮らしから故郷に帰り、故郷の仁淀川を見たとたん涙を流す綾子。
    しかしそのホッとした思いも束の間。
    合わない田舎暮らしと人間関係により綾子は苛立ちをつのらせて病気になってしまいます。

    町から田舎へ嫁いだ主人公の綾子の気持ちが痛いほどよく分かり、途中で涙がこぼれてしまいました。
    田舎の農家を営む家というのはこういう感じだよ~というのがちゃんと描かれていてさすがという感じ。
    ターシャ・テューダさんや「人生の楽園」などといった田舎暮らしのイメージとは全然違います。

    とにかく何もかも自由がきかず、一日中ただ働くだけの閉塞感漂う暮らし。
    そこで当たり前のように生きてきた人間と町からやって来た人間の感覚の違い。
    こんな生活の繰り返しでいいのかという思いやあせり、不安。
    働き者で悪い人間ではないけれど、無神経な姑。
    何の心の支えにもならない夫。
    正に田舎とは、田舎の人とはこの通りという描写。
    しかも高知が舞台なので、なじみのある地名や言葉も聞きなれたものだけにより身近に感じました。

    お嬢さん育ちでわがままな綾子ですが、お嬢さん育ちなだけに人が良く、根が明るいので好感がもてます。
    そんな綾子を自分とつい重ねてしまいました。

    「櫂」ではこの綾子の母親が主人公で、「春燈」では綾子の少女期、朱夏では満州での暮らしが描かれているようです。
    この「仁淀川」にも綾子の母親、喜和が登場しますが、忍耐強く出来た女性だな~という印象でした。
    今度「櫂」も読んでみたいと思っています。

  • 綾子の物語も一応これで読破と思うと寂しいかな。もっと続きが読みたいと思いました。
    喜和と綾子の母子の強い繋がりが私は好きで、後半涙がこぼれました。

    綾子と喜和、この二人の物語を映像化してくれないかなぁ~

  • 暇つぶし用に何気なく古本で購入。
    時々今までかかれてない事実が唐突に書かれたりしてアレ?と思っていると、どうやら4部作の最後だった事が判明。二昔ぐらい前の人々が慣習に従って生きている様が描かれている。

  • 『朱夏』で、満州から戻った著者が、
    農家の婚家で苦労する話
    戦後で町に比べては食べ物は有ったものの、
    農家の仕事は相当キツイのだな
    しかし昔の女性は強く逞しい。

  • 日本へ帰ってきた綾子が様々な試練をくぐりながら生きていく様子が書かれています。

    作家への入り口になった状況もあり、感動。

  • 満洲から高知の田舎へ引き揚げてきた夫婦 (要・綾子)の話

    都会育ちの嫁が 女手一つで家を守ってきた姑に厭味をチクチク言われながら農家の嫁として調教されていく。
    旦那は母の言いなりで役に立たず酒に逃げていく。(働き者なんだけどねぇ)
    実家は戦災にあい没落。
    主人公は肺結核を患い死期を悟りつつも現実を直視せず。

    何が衝撃って 嫁VS姑の話かと思いきや 終盤これといった説明もないまま わずか1行で離婚・再婚って・・・
    しかも逃げる様に上京・・・
    この人 どうやって生きていくのかしら・・・

    血の繋がらない親子愛は 何となく伝わってきたけど、主人公の思考回路にまったく共感できなかった。

  • 泣いた。←??
    あやこの、両親とのわかれ、ある意味のたびだち??

  • 満州で敗戦を迎え、夫と幼い娘と共に必死に引揚げてきた二十歳の綾子は、故郷高知県の仁淀川のほとりにある夫の生家に身を落ち着ける。農家の嫁として生活に疲れ果てて結核を発病した綾子に、さらに降りかかる最愛の母・喜和と父・岩伍の死。絶望の底で、せめて愛娘に文章を遺そうと思い立った綾子の胸に「書くことの熱い喜び」がほとばしる。作家への遙かな道のりが、いま始まった―。

  • 満州で敗戦を迎え、夫と幼い娘と共に必死に引揚げてきた二十歳の綾子。農家の嫁として生活に疲れ果てて結核を発病した綾子に、さらに降りかかる最愛の母:喜和と父:岩伍の死。絶望の底で、愛娘に文章を遺そうと思い立つ。『朱夏』の続編。

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仁淀川 (新潮文庫)の作品紹介

満州で敗戦を迎え、夫と幼い娘と共に必死に引揚げてきた二十歳の綾子は、故郷高知県の仁淀川のほとりにある夫の生家に身を落ち着ける。農家の嫁として生活に疲れ果てて結核を発病した綾子に、さらに降りかかる最愛の母・喜和と父・岩伍の死。絶望の底で、せめて愛娘に文章を遺そうと思い立った綾子の胸に「書くことの熱い喜び」がほとばしる。作家への遙かな道のりが、いま始まった-。

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