ノーザンライツ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101295220

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は「旅をする木」「魔法のことば」に続き3冊目。
    アラスカの原野、ユーコン川、マッキンレー山など壮大な大自然、野生生物の息づかいを感じさせてくれました。
    星野さんの文章を読んでいると、目の前に情景が広がっているかのような錯覚に陥るし、自然の美しさを色濃く感じます。

    本作でも新たに知ることばかり。
    核実験化計画「プロジェクト・チェリオット」や油田開発問題、土地所有権利など、時代の激流に抗ってきた人たちがいたこと。

    壮大な大自然やそこにある問題だけでなく、エスキモーやインディアンなどアラスカに生きる人たちの営みを知れたこともよかった。

    氷河への着陸に初めて成功した山岳飛行のパイオニア。マッキンレー山域の地図を作り上げ、空を飛び続けた山岳パイロット。アメリカ本土からアラスカまで、悪天候を飛んだ二人の女性パイロット・シリアとジニー。
    個人的には、シリアとジニーについて綴られている章が特に良かった。
    カラー写真が多数収録されているのも嬉しい。

    “約束の川”を著者と共に旅をしたシリアとジニー。シリアが亡き著者の代わりに綴った章には、星野さんへの想いがあふれています。
    とても、とても贅沢な読書。
    星野さんの言葉を噛み締めるように読みました。


    『私たちが日々関わる身近な自然の大切さとともに、なかなか見ることの出来ない、きっと一生行くことが出来ない遠い自然の大切さを思うのだ。そこにまだ残っているというだけで心を豊かにさせる』

    『さまざまな人間の物語があるからこそ、美しいアラスカの自然は、より深い輝きに満ちてくる。人はいつも、それぞれの光を捜し求める、長い旅の途上なのだ』

  • 星野道夫が見た景色を見てみたい。
    手付かずの自然じゃなくて、人の営みを感じられる自然。
    わたしたちが思ってる自然とは比べ物にならないほど、圧倒される自然がそこにはきっと広がっている。

    一生目にすることがなくたって、そういう自然があることが心の支えになるんじゃないか
    というような文章が沁みた。

    星野道夫って、上手く言えないんだけど、この先も変わらない奥底の真理を捉えてる、もしくはかなり近いところまで到達した人だったんじゃないのかな。
    それは自然や動物、アラスカの人々と過ごしたり、話したり、見たりといった五感でふれあった中で生まれたんだろう。
    なんかもう、達観しすぎて仙人みたい(めちゃくちゃ褒めてる)。
    すごいなあ。
    星野道夫に生きててほしかった。その時々の世界に対して感じることを、わたしたちに少しだけ見せてほしかった。

  • 大好きな星野道夫さんの本。
    言葉から遠いアラスカの空気を感じられる気がする。

  • 写真家であり、探検家であり詩人でもある「星野道夫」のエッセイ集『ノーザンライツ』を読みました。

    『旅をする木』に続き「星野道夫」作品です。

    -----story-------------
    「星野道夫」はこの光のしたで生きつづける。

    ノーザンライツとはオーロラ、すなわちアラスカの空に輝く北極光のことである。
    この本には、運命的にアラスカに引き寄せられ、原野や野生生物と共に生きようとした人たちの、半ば伝説化した羨ましいばかりに自主的な生涯が充ち満ちている。
    圧倒的なアラスカの自然を愛し、悠然と流れるアラスカの時間を愛し続けて逝った著者の渾身の遺作。
    カラー写真多数収録。
    -----------------------

    第二次世界大戦中、アメリカで女性パイロットとして活躍した後、ポンコツ飛行機で冬のアラスカまで飛行し、そのままアラスカに移住して、ナチュラリストとして、冒険家として、そして環境保護するための活動家として生きている二人の女性… 「ジニー」と「シリア」との触れ合いを中心に描かれたエッセイです。

     ■ジニーとシリアの空
     ■アラスカの空
     ■幻のアラスカ核実験場化計画
     ■マッキンレー山の思い出
     ■伝説のロッジ、キャンプ・デナリ
     ■タクシードライバー
     ■雪原の郵便配達人
     ■最後の白人エスキモー
     ■苦悩するグッチンインディアン
     ■アラスカはいったい誰のもの
     ■未来を見通した不思議な力
     ■クリンギット族の寡黙な墓守
     ■思い出の結婚式
     ■心優しきベトナム帰還兵
     ■くじらと共に生きる若きエスキモー
     ■極北の原野を流れる「約束の川」を旅しよう

     ■ミチオとの旅 シリア・ハンター
     ■解説「未来を紡ぐ遺志」 星川淳

    1996年に「星野道夫」が急逝したことから、80歳近い「ジニー」と「シリア」と一緒に川下りをしたことを描いた『極北の原野を流れる「約束の川」を旅しよう』は未完のままとなっていますが、、、

    「シリア」の書いた最終章で幕を閉じる構成となっており、それはそれで感動的な終わり方でしたね。

    「星野道夫」が、アラスカで強い存在感を持ち、そして現地の人たちから愛されていたことを感じさせる内容でした。
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    写真が多く挿入されていたので、アラスカの自然や、そこに暮らす人々をイメージしやすかったですね。

    印象に残った言葉を記しておきます、、、

    「人の一生の中で、歳月もまた雪のように降り積もり、辛い記憶をうっすらと覆いながら、過ぎ去った昔を懐かしさへと美しく浄化させていく。
     もしそうでなければ、老いてゆくのは何と苦しいことだろう。」

    そうですよねぇ… そうしなきゃ、前向きに生きていけませんよね。

  • 大自然を賛美し守るようなことが書かれているのかなと思っていたが、それは余りにも浅はかだった。アラスカでの核実験計画プロジェクト・チェリオットの話には興奮した。ただやみくも今のアラスカを守るのではなく、アラスカや人々の変化は当然で必要でありそれに対応していくことが重要という立場は非常に冷静で、しかしアラスカに対する情熱は人一倍であるのが伝わってくる。

  • 今回で、星野道夫氏の著作は8冊目ぐらいだが、今までで圧倒的に面白かった。いや、どれも星野道夫氏の著作は面白いのだが、この著作では、アラスカの激動の歴史が、その時代を生きた人々からの経験や言葉から語られ、それらの人と年齢が大きく離れているにも関わらず星野が実際に深い友情で結ばれていること!が物語を面白くしている。こんなにも、アラスカという場所が、魅力的であることを今まで知らなかった。いつか、自分にとって人生で大事な旅の時に、アラスカを訪れてみたいと思う。

    星野氏ほど、写真としての表現力、人を惹きつけるこの文章力の2つの両方が、これほど卓越している人はいないのではないか。。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“あの人が買う本”で登場。
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/highlight/04.html


    女優の田中律子さんが手に取ったのは、「ノーザンライツ」(星野道夫)

    「星野さんって大好きだったんです。カメラマンさんなんですけど、行ったことないのに、涙が出る感じなの。」


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/teaser.php

  • 去年、六本木のキャノン写真展であった写真がちりばめられ、書かれていた。この本を読んでから写真展へ行く、というのもありだったかな、と。

    それにしてもこの本は、自分が「アラスカ行ってみたい」とは思っているのだが、そういう軽い気持ちで数日間いるのではもったいないな、と思わせる。

  • 一度はアラスカの地を踏んでみたくなりますね。

  • 母が読みたいと言ったので引っ張り出したのだけれど、この大切な本の後半部分をすっ飛ばしていたことに気づいて、自分に愕然とした。人びとの力や連帯、思いを感じさせる眼差しに満ちた、ぜひ読み通してほしいノンフィクション。むろん、あとがきにある通り、「過剰な神格化をせずに」。

  • 表現と語彙に乏しいので見苦しいと思います。

    歴史、自然、伝統を通してまるでアラスカそのものを読んでいるようです。

  • 古本市で見かけて、縁があったので購入。
    星野さんの本は、旅をする木に続いて2冊目。
    ようやくこの人の写真をみることができた。
    旅をする木はなぜか写真が無かった。。。


    内容は、まあ、アラスカへの愛、と開拓者たちの横顔といったところ。
    文がうまく、内容もすごいのだけど、ロマンチストのナチュラリストたる星野節満載、という印象もあった。
    自分のことはほとんど触れずに、アラスカの友人たちのことを書いているためか、ふわっとした印象を受けた。

    核実験場に選ばれていたことは、今回はじめて知った。

    生まれは白人だが、中味は完全にアラスカの人という友人が分断に苦しんでいる、という話が印象深い。
    タクシードライバーの人生。

  • 図書館で。
    憧れの地に旅するのとそこで住むのは違うものだからなぁとなんとなくしみじみ思いました。そしてその土地にずっと住んでいた人よりも移り住んできた人の方が古来のやり方を通そうとしているのは興味深い。そりゃ、犬ぞりよりはスノーモービルの方が便利だろうしな、と思うから土地の人が便利なモノを知り、昔の生活スタイルを捨てていくのは仕方ないことだと思う。日本でも京都で着物着て暮らしている外国の人とかが注目を集めるとかそう言う感じなんだろうな~

    とは言えやはりその地に長く先祖と共に暮らしていた人の話の方が心に響くなぁなんて思いました。
    終章を書く前に著者は亡くなられたんですね…。その事件の事は知りませんでしたが痛ましいなぁと思いました。

  • 自然写真家の星野道夫氏による、アラスカの生活や文化に関するエッセイ。
    「旅をする木」が有名が星野氏は、90年代に仕事中にヒグマに襲われて亡くなっている。
    日本人によるアラスカ本はあまりないので、人類学的には貴重なのではないか。中でも、原住民のエスキモーたちの、伝統的な生活様式について詳しく書かれている。年中、カリブーと呼ばれる大型のシカのような動物の狩りをして、自然のなかで暮らしているようだ。アラスカには壮大なマッキンリーもある。アメリカ政府が、アラスカに原子力研究所を作ろうとしたり、土地の所有権を西洋的に決めようとするたびに、原住民たちは自分たちの意見を表明してきた。
    著者は大学卒業後アラスカに移り住み、そこで十数年現地の人に交じって暮らした。民族意識が強い地域に、よく受け入れられたと思う。
    アラスカのことはあまり知らなかったので、現地のいろいろな人生の話をへぇ~と思いながら読んだ。インディアン文化に興味がある人には面白いはず。

  • なぜこんなにも、星野道夫に魅かれるのか、わかった気がする。

    もちろん、アラスカという地に魅かれているのも事実。でも、たぶん、自分は星野道夫の視点とアラスカを知るための姿勢に魅かれていたのだろう。

    星野も知らないアラスカがたどってきた歴史を、その当時を生きてきた人たちから話をうかがう。オーラルアーカイブやオーラルヒストリーをこんなにも自然にこなしているのだ。それが、今の自分のやりたいことと重なり、魅かれているのだ。

    よく星野の言葉で表現される、「間に合った」「間に合わない」ことがどれほど貴重なものか。自分が一歩を踏み出さない限り、「間に合わない」ことがどんどん増えていく。

  • この歳にもなってまだ、生きている意味ってなんだろう、などと考えたりする。
    意味などない、ということは知っている。

    北へ旅するムースの群れだとか、
    季節ごとに巡ってくる鯨たちだとか、
    年ごとに変わる氷河の風景だとか、
    そういうものと同じ。

    でも、「暮らし」には意味がある。
    その意味を守ろうとする尊い意志がある。

  • マニアック。いまいち入り込めなかったのは、淡泊な文章のせいか。

  • 旅をする木の本の内容をもっと深く書いた話で写真も満載。山岳パイロットのドン・シェルドンの姿やグッチンインディアンの人達、トーテム・ポールの木など、旅をする木では言葉で表現してた話が写真でも見られる本書。

  • アラスカ行きたい。アラスカの百年を生きた人びとのストーリー。星野道夫は最後、ノンフィクションライターとしても一流の域に。

  • 星野道夫さんの2冊目。
    最初に読んだ、「アラスカ、風のような物語」同様、内容はアラスカのこと。
    ジニーとシリアという、二人の元パイロット達との交流を中心に描かれている。
    半世紀以上前に、アメリカにはパイロット志願の女性達がたくさんいたこと、実際にパイロットになり、命をかけて空を飛んでいたことなど、それだけでも信じられない思いだったが、その中の二人が、アラスカという大地に根ざし、様々な活動を生涯をかけておこなってきたという事実にはただただ感服するばかり。
    二人の写真も掲載されているが、本当に素敵だ。
    最終章では星野さんが、ジニー、シリアと一緒に川を旅するのだが、最後は涙無しには読めなかった。

  • 星野さんが生きたアラスカで出会った人々が歩んだ道。

    それは大自然の中、カリブーやサーモン、クジラなどの恵みの中で暮らし、その自然を守ろうとした人々の歴史。

    どんなに厳しい環境であれ彼らはこの場所で生きているしこれからもきっと生き続ける。

    ノーザンライツ―北極光とは“オーロラ”のことだそう。

  • いつもバイブルにしてます。星野さんの本。

  • 自然を愛し、自然に命を落とした偉大な写真家の思い出に。

  • 沖縄人はどこからきたのか?というテーマをもって、本を選び読んでいると数万年前からモンゴロイドのたどった道を調べるようになった。

    そんななかに、星野道夫の存在を知った。
    そして、「ノーザンライツ」を手に取っ た。

    「ちょっと待ってくれ。おれたちの想いは、あなた達の考えている自然保護とは少し違 うんだ。
    おれたちは季節とともに通りすぎていくカリブーを殺し、カリブーとともに生 きている。
    自然はみて楽しむものではなく、おれたちの存在そのものなんだ。」グッ ティンインディアン

    このグッティンインディアンの言葉は、
    今の自然保護というものの視点を大幅に変えてしまう。
    そこまで、私たちの生活は、自然の中にないことを知る。
    どうも、自然の外に、自分の生活がある。
    星野道夫が、アラスカにあこがれた。

    人間は、自分だけだけど、自分さえもその自然の一部として 存在している。
    星野道夫の本を読みながら、自分の中にあった何か忘れている
    人間のかすかな本能がよみがえった感じがした。
    寒い国というより、凍った国での生命の営み。

    そこには、自然を守ろうとする人たちの思いがあり、
    それを星野道夫が淡々と書いていることに興味がもてました。
    今まで思いも寄りませんでしたが、アラスカに行ってみたい気分になりました。

    これまでは、どちらかといえば、あたたかい国に行くことばかり考えていました。
    しかし、今回の星野道夫の本を読んで、とりあえず、アラスカのフェアバンクスにいってみたいと思いました。
    詐欺師がつくった町というのに、興味がもてました。

    アメリカ大陸の北の果て、ポイントホープにもいってみたいな。
    「フロンティアというのはね、2つの種類の人間を魅きつけるところなの。
    新天地を求 めて、
    2種類の人間とは、実に魅力的な人々と、悪人たち
    両方とも、生まれ 育った世界に溶けこめず、
    何かから逃げてきた人間たちだからね。」

    ジニーがいったのか、シリアがいったのかわかりませんが、
    しかしこの言葉はおもしろいと思いました。

    フェアバンクスの町は、詐欺師バーネットがつくった町だった。

    「フェアバンクスの雪は、空から地上へと、梯子をつたうようにいつもまっすぐ降りて くる。
    雪の世界の美しさは、地上のあらゆるものを白いベールで包み込む不思議さかも しれない。
    人の一生の中で、歳月もまた雪のように降り積もり、辛い記憶をうっすらと 覆いながら、
    過ぎ去った昔を懐かしさへと美しく浄化させてゆく。」

    この表現が、フェアバンクスという町を魅力的にしています。

  • 2012年は星野道夫の本を読もうという目標を掲げ、本作で今年5作目。

    他のエッセイ集は星野道夫自身の体験したことが中心だが、この作品ではアラスカに生きる人々の人生が多く取り上げられている。他の著作を読んだ後だったので、見覚えのある名前ばっかり出てきて、スピンオフ的に楽しめた。

    アラスカ核実験場化計画プロジェクト・チェリオットや原住民土地請求運動など、ここ数十年の間にアラスカに起こった出来事については、他の本では取り上げてないし、全然知らなかった。

    プロジェクト・チェリオットの反対運動でも重要な役割を果たしたビル・プルーイットが記した“Animals of the North”の第一章は「旅をする木」で始まる。『旅をする木』(文春文庫)は星野道夫を知るきっかけになった本で、お気に入りの本だけど、あらためて語源のエピソードに触れられて良かった。万物流転や諸行無常がイメージされた。

    「人はいつも、それぞれの光を探し求める、長い旅の途上なのだ。」(P.276)
    「あらゆる生命が、ゆっくりと生まれ変わりながら、終わりのない旅をしている。」(P.288)

    たくさん写真が載っていたけど、エスキモーやインディアンの人たちの顔を見ると本当に日本にもいそうな顔をしている。自分たちや彼らがモンゴロイド(この言葉に差別的な意味が含まれているということも全然知らなかった)なんだなということを再確認させられた。また、彼らの自然観やシャーマニズムはやはり日本古来のものと近そう。最近は人間中心、経済中心の価値観が強力になるばっかりだけど、だからこそこうした別の価値観に触れられるのは読書のありがたさだな。
    それにしても、もう星野道夫氏がいないというのは残念でならない。

    2012年が終わっちゃう!と思い慌てて読んでしまったのがもったいない。もうちょっとじっくり味わいたかったな。

  • 旅をする木のほうがおもしろかったかな。
    目をつぶると風景が映るような文章ですごくきれいだった。

  •  写真もいいけど、実章は文のほうが好きかも知れない。
     この人の別の本だったかもしれないが
      直に自分の周りになくても、
      地球上のどこかにその自然が残されているのだと思うと
      豊かな気持ちになる、
     というようなことを(たぶん)書いてあって、
     何かひどく納得するなあ、と思った。

  • アラスカという、ひとつの、とても美しい、しかし急激な時代の流れに飲まれながらも抗い生きる、土地と人々の物語。

    ここに描かれるアラスカの人々は、ある意味で悲劇的である。近代化の時代の流れの中で辺境、マイノリティとしての位置に立たされながら、変化への対応と伝統との葛藤に苦しみながら、なんとか自己を守ろうとしている。

    しかし、ここで著者が出会い讃えているのは、単純な過去への感傷やノスタルジアや反近代思想に溺れることなく、日々の生活の中で、時にそれを受け入れながら、自らのアイデンティティと向き合っていく、とても楽観的で力強い生き方をしている人々だ。

    受け売りの思想に頼るのでなく、巨大な絵画のような時代風景に没入するのでもなく、あくまで等身大に時代と向き合う、たくましい人々だ。

    彼はきっとそんな人々に共感し、我々日本人もそのような精神的試練に立ち向かうべきときが来る、と言いたかったのではないか。

  • 星野道夫さんの遺作。
    アラスカの近代史もその土地に住む人々の目線でストーリーになっているのと、変化する時代や自然環境を脅かされていることへの星野さんの目線がアラスカへの愛情あふれていて素敵。

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著者プロフィール

写真家・探検家

「2021年 『星野道夫 約束の川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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