お家さん(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101296173

作品紹介・あらすじ

大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木-そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。

感想・レビュー・書評

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  • つわりによる集中力不足&読書できない症のリハビリ1冊目。
    結果的に足掛け3日で上下巻読破の強行軍に。

    お、おもしれぇ、とめられない~

    時代の空気が実感としてイマイチ掴めなかった空白地帯が埋まった。


         商家             庶民          
    明治  曾祖母の広島の実家   赤松さんの民俗学   

    大正 『空白地帯』←ここ    大恐慌後小樽に移住した祖父一家       

    昭和  華麗なる一族     


    神戸の商店として砂糖、樟脳、ハッカから始まった鈴木商店が、ロックフェラーか鈴木よねかと並び称されるまでの大商社になり、大恐慌で破産するまでを描いた大河ドラマ。創業者一族のおよね(=お家さん)を「象徴」としていただき、実働部隊は番頭をはじめとする男衆というところに、古代から連綿と続く日本社会のひな型が現出している。
    創業社本体は破産するけど、関連会社がそれぞれ日商(=日商岩井、双日)や帝人などとしてひきつがれていく。

    関係者が全般に私利私欲ではなく志で動くこと、
    多分鈴木商店独自のDNAが機を見るに敏で新規事業へのスピード感命(=ガバナンスが強固)なところでわくわく感倍増。
    「(以前会ったことのある)テイジンの社員さんってなんか自由だよなぁ」という感想は間違っていなかったのかも…

    知っているようで知らない台湾併合にまつわるあれこれも新鮮でした。
    ちょっとヒロイックファンタジーパートになってたけど、それも含めて当時の感覚が伝わってくる。
    米騒動、関東大震災の騒擾も分かりやすく描写されていて、民衆、事業者、政治(官憲)の関係も歴史を経てきたのだな~、という感慨を引きおこす。日本は昔から地震の後にリオットが起きなかったわけではないのね…とかね。

    わたしたちは歴史の上に生きている、と感じられることがここ何年かの読書の楽しみなのです…

  • 良い!
    凄く面白い。

    当時三菱や三井と並ぶ貿易商だった鈴木商店の話。
    私は経済に疎いので全く知らなかったが・・・。

    話は鈴木商店の総帥である女性、お家さんこと「よね」さんの目線で進んでいく。

    三国志でもそうだが、良い参謀を育てられるか?巡り会えるかでトップの運命は左右されるが、鈴木商店はその優秀な参謀で成り上がった会社と言っても良い。

    1度目の旦那の子供や、2度目の旦那の子供などが入り交じるがその人達をも取り込んで、ただただ参謀達を信じ会社を大きくしていく女性。下巻が楽しみである。

  • 鈴木商店の創始者初代岩治郎に嫁いだ鈴木よねの生まれから物語が始まります。そして岩治郎の死、金子直吉らによる樟脳の商売失敗による危機、それを乗り切り順調に拡大軌道に乗る鈴木商店。岩治郎の先妻の子・お千、よねの元夫惣七の娘・珠喜らが登場し、ドラマティックな一代記が進んでいきます。珠喜という若くて元気な女性の田川への恋と若いエリート棚倉拓海の恋がどのように展開していくのか、正にドラマです。

  • 経済小説。今で言う商社に嫁いだよねがお家さんという女店主になり、その周辺を取り巻く人々がお家さんの存在によって、大きく人生を変えていった。女性としてあるべき姿、そして、商社の本質、様々な側面から様々な出来事を見ることによって、全てが相互作用していることがわかる。

  • 感想は下巻読後に下巻側にまとめます、
    神戸、鈴木商店の実話ベースのお話。

  • 玉岡さんモノでは、一番面白かった。生活の匂いがして、足が地に着いた内容と語り。

    筆者がそのエリアの出身という事も大きいのだろう。

    天涯の舟と併せて読むと面白かった。
    鈴木商店の大黒柱ともいうべき鈴木よね。

    世界大恐慌後のブラックデーでの崩壊に至る経済を読む記録小説ともいえる。

    経済は男の世界でありながら下支えする女の根性がまさに、昭和と感じた。

  • らび姉さんからもらった本。
    読了。レビューは最終巻で。

  • 神戸の鈴木商店の物語。勉強不足で全く知らなかったのだがとても興味が湧く。なぜ一代で頂点まで昇りつめ、消えてしまったのか。明治大正の国をあげての前へ進め進めの時代に一緒に進み失敗して立ち上がって。そのあとに残った会社名がすごい。それだけ時代の先端を後世まで重大な事業に幅広く関わって。他でも紹介している本があれば読んでもっと知りたい。

  • 鈴木商店って戦争でもうけて、不況で潰れたんでしょ?っていうのは、違うっていうことなんだろうなぁって、そんなレベルから読み始める。鈴木商店の歴史としても、それぞれの人物像としてもこれから?って上巻。下巻へ。

  • 明治時代、神戸に実在した鈴木商店という商店の女主人の話。現在の財閥にも匹敵するくらいの商店であったことを知り、驚いた。
    よねと働く従業員との関わり方はまさに女性ならではだと感じた。盛り上がりには欠けるが働く女性として共感でき、また温かさも感じる。

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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