闇の守り人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302737

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に ジグロが好きなのでシリーズの中でも今作が一番好きです。

  • シリーズ2作目。
    精霊の守り人よりも引き込まれた。
    バルサとジグロの過去を清算するお話。ジグロがバルサを憎んでいた…事にバルサが気付く(考えないようにしてたのを辞めた…のかな)ジグロにしてみれば幼い少女なんてお荷物でしかないもの。憎まないはずはない。様々な過去の思い、気持ち、怒りを清算していく槍の舞前後は文章にどんどん引き込まれて行き止まらなかった。

    バルサが自分の短槍の輪をカッサに差し出して、交換した事も、気持ちの区切りなのかな。カンバル国とカッサへの期待…が込められていると思いたい。

  • バルサが過去と向き合い清算する話。
    育ての父のジグロについてどのような人物だったのか、改めて詳しく語られる。
    ジグロがバルサを憎みながらも、愛し守り生きたことがわかるシーン、本当に感動した。
    2人とも陰謀に巻き込まれ生き方を選べなかったやり場のない気持ちを、一番近くにいるお互いにすら伝えられずにいたが、ジグロが死んだあとに槍と槍で分かり合う。
    素晴らしいですね…。

  • いつも読んでる最中は、書店のカバーをつけており、読み終わったあとにカバーをはずします。
    装丁を見たときに、
    ああ、バルサだ、ジグロだ、カッサだ…!!
    となんとも言えない気持ちになりました。
    確かに前作の精霊の守り人より、私はこちらの方が好きかもしれない。
    それは、上橋さんが仰るように、大人だからなのかなあ。

    カッサが一歩踏み出して、大人になる部分よりも、
    バルサが過去と向き合ってる姿に心を打たれたからかもしれない。
    感情移入するのが今回はバルサでした。

    クライマックスでは、ジグロの思いと、バルサの思いが表現されてますが、本当に過酷で想像を絶する旅だったんだろうと、とても哀しく切ない気持ちになります。
    お互いに側にいて、頼るべき人もいなくて、
    だけどそれが過酷な運命を背負うことになる、
    と思うと、目の前にいる大事な人に、いろんな感情が生まれてくるんだろうなあ、と。

    最後はよかった。本当によかった。
    あしたは仕事、はやく寝なくては!!

  • 世界観が素晴らしい。どんどん読みたくなる。
    バルサが槍舞いを通して過去と向き合う場面は、心苦しさもあるが前に進むための勇気をくれる。

  • 女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。
    短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは。
    バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。

    <守り人・旅人シリーズ>第二弾です。

    25年前の事件が事実とは全く異なった形で語られていたこと、そしてさらに新たな危機をカンバル王国は迎えつつあること。

    ジグロの弟であるユグロ。
    ジグロとは似ても似つかぬ非情な人物で、こんなヤツらのためにジグロがあれほど苦しんだのかと思うと、腹が立って仕方ありません。
    ユグロ!ジグロがお前を許しても、私は絶対にお前を許さん!

    ジグロのこの言葉が大好きです。
    「もう一度、少年の日にもどって、人生をやり直していい、といわれても、きっと、おれは、おなじ道をたどるだろうってことだった。おれは、これしかえらべないっていう道を、えらんできたのさ。――だから、後悔はない。」
    想いを受け継ぐということの大切さが心にしみました。

    サグとナユグは、やはりうまく調和しながら世界を守っているのですね。

    この作品が子供より大人からの支持が多いのも理解できます。

  • 守り人シリーズ2作目。短槍使いのバルサが、過去の清算のために故国カンバル王国に乗り込みます。

    自分を守るために近侍していた王を殺し、口封じに殺された父。親友から託された娘を守るために、全てを捨てて友人を殺し続けた養父。うすっぺらい物語なら養父は天使のような存在に描かれるかもしれないけれど、実際は長い年月葛藤の日々だったことをうかがわせます。

    愛憎相半ばだったけれど、でもやっぱり自分は愛されていたし、自分も愛していた、と実感して、バルサはまた旅立つでしょう。

  • 前作であともうひとつ何か…と、つかめそうでつかみきれてないようなそんな感覚があったのだけど、コレだ!
    父やジクロ追い詰めた陰謀が時を越え形を変えてつながる中、バルサが抱え続けた心の重荷の正体が、具体的に明らかになってゆく。

    圧巻はやっぱり洞窟での短槍のシーン。
    むき出しの、怒り、悲しみ、苦しみ。
    吐き出しながら槍先を突きつける、その相手は。

    1作目よりグッと引き込まれた。
    人間のにおいの濃いめの、けれどやっぱり素敵にファンタジーだった。

  • これはねえ、バルサの贖罪の物語なんだと思う。
    すごくすごくつらいことに、命がけで向き合って、受容していく。

    精霊の守り人ではぼんやりしていたカンバル王国が詳しく描かれます。
    20160430

  • ジグロ、バルサ、ジグロを追った討手たちの痛いほどの苦しみ、恨み…陰謀に巻き込まれてしまった人々の、どうにもならない苦しみが哀しい。
    相変わらず政治を、人の闇に紛れてしまった部分を描くのが上手で、こんな政治家いるよなあと実感を持って読める。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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