義経 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101293189

作品紹介・あらすじ

源氏と平氏と朝廷の確執に煽られて、一ノ谷から屋島、壇ノ浦、平泉へ。自らがやがて伝説と化すことも知らぬままに戦を重ねて、短い人生を駆け抜けた義経。生涯の全ての勝利が、非業の死を彩る虚しい供物にしかならなかった逆説ゆえに愛され、時を超えて絢爛たる光芒を放つ稀代のヒーローと、彼を慕った女たちの人生の流転を、哀感を滲ませた華麗な筆致で描き尽くす宮尾歴史文学の白眉。

感想・レビュー・書評

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  • 2015.12.07

  • 静御前の歌がいい

  • 日本人の奥底に眠る英雄・源義経。
    判官贔屓の元になった生涯を、解説+随筆風に描く。大河ドラマの原作。
    源氏の棟梁の血筋を承けつつも、平氏全盛の京都で生まれた雅な男。自分達兄弟をのため、父親の仇に身を任せた母をそれほど嫌がらない。優しげな仇・清盛に父の姿を見る。寺に預けられるも、身分を知り出奔。奥州の藤原氏を頼るのであった。
    奥州で嫁を迎えるも、兄頼朝の挙兵を知り、駆けつける。作戦・戦術の才に恵まれた彼は宿敵・平氏を滅亡させる。しかし、戦略と人生の機微に甘い彼は、数々の失敗を犯し、頼朝から追われる身となる…。
    宮尾義経の特徴は、義経を愛した女達を細かく描いた事だ。母・常盤。妹・藤原能子。妻の良子。靜御前。そして見合いで娶った者たちまで。筆者の目は優しい。要するに義経は放っとけない男なのだ。

  • 悲運のヒーロー、源義経の生涯を宮尾登美子さんの語り口調で描いた本。
    小説ではありません。
    どちらかというと、子供の頃に読んだ偉人伝のような印象を受けました。
    とても分かりやすく読みやすいのですが、それだけに少し物足りない。
    だって、私が「義経」と言ってパッと思い浮かぶのは、弁慶との橋の上での出会いのシーンですが、そういう記述もなく、義経の生涯で主だった出来事、主な人物とその関係をサラっと描いているという感じだから。
    それに宮尾登美子さんの解釈が時折入っているという形式の本です。

    私は以前、宮尾登美子さんの「平家物語」を読んだ事があったので、この本に描かれている歴史的な出来事の背景はスッと理解する事ができました。
    あの本の反対側の目線から書かれた本ですが、最初に「平家物語」を読んでからこちらを読んだら面白く読めるのでは?と思います。

    それにしても、これを読んでやはり義経は悲劇の人だな~と思いました。
    男性にも女性にも慕われる魅力のある人なのに、何故か恵まれてない。
    目立つ人だけに極端な運命をたどることとなったのか-。
    ちょっとしたボタンの掛け違いや少し軽率で子供っぽい所があったとは言え・・・。
    でも、だからこそ、後世に語り継がれ、愛される人なのかも知れないな~とも思いました。

  • NHK大河ドラマの原作にもなった1冊。
    小説ではなく、義経くんの生涯を宮尾さんが時系列的に解説する形式になっていました。
    義経くんの戦い方は好きではありませんが(暗黙の了解であった船の水主などの非戦闘員は殺さないなどのルールを無視!)源氏のまとまりのなさ、頼朝くんの不人気の理由がよっくわかるコンパクトな1冊でした。

  • 同じ歴史物であっても“武士物”はあまり…な私であるが、宮尾氏のものだったら読めるかも、と思い手にとってみた。
    宮尾氏本人が語り手となって、改めて義経の生涯をたどっていく、といった一見エッセイめいたスタイルに意表をつかれた。しかしやはり武士としての義経ではなく、人間としての義経に思いを馳せる、そんな作品になっていて、しんみりとした良さがあった。
    それでも義経の最期より、平家の壇ノ浦での最期のほうがやっぱり読んでいてつらい。

  • 小説なのかな、と思って読み始めたのだけれど、違った。義経生前から死後までをまとめた一冊。読みやすい。

  • 義経 (新潮文庫)
    源義経の半生を描いた書物。部分的に空白があるがそこは作者の空想も入ってストーリーが続いていく。構成としてはもう少し詳しく描いてほしい所も随所にあったのが残念

  • 、宇治、鹿児島、平泉などを舞台とした作品です。

  • 著者の「篤姫」と「菊籬」は読みました。

    さて。ヒーロー義経が、女性をテーマにした著書の多い宮尾氏バージョンではどのような活躍を見せてくれるのでしょうか?と思った矢先、いきなり宮尾氏が語り部として登場するスタイルにびっくり。

    著者の故郷高知では、節句に立てるのぼりをフラフというそうです。そこに描かれていた武者絵は圧倒的に義経を描いた柄が多かった、という挿話から始まり、宮尾氏が史実に沿って淡々と義経の生涯を追っていきます。

    こうだったのではないでしょうか?こうは考えられないでしょうか?と語りかけられる度に、バラバラの史実を紡ぎ合わせていくのは人間の想像力なのだなと感慨深く読みました。

    旅行の予習として鎌倉が舞台の小説を片っ端から集めてみましたが、よく考えてみると義経の活躍の舞台はほとんど鎌倉ではないのですね。鎌倉では、鶴岡八幡宮の若宮上棟式で大工の馬を引かせられる件。平宗盛・清宗父子を生け捕り凱旋するものの、腰越で止められてしまう件。後は静御前が鶴岡八幡宮の廻廊で義経を想って舞った件。くらいでしょうか。

    京都鞍馬山で修行。奥州平泉で青春。宇治川の先陣の話は木曾義仲を追って京都入りする時だし、平家を追い落としたのは神戸と山口でしたね。最近まで鵯越の逆落としは鎌倉の山中でのことだと思っていました。反省反省。

    著者同時代の超大作「宮尾本 平家物語」にも挑戦したいところです。

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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