妻の超然 (新潮文庫 い 83-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101304540

感想・レビュー・書評

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  • 絲山さんの本は前にまとめ買いしたのでちょこちょこ読んでいるのだが、この手の「らしさ」というか毒が前面に出ている作品があんまり合わなくてつらい。なにかにつけ現れる不満、攻撃性が常に読書のテンションを下げてくる。
    巨人戦は負けた時の悔しさが尋常じゃないから見に行きたくないとかものすごくわかるし、「他人へのむきだしの善意と、社会へのむきだしの悪意」への不安、「その全てを見ていたいと思う」とか面白いと思うところはどの短編にもあった。妻の超然が敗北するところなどはやっぱり見事だなと思うけど、物語に回っている毒に疲れてしまうのが印象として強い。

  • 「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」から成る。前ふたつは、共感できたりと面白かったが、作家の超然は難しかった。何度か読めば理解できるのかなぁ。

  • 実験作?そこが目立ったのだけが少しだけ残念。
    「妻」と「下戸」が良かった。

  •  芥川賞作家の作品だと思いました。超然というのは手をこまねいて、すべてを見過ごすこと。栄えるものも、滅びるものも。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3話が収録されています。私は「作家の超然」が気に入りました。絲山秋子「妻の超然」、2013.3発行(文庫)、2010.9刊行。

  • 「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の三篇からなる中編集。

    恥ずかしながら私、「超然」という言葉を知らなくて。
    読む前に意味を調べました。

    で、「超然」とは、『物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま』という意味とのこと。

    夫の浮気に超然といようとする妻。
    超然とした態度を恋人に罵倒される男。
    そして病気に対して人生に対して超然としている作家。

    それぞれがそれぞれの問題に対して、どこか悟りを開いたような、一種諦めのような、そんな状況が描かれています。

    でも、なんだろうなー。
    それって、自分の本当の感情を抑えようとしてるだけなんじゃないかなー。なんてことを、読みながら思ったりしました。

    私は、夫が浮気したら怒り狂うだろうし、恋人から理不尽な要求をされたら喧嘩になるだろうし、病気になれば毎日ほろほろと泣いて過ごすだろうし。
    それが、一般的な人間の素直な感情だと思います。

    でも、ふと思ったのは、感情を露わにして生きて行くのは楽なんだよなー。ということ。
    「下戸の超然」の彼女のように、そして怒り狂い喧嘩をしほろほろ泣く私のように。

    超然でいること。つまり何事にも無関心でいることって、多分、きっと、すごくエネルギーが必要なことなんですよね。

    無関心でいつつ、でもどこかで期待もしつつ、だけどその期待を裏切られた時、大きな傷を負わないように、心のバランスを保っている。それが「超然」なのかなー。
    というのが、絲山作品三作目の私の解釈でした。

    それにしても「作家の超然」はすごく難しかったー。
    勉強して出直してきます

  • 世評は高い作品ですが、どうも楽しめませんでした。
    とても文学的。でも、私にはチョット過ぎるようです。
    裏表紙に『「超然」とは何かを問う傑作中編集。』と書かれている通り、「超然」がテーマなのでしょうが、その「超然」と私の相性が悪いのでしょうね。
    まあ、そういう事も有るさ、と読了。

  • この著者の本は初めて.
    歳をとるごとに諦めが人生を覆い,超然とならざるをえなくなる.そうならないためには膨大なエネルギーがいる.
    そういうことを実感してしまうと,この小説はやりたくもない復習をしている感じ.そういう気持ちにさせてしまうほど,うまくかけてることなのかも.

  • 2014.3.12読了

  • 妻の超然、下戸の超然までは、面白く読んだ。

    でも、作家の超然がよく分からないまま終わってしまった。読後感はいまいち。

    下戸の超然、女性の身勝手さがすごくうまく描かれている。まるで自分を見ているかのようだった。

  • 読んですがすがしい気分にはならない。
    だけどそれも、現実に近いものかもしれないな、と。
    そんなところに魅力を感じた。

著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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