蒼路の旅人 (新潮文庫)

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著者 : 上橋菜穂子
  • 新潮社 (2010年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302799

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蒼路の旅人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • またまた、上橋作品。喫茶店で丸ごと一冊、一気読みです。楽しいひと時だったなぁ・・・

    <旅人>なので、チャグムが主人公。この後の、「天と地の守り人」三部作への布石となる、大事な一冊です。主人公が皇太子なので、バルサが主人公のときより政治色が強くなりますね。私自身は、この<旅人>の話のほうが好きだったりもします。

    絶望しそうになるほどの状況を前にして、チャグムがどんな道を選ぶのか。終わらせ方が難しいと思って読み進めていましたが、結末を見て、「そんな道があったのか」と思わず唸らされてしまいました。新たな登場人物も出てきて、「天と地の守り人」が楽しみです。今まで出てきた登場人物たちとともに、物語が躍動していくことに期待です!

  • 文庫版を再読。

    文庫版あとがきにあったヘップナーという作家は、恥ずかしながら存じ上げない。
    ただ、『歴史には絶対の視点などなく、関わった人の数だけ視点があり物語があるものなのだ』というのは、中学生の頃風と共に去りぬを読んだ時に感じ、やはり脳天を殴られたような衝撃を受けた。私はそれまで奴隷制度はただただ憎むものであり、奴隷たちが主人と離れたくないと戦おうとするなど、想像だにしなかったのだ。

    各々の人生があり、思惑があり、単なる善悪ではわけられぬ。それぞれの正義がある。それこそが歴史、それを作ってきた人間の素晴らしいところであると思う。

    何度読んでも深い「物語」である。

  • 文庫化されていたらわくわくして買うシリーズの一つ!
    思い返すとこの皇太子チャグムがバルサに護られて旅をしたころから、こんなに巻数が重なったんだな・・と、しんみりします。
    これまでのシリーズに出てきた登場人物たちやエピソードもしっかり活きてくるのがいいところ。まとめて読み返したい。

    さてこの『蒼路の旅人』は、『虚空の旅人』に続いてチャグムを主人公とした物語。
    皇太子という立場もあり、歴史的・政治的な香りも強くなってくる。
    それでも前巻までは個人としてのチャグム・シュガがある程度は自由に動けたのだけれど、この巻からは環境に縛られて大きな歴史の渦に巻き込まれていく過程が描かれ始める。

    サンガルからの助けを求める文が新ヨゴ皇国に届く。
    南の大国タルシュがサンガルにまで手を伸ばしているというのだ。
    チャグムの父である王は援軍を出し、チャグムの後ろ盾となっている祖父トーサらを向かわせる。
    これを罠だと指摘し、父に反発したチャグムもまたトーサを追って海へ出なければいけなくなる。
    これがチャグムの長い旅の始まりだった・・。

    あんまり書くとネタバレになるんですが、これはチャグムの「決断の物語」です。
    父親から憎まれ、勢力争いに巻き込まれ、民に期待され多くのものを背負わされ、自らの望まない路を歩まされるチャグム。
    そのチャグムはやっと、自分の命をつないでくれた人々の重さを実感し、背負おうと決心できる青年になります。
    さまざまな国の思惑、何が正しいのかわからない選択、どの道を選んでも絶望。
    こういう不条理な状況って、現実にもありますよね。
    それでもチャグムは不可能に思える路を見出して、自分の足で飛び出していく。その起点がこの巻です。

    解説によると、これ以降は歴史ものとしての色が濃くなるとのこと。
    それでも相変わらず一度手にとったらするっと先へ先へ読んでしまう魅力は変わらないし、寄せる信頼感は絶対的。
    とにかく上橋さんのファンタジーは景色が描けてるのが凄いんだよな。
    食べ物の描写、匂いの描写、風景の描写、全て目の前にあるようにくっきりと浮かび上がってくる。
    ファンタジーでこれ以上大事なことってあるんだろうか。

  • 守り人シリーズ7巻です。
    また一歩チャグムが成長し、頼もしいと思うと同時に、ほとんど無邪気な子供時代を過ごせなかった彼の過酷な運命をおもい、あらためて涙しました。
    本作は皇太子という立場の葛藤、父子の確執、国どおしの争い駆け引き・・・などなど問題山積みですが、今までよりは分かりやすい義が正しい形でしっかりあるので、(私の)気持ちが揺れ動かない分読みやすかったです。

    また、ラストシーン、まさしく蒼路へと旅立つ場面は鳥肌が立ちました。
    圧倒的不利な状況下でチャグムはどこまでやれるのか。今後バルサとの接触はあるのか。
    ドキドキです。

    そうそう、ラウム王子との駆け引きは意外とあっさり終わってしまい、そこだけが心残りでした。
    チャグムの真摯さも、ラウムの頭のキレのよさも使い切れてなーい!

  • チャグム、トーサ、ヒュウゴ。
    登場人物が魅力に溢れていて、素晴らしい。
    今までで一番好きかもしれない。(毎回思ってる節もあるけど)
    あっという間に読了しました。

    これから三部作なのですね。楽しみです。

  • どうしてこんなに素晴らしい物語が書けるのか。
    上橋菜穂子さんの小説は、心を豊かにしてくれる。
    幼く可愛らしい子供だったチャグムが、苦悩の中、誠実で、知的で、勇敢で、とても優しい人間に成長していく。どうかこの苦難を乗り越えて、チャグムが生きたいように生きられる未来に向かっていってほしい。

  • 今まだ読んできた中で一番好きだなぁ。
    物語が大きく動く予兆を感じさせる序幕といったところかな。

    チャグムの話は政に直結するだけに駆け引きとか色々な人の思惑が絡んで物語が進むので面白い。

    2016.1.2

  • またも、チャグム編。
    どんどん成長していく。彼もまた、流されるだけでなく自ら考え自ら成長していく人。
    チャグムのここでの成長が今後物語にどう作用していくのか楽しみ。
    そして今まで以上に多くの視点が表れてきた。それがどう交差していくのかも気になる。

  • 前回の旅人シリーズではチャグムの成長を実感しましたが、今回は成長を果たした彼の苦悩をヒシヒシと感じました。大人になるということ。帝になるということ。変わりたいこと。変われないこと。サンガル人たちと過ごしていたチャグムはとても生き生きとしていた。こんなシーンが、今後も見られたらと願わずにはいられない。

  • 少し前のtwのまとめですが(5/2)のせておきます。

    それから、今日は帰りの電車で……禁断の!……上橋菜穂子さんの“バルサ”シリーズの『蒼路の旅人』(新潮文庫)、一気に読んでしもうた。いやー、やばかった。俗に言うファンタジーなんですが、上橋さんの「守り人」は、ほんと染みてくると同時に「読ませる」から凄い。

    4年ぐらい前ですかねー。学生さんからお勧めの一冊つうことで紹介してもらったのが、上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』(新潮文庫)。元々ジャンルには拘りがないけど……日本だと「純文学以外全て糞」みたいなのがいますからw……読んでみて吃驚した。世界に通用するというか、本格的読み物と思った

    まあ、それもそのはずで、上橋菜穂子さん自体が、アボリジニの研究者で、『守り人』シリーズなんかは、設定としてはガチで「和製」ファンタジーなんだけど、「和」に「回収」されない沃野がある。と、同時に読ませるから、おいちゃん、愕いたよ。  http://www.shinchosha.co.jp/writer/3387/

    今回の作品……というか単行本発表はだいぶ前だけど……上橋菜穂子『蒼路の旅人』(新潮文庫)では、バルサは出てこず、チャグム皇太子が青年に。久しぶりに、国家と民族、文化と個人の生き方などを、「わくわくしながら」考えさせられた。こういうアプローチも大事だとは思います。

    かつて、『御宿かわせみ』シリーズで有名な時代作家・平岩弓枝さんが、自身の作品で年々に作中人物が成長していく様を「「年をとらないという不文律」からの逸脱」と表現したけど( http://thomas-aquinas.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/pst-86e2.html… )、上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズにも同じような臭いがある。


    上橋さんの作品について語りだすと止まらないので辞めますが、ホント、日本人は中身を見ないでジャンルだけで敬遠したりする傾向が強いけど、ほんとこれは無益だと思う。時代小説やSFにしたってそうだし(勿論駄作もあるけど)、直に触れるしかないですね。

  • いよいよ国家間の争いになってきた。
    帝はあるべき国の形を崩したくないとおもい、チャグムはこれからを見る。
    捕虜となりつつも考えることを忘れない姿には、はっとさせられる。
    トーサのいさぎよさ、美しさとチャグムの捨て身の勇気は生死の違いはあるが、美しいと思う。

  • 守り人シリーズの大きな魅力のひとつは、凄腕の短槍使いバルサのアクションシーンとナユグ(地域によってナユーグル、ノユークとも)というこの世と重なって存在する精霊の世界によって引き起こされる不思議な現象の数々でしょう。さらに、児童文学でありながらファンの年齢層が広い理由には、登場人物の一人ひとりの人生が細かに設定されていることから滲み出るリアル感だと思います。

    シリーズ全10巻のうち4巻目「虚空の旅人」と7巻目「蒼路の旅人」は、第1巻「精霊の守り人」に登場した新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを主人公とするスピンオフのような作品です。バルサの不在、皇太子を主人公とするという事から、この2作は政治物としての色合いが強くなっています。
    特に今回の「蒼路の旅人」は完全に政治物ですね。様々な人の思惑が複雑に絡み合い、これまでの「守り人」とは違った面白さがあります。しかも特筆すべきは、冒頭でも触れましたが、これが児童文学であるということでしょう。本当に分かりやすく書かれていました。

    ただ、やはり不満の残る点もいくつかあります。「何か問題を解決するために苦難を乗り越える」というのが、どんな物語にも絶対に大切な要素だと思いますが、その点が薄かったような気がします。もちろんチャグムはあれこれと苦悩の連続ですが、終始、「そうは考えつつも行動を起こす期を待ち、とりあえずは流れに身を任せる」という姿勢だったと感じます。物語を読めば、それらの行動はその状況で出来る最善の選択だと、理解は出来るのですが……。
    また、「蒼路の旅人」のトリガーとなる問題が「蒼路の旅人」内で解決されていない事も、読後の後味を悪くしています。これは、次の「天と地の守り人」に続くことを強く意識して書かれているからなのでしょうが、やはり、解決の糸口が僅かに見えたところで終わり、というのは何かもやもやが残ります。。

    「蒼路の旅人」はシリーズを通した壮大なクライマックス「天と地の守り人」三部作へと続きます。良くも悪くも、「天と地の守り人・タルシュ帝国編」といった印象でした。

  • 【再読】
    やっぱり「旅人」シリーズも面白い!いや、むしろこっちの方が好きかも…笑。丁寧に積み重ねられてきた世界観と大河ドラマは相性バツグン。この巻はクライマックスに向けての助走段階といったところで、展開はやや地味。でもこれからの物語への期待は十分に高めてくれるし、チャグムの葛藤や成長もじっくり読めるので、満足度は高い一冊だった。ひねくれた性格な自分はチャグムみたいなキャラクターを好きになれないことが多いんだけど、チャグムはただただ応援したくなる。本当に魅力的なキャラクターだと思う。まぁ、一番好きなのはシュガなんだけどね、、笑
    それと個人的な気付きが1つ。ファンタジーは好きなのに、ハマる作品が少ないのは何でだろう、とずっと思っていたけど、この本を読んでいてストンと理解できた。剣や魔法やドラゴンや…そういうのも良いけど、やっぱり一番は人間ドラマなんだな。存在しない世界で生きる人達に心を動かされ、一緒に道を進んでいる気持ちになれる、そこがファンタジーの好きなところだ。解説で挙げられていた作品もぜひ読んでみたい。

  • 風雲急を告げる。

    終盤への舞台は万端整った。

  • 強大な帝国の前で、国を、民を守るには、帝国の枝国となるしかないのか、本当に民を守れるのか、なんて厳しい決断が迫られるものか。結末は、作者の上橋さんは書いていてとても幸せな気持ちだったそう。このラストシーンが頭に浮かんで、一気にこの話を書き上げることになったのだとか。次巻の最終巻「天と地の守り人」につながる、続けて読まずにはいられない結末です。

  • ネタバレ。
    1巻のみだったので、サンガル王国のタルサンの助けを借りて、チャグム無事に帰還! みたいな展開かと思っていたら
    凄い壮大な展開に!!!

    次回作3冊なので、読みごたえありそうで凄く楽しみ。

    他の人も書いていたが、バルサはもちろん好きだがチャグムの回は色々な国が関わってきて、面白い。

    巻末で作者がバルトス・ヘップナーの2作を紹介。
    解説者大森望氏も
    指輪物語が三国志風。
    氷と炎の歌シリーズが戦国小説風。
    アルスラーン戦記とデルフィニア戦記も歴史小説風。
    と紹介。

    海外ものに疎いが、ジョージ・マーティン、読んでみようか。。。

  • 守り人シリーズ 6作目
    TVの「精霊の守り人 悲しき破壊神」では
    アスラの話しと同時進行していた。

    チャグム皇太子が帝に疎まれ 罠と知りながらタルシュ帝国に捕らわれ 決断を迫られる。

    新ヨゴ国の外から見た立ち位置がチャグムの肩にのしかかる。
    15歳の身で 本当にいろいろありすぎだろう。

    バルサは出てこないが、ヒュウゴやジン、世話係のルィンなど チャグムの魅力を引き立てている。

    逞しくなっていくチャグムの行方を早く読みたい。

  • 「虚空の旅人」では、タルシュ帝国とサンガル王国の戦いの火蓋が切られた所で終わっていた。
    そして今作の「蒼路の旅人」は、その後が書かれている。

    何故こうもチャグムには苦難が付き纏うのか・・・。

    「苦難を乗り越えて」は物語の王道だと分かっていても、読んでる方は「ここらでもう勘弁してあげてはくれまいか~」と思ってしまう。
    この先の「天と地の守り人」三部作は、更に苦難の道程なのはわかっている。ハラハラしながらも、この先のチャグムを見守っていきたい。

  • 今度はチャグムの苦渋に満ちた旅路と、その中での成長を描いている。
    タルシュ帝国の、周辺国を属国(枝国)にしながら併呑する、巧妙な手法が明らかになる。
    圧倒的な力の差を見せつけられ、一時は絶望しながらも、一縷の希望を見つけ、前を向いて進み続けるチャグム。
    ため息が出るほど、魅力的な主人公になってきた。
    さて、残りはあと三冊。
    次はバルサやタンダも出てくるのだろう。
    どうなっていくのか、とても楽しみだ。

    大勢の大人に守られて生かされてきたのに、自分は何もできていない、と考えられる人がいるとしたら、すごいことだと思う。
    このシリーズを読んできて感じてきたのは、恩送りの思想というべきものが、一連の物語の底に流れているのでは、ということだ。
    人を通して、もっと大きなものを描こうとしているのかなあ、と思う。

  • バルサ自体は大好きなんだけれども、チャグムの話の方が壮大さがあって面白い。この後どうなってしまうのか。早く読み進めたい!

  • たまたま旅人2作を連続して読んだのだけど、大正解。チャグムの成長、葛藤、良さが非常によく伝わってきた。
    それにしても彼は本当に過酷な人生を歩んでいるけれど、たまには逃げたくもなってるけど、どんどん周りを巻き込んで味方を増やして理想に向かって突き進んでいく。その姿がとにかく格好いい!
    素敵な読後感。

  • 守り人シリーズ第6巻。成長したチャグムは陰謀に巻き込まれるかたちで祖父が率いる軍へ同行する。期せずして単身タルシュ帝国と対峙することとなったチャグムは、その強大な国力と、枝国となった多くの敗戦国の現状を目の当たりにする。

    頭が良く、清廉で、真っ直ぐで、バルサのように熱い心を秘めた青年となったチャグム。バルサ達と旅をしたあの自由な日々に時折想いを馳せつつも、チャグムの意思とは関係なく“皇太子”としての運命が舞い込んできます。父である帝が君臨する自国・新ヨゴ皇国と、それを狙う大国タルシュ帝国。その狭間で否応でも成長せざるを得ないチャグムの複雑な思いが、苦しくもあり眩しくもあります。
    最終章への大きな布石となる本作。このままシリーズを突き進みます。

  • チャグムが主人公となり、国、住民を守るために奮闘していく。度重なる難題に降りかかるも、芯を貫き、住民を守りたい思いを第一に問題解決していく姿は心打たれるものである。同様に、チャグムの成長も感じられて良い。幾多の試練を乗り越え、その先に見える光、住民の思いを信じ、挫折してしまいそうになっても一生懸命頑張る姿が目に焼き付く。仲間を信じ、仲間もチャグムの負担を減らせるよう、互いに国や民を守るために邁進して欲しいと感じる。あとがきでファンタジーと時代物に通じる部分があるがそれを体感するようだった。

  • ずっと前にこれの前まで読んでたのを復活。解説にもあったけどこれ以前の”個”に焦点を置いた物語から”国”の物語にシフトしつつ、もちろんチャグムの成長譚でもあって、より獣の奏者や鹿の王に近い形で好み。

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蒼路の旅人 (新潮文庫)の作品紹介

生気溢れる若者に成長したチャグム皇太子は、祖父を助けるために、罠と知りつつ大海原に飛びだしていく。迫り来るタルシュ帝国の大波、海の王国サンガルの苦闘。遙か南の大陸へ、チャグムの旅が、いま始まる!-幼い日、バルサに救われた命を賭け、己の身ひとつで大国に対峙し、運命を切り拓こうとするチャグムが選んだ道とは?壮大な大河物語の結末へと動き始めるシリーズ第6作。

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