残虐記 (新潮文庫)

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著者 : 桐野夏生
  • 新潮社 (2007年7月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101306353

残虐記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 桐野ワールド全開。超長編でもなく、大作でもないのだけれども、
    ずっしり重くて息継ぎが出来ない感じ。
    同時にテンポが良いので、途中で置くことも出来ない。
    そして読み終わったときには、なんだかとてつもない
    体験をしたような、ある種爽快感を覚えるような、
    要は「小説を読む愉しみ」をしっかり味あわせて
    くれる。

    これはもう、好き嫌いがわかれるだろうな。
    予定調和的な小説、本格推理小説、はたまた文字通り残虐なものを
    求めるひとたちにはみな、期待外れに終わるだろうし。

    もちろん、現実に起きた新潟の監禁事件を想定して読めばあっさり
    裏切られるし。

    でも、わたしにとっては大好きな桐野夏生の、なかでもお気に入りの作品に
    なった。
    一体どこに連れて行かれるのかわからない痺れる感覚。
    整合性が取れていないことへの違和感、不安な感じ。
    それら全てが一転して見事に「愉しさ」に変わる瞬間の、幸福感。

    これぞ桐野夏生。
    これぞ小説または物語。
    これぞ人間だけが味わえる悦楽。

    そんなことまで考えさせてくれる、面白い小説でした。

    前後して発表された「グロテスク」や「魂萌え!」が話題を集めたのに
    比べると、題材のダークさやボリュームなどから若干影が薄いようですが、
    それでもきっちり柴田錬三郎賞は獲っていました。さすがだ。

    これからも何度も何度も読み返し、そのたびにざわついた違和感と
    置いてけぼりを食らうほどのビートに酔いしれることでしょう。

  • 10月1日 読了

    何層にも謎が深まっていく。よくできた構成。
    この世で一番残虐なもの・・・それはヒトの想像力。

  • 10歳の小学生が25歳男性に1年間拉致監禁された。
    事件後、加害者も被害者も何も語らないため、「真実」が明かされずにいた。

    「真実」とは何か?

    それは、それぞれの人がその瞬間に感じた「何か」であり、他人とは共有するものが出来ないのかも知れない。

    本作は被害者が「真実」を想像して書かれているのだか、それはあくまでも事件後25年を経過した後の被害者にとっての「真実」であり、事件当時の「真実」とは相違しているのだろうか?

    人間はそれぞれの想像の中に生きているのか?

  •  初出は『週刊アスキー』2002年2月5日~6月25日。初版は新潮社、2004年刊行。
     谷崎潤一郎の同名小説にインスパイアされたという一作は、小学4年生のときに1年間にわたって誘拐・監禁された一人の女性が、自己の体験と記憶を振り返りながら、みずからの裡に潜んでいた欲望と出会い直していく物語。解説の齋藤環は、谷崎の同名小説とつなげたエッセイを書いているが、谷崎テクストで強いて似たものを探せば、むしろ『卍』だろうか。閉じこめられた心はいつしかその閉鎖空間に泥んでしまい、その中で生き抜くことができるよう最適化されてしまう。その意味で、作中作としての「残虐記」の中で、検事・宮坂が〈新興宗教に奔った母親に鉈で左腕を切りおとされた〉人物と設定されていたことはとても興味深い。また、作中冒頭、ケンジからの手紙が作家となった景子に届くところ、二人がひそかな共犯関係を取り結んでいくところなど、むしろ乱歩の『人間椅子』を思わせる物語でもある。

     物語作者としての桐野は、ひじょうに魅力的な舞台と設定を準備できる一方で、物語を動かしてその設定をズラし、生かしていくことが不得手な書き手という印象がある。おそらくこの作は、この「短さ」ゆえに成功している。桐野の本領は、ひょっとしたら長篇ではないのかもしれない。だとすれば、その点がいちばん谷崎的なのかも。

  • 2017年11月26日読了。
    2017年104冊目。

  • 人間の想像力。その救いと残虐性、嘘と真といった相反するものが混淆した作品。最初はただ単に監禁される胸糞悪い話しか思ったが次第に変容していき、最後は不思議な読後感が待っている。人によってはすっきりしなだろうし、個人的にも絶賛するほどではないあやふやな感じだったので星三の評価をつけたが、この評価もまたどちらにもいきようもない本書にはしっくりきてるのかもしれないと思った

  • 2017.8.16-65
    少女誘拐監禁事件の被害者である小説家の手記・・今ひとつ消化不良

  • 参りました。とんでもない小説でした。「多層化した「柔らかな頬」」というか、「和風「ユージュアル・サスペクツ」」というか。何が事実か、どう本格か、を軽く超越して「うーん、残虐!」と言うほかない、のが圧倒的。しかもグロ表現を一切使わずに。すごいすごい!実際の猟奇事件から着想を得ているという点では「グロテスク」同様だが、本作のほうがはるかにオリジナル。脱帽です。

  • 2017.02.10

  • ■ 1678.
    <読破期間>
    2016/10/16~2016/10/18

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