虚空の旅人 (新潮文庫)

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著者 : 上橋菜穂子
  • 新潮社 (2008年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

虚空の旅人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 物語がテンポよく進んで行って、その流れに乗るように私も夢中になって行く。
    チャグムのお話で、精霊ではどんなふうにこの先成長をするにかなって思ってて、ここで成長ぶりが伺えて嬉しいやら、ドキドキするやらでした。

  • 物語は、南の豊かな海洋国、サンガル王国に移る。
    舞台ががらりと変わったせいか、一層色彩感が豊かに加わった気がする。

    この巻には、バルサが登場しない。
    サンガル王国の新王の即位の儀に参列したチャグムとシュガを軸に展開する。
    サンガル王国を足掛かりに、北の国々へ版図を広げようとするタルシュ帝国の暗躍。
    シリーズとしても、本作が大きな結節点になるらしい。

    カリーナ王女やサンガル王、新ヨゴ国の帝など、国のために人ひとりの命を顧みることのない人々と、そういう考えに激しく抵抗を示すタルサン王子やチャグムの対立が印象的だった。
    人を見殺しにしないという優しさと、それを貫く心の強さを育てているチャグムの成長が眩しい。

    海洋民ラッシャローの娘、スリナァの活躍も目覚ましい。
    タルシュの陰謀に巻き込まれ、家族を襲われた上に、その情報をサンガルの王都へ伝え、ナユーグル・ライタの目にさせられてしまった幼いエーシャナを救うため、八面六臂の活躍をする。
    そんな大活躍の割に、後悔ばかりしているのが不思議と微笑ましい。
    彼女はこの先、シリーズに出てくるのだろうか?

  • RPGで新しい大陸に行った時のような高揚感。バルサに命を助けられた皇太子チャグムが主人公となった本作は、南の島国に旅をし、その国で計られる陰謀に立ち向かう。これまでと全然違う政治劇な展開ながら、新旧キャラと物語の魅力で愉しまされる。

    幾つもの「正しさ」(あるいは正義)が交わることはそれだけで物語だが、それを分かった上で本作を翻弄し構成する作者の力量に感じ入る。チャグムの持つ意地、矜持、未来図、自分の運命的なもの、それらを受け入れて成長して欲しいと思う。まだまだ先が楽しみな物語。

  • 面白かった。
    チャグムの成長が著しい。

    サンガルの危機、タルサン王子の濡れ衣、スリナファ、エーシャナの運命どれも同時進行でハラハラしながら、あっという間でした。

  • チャグム&シュガの物語。バルサやタンダ、トロガイなどは、チャグムの回想という形でしか出てこない(しかも、ほんの少しだけ)。
    チャグムとシュガが海と共に生きる国・サンガルに行き、タルサン王子やカリーナ・サルーナ王女などと触れ合いつつ、彼らの危機を結果として救うことになる。チャグムが皇太子として国同士の難しい交渉をこなしたり、ナユグに引き込まれそうになりながら頑張って呪術師と戦ったりする、その成長ぶりに目頭が熱くなる。「うちの子、大きくなって…」みたいな。
    作中「顔の前に垂らした薄布」についてのやり取りが何度かあるのだけど、それが最終巻のあれに繋がるかと思うと感慨深い。いい話だった!

  • 今までのシリーズも面白かったけど、ぐぐっと世界観が広がったのと、チャグムの成長ぶりが著しくて、一気に読んだ。ここからどう物語を拡げて畳めて行くのか楽しみ。

  • 上橋菜穂子の守り人シリーズ 第4弾

    今回は「守り人」ではなく、
    新ヨゴ国の皇太子 チャグムの他国との外交で起こる
    国家転覆の危機。

    少しずつバルサやチャグムの世界の諸国の情勢が分かり始めてきた。
    なかなか賢い女たちの攻防が面白い。

    もう少しラッシャローのスリナファが活躍するかと思ったのだが、個性的なキャラなのでもったいない気がした。

  • 今回はバルサ出てこないのね〜。なんて思いながら。新ヨゴ、カンバル国から更に舞台は広がってサンガル国。これも読み応えありました。
    チャグムの成長を感じました。

  • 2017.2.8
    みなさんレビューされてますが、チャグムの成長がうれしくなる本作。
    今後の展開が楽しみなのと、何度も読んでるのにまた精霊の守り人が読みたくなった。

  • 守り人シリーズ第4巻。新ヨゴ王国の皇子チャグムはシュガとともに、隣国サンガル王国の新王戴冠の儀式へ帝の名代として出席する。
    海の王国サンガル――血の気の多い男たちと国政を担う冷静沈着な女たち、漂海民、海底の民に魂を呼ばれた<ナユーグ・ライタの目>を持つ少女、そして背後に渦巻く陰謀……海を舞台に、各々の思惑と陰謀が交錯する。

    過去の厳しく辛い経験を経て、心身共に一回りも二回りも大きくなったチャグム。皇太子という立場に閉塞感を抱えつつも、他国との外交を堂々と卒なく対処していきます。広く物事を捉える冷静さを持ちながら、自身の信念にそぐわない事態には例え他者の問題であってもまるで自分のことのように全力で立ち向かう。シリーズの主要人物であるバルサ、タンダ、トロガイが揃って登場しない稀有な本作ですが、チャグムの言動の陰にいつも彼らの姿を浮かべることが出来ます。
    チャグムと、彼の善き理解者であるシュガの二人の関係に度々ぐっとくるものがあります。

    広く渦巻く陰謀という名の伏線を、終盤一気に回収する様はお見事。清々しいラストでした。

  • 守り人シリーズでチャグムがメインとなる物語。しかし、登場人物それぞれが主人公のようにかき分けられる文章力はさすが。また、文化人類学の知識・研究をもとに作り出された物語は、他のファンタジー作品と異なり、実在の民族に伝わっている神話や民話なのではないかと思わせるほど説得力がある。

  • チャグムのお話。
    チャグムが命をとても大切に思って、守ろうとする。
    バルサが出てこないのは残念だけど、ハマってしまいました!
    世界観にドキドキ。

  • チャグムがサンガル王国へ
    バルサが出てこないけど、チャグムの成長を感じる。

  •  チャグム頑張る。そして、シュガに夢を語りつつ、サルーナ王女との未来を感じさせるラストに、ああ少年成長物語はやっぱりいいなぁと。

     巻き込まれ型事件譚ではあるが、緊張感続く展開と、特にラスト近くにある疾走感ある描写は、著者の力量そのもの。
     バルサの持つ母目線での行動・言動に、多少なりとも辟易していたところ、チャグム主人公の物語の方が安心して読める感じ。

  • 前作よりさらに壮大なスケールに。海の王国、さらに遠くの大国とどんどん世界が広がってくるのですが映像が目に浮かぶよう。ストーリーも面白いのですが日本語の表現が美しいのも魅力的。続きも買わなくちゃ。

  • 2016/11読了。皇太子として成長したチャグムが初の外交行事で陰謀に巻き込まれ、政治的判断と良心の間でもがきながら解決に導く。

    バルサが出てこないのに驚いたけれど、シュガとチャグムが大活躍。若く未熟な2人が協力し合い、最善を尽くすさまが良い。いつの間にかこんなに堅い絆ができていたとは。

    複雑な駆け引きと呪術というファンタジー要素の両方がふんだんに盛り込まれ、本当に読み応えありました。例によって2回一気に読みました。

  • 今作では、守り人から旅人へと題名が変わり、舞台も新たな場所へ移り変わり、王国を巡る物語はさらなる大河へと導く。舞台が変わっても、物語の構成はしっかりとされ、様々な陰謀が渦巻く中、女性の力強さが感じられ、物語の壮大な世界観が表現され、王国を取り巻く状況が不思議な何かとつながっているのが感じられ、そこに生きる人々の様子などが丁寧に描写され、躍動感溢れ、面白く読めた。チャグムの人間模様、成長も感じられ、更なる期待を感じる。今後の彼らの関わりにも注目したい。あとがきからも物語の更なる壮大さ、新たな展開に期待。

  • 今回の舞台は海。今までは山や森だったから新鮮。バルサは全く出てこない。
    女たちが賢いのがサンガルの財産、というのが良い。少年少年たちが命をはって頑張っている。
    いろいろな人の視点から始まり、クライマックスに向けてひとつの事件に発展していく物語は好き。
    チャグムとシュガの絆が麗しい。
    この作者の作品は、いい人か悪い人かとはっきりしているのではなく、味方だけれども魅力的でない人がいたり、さまざまなキャラクターがいるから物語が現実味を帯びてくる。

  • どうやっても感想をうまく言葉にできない。悲しい。
    このシリーズのテーマはいつもシリアスで大真面目。

    まっすぐなタルサンとそれを助けたサルーナと、賢く冷酷なカリーナの対比。

    最終ページ
    「わたしは、あえて、この危うさをもち続けていく。天と海の狭間にひろがる虚空を飛ぶハヤブサのように、どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすらに飛んでいきたいと思う。」
    狭間とは、為政者が持たねばならぬ人民を切り捨てる冷酷さと、皇太子という身分にもかかわらず自身を危険に晒してエーシャナを助けた愚直な優しさ、の狭間だと解釈した。
    そのような強さは自分には無理そうだなと思ってしまった。

    解説は斜め上

  • 『守り人』はバルサが主人公。『旅人』はチャグムが主人公。4作目となる今作で初の旅人!チャグムがいいかんじで成長してて、嬉しい!

    「わたしは、あえて、この危うさをもち続けていく。天と海の狭間にひろがる虚空を飛ぶハヤブサのように、どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすらに飛んでいきたいと思う。」―p379より

    青年版チャグム、かっこいいわ!

    解説を読んで、「異世界」ファンタジーが、ナユグという別世界に限らず、サンガルという外国に広がっていることに気がついた。やっぱり面白い、深い作品。

  • ◆新ヨゴ皇国の皇太子となったチャグムは、相談役のシュガとともに隣国サンガルの<新王即位ノ儀>に参列する。同じ年頃のサンガル王国第二王子タルサンや第三王女サルーナと親しくなるチャグム。
     しかし、異界からの使いといわれる<ナユーグル・ライタの目>を持つ不思議な少女があらわれ、王宮は不安と、やがて恐怖に包まれていく。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が――。
     同じ頃、ラッシャロー<海をただよう民>の少女スリナァは、サンガル王国を支配しようと企むタルシュ帝国の陰謀をタルサン王子に伝えるため、たったひとり、海を越えようとしていた。
     本作は当初、チャグムが主人公の外伝として世に出たが、『天と地の守り人』まで刊行された現在では、やはり一連の「守り人シリーズ」の中で読むのをおすすめしたい。前三作と異なり、皇太子であるチャグムを主人公としたことからか、為政者の視点、歴史の流れが物語に取りこまれ、シリーズの転機となった。
     光あふれる海の南国を舞台に、漂海民や国政を操る女たち、そして少年たちが織り成す壮大な第4弾。


    (^^)<Comment
    守り人シリーズの中でも、タイトルに「旅人」と付くのは、シリーズ第1巻で女用心棒バルサが助けた新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが主人公の物語です。


    虚空の旅人を読んで最初に感じたのは、チャグムが思慮深い好青年に成長したなぁということ。
    でも、もしチャグムがバルサやタンダと出逢って一緒に生活をする時期がなければ、こんな好青年には成長していなかったんだろうなとも思いました。

    二の妃がバルサにチャグムの用心棒を依頼した場面で、母である二の妃の横で居眠りをこいていたチャグムは、目を覚ますと妃が泣いているのを見て、目の前の庶民の女が母を泣かしたのだろうと思い、バルサに食ってかかろうとした場面に懐かしささえ覚えます。

    チャグムがこのまま成長していたなら、自分は神のような存在で、人々を統べる空上の人として、狭い世界しか知らない偉ぶった皇太子に成長していたかもしれない。

    ところが、「精霊の守り人」として選ばれてしまったことで、図らずとも様々な立場の人と触れ合い、皇太子ではないただの少年として生きた時間が、彼の内面と見識を深め、成長させたのだなと改めて感慨深い思いになりました。


    さて、この物語では、皇太子チャグムが初めて(?)新ヨゴ皇国の代表として、単独の公務で、サンガル王国で開かれる新王即位儀礼に出席するところから始まります。
    側には、星導師になるべく修行中の星読博士であるシュガもひかえています。

    サンガル王国は海の民の国とも呼ばれ、新ヨゴ皇国やカンバル王国とはまったく違う風土にあります。
    海に面した王国本土と大小様々な島からなり、島々は王家の娘たちが婿をめとって島守りとして仕切り、本土の王国は息子たちが継いで、サンガル王国全体を統べるという組織形態を取っています。
    南国らしい景観と人々の性格が魅力的。

    長い間、平和の均衡を保っていたサンガル王国に、海を隔てた南方の巨大勢力タルシュ帝国の魔の手が忍び寄り始めたときー国内には様々な混乱と陰謀が渦巻き始め、その大波は隣国の新ヨゴ皇国やロタ王国、カンバル王国にも降りかかる予兆を感じさせます。


    個人的に、本書の面白さを際立たせてくれたのは、サンガル王国の第二王子タルサンと新ヨゴ皇国の皇太子チャグムの対比。
    そして、皇国では神の目と崇められているため正装には頭に薄布をかぶるチャグムを嫌悪し、隙を見て拳を突きつけてやろうとしたタルサン王子。それをバルサから習った柔術で軽くいなしたチャグムに大勢の人の前で大恥をかかされ恨みを強くするけれど、チャグムと触れ合ううちに、チャグム... 続きを読む

  • チャグム、立派に成長したねぇ…。バルサやタンダ、トロガイが一切登場しないけど、やはり引き込まれて一気に読破。負けん気の強い王子とチャグムの関係がまた良い。

    サンガル王国を取り巻く陰謀と、身体を乗っ取られた幼い少女。シュガも活躍します。

  • 守り人シリーズ、今回はチャグムのお話。読みやすくほぼ一気読み。世界がさらに広がり、この後の作品も楽しみ。文庫版のあとがきの「多くの異なる民族、異なる立場にある人々が、それぞれの世界観や価値観をもって暮す世界ーそういうものを、生々しく具現化できたらと願っていました。その欲求を思いっきりぶちこんで書いたのが、この『虚空の旅人』です。」という部分が印象的でした。

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