切羽へ (新潮文庫)

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著者 : 井上荒野
  • 新潮社 (2010年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302546

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切羽へ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • これの前に小学生が主人公の本を読んでいたらから、いきなりの大人な内容だな(笑)。
    島の狭い人間関係と切なさがうまく混じりあっていてなんとも言えない雰囲気がある。
    現在、田舎暮らし。
    そういや、田舎暮らしも島ぐらしに近いものがあるように思う。昔から住んでる人とよそ者は区別しているし、周囲で起こったことはあっという間に広まるし。
    近所は皆家族ってな感じ!?
    隠し事なんてできそうもないもん。
    そんな狭い世界で、島外から人がやってくるとか日常と違うことがあったら心がざわざわしそう。
    石和の独特の雰囲気が余計にこちらの心も揺さぶってくるし……。
    よくわからないって気になるものね〜。

  • 硝子越しに、覗いてるような印象。
    もや~として、はっきりしないところが、上品。

    九州地方の島に住む、養護教諭のセイは結婚4年目に
    なる画家の夫と穏やかな生活を送っている。
    奔放な同僚の教師、月江や炭鉱をしていた亡き夫を求め続ける老婆や、無邪気な島の子供たち。
    ある日、音楽の教師として島に赴任してきた石和。

    表面上、セイと石和の関係は何もなく思え
    本土から月江を訪ねてくる愛人
    この二人の関係のほうが
    大きくゆれ動くように思えた。

    「トンネルを掘っていくいちばん先を、切羽というとよ。
    トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなってしまうとばってん、掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、
    切羽」

    最後の、セイと石和の最後にかわすセイの言葉。
    二人は、はたから見れば何もない関係に見えると思うが
    セイは初めて会った時から多分、石和に引かれ、
    石和もセイにどこか心惹かれているように感じる。
    文の所々から感じる二人の想い。
    もう、後戻りができない、どうしようもなさ。

    解説の「皆、切羽に立っているような気がする」
    この一文が小説を表していると読後感じた。

    表紙を見て気づいたのはタイトルが
    「せっぱへ」ではなく「きりはへ」だった。

  • 文章がきれいだなと読み始めてすぐ感じました。
    これでもか!と書き込まれた文章ではないからか
    素直に心に響く。

    恋愛の始まりって、「あ、素敵」じゃなくて、
    「何この人?」という反感に近いものだったりすること、
    お互いが惹かれあったときは、言葉は要らないこと・・・

    こういう話を自分も書きたかったのかも
    しれないなぁ。

  • 離島という設定に頼りすぎている。不吉を思わせるように仕向けているようでありながら失敗しているし、死の淵を垣間見せるようでありながら恐ろしさが微塵も伝わらない。性を抑制的に描いてエロスをかもし出す風なのだけれども、エロくもない。とにかく、だらしない小説。

  • 淡く美しい小説。

    夫の描く絵、島の景色、人々のありよう。
    穏やかであたたかい、ある意味なまぬるいような
    景色のなかにやってきた石和という人。
    ざわめきが、ゆっくりと穏やかな景色を、
    空気を乱していく。

    切羽とは、トンネルを掘っていくいちばん先。
    トンネルがつながるとなくなってしまう。

    いつか喪われてしまうもの。
    喪ったことで美しさがいつまでものこるもの。

    書かれないことで、心にのこる、
    そんな淡い美しさがこの小説の印象。

  • 読みやすいし綺麗な文章なんだけど。。。。
    なんだかのめりこめない感じ。

  • 描かれていない唐突に翌月へと変わってしまう章立てや、
    石和と別れた翌月の三月や、
    セイと石和の思いがありありと伝わってくる筆力の圧倒的な力を感じる。
    理由もなく本能的に惹かれ合っているのに理由ばかりを求めるセイの姿や、
    そんなに求めているのに結局消毒以外に触れ合うことも無い2人の姿はまさに先の無い切羽のようだった。
    それは周囲にある夫や家族という安定した存在だけがそうしているのではなく、
    2人の自分自身の中にあるものがそうしているような気がする。
    セイの思いが石和へと動いているのにまるで夫が離れていくような気配がして、
    世界の終わりのような気持ちになるのもその一つの要因であると思う。
    石和のことが全くわからず、わからないからこそ読者もセイと同じように石和と惹かれていく話だと思った。

  • (*01)
    廃墟文学というジャンルはあるのだろうか。病院、映画館、廃坑などのモチーフがあって、離島というからそこでかろうじて生きている船や港や学校やマンションや、いくつかの棲みかまでが、いままさに廃れようとしているようにも感じられる。
    主人公はこの廃墟であるが、プロンプターの様な女の視点や話題がこの廃墟に入ってくる。廃墟を体現した石和(イサワ)というのが廃墟からストレンジャー(*02)として出てくる。
    それだけの物語であるが、絵の夫、性の老婆、痴話の同僚などのすったもんだが、この廃墟の場を回している。

    (*02)
    この道化は、幽霊の様に朧気で飄々でもある。この半存在がいくらかは物語をそれらしくしているように思う。

  • 静かな小説。方言がちょっとなじめなかったけれど、島を舞台にある夫婦と本土から来た石和をめぐる、味わいのある本でした。

  • いやー。
    いやー。。。

  • 激しいドロドロはなく、淡いのだけど妙にエロチックて、しかも濡れ場がないという不思議な本でした。島に赴任してきた独身教師にそこはかとなく惹かれていく主人公。夫の事は愛しているのに後ろめたい感情が時折頭をもたげるのであります。僕は性格的に夫側の性格なので、奥さん浮気したらいけませんよと念じながら読んでいました。

  • 第139回直木賞受賞作

  • 主人公・麻生セイ、夫・陽介。セイが惹かれていく石和聡。官能的な視覚的表現はないものの、セイが心惹かれていく様子が描かれていて、むしろそこが妙にエロティック。同僚の奔放な月江と不倫相手の本土さん(結局最後まで名前は出てこなかった)、近所に住むしずかばあちゃんもいい。(ちょっと寂しいけど)

  • 繊細な文章から平穏な離島の暮らしが窺えた。
    方言ものんびりとした雰囲気を醸し出しているし、登場する料理もとても美味しそう。
    ヒロインは東京から赴任してきた石和に惹かれるのだけど、正直なところこの石和の良さがさっぱり判らない。
    かえってご主人の陽介さんの方が好みなんだけど、恋に落ちるのに理屈はいらないということなのね……。
    文章が抑え気味なので、どの程度の恋心なのか測りかねますが、精神的には夫を裏切ったわけで、精神的な裏切りと、心を伴わない肉体的な裏切りの場合、どちらの方が罪は重いのかなとふと思った。

  • 淡々とした語り口ながら、もてますほどの感情を底に感じる、抑え気味の情熱小説。諦めを知った大人の心の物語。ごちゃごちゃとした記述はなく、そぎ落とされている。島ならではの生活の様子が鮮やかに描かれている。

  • 素敵な文章でした。直接的な表現のない官能小説のような生々しさがあって、終始、心がざわざわする感覚がありました。この作家さんの他の作品を読んでみたいです。

  • 第139回直木賞受賞

  • 大きな展開や面白い流れはないが大人の恋愛にはこういうものもあるんだなあと。
    しずかおばあちゃんの部分が忘れられない。
    セイは静 なんじゃないかてくらい物語全体が静な気がした

  • 面白くありません
    文章は平凡
    物語性も無し
    何故直木賞を受賞したのかわからない
    期待して読んだだけにがっかり

  • つながらないことで、確かにつながっていた。
    セイにとっては夫のほうが、石和にとっては月江のほうが、近くにいるはずなのに。
    書かれていないふたりの空白にはどんな物語があったのだろう。

    裏表紙の解説からどんななまめかしい話なのかと思っていたけれど、艶っぽく、瑞々しい反面、画家が描くグレーの色彩に覆われたような、静的なエロスを感じる良作でした。

  • 切羽、「きりは」と読みます。
    聞きなれない単語ですが、物語を進める内にキーワードとして登場。
    都会と田舎、本土と島。母と娘。対比しながら人間模様を描いています。じっくりと軽く読むことができる大人の恋愛小説。

  • 恋愛、不倫、そして生と死。普遍的なテーマを淡々としたリズムで描く。抑揚なし、メッセージも伝わらない。が一気読み。終わり方もなるほどね~。直木賞作品だが純文学な感じかなぁ

  • 初井上荒野さん。二人の男女の間に愛の言葉など、何もない。関係を変えてしまうような事件も、これといって何もない。ただ淡々と物語は進み、ひょっとしたらこの作品を「退屈」と呼ぶ人もいるかもしれない。しかし、豊穣な情愛の芳香が作品の隅々に残る。その香りにつられてページをめくる手が止まらなかった、かつてない作品。
    切羽(きりは)という単語も初めて知りました。「トンネルを掘って行く一番先」のこととか。「つながればなくなる」という意味において切羽は二人の切なく儚い関係性を暗じているようにも思えましたし、生きる、とか、死ぬ、ということにも通ずるように思いました。
    人がただ繰り返してきた、生と死。

  • さいごがいまいち

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