残虐記 (新潮文庫)

  • 2102人登録
  • 3.37評価
    • (114)
    • (273)
    • (463)
    • (93)
    • (24)
  • 314レビュー
著者 : 桐野夏生
  • 新潮社 (2007年7月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101306353

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
石田 衣良
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印

残虐記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 桐野ワールド全開。超長編でもなく、大作でもないのだけれども、
    ずっしり重くて息継ぎが出来ない感じ。
    同時にテンポが良いので、途中で置くことも出来ない。
    そして読み終わったときには、なんだかとてつもない
    体験をしたような、ある種爽快感を覚えるような、
    要は「小説を読む愉しみ」をしっかり味あわせて
    くれる。

    これはもう、好き嫌いがわかれるだろうな。
    予定調和的な小説、本格推理小説、はたまた文字通り残虐なものを
    求めるひとたちにはみな、期待外れに終わるだろうし。

    もちろん、現実に起きた新潟の監禁事件を想定して読めばあっさり
    裏切られるし。

    でも、わたしにとっては大好きな桐野夏生の、なかでもお気に入りの作品に
    なった。
    一体どこに連れて行かれるのかわからない痺れる感覚。
    整合性が取れていないことへの違和感、不安な感じ。
    それら全てが一転して見事に「愉しさ」に変わる瞬間の、幸福感。

    これぞ桐野夏生。
    これぞ小説または物語。
    これぞ人間だけが味わえる悦楽。

    そんなことまで考えさせてくれる、面白い小説でした。

    前後して発表された「グロテスク」や「魂萌え!」が話題を集めたのに
    比べると、題材のダークさやボリュームなどから若干影が薄いようですが、
    それでもきっちり柴田錬三郎賞は獲っていました。さすがだ。

    これからも何度も何度も読み返し、そのたびにざわついた違和感と
    置いてけぼりを食らうほどのビートに酔いしれることでしょう。

  • 10月1日 読了

    何層にも謎が深まっていく。よくできた構成。
    この世で一番残虐なもの・・・それはヒトの想像力。

  • 10歳の小学生が25歳男性に1年間拉致監禁された。
    事件後、加害者も被害者も何も語らないため、「真実」が明かされずにいた。

    「真実」とは何か?

    それは、それぞれの人がその瞬間に感じた「何か」であり、他人とは共有するものが出来ないのかも知れない。

    本作は被害者が「真実」を想像して書かれているのだか、それはあくまでも事件後25年を経過した後の被害者にとっての「真実」であり、事件当時の「真実」とは相違しているのだろうか?

    人間はそれぞれの想像の中に生きているのか?

  • 人間の想像力。その救いと残虐性、嘘と真といった相反するものが混淆した作品。最初はただ単に監禁される胸糞悪い話しか思ったが次第に変容していき、最後は不思議な読後感が待っている。人によってはすっきりしなだろうし、個人的にも絶賛するほどではないあやふやな感じだったので星三の評価をつけたが、この評価もまたどちらにもいきようもない本書にはしっくりきてるのかもしれないと思った

  • 2017.8.16-65
    少女誘拐監禁事件の被害者である小説家の手記・・今ひとつ消化不良

  • 参りました。とんでもない小説でした。「多層化した「柔らかな頬」」というか、「和風「ユージュアル・サスペクツ」」というか。何が事実か、どう本格か、を軽く超越して「うーん、残虐!」と言うほかない、のが圧倒的。しかもグロ表現を一切使わずに。すごいすごい!実際の猟奇事件から着想を得ているという点では「グロテスク」同様だが、本作のほうがはるかにオリジナル。脱帽です。

  • ■ 1678.
    <読破期間>
    2016/10/16~2016/10/18

  • 桐野夏生は、3冊目・・・だったかな。
    他2冊はたしか、「柔らかな頬」「東京島」だったかと。

    う~ん。
    結局、真実は読者にも夫にも編集者にも分からずじまいだったというのが少々モヤモヤとするところが、まあ、ミステリ小説なわけでもないし、それはそれでアリなのかも。

    こうして描かれる種類の「男の性欲」とは、なんと醜く気色悪いものなのだろう(苦笑)。

    性犯罪報道を通して被害女性へ向けられる好奇の目・・・は、おそらく作中での描写がかなりいい線をついているのだろうな、と。
    好奇心むき出しに、それこそ性的な関心として目を向ける者はもちろんとして、そうではないつもりの者にとっても、その種の好奇心はきっと内在しているのだろうな。

    ※女児監禁事件、女児軟禁事件、家出女児を住まわせ事件・・・などが、ここ2~3年でいくつか立て続けに話題になったが、さて、その裏には・・・という想像も、ついつい働いてしまうのが哀しいね。主人公も語っているように、皆が「想像」してしまうことのないように、そういった事件の報道のあり方は改善されていくべきだと感じた。

    ★3つ、7ポイント。
    2016.12.05.図。

  • 著名な女流作家が失踪する。彼女の夫は残されていた彼女の作品を担当編集者へと送付する。それは彼女の過去に基づいた作品。少女誘拐監禁事件の被害者にされた彼女自身の実体験を書き記したものだった――。

    桐野夏生を見直した一冊。
    胸くそ悪い。ほんとうに嫌な気持ちにさせられる。これがもし自分や自分の家族の身に降りかかった不幸であったら……と想像するだに恐ろしい。緻密かつリアルに書き込まれた心理描写の連続に、これはまさしく桐野夏生自身の実体験に基づいた作品ではないのか?と戸惑うと同時に疑わずにはいられなかった。
    事実関係は一つだけ、誰から見ても返ることの出来ない現実でしかない。それでも真実はそうじゃない。それを見詰める者によって様々に変化してしまう、幻想を含んでいる。他者との関係性がその真実に歪みを生み出し相互理解を不可能なものへと変えてしまうのだろう。

  • 小学4年生のときにケンジという男に誘拐され1年間監禁された経験を持つ女性作家が、そのときのことを手記に残して失踪する話。

    『残虐記』というタイトルからイメージするほどエグい内容ではないけど、我が子に置き換えるとこれほど残虐なことはないかな……

    想像力は、ときに人を幸せにし、ときに人を不幸にする。人間に限りない想像力がある以上、そこからは逃れられないよね。

  •  『グロテスク』が良かったので読んだ。
     誘拐監禁事件を経験した少女が、周囲の「性的暴行を受けたに違いない」という"期待"の目を意識するという感覚が面白かった。
     しかしこの小説は、モデルになったと思われる実際の少女誘拐監禁事件をベースに読まないと意味が無いかも。事件のことを意識して読まないと、「…どーゆーこと?」って感じで滑っちゃう。
     私は読み終わってからあの事件がモデルだって知って「あーあーなるほどねー!」ってなった。いや、あくまで、フィクションなんだけど。

  • 興味本位で読んでしまいましたが、後味は悪いです。
    気持ち悪いです。
    桐野さんの作品は興味深いものが多いけと、読んだ後はこんな感じになるものが多いような気がします。

  • P244
    2004年 柴田錬三郎賞 受賞作品。

  • 久しぶりに読ませる本に出会った。

    性と暴力が、とある煽り文を読み、いろいろなことを想像しつつ購入したが、思ったより事件の内容自体はライト。だがこのわたしのこの、読む前にした想像というものは、そのまま物語内で解放された主人公が浴びた周りの人の視線、その視線に含まれた、ある一般的とも言える想像と同じものなのだろうと思った(「景子ちゃんは男の人にむりやりいやらしいことをされた、とお母さんが言ってました。」)。

    いくつかの謎が明かされぬままに、この物語は終わる。
    想像で始まり、想像で終わる物語。どう読み解いていくかは自分次第。しかしその自分なりの解釈は真相が明かされない限り、周りの人の視線とその想像と同じであることを、わたしたちは忘れてはいけない。

  • 一気読みした一冊。
    本当にフィクションなのか…
    作者の想像力とそれに費やした労力を思うと泣けてくる。
    ブックオフで100円で買ってごめんなさい!!

  • かなり丁寧に作られたと感じた。あとがきまでも読んでしまった。それも謎を残したまま。その謎が読者に託された形で終わるけど、ぜひ知りたい。彼女はどこに行ってしまったのか。それからどうなったのか?
    登場人物、光景も少な目、物語も単調といえば単調。それだけに想像力を働かせなければならない。でもそれは彼女を苦しめる。でも彼女は自分もその想像力で毒の夢を見る。

  • 冒頭、出版社に送られてきた失踪した女流作家の夫の手記から始まる。この作家、10歳の時に誘拐され一年監禁されていた事実があり、いきなり嫌な気分が重く伸し掛る。何が残虐か?単に監禁された事だけではない凄さがこの本にはある。少女と誘拐犯しか分からない特異な感情。"可愛い小さなもの"を欲する大人の男の性的妄想。また少女を取り巻く大人の身勝手で上辺だけの行為。全ての人間が残虐性を持っている怖さがある。結論も出ずモヤった終わり方に、"なんだかなー"と阿藤氏も嘆いたに違いない。合掌。

  • 2015.9.24 読了。

    10歳の女の子を一年間監禁する話。

    ひたすら鬱っぽく暗い…

    人の想像力は怖い…

    一年間監禁されたのに犯人を愛せるの?

  • 幼児監禁
    広島のジャパレンで10¥で買った

  • 誘拐の真相、重くて、小学生が抱えるのはとても辛いと
    引き込まれるも、終盤で真実ではないかもと
    曖昧にされるとさめてしまった。。

    嫌いな夢オチに近い感覚。

  • 本人不在だからこそ明かされた真相だが、核心部分に触れぬまま手記が編集者に送られる。
    事件の核心部分の真相は闇の中でありながら登場人物の誰にも救いがない。
    実際の事件にインスピレーションを得て書かれたものであろう。
    被害者に対しての世間の人の無責任にむき出しの奇異の目がいちばん恐ろしい。

  • 小さい頃誘拐監禁された少女のお話。主人公が嫌った「好奇心の目で見る周囲の人達」と同じ好奇心で、何があっのかを知りたくて読み進めてしまいました(;・∀・)歪んだ心が生み出した世界は真実なのか嘘なのか分からないけれど、つい読み進めてしまう。嫌な気分になったり反感を持ったりしつつも闇を覗き込む好奇心は止められなかった。ε=(ノ´Д`)ノ2015.04.21読了

  •  話は一人の作家の女の人が行方不明になるところから始まっていて、その行方不明を知らせる手紙を夫が編集者に書いたことから始まる。
     その中身は衝撃的で、実はその作家の女性は少女誘拐監禁事件の被害者の女性だったとうことが明かされる……。
     作家が事実だと言って書いた手記の内容は果たして本当なのか、そうじゃないのか……? 衝撃的な内容とその結末は……?

     という話でした。

     個人的に、OUTでショックを受けた桐野さんの本ですが、なんだかイマイチな本もあって、よかったり悪かったりが激しいんですけど、個人的にはやっぱりこういう系が好きだなあ……と思いました。
     とにかく生々しくて、おまけに最後には何が正しくて何が間違ってるかわからないというおまけ付き。

     彼女が書いたのが本当に手記なのか、それとも小説なのか、それさえもわからない。
     何処までが本当で何処までが嘘なのかわからない後味の悪さが、この小説のいいところだなあ……と思いました。

     とりあえず、えぐくてえげつない小説が大好きな人にはオススメします。

全314件中 1 - 25件を表示

残虐記 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

残虐記 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

残虐記 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

残虐記 (新潮文庫)の単行本

ツイートする