虚空の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.23
  • (913)
  • (842)
  • (395)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 6202
感想 : 518
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302751

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • チャグムとシュガが、南のサンガル王国の新王即位のため出かける。主要国の王たちも。サンガル王国は南で食べ物豊富、王家の過去は海賊。家族を大事にする感じが。
    ナユーグル・ライタの目と呼ばれる憑かれた少女が出ると、宮殿でもてなし、最後は海に突き落とす。
    そして、もっと南のタルシュ帝国の陰謀に巻き込まれる。
    この物語が大河化したきっかけらしい。なんとなく、タルシュ帝国の不穏な動きを感じられる。

  • チャグムの成長が嬉しい一冊!


  • 守り人シリーズ第4弾

    [あらすじ]
    これは新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが星読博士であるシュガを側近として連れ、南国サンガルの王位継承の儀に参加した際、そこで起こる政治的な駆け引きや、他国の脅威、異世界ナユグとの交錯による波乱に揉まれてしまう物語である。

    物語はサンガル王国が統治する島国で、老人が海に向かって歌う娘を目撃するところから始まる。その娘は、「ナユーグル・ライタの目」として畏怖の対象にされ、儀式の後に殺されてしまうことになる。

    サンガル王国では、国王の長男に男子が2人生まれると、長男に王位が継承され、次男は将軍になる。サンガル国王のタフムルには長男カルナンと次男タルサンがおり、その他には3人の娘がいた。
    血気盛んな次男タルサンは最初、チャグムのことを毛嫌いし、威圧するが、チャグムに自分と同じ武の心得
    があると知ると、気を許すようになる。
    ある時、「ナユーグル・ライタの目」が儀式のために王都に運ばれた。そこで、タルサンはその少女が昔可愛がっていた娘だと気づく。しかし、少女の意識はなくタルサンのことも分からない状態だった。少女を心配したタルサンは、夜中に少女の様子を伺った時に、少女に掛けられていた呪術の罠にかかってしまう。
    翌日、呪術にかけられたタルサンは王の御前で兄に槍を投げ、死刑を言い渡されてしまう。
    しかし、タルサンにはその覚えがなく、王に弁明するも王は激怒し、親子の縁を切ると言い渡されてしまう。だが、国王の娘のうちの一人、サルーナはタルサンのことを信じ、タルサンと一緒に王都から逃げることを決めた。
    サルーナはチャグムに助けを求め、タルサンにかけられた罠に気づいていたチャグムは彼らを匿うことにした。

    ラッシャロー(海を漂うもの)として暮らしていたスリナァは、船で漁をしていたときに船団に襲われてしまう。その船団はサンガル王国の南に位置するタルシュ帝国の密偵だった。命辛辛逃げ出したスリナァは、無人島に漂流し、助けを待った。そこで現れたのは同じラッシャローの老人で、スリナァにタルシュ帝国の陰謀をサンガル王国に伝えるよう求めた。タルシュ帝国に捉えられてしまった父と弟を助けたいスリナァは、老人の条件を飲み、サンガル王国にたった一人で向かった。その航海の途中、スリナァは不思議な光景を見た。ナユーグル・ライタの目として連れられた少女の魂が海底不覚にあり、それをスリナァは必死に繋ぎ止めて、引っ張り出した。魂はサンガル王国に向かって飛んでいき、スリナァはこれで少女の魂は戻るから殺されないと安心した。王都についたスリナァは昔からの知り合いのおじに会い、タルシュ帝国の陰謀について伝えた。その陰謀はサンガル王国の裏の政治を司る女たちに知れ渡り、女たちは陰謀を防ぐために、内部の裏切り物を炙り出す思索をした。

    王都にて、チャグムは「ナユーグル・ライタの目」の魂が、身体に戻れずに泣いているのを見た。チャグムはどうしても少女の魂を元に戻してやりたくなった。
    しかし、少女の肉体には邪悪な呪術師の魂が乗り移っており、シュガはそれに近づくのは危険だという。

    「ナユーグル・ライタの目」の儀式の日、華やかな式典が行われていた。しかし、その最中に次期王であるカルナンは暗殺されようとしていた。しかし、それをチャグムが盟約を交わした隣国の武人達が阻止した。同時に、ナユーグル・ライタの目の儀式では、サンガル国王の暗殺が計画されていた。それを予め予期していたタルサンは部下と共に暗殺を阻止し、国王に見直させた。しかし、「ナユーグル・ライタの目」の中にいた邪悪な呪術師は、少女の身体を使って国王を殺そうとした。その時、チャグムは魂を飛ばして、呪術師の魂にぶつけた。そこにシュガも加勢して呪術師の魂を祓い、少女に魂が戻った。しかし、少女の処刑は実行されて、崖から海へ落とされた。そこにスリナァがやってきて、少女を助けようと海に飛び込んだ。それを見たタルサンも海に飛び込んだ。
    二人の少女は助けられたが、牢に入れられた。二人は食事の中に含まれた毒で毒殺されようとしていたが、サルーナがそれを阻止した。

    結局、みんな無事でめでたしめでたし。


    [感想]
    これまではファンタジー要素の強い守り人シリーズであったが、「旅人」になってからは、政治色の強い作品になっている。隣国同士の政治的な駆け引きや、文化の違い、他国の陰謀や、裏側の女社会。なにより、チャグムの次期王としての成長っぷりが見てて楽しい。外国語話せて武術もできて交渉もできるとかかっこよすぎ。おまけに魂も飛ばして戦えるとかずるい。
    ゆくゆくは、タルサンの海軍と共闘してタルシュ帝国を倒してほしいところ。

  • 守り人シリーズ第四弾

    チャグムが主人公である“旅人”物語。
    前作では色々と葛藤し、夢に囚われてしまったけれど
    今作では皇太子としても、チャグムと言う人間としても大きく成長する事ができ、良かったと安堵した。

    どうかチャグムが帝になった暁には、最後にチャグムが語った様な国に、帝になります様にと願わずにはいられない。

  • なるほど、”守り人”と”旅人”は、メインキャラで決まる訳か。読めば分かる話だけど、知れるとちょっと嬉しいウンチク。そして本作では、シリーズ初、チャグムの物語が綴られているんだけど、王子の身分だけあって、国家絡みの大きなスケール感。周辺国との関係も見えてきて、国家間における政治的なやり取りも今後の見どころか。同時に、本作のメインテーマたる裏世界の存在は、本作でも不気味な存在感を放つ。コロナ渦で、大好きな南国になかなか足を運べなくなってしまっている昨今、本作の舞台から感じられる南国感は、今だからこその、束の間の癒し効果もあったりして。

  • 隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、“ナユーグル・ライタの目”と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が―。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾。

  • チャグムとシュガのコンビが熱い

  • 守り人シリーズ第四弾。
    チャグムを主人公とし、その成長や優しさが見えてくる。

  • 【読了メモ】今回は海と空の話でした。チャグムにシュガがいて良かったと、心の底から思う年末。

  • 再読。精霊の守り人ではまだへなへなだったチャグム皇太子がちゃんと自分の意志を持ってたくましく生きていることがすごく嬉しい。このお話の中では色んな人たちが色んな思惑をもって生きている。タルサンが大好きになってしまった......。
    海が舞台のお話なのにどうしてタイトルは空なのだろうと思っていたけれど、最後まで読んで納得!

全518件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×