イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

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著者 : 星野道夫
  • 新潮社 (1998年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101295213

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 七つのエッセイが載っていて、特にエスキモーやインディアンの言語についての話題が印象に残った。
    「雪、たくさんの言葉」では、様々な状態の雪を表す言葉が6個挙げられていて、いかにアラスカでの生活と雪が密接に関わっているかが現れている。
    「わしらは自分たちの暮らしのことを、自分たちの言葉で語りたい。英語では、どうしても気持ちをうまく伝えられん。英語の雪はsnowでも、わしらにはたくさんの雪がある。同じ雪でも、さまざまな雪の言葉を使いたいのだ」(エスキモーの老人)

    また、「ブルーベリーの枝を折ってはいけない」中の、ポトラッチ(亡くなった村の長老の御霊送りの祝宴)でのやりとりも印象に残った。
    「若い者も何か話したらどうだ!」(エルダー)
    「僕はエルダーたちが話すのをじっと聴いていた。自分たちの言葉なのに何もわからない。でもじっと聴いていた。何も理解できないけど、その響きを聴いているだけで気持ちがいい……」(若者)

    響きを聴くだけで気持ちがいいと言う若者の言葉には少し救われる気もしたけど、言語が失われていくということは悲しいことだと改めて思った。「自分たちの言葉なのに何もわからない」って悲しすぎる。
    歴史や文化、伝統が断絶してしまうわけで、民族のプライドやアイデンティティに深く関わる事柄だと思う。

    建国の歴史がそもそも原住民の駆逐であるアメリカにとっては、ある意味当たり前のことなのかもしれないけど、こういうことを考えると「アメリカが一番!」みたいな発想には眉をひそめたくなる。

    アメリカの悪口を言いたいわけじゃなくって、一番思ったのは日本語や地元の方言を大事にしたい!ということです。
    最近はともすれば日本語そっちのけでひたすら英語教育となりかねない風潮なのが気になります。

    いつも思うけど、星野道夫さんの文章はいい。「言葉を紡ぐ」という表現がぴったりくる。

  • もう説明不要。アラスカ行きたい。

  • この本には忘れた感覚が残されている。良き本に巡り合った。

  • 写真家でありながらこの格調高く想像を書きたてる文章。文字を弄するのではなく、どっしりと根を持った本物の男の文章という感じです。それでいて読んだ感触はそこらの文筆業の方々の技量を大きく引き離しています。つくづく惜しい人を亡くしました。

  • アラスカの人々のスピリットにふれた星野さんのこころ。

  • 壮大な写真が撮れて、文章が上手くて、生き方に魅力がある方の本です。写真、文章、生き方の3つが揃っている作家は、他に いないと思う

  • 遥かアラスカという大地で、そこに生きる大自然と人びとについてのエッセイ。

    いつ読んでも星野さんの文章には癒され、勇気づけられ、圧倒させられる。

    たぶんそれは星野さんを通してアラスカから送られるメッセージのようなもの。

  • 素晴らしかった。
    彼の写真は多くを語るのだろうが、文章は深さを感じるものだった。本当に素晴らしいと思った。
    素晴らしいバランス感覚の持ち主。
    彼の最期はあのようだったことが悔しい気持ちも生むが(多少調べた)、人と獣の世界を行き来した写真家として、もしかしたら避けられない運命だったのかもしれない…とチラリと考えた。

  • 3度目か4度目くらいの読み直し。大学のレポートで星野さんをとりあげたので、改めて読んでみた。日本に居た頃に読んだ時と比べて、アラスカに7、8年住んでから読んだ今とは、当たり前だけど内容に対して、ひとつひとつ実感できる。

  • 言葉が、とぎすまされている。
    シャッターでとらえるような、確実な言葉の運び。
    曖昧さをなくしている。
     
    ボクはアラスカの冬が好きだ。
    生き物たちは、ただ次の春まで存在しつづけるため、
    ひたむきな生の営みをみせてくれる。
    それは自分自身の生物としての生命を振り返らせ、
    生きていることの不思議さ、脆さを語りかけてくる。
    自然と自分との壁が消え、
    一羽の小鳥に元気づけられるのはおかしなことだろうか。

    雪の言葉
    アニュイ 降りしきる雪
    アピ   地面に積もった雪
    クウェリ 木の枝に積もる雪
    ブカック 雪崩をひきおこす雪
    スィクォクトアック 一度溶けて再凍結した雪
    ウプスィック 風にかためられた雪

    森の木こりよ その木だけは残しなさい
    一本の枝にも触れてはなりません
    子供だったころ、その木は私を守ってくれた。
    だからいま、私が守らなければならない。
    ガダシャン 無人小屋

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