五千回の生死 (新潮文庫)

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著者 : 宮本輝
  • 新潮社 (1990年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307084

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五千回の生死 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 島田「優しくなったらいいんだよ。優しく、優しく、人間がみんな、やさしーくなったら、それでいいんだ。そうなったら、世の中の難しい問題なんて、みんな解決するぜ」
    私「どうやって、人間全部が優しくなるんだ」
    島田「そんなことは不可能だ。お前、いまそう思っているだろう」
    私「思ってるよ。当たり前だろう」
    島田「ところが俺は、不可能じゃないと考えている。それ以外に解決の道はないんだ。こんなこと組合の連中に言ってみろ。俺は吊しあげられるぜ。反動分子、日和見主義者、戦いの苦しさから逃げようとする臆病者。組合だけじゃないよ。世間もそうだ。鼻で笑って、あいつは馬鹿だって言われるさ。ガキみたいなこと言うな。だけど、これが、誰に何と馬鹿よばわりされようと、曲げられねェ俺の考え方なんだ」
    そういえば、同期入社の連中の中で、この島田が一番優しそうな顔をしていたっけ。私は世界中の人間がみんな優しくなっている光景を想像した。私は島田に右手を差しだし、
    「俺は、お前を好きだったんだ」「そうだよ。みんな優しくなりゃいいんだ。簡単だ。お前の考え方は正しい。俺だけは支持するぜ」「お前が、いま、世界中の人間がみんな優しくなった場面を空想して、この島田の野郎の考え方は正しいと、心から思ってくれたってことが、判った」

  • 生と死を書いた短編集。

  • スガシカオさんが薦めていたので読んでみた。いつもの習慣で寝る前に読み始めたら、冒頭の「トマトの話」にすっかりやられた。はっきり言えば、最初からオチは見えていた。なのに打ち抜かれてしまった。おかげで午前3時まで眠れなくなってしまい、いま寝不足です。

  • どこか切ない短編集。
    トマトの話が印象深い。

  • 昔の大阪はほんとにここまで濃かったの?じっくり味わえる作品がいくつも。

  • 一発目のトマトの話でもうやられる

  • 暗喩,隠喩がよくわからず。

  • じっくりどの作品も味わえる。1日1品読んでじわじわ楽しんだ。それで正解だった。『トマトの話』『五千回の生死』詩の題名みたい。もちろん内容も納得の作品。

  • どの短編も,昔の大阪のぐっと濃い部分っていう印象,独特のにおいがする。
    ずっと読んでいるとちょっと息苦しかった。

  • 2014.3.18ー16
    表作他、トマトの話、バケツの底等の9編。

  • たまらんものがある

  • 九つの短編

    トマトの話
    トマトをほしがったけれども そのトマトは食べられることなく
    吐いた血の海に 転がっていた。
    映像的に 鮮やかな赤が 思い浮かぶ。

    死んだオトコに 手紙を託されたが なくしてしまった。
    そのオトコの手がかりになるはずだったが。
    みとるものや 親戚もなく 知り合いもなく 死んだオトコ。

    眉墨
    ガンであることがわかった 老いた母親が 
    熱心に 眉墨をひく。
    オンナとしての矜持を まばゆく見つめる息子。
    流転の海の 母親 の姿が だぶる。


    小学校に通学するのに 心配する母と父。
    ハラハラしながら 尾行する 母親。
    流転の海では 父親が 尾行したはず。

    五千回の死
    死にたいと 1日に5千回も 想う。
    大切な ダンヒルのライターは コートの中に 忘れてしまった。
    奇妙な夜の 体験。

    アルコール兄弟
    場末のバーでの話。

    復讐
    3人の悪ガキが 高校時代にいじめた先生を
    どう懲らしめるか を考え実行した話。
    3人のうち 二人は 退学処分。
    自分は 高校を無事卒業し、大学もでて 就職している。

    バケツの底
    土砂降りの雨の中 パイルがあけた穴を 塞ぐ。

    紫頭巾
    北朝鮮に帰るひとの 周辺で起こる物語。
    流転の海に つながる。

    昆明 円通寺街
    円通寺に住んでいたことがあるので,描写の中から あの辺りかな
    と想ったりした。
    中国の猥雑な雰囲気が醸し出される。
    うなぎを売る場面があるが その頃のうなぎは 田鰻かどじょうだと想う。

    流転の海につながる 短編が 3作あり,
    それが 核となって 長編の流転の海となった。

  • しにとうなってきたあ、が印象的。
    異常ではあるが、わかるなあ。日に五千回ぐらい死にたくなるのもわかるなあ。
    そんだけ精神的な生死を繰り返してたら、生き返るのが楽しくて止められなくなるだろう。一瞬でもいいから、生き返る瑞々しさを味わってみたい。

  • 一話のページ数が短いので、読みやすいのですが、後味がいまいちでした。
    いくつか「これ長編で読みたいなぁ」というのもあります。

  • やっぱり短編上手だなー。すごいなあ。短い文章だけど、一つ一つが深い。小説読むっていいなあ、と思わせる本だなと思います。

  • 何とはなく手にして読んでみたが、なかなかよろしいかと。
    宮本輝っておそらくあまり読んだことはないはずなので、あくまで単なるこちらの思い込みなのだが、良い意味で裏切られた感じ。
    絶妙の間合いをもって「闇」が描き出されている。
    まさに寸止めな感じで読者に作品を委ねる(意図めいた)構図も好印象。
    酷暑&体調不良という悪条件にもかかわらずこの感じなので、良い季節で体調が普通であればもっと良い感想を持ったに違いないです。

  • 亡くなった父親の遺品であるライターを親友に買ってもらうため、片道の電車賃だけを持って出かけた主人公の大学生。
    所が親友には会えず、家までの遠い道のりを歩いて帰る事になる。
    途方にくれ歩く主人公は一人の「けったいな男」に出会う。
    その男は「俺、一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりするんや」と言う。
    主人公は男の漕ぐ自転車の後ろに乗り、男が死にたくなったと言えば自転車から飛び降り、生きたくなったと言えば自転車に乗る事を繰り返す。

    生も死も呼吸と同じで、意識してするものじゃない。
    そんな事を一日五千回も繰り返していたら私なら頭がおかしくなりそう。

    男は一度主人公に「お前、今は死にたいのか?生きたいのか?」と聞かれ、「どっちでもないんやなァ」と答えた。
    「三年前までは、どっちでもよかったからなァ」と。
    普通ならしない事を三年間繰り返した男。
    いったい何があったのだろう・・・。
    そして五千回の生死とはどんな意味があるのだろう?

    そんな男と過ごした短い時間の中で大学生の主人公は何を感じたのか。
    その後失った以上のものをこの男からもらったのではないか?と私は思います。

    アルバイト先の飯場で出会った「トマトが欲しい」という寝たきりの男性から手紙を託される大学生の話。(トマトの話)
    幼い頃置屋で働き、苦労した母親が寝る時に必ず眉墨をつけるという話。(眉墨)
    はその登場人物の過去や背景にあるものを考えてしまいました。

    幼い日の主人公が初めて一人で登校した時の回想(力)
    会社の組合紛争の話(アルコール兄弟)
    暴力教師に復讐をする話(復讐)
    バケツの底のような場所で必死で働く男性の話(バケツの底)
    他2篇。
    作者が7年の歳月をかけて書かれた全9篇の短編集です。

  • 復讐が良かった。復讐の詳細について、もっと書いて欲しい気もしたが…

  • ”1日に五千回くらい、死にとうなったり、生きとうなったりする”男との奇妙な友情を描いた話のほか、命をテーマに9つの話を描いている。時に滑稽で時に切ない短編集

  • 何編かは長篇で書いても面白そうなものもあったが、基本短篇なので少し物足りない。

  • この本、確か三読目。9つの話からなる短編集。何れも短編の妙味を玩昧できる。とりわけ「眉墨」。年老いた母親が死の病の影に怯えながら、就寝前にせっせと眉墨をひく手を休めない様子を眺める息子。その描写は、あたかも一幅の淡墨画のような美しさをたたえ、生命の持つ逞しさと儚さが合わせ鏡のように映る。いずれの話も、幼少・青春・社会人、そして大人となりその世代において鮮烈な思い出もあれば、過酷な忘れ難き体験もある。それらを持て余しながらも、人生という歳月が「力」を与えているんだということを教えてくれる珠玉の短編集。

  • 授業の課題で読みました!
    普段はラノベを読んでいるので、新鮮でした。
    ただ、純文学的なものを読み慣れていないので、ラストとか「そこで終わるのか…」と思う所がしばしばあったり。
    しかしこれは僕が力量不足なだけであって、作品自体はおもしろかったです。
    特に「トマトの話」と「五千回の生死」、「力」などなど。
    最後の話も結構すきです。
    レベルアップして、こういうお話をもっと楽しめるようになりたいなあと思いました。

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