東京島 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101306360

感想・レビュー・書評

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  • 以前から気になっていた「桐野夏生」の『東京島』を読みました。

    「桐野夏生」作品は初めて読んだのですが、、、
    過激な性描写に驚いてしましました。

    本作、性描写が苦手な方は避けて下さいね。

    -----story-------------
    32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は「清子」ひとりだけ。
    いつまで待っても、助けの船は来ず、いつしか皆は島を「トウキョウ島」と呼ぶようになる。
    果たして、ここは地獄か、楽園か?
    いつか脱出できるのか―。
    食欲と性欲と感情を剥き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読者の手を止めさせない傑作長篇。
    -----------------------

    12月に読んだ『無人島に生きる十六人』が、清く正しく理想に近い漂流モノで、非常に魅力的に描かれているのに対し、、、

    本作は、漂流した人々のエゴや欲望が剥き出しになっていて対極の作品でした。

    漂流した人々が目的を持ち統率のとれた航海をしていた船員達と、仕事から逃げ出した自分勝手な若者達という違いと、リーダのリーダシップの違いが、この差になっているんでしょうね。

    一緒に漂流するなら『無人島に生きる十六人』のメンバーと一緒に漂流したいなぁ… と素直に思いました。

    「清子」は特殊な例なのかもしれませんが… 極限状態に置かれた際の女の強かさ、そして男の弱さを感じましたねぇ。
    「桐野夏生」が描きたかったのはコレなんでしょうね。きっと。

    「木村多江」主演で今年映画化されるようですが、この世界を映像化するなんてムリだよなぁ。
    きっと、相当脚色されるんでしょうね。




    でも、本作って、「アナタハン島事件」という実話をもとに着想されたらしいんですよね、、、

    南洋の島アナタハンに漂着した30人の男とそこにいた一人の女性… その女性を巡って殺し合いを始めたという事件が、実際にあったらしいです。

    怖いなぁ。

  • 無人島にたどり着いてのテーマは好き。女性作家ならではの視点もあり面白く読めた。

  • 桐野夏生さんの描写が鮮明で大好きなんだけれども、いささか鮮明すぎた。
    しょうがないんだけど清潔でない描写が生々しくてちょっとつらい

  • 無人島に漂着した人々。女は一人。絶海の孤島で起こる戦慄の出来事。作家の想像力は計り知れない。

    アナタハン島の事件を現代に置き換えた小説。夫と二人、ヨットで遭難し漂着した無人島にブラックな労働環境を脱走してきたニートたち、それに構想の末無人島に置き去りにされた中国人たち。

    シャーレの中で培養されるバクテリアさながら一人の女を巡る争い。登場人物の人生、主観が交錯するグランドホテル形式の群像劇。

    見栄と欲望、人間性を失っていく人々。

    ノンフィクション好きの自分には、事実を超えた恐ろしい展開が新鮮。事実は小説よりも奇なり、というが作家の想像力は事実を超える。

    最後まで終始目の話せない展開。ラストまで全く隙のない緻密な構成。
    怖いもの見たさで読む価値が大いにあります。

  • 無人島に様々な人が漂着し壮絶に紆余曲折しながら生きていく話。最後の章のタイトルは有人島となっていたが、正確には最初の夫婦が漂着した時点で有人島ではある。島生まれの人が出来た=人が定着したという定義なのだろうか。有人島の定義について考えた作品。

  • ひとこと つまらん

  • 皆さんご存知であろうこの作品。

    えーと、何人だっけか。。確か32人の無人島生活を描いた作品。
    その中でも女性が一人という奇抜な設定。

    本作のような状況になったら自分はどうなるだろうと真面目にも思いました。

    自殺する者。
    発狂する者。
    現実逃避する者。
    支配をたくらむ者。
    諭す者。

    作中の人物にも色々な行動を取る人がいたけど、自分はどれに当てはまるか。。。
    結局その状況にならないと分からないと思ってすぐ考えるのをやめましたけどネ。

    物語的には、どうでしょう?
    途中多少冗長になるので飽きそうになったけど、ところどころ巧い表現が散らばっていて、感心しつつ、でも結末含めて少し期待外れだったような。
    グロい表現が結構多いので要注意。そりゃそんな状況だったらグロくもなるか。

    それでも、人間は卑しくも逞しいと痛感する作品。

  • 作り上げてきた社会や文化という枠組みが無くなった時、人がどう変化していくか。その様が生々しく描写されていた。
    勝ち組の夫の妻で多少の不満がありつつ不自由なく生きてきたであろう女。決して社会の中でうまくやってきたとは言えない若い男たち。無人島という環境下で既存の枠組みから解き放たれ、個々の核となる心理が鋭利化する。

    登場人物は正直全員特殊過ぎる設定で、現実味はないように感じた。無人島やそこに行き着く過程も現実離れしていて、サバイバルとその環境下の人間模様ものだと思って読むと、ズレを感じてしまう。

    人物のパーソナルな部分に焦点が多くて当たっており物語の先が気になるようでならない。

    好みではなかった。

  • 漂流した人それぞれの話。
    たんたんと話が進み、波はなかった。
    最後の展開は面白かった。

  • もっと現実的なサバイバルをする物語と勝手に思って読んだのだがちょっと違った。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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