わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
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本棚登録 : 574
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101296715

感想・レビュー・書評

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  • 素敵な5日間。

  • 早く新作が読みたい。久々の大収穫。

  • おそらく、イラク戦争を作中に盛り込んだ日本人の作品を読んだのは初めてだ。
    収録されている2編とも現代のどこにでもいそうな男女が登場するが、解説で大江健三郎が言うように、彼らの生きる「悲しさ」のようなものが伝わってくる。

  • 京都からの出張の帰りに読んだから余計にかもしれないけど、なんだか切なくなった。小説も戯曲も(当然演劇も)イラク戦争のことを題材にしてるんだけど、僕はこれは恋愛小説に近いと思った。
    誰だってこういう恋愛も選択肢にあっていいはずなんだけど、たぶん大多数のひとが切り捨てていて、その切り捨てられた選択肢のことをなんとなく想った。

  • 久々につかまされた一冊
    過去と今のいろんな場面を思い起こされた
    すごくすき

  • 「三月の5日間」のみ既読。

  • 他の方が読みにくい読みにくいと低い評価をつけているが、それがこの作品の文学的実験の一つであろう。
    読者を一気に置き去りにする視点の変化。
    どうでもいいことに固執し続けている主人公。
    その中に光る、現代を捉えた作者の素晴らしい視点。

    文学とは何か、に応えてくれる作品だと思う。

  •  中編「三月の5日間」「わたしの場所の複数」の2つを収録。
     まずは、各登場人物の視点になったり、神視点になったりと、同一文章の中でも視点が定まらない奇妙な技法に面食らいます。
     ところが、この文章のズレによる世界観の歪みが、なぜかリアルさを生み出しているのです。
     明確に否定的な観念を持つでもない厭世感、いや単に思想なき虚無感というべきか、そんな感性がこの奇妙な文章技法によってリアルに描かれてますね。
     ちなみに僕は「わたしの場所の複数」にとても惹かれました。
     身体の動き、心の動きが異常なほど細かく記述されます。淡々と、ダラダラと。
     その微細な動きから発せられる、穏やかな呪詛が身に沁みます。

  • 2010.02.28 朝日聞で紹介されました。

  •  チェルフィッチュ主宰・岡田利規による小説。『三月の5日間』を含む2編の小説が収録されてりる。大江健三郎賞受賞。

     感動した。こんな気持ちは久しぶり、もしくは初めてのことである。
    巻末にある大江健三郎の書評を読むと、倍楽しめる。演劇人の書く小説って、そういえばあんまり読んだ記憶がないなぁ。

     とにかく、これは私の文章では表現しきれない感動だから、とりあえず1回読んでみてください。

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著者プロフィール

1973年、神奈川県生まれ、熊本県在住。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。主宰する演劇カンパニー、チェルフィッチュでは2007年に同作で海外進出を果たして以降、世界90都市以上で上演。海外での評価も高く、2016年よりドイツを始め欧州の劇場レパートリー作品の作・ 演出を複数回務める。近年は能の現代語訳、歌舞伎演目の脚本・演出など活動の幅を広げ、歌劇『夕鶴』(2021)で初めてオペラの演出を手がけた。2023年には作曲家藤倉大とのコラボレーションによる音楽劇、チェルフィッチュ×藤倉大withクラングフォルム・ウィーン『リビングルームのメタモルフォーシス』をウィーンにて初演。小説家としては2007年にはデビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社)を発表し、2022年『ブロッコリーレボリューション』(新潮社)で第35回三島由紀夫賞、第64回熊日文学賞を受賞。

「2023年 『軽やかな耳の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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