- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101307084
感想・レビュー・書評
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月並みな表現だが「生きる」と「死ぬ」がすぐ隣り合わせに存在しているという抗えない現実。
成熟社会は合理性・簡便性・情報の透明化を優先しているが、人間そのものの複雑さは普遍的なもの。
生きることに必然である困難や理不尽を特別なものとして描くのではなく、そこここにあって当たり前の体で描く。
憎悪、嫉妬、未練、後悔、逡巡など本来自分で認めたくない弱くて醜い部分が登場人物たちの一片となる。
頑張っても報われないし、想っても望みは伝わらない。
暴力も略奪も搾取も日常。
描かれる時代背景は一昔前だが、人間の本質は早々容易くは変わらない。
そこに私自身への許しを感じるから宮本輝さんの作品に時折手を伸ばすのかもしれない。
どの短編集も結末後どう受け取るかは読み手次第。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一発目のトマトの話でもうやられる
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たまらんものがある
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宮本輝、本当に凄いな。宮本輝が40歳かそこらん時に書いた短編だと思うけど、えづいたよ、、、
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大学時代に読んだはずなのにほとんど記憶になく再読。
「え?終わり?」と思うような終わり方の作品が少なくなく、あのシーンの意味は?と考え込んでしまうことも多かった。
読み手に思考の余白が残されている作品構成が、人は分からない世界の中で迷いながら生き続けていくものであると言っているように感じた。
作品全てに死が差し込まれていて、自覚するしないにかかわらず死は生き続けようとする人の近くに常に存在しているものだのだということも再確認した。
まだまだ咀嚼しきれていないので何度か読んでみたい。 -
情景がありありと目に浮かび、心にグサグサくる素晴らしい文学。「死にたい」と「生きたい」が交互にくる現象を「お前はどうや?」って人に確認したくなるの、すごいわかる。1日に五千回もきてるかはわからないけど、わかる
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トマトの話と、五千回の生死が素晴らしい
しばらく宮本輝を読んでいこうと思う -
「トマトの話」が妙に印象に残っている。
作者の叙情的感性に酔わされた。