- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101307183
感想・レビュー・書評
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坪木と佐伯の関係性の変化が良かった。一方で説教くさく古臭いと感じてしまうのは、私が未熟なせいだろうか。数年後にまた読み返したいと思う本だった。
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不器用でも真面目で一途で、誠実な主人公仁志は佐伯にその人間性を認められる。
物語の中では、佐伯の理不尽な要求にも葛藤しながら丁寧に応えていく。それは、仁志が佐伯に対して、どこかで憧れを抱いていたからだと思う。
佐伯と過ごす時間が増えるにつれて、仁志の魅力が引き出され、磨かれていくように感じた。
読んでよかった。 -
『青が散る』に心を揺さぶられて以来、宮本作品を続けて読んできたけれど、やっと『青が散る』と同じ空気感をもった作品に出逢えた気がする。
主人公は、弱いところもあるが、純粋で真っ直ぐな心をもった一人の青年。佐伯老人との出逢いを機に、人生の目的を見いだしていく。
『青が散る』の燎平が辰巳教授に導かれたように、主人公の仁志は佐伯老人に導かれる。
純粋な、それでいてまだ自分の道を見定めていない青年を、厳しく温かく見守る、人生の先達だ。
見えないものを見ようと努力する。自分を磨くには、働いて働いて働き抜くか、叱られて叱られて叱られぬくこと。人生の本当の勝負は三十年後から。
辰巳教授の言葉が多く印象に残ったように、佐伯老人が仁志に投げかけた言葉が心に残っている。
事件や病気など、「できごと」を核にした作品は、ドラマチックだし心を揺さぶりやすい。けれど、私が好きなのはそういう作品ではない。
『青が散る』やこの作品のように、できごとではなく日常の中にある「生きることの意味」を正面から描いた作品は、どれだけあるだろう。
この作品に出逢えたことで、ようやく自分が求めているものが具体的にわかり始めた気がする。
レビュー全文
http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-497.html -
愚直なまでに努力する事、人に感謝する事、人を信じられる事。幸せだったと言える人生を送りたい。若いうちは、素直に多くを吸収できる構えでいれば30年後には随分違った姿になろう。2014.2.17
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2014 5/6
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物語の中に様々な一般人の人生を描く宮本文学。
「自分で考えてつかんだもの自分で体験して学んだものそれ以外は現場では役に立たない。」
「場数を踏め、動け、口を動かすのは体を動かしてからにしろ、体を動かせ、そうすれば、自然に体で覚えていく、体で覚えたものは何にでも応用が利く」 -
『懸命に生きる若者と彼らを厳しくも優しく導く大人たちの姿』と説明があるが、そんな大げさな説明文はいらないが、日々の生活で大切なことを教えてくれる作品。
30年という時間が持つ意味を、今の自分の歳からしか見ていなかったけれど、79歳からの30年、50歳からの30年、確かに持つ意味がぐっと変わると気づいた。 -
久しぶりの宮本輝さん
一気に読んだ
人生の先達がいいよねえ
その年齢になっているのに
若者にかける言葉も行動もないわが身を恥じる
≪ 星くずで 人を変えるに 三十年 ≫