卵の緒 (新潮文庫)

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著者 : 瀬尾まいこ
  • 新潮社 (2007年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297729

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卵の緒 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 今までに
    何度となく読みかえしたけど
    そのたびに切なくて、
    読みきってしまうのが惜しくて、
    いつもページをめくる指が止まってしまう。


    捨て子疑惑に悩む
    小学四年生の育生(いくお)が
    母から見せられたものは
    へその緒ならぬ
    卵の緒(卵の殻)だった…
    「卵の緒」



    家族を知らない自分にとって
    これほど理想の家族はいないです。


    食べることが大好きで
    いつでもどこでも
    突然クイズを始める(笑)
    お茶目な育生の母、
    君子さん。


    そしてそんな母さんがメロメロにハマってる
    会社の上司の
    朝ちゃん。


    猫グッズを集め、植木職人である
    育生のおじいちゃん。


    登校拒否児なのに颯爽とした
    池内くん。



    出てくる人すべてが
    いとおしい。

    中でも育生の母、
    君子さんのキャラが
    最高にあったかくてカッコいい。


    「学校は大切だけど
    休むことなんてたかが知れてる。
    破ってみないと
    わかんないこともあるのよ」

    なぁ〜んて言葉を
    実際に学校の先生である
    瀬尾さんが書いちゃうところがまた
    カッコいいし。


    君子さんのキャラは、
    もしかしたら
    瀬尾さんそのものなんじゃないかなって
    勝手に想像しています(笑)



    そしてもう一編は
    突然、父の愛人の子供と
    暮らすことになった女子高生の
    戸惑う日々を描いた
    「7’s blood」。


    あまり物事に動じない17歳の主人公、
    里村七子。


    父の愛人の子供で
    腹違いの弟である
    11歳の山本七生(ななお)。


    最初はギクシャクしていた二人が、

    腐ったケーキや
    アイスクリームのエピソードなど、
    印象深いシーンを積み重ねながら
    次第に心通わせてゆく構成が
    ホンマ憎い。


    そしてクライマックス、
    お風呂場での散髪シーンの
    胸をきゅい〜んとさせる
    切なさときたら…(ToT)


    野犬から七子を守る
    七生のナイトっぷりなんて、
    男らしさを勘違いしてる輩を
    正座させて読ませたいくらい(笑)
    本当にカッコ良かった。



    血をよりどころにせずとも、
    繋がった家族。

    わずかな血の繋がりこそが
    強固な絆となる家族。

    どんな形でも
    家族は家族。


    教科書には載っていない、
    好きな人と
    好きなものを食べることの大切さを教えてくれる、
    身体に染み込むような一冊です。


    すごーくおいしいものを食べたとき、
    あなたなら
    誰の顔が思い浮かびますか?

  • 瀬尾まいこのデビュー作。

    「卵の緒」
    マイペースな母・君子と二人暮らし。
    自分は捨て子じゃないかと疑っている育生。
    へその緒というものがあると学校で教わり、これなら確かめられると母さんに聞いた所、箱に入った卵の殻を出してきた。
    卵で生んだのだという~信じられないが、その場は言いくるめられてしまう。
    同じ会社の朝ちゃんのことをすごくハンサムだとよく口にする母は、ある日、夕食のハンバーグがとても良くできたからと急に彼を呼ぶ。
    やって来た朝ちゃんは、すっきりした外見で、とても食べ方がきれいだった。
    同じクラスの池内君が登校しなくなり、気にかけていた育生。
    学級委員で、とくに理由も見あたらないのに。母さんに家に行ってみたらと言われ…

    日常にありそうな出来事に、ちょっと不思議なアクセントが添えられていて、軽やかなのに、見入ってしまう感じ。
    君子さんのユニークさと、真っ直ぐに向けられる愛情が心地良い。
    人の繋がりは色々なんだと…でも、好きだということが大切。
    好感の持てる人ばかりなので、その場に幸福感が漂います。

    2作目のほうが重い感触があります。
    1作目は絵空事になりかねないようなハッピー感があるのですが。
    こちらは現実的な暗さや怠さも含みつつ、芯が強い登場人物に励まされる心地。
    高校3年の七子は、突然11歳の異母弟・七生と暮らすことになった。
    父はとうに亡くなっているが、愛人と子どもがいることは知っていた。その愛人が傷害事件を起こしたため、母が七生を引き取ってきたのだ。
    ところが、その母がすぐに入院してしまい、二人で生活する日々。
    名前も顔も似ているが、妙に出来すぎで、気を遣う小学生に苛立つ。
    二人だけの日々で起きる行き違いや反発。同じものを食べ、アイスクリームを作ったり。喧嘩した後に、バースデーケーキを発見したり。夜にお揃いのパジャマで外を歩いた日。
    別れの時が切ない。
    もう会うイメージが湧かないので、おそらく会わないのだろうと‥

    そうとも限らないんじゃないかとは思うものの、そうかも知れないと哀しくなりました。
    引きこまれましたね。

  • 「僕は捨て子だ。」と冷静に信じ切っている育生と、「育生は卵で産んだの。」と語る豪快な母との日常を描いた「卵の緒」。

    入院を控えた母が「七生の周辺にいる大人の中では、自分が一番まともだったから」と預かってきた腹違いの弟七生と、彼をどうしても冷めた目で観察してしまう七子の1年を描いた「7’s blood」。

    血のつながりがなくてもゆるぎない信頼に満ちた親子と、片親とはいえ、血のつながりがあってもギクシャクしながら、時間をかけてやっとお互いを認め合っていく姉弟、この2作を一冊の本にまとめたセンスがすばらしい。

  • 二編とも、親子、姉弟がうらやましいくらい強い絆で結ばれていて、その優しさや温もりに感動しました。
    家族のつながりって、形や証拠ではないのですね。
    心から思える人のいる人が、本当に幸せなのです。

  • ぬくぬくとは育っていない
    男の子が主人公。
    子供って、自分の運命を選べない。
    そして、誰かの力を借りないと生きられない。
    その誰か、が親でなくても、人生の一瞬に触れ合ったひとでもいいんだ。

  • 『血は水より濃い』(これでよかったかな!?)とか言うけれど、そんなものを超えた温かい物語がここにありました。

    読了後、大切なひとに会いたくなる。
    誰かを愛おしいって思う気持ちを思い出させてくれる。
    そんなやさしくて温かくてこころを毛布で包んでくれるような作品でした。

  • 血のつながっていない親子(母・息子)の話しと、血のつながった異母兄弟(姉弟)の話し。中編ふたつ。
    どちらも「お話し」の世界で、これを読んで癒される人はたくさんいるだろうなぁとは思うものの、「私」のための小説ではなかった。
    でも、それはそれとして、「家族とは血ではない」という話しと「血がつながっていれば家族」という話しを一冊に同居させたというセンスには拍手をおくりたい。

  • 本来なら深刻になりそうな家族の事情をさっぱりと描き、深い深い愛情を感じた一冊でした。

  • 「僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。」という文から始まる本。育生という小学生の日々におった作品で、特に何も事件や展開が無い、平凡な毎日が書かれている。何もない日々の中にある、人と人との繋がりや、別れ、家族の温かさが描かれている。
    育生と育生の母、君子は血が繋がっていない。君子が18歳の時に、他人の子供(育生)を引き取り、大学を辞めて、余命の短い男性(育生の父)と結婚して、今はシングルマザーで他人の子を育てている、というのがあらすじ。少し複雑な母と子の関係ではあるが、瀬尾さんの作品ならではの、暖かいような苦しくなるような空気が、静かに沁みてくる感じの作風。なんとも言葉にし難い感情になる。
    以下のセリフが好きです。
    「母さんは誰よりも育生が好き。それはすごい勢いで、あなたを愛している。今でもこれからもずっと変わらずによ。ねぇ、他に何がいる?」
    「想像して。たった18の女の子が一目見た他人の子供が欲しくて大学を辞めて、死ぬのを分かっている男の人と結婚するのよ。そういう無謀な事ができるのは尋常じゃなく愛しているからよ。」
    こんなにもストレートな愛の言葉を、子供に伝えられる母親っていいな、と思った。この本を読んで、家族のカタチを考えた。亭主関白な家族もあれば、共働きで忙しくする両親、そしてシングルマザーや、シングルファザー。人との繋がりのカタチの呼び名として家族と言われているが、それは名前に過ぎない。色んな家族のカタチがあって、良いのだな、と思った。そして愛を伝える事が何よりもまず、大切な事だと感じた。

  • なんでも受け取ってくれる僕の体って素晴らしい。
    とことんきれいな自然と一人じゃないって確信できるものがある時は、ひとりぼっちで歩くといいのよ。

    登場人物のことばがとても好きでした。みんな変なんだけど、軽快で心に残る人たちばかり。

  • 薦められて。とても優しくて、読み心地抜群。あっという間に読めちゃいます。他の作品にも期待をこめて、あえてまだ1つ減らしておこう、というかなり前向きな★4つ。

  • 血の繋がりはなくても一緒に暮らしている君子と育生(『卵の緒』)、血の繋がりはあっても一緒に暮らしていない七子と七生(『7’s blood 』)。どちらも強く結ばれていて、とても素敵だなと思った。 七子が腐ったケーキを食べるシーンでホロリ、そしてお別れで髪の毛を切り合うシーンでホロリ。。。。とっても心が温かくなる二つの物語でした。

  • 久しぶりに読む瀬尾まいこ先生の作品。
    2つの中編が入っています。
    2作品とも、主人公を取り巻く環境は複雑だけれど、とても温かい物語です。

    表題作『卵の緒』は、母子家庭に育ち、愛されているのにも関わらず「自分はお母さんの本当の子どもじゃないに違いない」と疑っている男の子の物語です。
    「本当の親子であるならば、その証拠に『へその緒』を見せてくれ」と言われて、卵の殻を見せて「私はあんたを卵で産んだのよ」とユニークに返すお母さんが素敵でした。お母さんの恋人・朝ちゃんも可愛かったです。

    『7's blood』は、女子高生の七子ちゃんと、突然家で預かることになった腹違いの弟・七生くんの「家族になるまで」の物語です。二人がだんだん歩み寄って、本音で語り合う仲になる過程がとても温かかったです。
    最初は周りの大人たちのご機嫌をとって気を遣っていた七生くんが七子ちゃんだけには少しわがままなところを見せて、それに対して七子ちゃんが「私だけが七生の別の顔を知っている」と優越感を抱くところは、共感できました。

    とても温かく、可愛らしく、そしてちょっぴり切ない物語。
    子供から大人まで楽しめる作品だと思います。

  • 瀬尾まいこさんの本を初めて読んだ。ほっこりじんわりするすてきな物語でした。二篇組でしたが、どちらにも散髪する場面があったことが印象的でした。
    君子さんのように、ストレートに何遍も繰り返し、子どもに愛していると伝えたり、すてきなところをすてきね、と言葉にして伝えることは、強いなあと感じました。なかなか出来ないことだと思います。

  • ほっこりする話、として済ませてしまっていいのか、いつも悩む。

    瀬尾まいこの作風は好きだ。
    ピリッとしたテーマを、うまくゆるく包み込んで作品にすることが出来る。

    だけど、「卵の緒」を育生視点で考えると、あまりにも明るすぎて、反対に悲しくなる。

    自分は本当の子ではないかもしれない、という育生の疑念。

    暖かな母子関係、母に出来た新たな恋人。
    更に友達の不登校事件を経て、育生に出生の真実が語られるクライマックスが訪れる。

    お母さんの愛は、確かなものだ。
    だけど、お母さんの明け透けさは、時に育生のしっかりした部分に甘えているように思うのだ。
    何度も読み直していると、作品を取り巻く空気感と、そこにはらんだ問題点のギャップが大きくなっていって、掴めなくなった。

    そうした「オトナノジジョウ」たちまで達観できる育生であるなら、もはやこの小説は彼一人の物語であり、家族は単に付加される存在でしかない。

    健気な育生が、ただひたすら愛おしい。

    ちょっと異論なレビューになった。

  • 血の繋がりなんかより確かな繋がりがあるという話と、血の繋がりというのはやはり確かで、支えとなるのだという話。
    君子さんと七子の母親が子どもを引き取った理由。理由は違えど、その全てで子どもを愛している母の姿に胸の奥がツンとなる。
    優しい育生と健気な七生。どちらも愛しくてたまらず、涙が出た。
    食卓というのは家族のかたちが表れるなぁ。美味しいご飯とたわい無い話。一緒に食べたいと思う人。生きてるって実感すること。
    初めての瀬尾まいこさん。もう大好きです。

  • はじめて読んだ瀬尾まいこ作品。にんじんブレッドが食べたいな。
    穏やかで暖かいように見せて、少し冷たい現実を持ち合わせているのが、瀬尾まいこ作品だと思う。主人公たちは大体重めの過去を背負っているし。
    そういう困難をおいしい食べ物と一緒にのりこえてくれるから、瀬尾まいこ作品がだいすきなのです。

  • 瀬尾さんは、高校で国語の先生をされてるですね。
    働きながらこんなほっこりした
    お話を書けるなんて素敵。
    出てくる母さんが山田詠美と吉本ばななを
    足して2で割ったような、私の好きな人物像。
    物寂しい秋に読むのに、ピッタリです。
    ちょっとケラケラ笑えるシーンもあります。

  • 家族の心のつながりや絆が伝わってくる物語だった。血のつながりがなくても、お互いに心を通わせることにより、次第に家族になっていく。読み終わったあとの心が温かくなり、自分の大切な人たちのことを思わずにはいられなくなった。

  • 当たり前とか、そうあるべきといった家族らしい家族じゃなくったっていい。

    親、子供、家族、それぞれの立場に、明確な基準なんてない。

    母が強くたって、父が優しくたって、子供がひねくれてたって、家族という形が変わることはないのだと思う。

    正しい、健全な理想の家族なんて、どこにもない。

    互いを想い合う気持ちがあること。そして、時に、「あなたを大切に想ってる」という心を伝えることができれば、それはもう立派な家族なんだと思う。

    「あなたを愛してる」そんなストレートな言葉と、ほんの少しの間、ギュッと抱きしめてもらうだけで、人はつながれる、安心できる。

    中身のない優しさで接するのではなく、心を籠めて、相手と共に過ごすことが、誰かと「つながる」ということなのかなと思った小説でした。

  • 読み終わった後の余韻がすごく良かっ た。心が温まって幸せな気持ちに。血の つながりがないからこその幸せなかたち なのかもしれない。他人なのに恋愛感情 ではなくここまで人を愛しく思うなんて 素敵。

  • 瀬尾まいこさんの作品初めて読みました。

    とっても温かいお話で読んだ後にほっこりとした気持ちになりました。
    子供に対してまっすぐに自分の意見を伝えられる
    君子さんがかっこいいなと思いました。

    でも君子さんだけじゃなく
    育生くんも朝ちゃんも池内君もみんな素敵。

    冒頭で捨て子だってことを気にしていた育生が
    文末ではちゃんと成長してるのが感じられて嬉しくなりました。

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僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7's blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。

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