少年リンチ殺人―ムカついたから、やっただけ―《増補改訂版》 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101300528

作品紹介・あらすじ

長野県の狭い地域で、相次いで起こったリンチ殺人。弟を守るため、ろくに顔も知らぬ少年八人になぶり殺された宮田君。三カ所を連れ回されながら十五人の暴行をうけ絶命した百瀬君の遺体には、小便がかけられていた。残忍な犯行事実は少年法の聖域に消え、さらに子の罪を認めぬ親の言動に、遺族は際限なく苦しむ。少年犯罪の理不尽を告発する慟哭のノンフィクション、増補改訂版。

感想・レビュー・書評

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  • 暴力の描写を読むと暗澹たる気持ちになり、反吐が出そうなる。
    暴走する加害者集団、自分の罪も理解できない加害者集団、その子にしてこの親あり。本当にひどい。
    少年法はいらない。加害少年の更生などあり得ない。

  • ハンムラビ法典「目には目を、歯には歯を」
    を 三面記事を読んでいて 思うことがあります
    何か事件が起きたとき
    以前なら「巻き込まれてしまったのではないだろうか」
    の心配であったころから
    「巻き込んでしまったのではないだろうか」
    の畏怖になってしまった気がするのは
    私だけでしょうか

    奥野健二さんの「心にナイフをしのばせて」と併せて
    世に広めたい警告の書です

  • 過去に弟が少年犯罪の犠牲になった過去をもつ著者が、長野で起きた2件の集団リンチによる殺人事件を取り上げる。些細な理由で被害者を呼びつけ、集団暴行で殺害し、隠蔽工作を行っても、軽微な罰しか受けず、遺族には情報さえも入らない少年犯罪の理不尽。無反省の加害者と親の無責任さには悪寒です。

  • 読むのに時間がかかったし、結局最後まで読めなかった。若者の心理の救いようのなさ。少年法が誰のためのものなのか。当時の”普通”の家庭というものがわからなかった。ちょうど少年法の授業をとっていたので、いい機会だと思って読んでみたが、読んでいてとてもつらかった。。

  • あかね文庫より。長野県内で起きた二つの少年リンチ事件のルポ。恐らく過去にもこの事件のルポは読んでると思うけど、本当ひどい。集団の力で取りつかれたように暴力をふるう奴ら、証拠隠滅を図る奴ら、謝罪しない親たち。94年、97年の事件の犯人はほぼ私と同年代。今頃は結婚して家庭を持っているかもしれない。自分の子が被害者になった時、何を思うのか。そういう小説は読んだことあるけど、本当いったいどれだけの奴らが反省しているのかと思う。15人でリンチした百瀬君の事件、加害者の一人の父親は少年刑務所に勤めていたそうだ。偏見とは思うけど、やっぱり、そういうとこに勤めてるくせに、と思わずにはいられない。あんなひどい手紙を公開されても何も感じない雄治の両親もひどいけど。人間として感情はないのかと思う。

  • 読み進めるのはキツいけれど、読んだほうが良いと思える一冊

  • ものすごく重い本を読んでしまった・・・・

    とにかく凄惨なリンチの実態に衝撃を受けました。
    無抵抗の1人に対し、8人や15人で暴行を加える少年たち。
    理由は「ムカついたから」「生意気だから」。
    ここまでやったら死んでしまうかもしれないと思えない、想像力
    のなさが信じられない。

    もう読むに耐えられないほどなんですが、これは誰にでも起こり
    うる事なのかもしれないのです。

    本当に加害者・その親・少年法全てに対して強い憤りを覚えます。
    未成年者には保護・更生の為の処置を下すという少年法。
    その少年法に守られた少年たちの反省文には「親に迷惑を掛けた」
    ことばかりが綴られています。どの少年も大体そうです。
    一体何を反省したのでしょうか?

    反省の仕方も分からない、教えてやる大人もいない、そんな
    少年たちが数年・数か月で出てきて普通に生活を送る。
    こんな事があっていいのでしょうか・・・・

    本当にやるせない、理不尽な思いばかりが募る読書でしたが
    多くの人に読んでもらいたい本でした。

  • 悲しい、辛い、切ない。
    皆大事なのに……

  • 読んでいてつらくなる。
    子供の暴走というのは親が止めないといけない。
    周りの空気に流されて取り返しのつかないことになる前に。

  • メモ。
    群れは殺人に至らなくても、誰かを見捨てたり迫害する場合がある。自分も群れの一員になりうるし、なるし、また予期せぬまま群れに出会うこともありうるし、ある。そうした群れから離脱したり、群れを壊したりするには自分をどういう方向で鍛えればよいか。

    「地方」の群れのでき方として、幼馴染が教習所で再会して意気投合し、それぞれの仲間ともネットワークを作るということが記されていた(p252)。都会はどうなのか?

    少年法が、その親ばかりか少年少女自身にすら、事件の全貌を知らせない=隠すようにしてしまっているという指摘(p36でいう少年法の第二の問題)。事実を基に少年少女自身が反省する仕組みを作れない。

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著者プロフィール

1958年、長野県に生まれる。東北大学法学部卒業後、販売、配送、書籍の編集、コピーライターを経て87年より作家・ジャーナリスト。著書には、『そして殺人者は野に放たれる』(新潮文庫、新潮ドキュメント賞受賞)、『世間のウソ』(新潮新書)、『ラクをしないと成果は出ない』(だいわ文庫)、『情報への作法』(講談社+α文庫)など多数。

「2011年 『つながる読書術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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