男どき女どき (新潮文庫)

  • 773人登録
  • 3.66評価
    • (57)
    • (104)
    • (152)
    • (5)
    • (1)
  • 83レビュー
著者 : 向田邦子
  • 新潮社 (1985年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101294049

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
綿矢 りさ
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印

男どき女どき (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 晩年の小説とエッセイを収録した短編集。上品でしなやかな向田邦子の世界を堪能できる。「黄色い服」というエッセイでは、著者が幼き時を受けた厳しき父からの思い出である。洋服ひとつを選ぶのも「選択」なのだと。「選んだ以上、どんなことがあっても、取りかえを許さない。泣きごとも聞かない」「この頃になって、これは、洋服のことだけではないと気がついた」
    人生は選択の連続。泣きごとは許されないのだ。

  • ひとりの時間を背中を丸めてペタンと座ったり、だらしない恰好で町を
    歩いたりは、絶対にしないで生きているのだろう。
    彼女たちはどんなにくたびれても決してシルバーシートに腰をおろさないでしょう。
    ゆれる電車でつり革にもつかまらず、体のバランスをとる訓練をしながら、
    乗り合わせた人の表情や窓の外の景色を、ドン欲な目で観察しているでしょう。
    5年先、10年先もきっと同じでしょう。決して老いにつけ込まれず、老いに
    席をゆずろうとしないのです。悲観論者ではないということ。
    先のくとをくよくよしたところで、なるようにしかならないのです。
    飢え死にした死骸はころがっていないのですから、みんな何とか生きてゆけるのです。
    あの人みたいになりたい・ああなりたくはないという人を見つけておけと
    昔からいうじゃありませんか。


    独りを慎しむ
    ひとりでアパート住まいをはじめたら急激にお行儀が悪くなっているのです。
    煮物を鍋のまま食卓に出して箸をつけていました。
    転がる石はどこまでもということわざがあるそうです。
    お行儀だけのことではない精神の問題。
    誰が見ていなくても、独りでいても、慎むべきものは慎まなくてはいけないのです。
    闇の中でひとり顔をあからめる気持ちを亡くしたら、どんなにいいドレスを着て
    教養があっても人間としては失格でしょう。

  • 昭和50年代からの短編とエッセイ集。年月が経っていても不変な題材を扱っているからだろうか、読み易いし感情移入もしやすい。なにより言葉が簡潔で綺麗だから、無音状態で物語の世界に入れる。
    しょっぱなの「鮒」のラストで震撼させられ、「嘘つき卵」の女主人公の1人称語りで進む話の中、急に数字で夫婦の関係を示す一文があるのにゾっとした。女性が語りだと感情的な流れになるのにその中で急に数字、というのは冷静な狂気の片鱗といいましょうか、すごいな向田邦子氏は!と感心しきり。(わたし何様)
    エッセイは、凛とした佇まいの女性を想像させる小品ばかりで、こういうふうに年を取れたらと、なんだか安心しながら読んだ。
    1人の、ちゃんとした女性がかつていて、悩んで考えながらも書く仕事で身を立てて生きていた、ということが嬉しい。
    「日本の女」のこの感覚、あの時代にそんな矜持を持っていたことに尊敬です。「無口な手紙」「アンデルセン」も好きです。

  • 高校生の時に向田邦子をたくさん読んだ

    今読み返してもまったく古さを感じない。
    人間描写、心理描写が深い。鱒と嘘つき卵に男女関係の奥深さを感じる
    今では使わなくなってしまった日本語も美しい
    どの短編もすみずみまで丁寧に生活の中の
    すれ違いや出会い、人が描かれている



    エッセイは襟を正される。

    一人を慎む。黄色い服。ゆでたまごがいい
    含羞というものがある。凛としている。

    無口な手紙は胸をつかれる思いがする。


    誰が見ていなくても、独りでいても慎むべきものは慎まないといけないもです。
    誰も見ていなかった、誰も気が付きはしなかったけれど、なんと
    恥ずかしい事をしたのか。闇の中でひとり顔をあからめる気持ちをなくしたら、どんなにいいドレスを着て教養があっても、
    人間としては失格でしょう。
    自分にむかって意見している。

  • 不倫と鮒、不妊と卵の話が◎

  • 小説とエッセイが入った1冊。
    久しぶりに、教科書にあった『字のない葉書』を読んだ。集団疎開に娘を出す父の気持ち、帰ってきた父の男泣きの場面。大人になりより気持ちが理解できる。

    はじめて向田邦子のエッセイを本で読んだが、どれも日常の場面が切りとられていて、分かるわぁーと思わず呟きたくなるものも多数あった。

    ☆心に残ったフレーズ
    ・手紙にいい手紙、悪い手紙、はないのである。どんなみっともない悪筆悪文の手紙でも、書かないよりはいい。書かなくてはいけない時に書かないのは、目に見えない大きな借金を作っているのと同じである

    ・旅も恋も、その時も楽しいが、反芻はもっと楽しいのである
     旅の反芻とは・・テレビで自分が見たのと同じ光景が出れば嬉しい。行ったことのない国を見るよりも、もっと視線は強く思い入れも濃いような気がする。

  • ピリッとしてるなぁ、どれもこれも。

    「鮒」「ビリケン」「三角波」「嘘つき卵」「反芻旅行」「花底蛇(かていのじゃ)」「甘くはない友情・愛情」

  • 「鮒」「三角波」の二編がどこかの小説講座で紹介されていたのを思い出して、それらが収録されている本書を手に取った。面白かった。
    上の二編以外にも「ビリケン」「嘘つき卵」とエッセイが収録されている。こちらも面白かった。
    いやあ、でも、「三角波」は別にサインでもコサインでもないが、この話をオマージュしたマンガに思いがけず出会いたい。

  • 大事にしたい事が、たくさん書いてある。
    特に『独りを慎しむ』、『わたしと職業』

  • 向田さんにかかっては誤魔化しが効かないというか、全部お見通しというか。怖い作家さん。

  • 発売が自分の生まれる前ということに読んだ後の本の裏を見てきづいた。人間の本質はいつの時代は変わらないということと感じてしまった。

  • 学生の頃によく読んだ向田邦子。読まなくなったらどこがよかったんやろって気持ちにもなったけど、読み返してみたら、おもしろいとは言いたくないおもしろさがある。古本で買ったの、しおりに「烏賊 雲丹」と書いてあって、なんや知らん、いいなあ。

  • 短編とエッセイの詰め合わせ

    男ふたり女ひとりの三角関係の短編を読んでるとき
    「2015年ならBLになることもあるけど
    昭和の短編だからねえー・・・って
    ええええええええΣ(゚д゚;)」となりました。
    まさかの昭和の短編のBL落ち・・・

  • 短編小説の「鮒」「ビリケン」「三角波」「嘘つき卵」。どれも登場人物の心理描写が恐ろしいほど緻密。そして少し毒がまぶしてある。これが著者最後の小説4篇。

  • もう30年も前のエッセイのような短編集。出てくる人が森繁久彌さんとか、当時なら誰もが知ってるであろう人の話もあるけど、少しピンとこない。が、最後にジリッドキッっと毒があるのが心地よい

  • 読書会に参加されていた方が進めておられた本

    最初の小説は向田さんの亡くなる直前に連載していたもの。
    昭和56年。
    私は11歳だったのだけれど、今44歳の私が読んでも全く古くない。
    すごいなぁ。
    女の心情って、時代が変わっても、普遍なのかも?

    とは言っても、私は余り恋愛に対しては機敏なこころを持ち合わせていないらしいので、まったく共感できなかった。

    それも、寂しいことかもしれない

  • 向田邦子さんの本は勉強になる。時代は少し昔のはずなのに、古めかしさは全くなく、背筋が伸びるように気持ちの良い日本語と、唸るような顛末。

    この方の本はまだ読んでいないのがたくさんあるので、制覇しないと。

    日本人として、大事にしたいセンテンスがたくさん。

    年を重ねて、少しずつ読み直したい本。

  • 20140701再読了
    蔵書。風姿花伝で「男時、女時」が出てきて、読み返してみる。何事も成功するときを男時、めぐり合わせが悪く忍ぶときを女時と言う。能の言葉。●ピリッとした短編、エッセイ。「三角波」の顛末にやられる。

  • 日常で取り立てて意識しない感情を細やかに書き上げているところがすごい。一つひとつに共感しながら読んでいました。自分への戒めにもなりました。忘れた頃にまた読み返したい。

    反芻旅行がとってもいい!

  • 夫の浮気が多い

  • 鮒 などの短編と随筆

  • 昭和57年に刊行されたエッセイ・短編小説だけど、今読んでも全然新鮮な気がする。「独りを慎む」などは読んでみると、男女ともに慎むといういしきすらしていないのではないだろうか。初めて向田作品を読んだが、他の物も手を伸ばしてみようと思う。

  • なんでも上手く行く時を男時、全然上手く行かない時を女時という、それに関する短編小説とエッセイです。日常の何気ない所からドラマ性を切り出してくる著者の技量におどろかされます。

    九州大学
    ニックネーム:川島太一郎

全83件中 1 - 25件を表示

男どき女どき (新潮文庫)に関連する談話室の質問

男どき女どき (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

男どき女どき (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

男どき女どき (新潮文庫)の単行本

男どき女どき (新潮文庫)のKindle版

ツイートする