出署せず (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 430
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101301532

作品紹介・あらすじ

柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめる――。ミステリ×人間ドラマの興奮。日本推理作家協会賞受賞作を継ぐ、シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁綾瀬署警務課課長代理の柴崎令司シリーズの2作目。今回も連作短編集の体をなしている。冒頭に新キャラクターのキャリアの女性署長が登場。現場を知らない署長と捜査部門との軋轢の間にたち、刑事では無いのに、あれよあれよといつの間にか、事件の捜査に関わることになる柴崎。ヒーローの活躍劇のような派手さは無い。しかしシリーズを通して警察組織の複雑な人間模様が淡々とだか味わい深く描かれる。そして事件の意外性からのミステリーの面白さもある。
    本作の表題作でラストに掲載されている『出署せず』は、中編というか短めの長編のボリュームで、柴崎か綾瀬署の要となるストーリー。

  • 柴崎令司シリーズ第2弾。新しい魅力的なキャラクターとして、女性キャリアの新署長・坂元真紀が登場。様々な事件に警察内部の人間ドラマが絡む。微妙な距離感を保つ柴崎と坂元が今後、どういう関係になっていくのか、どんなコンビになっていくのか……第3弾も(出れば)読みたい。

  • 「撃てない警官」の続巻。「隠蔽捜査」シリーズと設定は似ている。しかしあちらはキャリアの署長で、柴崎は警察署の警務課課長代理(中間管理職)。当然上からも下からも突き上げはあるし、抜群の能力が災いして、もはや何でも屋…という気の毒な立場。当然、勧善懲悪でスカッとする場面はなく、読み手も柴崎目線でもやもやしてしまう。でも、5つの短編それなりに面白かった。次巻も楽しみ!

  • 全然面白くなかった。この作家さんはもう読まないと思う。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめる―。ミステリ×人間ドラマの興奮。日本推理作家協会賞受賞の名手が描く、警察小説集。

    柴崎が本職では無い捜査でバンバン成果を出してしまって、なかなか本来の仕事に戻れないという可哀そうなお話です。ちゃんちゃん。
    なんですがこの昂揚感なく淡々と進みつつきっちり話には落とし前をつける辺りは力量を感じます。警察内部を描いた小説好きとしてはお勧め出来る本です。

  • 撃てない警官続編。
    柴崎警部はまだ所轄にいた。前作で警視総監直属の花形セクションから左遷させられたのだったが、春の異動内示はなく警務課の課長代理のままだった。
    今回、新しく同年代バリバリのキャリアの女性署長を迎え、補佐していく。

    捜査の経験はほとんどないが、柴崎警部は管理畑にいるのがもったいないほどセンスがある。

    そして補佐が絶妙だ。出過ぎず、立てるべきは立て、ここぞの時は譲らない。

    「本来なら我々だけでこの事件は解決できたはずです。しかしそうはできなかった。その原因に、思いを致すべきです。」
    これ。痺れましたわぁ。

    昔のセクションに返り咲いてもほしいけど、もう少しここで活躍する姿をみたい。
    続編読むの楽しみです。

  • 市役所に勤務しながら、執筆活動をしていた安東能明(あんどうよしあき)氏。
    警察小説でも、警察内部の上下関係による戦いのような事が、書かれている。

    この小説では、5話書かれているが、題名の「出署せず」だけでも、単行本が、出来そう。
    花形の警視庁の総務部企画課の係長職であった柴崎令司という警察官が、部下の拳銃自殺という不祥事から責任を押し付けられて、一人だけ異動を命じられる。
    出世コースからはじき出された主人公が、新任の女所長が、着任し、警察の内部の不祥事から、、、ひき逃げ事件、保護司による金属バット息子殺し、女性定員の失踪事件、、、
    事件の内容も、多々違っていて、面白く読めた。

  • 安東さんの2冊目。

    面白かった。十分に。
    続編あるのかな…?女性署長が変わりゆく様を、もう少し見ていたかった。

    表題作『出署せず』が一番好き。
    だけれど……

    トリックものだったとは。
    “いわゆる推理小説”な感が漂ってきて、人間ドラマに引き込まれて読み進めた心が!少しだけ肩透かしを喰らった気分。

    ★3つ、7ポイント半。
    2015.05.20.古。

    続編があるなら、迷わず買うだろうな。
    安東さんの、他の作品も機会があればきっと読むだろう。

    • chie0305さん
      こんにちは!お久しぶりです。
      今、安東能明さんに嵌って3冊目の前に積んで読み始めました。「出署せず」も面白かったですよね!
      こんにちは!お久しぶりです。
      今、安東能明さんに嵌って3冊目の前に積んで読み始めました。「出署せず」も面白かったですよね!
      2017/07/30
  • ん?この女性署長いる?なんか薄味だった。

  • 柴崎警部シリーズ第二弾。
    5つの短編集。
    警務でありながら刑事事件に深く関わらざるを得ない。
    署内の運営を円滑にするべく動いたことが事件の解決に繋がる。
    撃てない警官も面白かったが、こちらもとても面白かったです。
    柴崎警部は所轄から本部へ戻ることはあるのでしょうか?それも楽しみ。

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著者プロフィール

1956年、静岡県生まれ。明治大学卒。‘94年『死が舞い降りた』で日本推理サスペンス大賞優秀賞を受賞しデビュー。2000年『鬼子母神』でホラーサスペンス大賞特別賞、’10年には「随監」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。緻密な取材が生む警察小説やサスペンス小説で多くのファンを魅了する。本書は朝鮮戦争で計画された原爆投下の機密作戦を巡る謀略を描く渾身の作。著書に『限界捜査』『ソウル行最終便』『彷徨捜査』『伏流捜査』(祥伝社文庫)『撃てない警官』『夜の署長』等。

「2023年 『ブラックバード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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