天国はまだ遠く (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297712

感想・レビュー・書評

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  • 仕事に疲れ、人間関係もうまくいかず、毎日が辛い主人公の山田千鶴。23歳の千鶴は会社をやめて、遠く北の方の知らない土地で自殺しようと、1日分の荷物だけ持って特急に乗ります。山奥の去年から誰も泊まっていない民宿で、睡眠薬を飲んで自殺しようとしますが、ぐっすり眠れてスッキリ起きてしまい、自殺ができませんでした。そして、山奥の村でズルズルとほっこり、のんびり暮らし始めます。民宿の田村さんは大雑把で野暮ったいですが優しくて、田舎の自然や村人たちにも囲まれて、千鶴の心が癒されていきます。
    都会で疲れた千鶴が、再び前を向いて旅立つための、心温まる物語です。

  • 薄いこともあって、1日で一気に読み切ってしまった本。
    ただ生き残っていれば楽しいこともあるけど、逃げてるだけではダメ。そういう大事なことを学べた気がします。

  • 久々に再読したけど、やっぱり良かった〜
    緊張と緩和が絶妙でおもわず笑える。
    ほのぼのした休暇を一緒に体感した気分になれるから
    疲れている人にオススメです。
    地に足がついてる村の人たちの生き方はシンプルでブレがない。
    自分も多分、そうはなれないけれど。

  • タクシーの運転手に告げた行先は、「できるだけ端に行ってください」、「北の方へ」
    「はっきりゆうてくれ」と運転手に言われつつも着いた場所は『民宿たむら』。
    自殺のために「端っこ」と「北」を目指した千鶴。
    あえなくその目論見は失敗に終わり・・・

    わっ、ちょっと重たい内容になるの?とおそるおそる読み進めると・・・
    途中で思わず「プッ」と声を出して笑ってしまう場面があったり。
    『民宿たむら』での暮らしは千鶴にとって自分の居場所を見つける時間になっていく。
    文庫180ページほどの分量なのでさらさら~と読めて、すっと心に染み込んでくる。

  • 前略 新刊のお知らせは削除しました(笑)

    本題に戻ると、この「天国はまだ遠く」。
    自殺を決意した若いOLが、誰も知らない何処か遠くの町へ行くという設定なのだが、いとも簡単に失敗して「やはり、生きていこう」というお話。
    プロットとか、変な捻りとか一切なし。
    とても単純なストーリーなのだけれど、何故に彼女が書くと、ここまでしみじみ心に響いてくるのだろう。
    特にてらった表現があるわけでもない、素直な文章。
    やはり登場人物が優しい人ばかりだからかな。
    民宿の田村さんも、みかんをくれるおばあさんも、地域のおっさん、おばさんたちも。
    みんなあったかい。
    田村さんとの会話のキャッチボールも、とても面白くて楽しい。
    *「農業と漁業のバイリンガルや」というのが可笑しかった。
    ホントに彼女の作品には癒し効果があります。
    温泉にぬっくりつかっている気分というか、ヒーリングミュージックを聴いているというか、アロマオイルマッサージをしてもらっているというか。
    心休まる小説ばかりです。
    桜の樹の下で、春の陽射しを浴びながら、ゆったりした気分で読むには最適の書でした。

    ───ちなみに昨日は、『千鳥が淵』に桜を観に行って来ました。
    満開一歩手前の八部咲き程度でしたが、それでも綺麗でしたね。
    人出がまたすごかった。
    去年は震災の影響もあり、自粛ムードでそれほど混雑していなかった記憶があるのですが、その分、今年は弾けたみたいで。
    日本武道館への入り口から外堀周辺は、歩行者の交通規制まで敷かれていました。
    しかも武道館では某大学の入学式。
    晴れの入学式に遅刻した方もいたのではないでしょうか。
    他人事ながら、少し心配になった私です。

    • yuyuさん
      すてきなお知らせを
      ありがとうございます(^人^)
      新刊は図書館。文庫化すれば即購入派なあたしです。
      こちらのお話
      図書館で借りた記...
      すてきなお知らせを
      ありがとうございます(^人^)
      新刊は図書館。文庫化すれば即購入派なあたしです。
      こちらのお話
      図書館で借りた記憶はあるのですが、
      なぜだか読んだ記憶が
      あまり残っていません。
      ということなので、
      これを機会に読んでみようと思います。
      2012/04/08
  • 瀬尾まいこ先生の作品の中でも凄く大好きな1冊です。寒い日に読み終わったあと、心がぽわーっと暖かくなった感覚が忘れられないです。田舎での暮らしの情景がありありと伝わる表現で、特におにぎりと味噌汁を食べる場面は本当にお腹が空いてくるくらいでした。素敵な作品でした(^ ^)

  • 途中までよかったんだけどなー
    終盤もう予想できてしまって
    結局ありきたりなストーリーだなという印象。

  • 民宿って泊まったことないけど、こんなとこ行ってみたいなぁ。

  • スラスラと読める作品でした。
    自殺を考える主人公が、北へ端へ奥へと進んでいき、そしてそこでたまたまあった民宿で自殺を決行する。しかし自殺は失敗し、これからどうしようと考える主人公。

    答えを探しながら民宿の田村さんと過ごす日々を綴った物語。
    主人公にはあんまり共感できなかったけど、自殺を考えて視野狭窄になってしまうとこういう思考になるのかもなと思ったり。
    民宿の田村さんがめっちゃいい人だし、出てくる食べ物がほんとに美味しそうだったりした。
    田舎の人はみんな暖かくて、都会の人は冷たいなぁと感じた。だからこそ主人公の最後の決断に納得する部分はあった。

    たまに、死にたいって思うときは、ある。
    それをずっと持ち続けたことは、ない。
    そんな自分は幸運なのだろう。もしかしたらいつかそんな時が訪れるかもしれない。その時はこの小説を思い出してみようと思いました。

  • 日本人は海外と比べ仕事をしすぎる、睡眠時間が短いとよく言われ、仕事を休むことに抵抗を感じてしまう。そんな日々に疲れ切った千鶴は命をたつことを決意してしまう。

    人生はちょっとしたきっかけで180度変わる。つらい日々が続いたら何も考えず好きなだけ休息してみるのもいいかもしれない。あとちょっとで何か変わってくるかもしれないから。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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