思い出トランプ (新潮文庫)

  • 2338人登録
  • 3.67評価
    • (233)
    • (253)
    • (450)
    • (45)
    • (5)
  • 292レビュー
著者 : 向田邦子
  • 新潮社 (1983年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101294025

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
吉本 ばなな
三島 由紀夫
宮部 みゆき
綿矢 りさ
有効な右矢印 無効な右矢印

思い出トランプ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 人の心の奥にあるわだかまりや、後ろめたさ。
    他人には計り知れない、家庭の内情などが書かれていて、どきどき、ハラハラしながら読みました。
    登場人物それぞれの人間臭さが、とてもいいです。
    こんな中身の濃い短編集を読んだのは初めてです。

  • 初めて読む向田邦子作品。
    まずタイトルが気に入りました。1つの話が短いのも読みやすい。

    どの話も「人生の夕方」的な薄暗さがあるけど、
    人間の生活のいじらしさが感じられました。
    説明しすぎない文章も独特の余韻が残る。

    この中では断トツで「かわうそ」が好き。
    「写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。」
    という最後の一文がかっこいい。

  • 中年にさしかかった男女の悲喜こもごも。
    人生には永久に続く喜びも、悲しみも、ない。
    あるのはそれらの繰り返しだ。繰り返して、幸せを手に入れたと思っては失って、そうしているうちになんとなく一生を終える。そのことに気づいて、失うとわかった上でつかの間の幸せを心から喜ぶことの尊さ。
    こういう風に年をとっていくんだなと思うと、むなしくもあり、安心でもあり。

  • ある日宅次は、脳卒中で倒れた夫に黙って、妻は自宅の庭にマンションを建てようとしていたことを知る。その昔、自分の手落ちで3歳で娘が亡くなったのを新人看護師のせいにしていたことを知る。嘘のうまい妻の残忍さに対する怒りを感じつつ、その陽気さについ妻を許してしまう夫の複雑な心境をユーモラスに描いた短編作品

  • 図書館で。
    この中のお話、何作かテレビでドラマになってるの見たなぁ。就職試験を受けに来たぼんやりとした女の子を愛人にしちゃう話の、男を迎え入れるときもたれかからせるようにする所と無気力に生きている男性が毎日かたい焼きそばを食べて麺が口内を刺激するときだけ生きている実感がわくっていう辺りとか。あらすじじゃなくて一つのシーンを鮮明に覚えてます。

    向田さんの文章ってなんとなく頭に残るなぁと思うのはその描写が映像を思い起こさせるからなんだろうか。別に面白いっていう話ではないけれどもなんとなく普遍的だと思う。それは人間の生活が今も昔もさほど変わらないからなのだろうか、なんて考えたりしました。まあ今どきの若い人がこの作品を読んで全然ピンと来なかったら時代は変わった、ということなのでしょうが。

  •  日常生活に生と死、老いと若さ、男と女、人間の狡さ等々が織り込まれていて、静かな狂気にそっと背筋が寒くなる感覚を覚えた。美しい日本語が流れるように書かれてあって、ぼんやりと脳内に情景が浮かんでくるのも良かった。13編からなる短編集で、私が中でも好きなのは「かわうそ」。ラストシーンはもう、鳥肌もの。向田さんすごい…。

  • 購入
    登場人物の心理が暗くて、読みながらしんどくなることもあった。
    一番好きなのは、かわうそ

  • 本の題名に因んで、向田さんが雑誌に掲載した話の中から13編を選び、シャッフルして収めた短編集だそうです。
    とても風景に対する描写が細かく、家の中の風景だけではなく、そこに住む人達の心情までもがわかるような書き方で独特な印象を受けました。有名な作品ですが、素人目線にも私が一番すごいと思ったのが、短編の始まりの一文。こんな書き出し方ができる向田さんは、本当に文才のある方なんだと思いました。

  • 読みやすいけど、深い。
    生きるって苦しい。

  • この本を読んでいると、日々の暮らしに潜む小さなささくれの向こう側を被害妄想してしまいそう…

    知らない方がいいことはたくさんあるし、知らせるつもりはなくても滲み出てしまうこともある。

    自分が幸せだなぁと思えるのは、この作品を「読める」ということ。間違っても、作品の登場人物にはなりたくないなぁ。

    とくに、「かわうそ」

  • 日常の中にぽつりぽつりとあるわだかまりを丁寧に写し出した短編集。
    10年後、20年後に読んだらまたちがう感想を抱きそう。

  • 読友さんに教えてもらった本。短編集。
    人の心の奥深くにうごめく何かについて見事に描写されていて、心の動きが手に取るように分かる。何度読んでも新たな発見ができそうな気がする。
    30年前に書かれたにもかかわらず決して古臭さを感じさせないが、
    『花の名前』最後ページの一行「女の物差は25年たっても変らないが、男の目盛りは大きくなる。」ここは今の時代では男女が逆転してるかも、なんて思ったりした。

  • 読んでて息を飲んじゃうような、
    何でもない日常のなかのこと。
    人の心を良く書いているなぁ

  • 水上勉の解説の言葉がまさにその通りなので引用させてもらう。

    “たった三時間くらいの、ありふれた夕刻の日常に人の生も死もぬりこめようとする力があって、なるほど、そういう時間を、われわれは生きているのだということを、この小説から語りかけられる。”(p.220)

    普通に暮らしていると、綺麗なところばかりみてしまいがち。
    人の心のなかの“黒い芽”に気づいてハッとして、ゾッとする。

  • 日常には、小さな嘘や誤魔化しを積み重ねて成り立っているような危うさがある。そういう人間の暗さが絶妙に描かれている。大人の文学だとおもう。
    年齢を重ねてから読むと、共感の仕方も変わってくるんだろうな。

  • 何とも暗い気分になる小説。

  • とても30年程前の作品とは思えなかった。遠い日本の家族の肖像画を
    みせられているような短編13編.直木賞受賞作品

    この本の中で主人公が戦後の記憶をたどる時、日本人はとても貧しかった、みんな飢えていた
    肩が薄かった。そして生きるのに必死で、必死である分そこはとない
    哀愁が漂っているようだった。
    そしてとても手の込んだ工芸品のようで、彫りが深く、奥が深い、襞が幾重にも
    重なっている
    人間関係が今より密であるぶん、おとす影の色も濃い。

    黙々と草を食むような穏やかなくらしをしているつもりが、ふりかえると
    肉がつき脂がついている。それにはっと気づく時がある。きっかけは
    記憶、匂い、音、空気が呼び起こす。その筆さばきが冴え渡っている

    その中には誰にもいえないこと、後ろめたさ、よわさ、狡猾さも含まれる
    それを人の愛しいものとしてきりとってある。

    1行の中にいくつもの比喩がかくされている。

    1編だけ男女のたとえばなしで私にはわからない個所があったのだけど
    知りたいような、知らない方がいいのか

    また何年後かに読み返してみよう。読む度にああそうだったのかとおもわされてしまう程新鮮さは失われない。

  • 13話を収めた短編集。どこにでもいそうな「普通の人」の、これもまたどこにでもありそうな「普通の事」がつくりだしている、心の鬱屈や屈託。
    鬱屈や屈託や、その他もろもろの、考えてしまうと憂鬱に捉われてしまうようなことを出来る限り考えないようにしている僕のような人間にとって、こういう小説は、イヤなものだ。
    イヤなものなのだけれども、最後まで読んでしまうだけのものが、この短編集の中にはあるように思える。

  • 初めての向田邦子。
    日常は平凡なものごとの積み重ね、などではなくて、特異なことに慣れてやり過ごす時間の連鎖なのではないのか。
    忘れてしまっている小さな符号が、とても重要な何かだったのかもしれない。
    そんな風に、身の回りに対する感覚が少し緊張するのを感じる。

    短編集だけれど、とても重厚感がある。
    鮮烈な印象がザクリと斬り込んできました。
    もっと読みたい。

  • しんみりと、やるせないような、ちょっと不気味なようなお話の短編集。
    日常って意外とコワイよね。自分の記憶のかなたにもこんな「思い出」が実はあるのかなぁって思ったりした。

    もう一回時間を置いて読みなおしてみたい。

  • 向田邦子さんの「思い出トランプ」、昭和55年12月刊行、昭和58年5月文庫化、直木賞を受賞した「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を含む13の短編小説が収録されています。人の心の動きをこんなに上手に表現できる方なんだと、今さらながら新たな感動を覚えました。

  • 何度も読みたい

全292件中 1 - 25件を表示

思い出トランプ (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

思い出トランプ (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

思い出トランプ (新潮文庫)の作品紹介

浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など-日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。

思い出トランプ (新潮文庫)のKindle版

思い出トランプ (新潮文庫)の単行本

ツイートする