- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101302560
感想・レビュー・書評
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島の病院で死んでいきつつある「男ぐるい」の女、艶。彼女とかつて関係をもっていた男たち、ではなく、彼らの妻や恋人たちの視点から、死にゆく女の存在が引き起こす、ほんの微かな波紋を描いているのが、この小説の味噌だ。
艶のために自分の人生を放り出し、自分を見ようとしない女で自分の時間のすべてを埋めつくし、今また彼女のかつての男たちにわざわざ連絡をとって波紋を引き起こそうとしている松生の真意は、本人にとってすらよくわからないし、小説の中で分析めいたものも示唆されない。
かつて艶と関係をもった男たちは、このわけのわからない松生の狂おしさからは、もはや地理的にも心理的にも遠い場所にいるはずなのに、さらに安全な場所にいるはずの語り手の女たちは、彼女たちの男たちの身体から発される微かな波紋を、感受してしまう。そのことが、安全な場所の中にある不穏なものの存在を明らかにしてしまうのだ。
まったく井上荒野らしい、穏やかでありながら不穏な小説だ。
で、行定勲監督はこの映画を撮ったのかしら?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画が見たい。
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所謂「男モテ」する男狂いのつや.
つやが病床に臥し,今にも死なんとする時,かつて妻子を捨て,つやと駆け落ちした松生は,過去につやと関係のあった人たちへ伝えていく.
色んな人に疎まれながらも,何故か愛されるつや.
そうそう,こういう女いるよね.羨ましい.なんなんだろうね. -
214年3月
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つやさんをめぐる人の話
何が何だかあまりよく理解できなかった。 -
阿部寛主演で映画かも決まっている
「つやのよる」
井上荒野らしさが詰まっている作品だった
性や男性に奔放に生きた「艶」という女性が主人公のようで
主人公ではない。
生活の中に「艶」というひとが投じたその影響を受けた人たちの
視点で起こるさまざまな出来事。
穏やかな生活の中の張りつめた感情、緊張感を書かせると井上荒野はいいよね。
ただ結構淡々とした感じでした。映画はどうなんだろうか。 -
つやと関係を持った(持たされた)人たちの短編集・・・とも言えるかな。
んー、思ったほどおもしろくなかった。
これはきっと映画の方がおもしろかったんじゃないかな。観てないけど。
周りの人の話より、やっぱりつや本人の独白というか、つや自身で男性の遍歴をつづった方が、素直に興味深いと思った。 -
死にゆく女、つや。
彼女に囚われ関わってきた男たちと、関わることになってしまった女たち。
つやの魅力や魔性については本書で語られることは少なく悟るしかないのだと思う。
この本に魅力や面白みを感じることが出来なかった私はまだ読むのが早すぎたのだろうか。
映画化を気に手にとったが読むのは事務的になってしまった。
もう少し年を重ねた時に読み直したらどうなるのかは気になるところ。 -
期待していたほどではなかった。
艶に対してのイメージだけが膨らむ作品 -
行定勲の解説が、解せない。
なぜ、映画化したくなるのか??巨匠には、良書に読み解けるのか。
まったくホレる要素が、どの人物にもないのに恋愛小説として
売られているところに、疑問が残るけど
そこが小説のおもしろさ??というふうに、自分を納得させてみる。
「切羽へ」のほうが、数段上。