- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101293202
感想・レビュー・書評
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宮尾作品のバックボーンが語られた、自伝的エッセイ。
本書を読むきっかけは、「寒椿」を読み、これら自伝的作品にも出てくるエピソードを更に知りたいと思ったこと。その、第一部「心に突き刺さる思い出」の「堪え忍んだ貧しさ」「運命を受け入れて」は、小説とはまた違った視点からの思い出語りが郷愁を誘い、少し切ない。
切ないだけでもなく、当時の懐かしい出来事は微笑ましくほんのりユーモラスなものもあり、特に食べ物描写!宮尾さんの故郷である高知の、美味しそうな数々の食材に心が弾む。楊梅を食べてみたいなぁ。
晩年、長編連載に挑むにあたり、入院して徹底的に体のチェックをするとか、思いきって誘惑を絶ち北海道に移住するとか、プロとしての矜持に唸る。
解説は翻訳家・文芸評論家の大森望さん。ちょっと意外な気がして読んだら、まさか宮尾さんとそんな関わりがあったなんて!驚きです。
宮尾さんの軌跡を辿りながら、昭和という時代を様々な側面から見ることができた。エッセイは勿論のこと、もっと色々な宮尾作品を読みたくてたまらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エッセイにより自伝小説の綾子の世間知らずの行動や反省しながらの行いが中和されたような気がする。
流れるような文章で女性らしさもあるこの本は題名の力強さ、這いつくばるイメージとは全然違う。 -
辛い経験をした話をする時、辛さの度合いを話す人が多いし、僕もそう。辛い経験をさらっと書いて、乗り切ってん!ほんで今はこんなことしてるねん!て楽しく言えるのは、思ってるよりすごいことなんだと思った。
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20190921〜0925 綾子3部作の後日譚や前後の事情が端々に。作者は仁淀川の先も書きたかっただろうなぁと、つらつら思いつつさらっ読んだエッセイ。