流転の海 (新潮文庫)

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著者 : 宮本輝
  • 新潮社 (1990年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307503

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流転の海 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 初宮本輝。
    人物が際立って生々しく魅力的なのに背景にリアリティがある。
    本気な本です。

  • リーダーの本棚ローソン社長 竹増貞信氏
    自分の至らなさを教わる
    2017/9/2付日本経済新聞 朝刊
      三菱商事時代に先輩からこんな言葉をもらった。「一人の営業マンとしての実力は認める。でも一生それでいいのか。経営者になりたいなら考えろ」。30歳前後だった。



     自分ではそれなりの仕事をしていた自負はありましたが、一緒に仕事をする2、3人のチームの後輩の仕事ぶりには若干、不満を抱いていました。「自分がやれば、もっと早く仕事をまとめ上げることができる」と。「一人の営業マン」のままなら、それもいいのでしょうが、経験を重ねていくと小さなチームから徐々に大きな組織をまかされます。先輩からはその心構えを問われていたのでした。

     そんなときに書店で手に取ったのがパナソニック創業者、松下幸之助氏の『人を活(い)かす経営』です。冒頭からハッとさせられましたね。

     「お互い人間はあたかもダイヤモンドの原石のごときもの」「それぞれの人がもっているすぐれた素質が生きるような配慮」「お互い人間一人ひとりの喜びにみちた人生」

     幸之助翁の言葉はまさに自分の至らない点を鋭く指摘してくれていたのです。自分の長所と仲間の至らない点を比較していたことに反省しきりです。仲間を育てて成長させることを学びました。すると自然と苛立(いらだ)ちも消え、組織が好転していくのを実感しました。

      組織と自分。どう向き合うか。30代前半に考えていたときに出合ったのが『流転の海』だ。

     戦後の大阪の焼け跡闇市から始まる様々な人間模様を映し出す宮本輝さんのライフワークです。なかでも主人公で松坂熊吾の息子、伸仁の成長していく姿に著者の生き方を重ねて読むのが好きです。熊吾は戦後、実業家として再起を図りますが、周りの人間に翻弄され続けます。そばにいる伸仁は子供として見てはいけない世界の淵にいながら、立派に育っていきます。

     不思議に思っていましたが、読み続けているとこんな言葉が浮かんできました。「性根」です。心がまっすぐでないと、人に感化されてしまいます。その性根とは誰もが本来、持っているものなのか。流転する人生の中で自分の軸、性根をしっかり持っていれば、人生を切り開いていけると確信を持ち、勇気づけられました。

     型破りな熊吾ですが、波瀾(はらん)万丈の人生からにじみ出る名言を生み出します。「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」。確かにそうだと思います。仕事人生の中で余計なプライドが邪魔をしてうまくいかなかった商談のことを思い出しました。

     「流転の海」の単行本は第8部まで出ていますが、手にしているのは第7部までです。最新作を読みたいのはやまやまですが、いつも文庫が出るのを待って購読します。渇望によってさらに物語の世界へ深く入り込めそうな気持ちになるからです。「まだ文庫本が出ていないかな」と書店に足を運ぶきっかけにもなっています。

      ローソンの社長になってカバンの中に入れているのが『アインシュタインの言葉』だ。

     真理を追究し続けてきた偉人だけに極めて簡潔で、読めば「そうだよね」と合点がいく珠玉の言葉ばかりです。例えば「同じことを繰り返しておきながら、異なる結果を期待するとは、きっと頭がどうかしているのでしょう」。御意としか言いようがありません。移動中にこの本を取り出して文字を追っていると心が落ち着きますよ。

     管理職として数字を追いかけていた時代と、社長としての仕事の取り組み方は違います。企業理念(「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」)を反芻(はんすう)しているとき、この本からこんな言葉を見つけました。「わたしたちが目標にすべきことは、社会の精神的価値を高めることです」

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  • 戦後の再生の物語。

  • 熊吾という主人公に対して序盤はあまり
    ただの乱暴ものでいい印象ではなかったが
    読み進むにつれ房江との出会いや
    運送屋、部下たちとのやり取りから
    熊吾の人間臭いキャラクターが
    興味深くなっていった。
    今どきこんな人そうそうおらん
    そりゃ、惚れるよなぁ。

  •  主人公は愛媛弁丸出しでアクの強い大男・熊吾 
    学歴はないがずば抜けた才覚と持ち前の気風の良さとで事業を拡大し一家をなす
     他の登場人物の話し言葉は 当時のあの辺りの大阪弁そのままで 違和感なくしみ込んで来る この人達は 多分作者が実際に見聞きした人たちで ただ順にポケットから取り出して 勝手に動き回るにまかせている・・・という安心感があって気持ちよくのめり込んた
     熊吾の事業は順調に拡大していたが 最愛の幼い息子が病弱で そのために事業はすべてたたみ 戦前会社のあった梅田の一等地も現金に換え 故郷に帰る 
     朝鮮戦争の気配

    第2集が楽しみ

  • はたして人の運命というのは生まれ持った天命なのか、はたまた人が手繰り寄せる人命なのか。破天荒ながら義理人情に厚い松坂熊吾を中心に、様々な人間臭いドラマが次々に巻き起こる。重厚な人間ドラマを描いた超大作。いや、何が大作って、1990年に第一部が出版されて以来、いまだに完結されてないっていうね。ちゃんと完結される日が来るのだろうか。

    とりあえず4卷まで読み終えて印象に残ったフレーズ。はちゃめちゃな熊吾さんだが、こう生きて行く上でとても重要な「核」になるような発言が散りばめられてて、ハッとすることが多いのがまたこのシリーズの魅力。
    ・子供ってのは、血がつながったかけがえのない存在だが、それでもやはり理解が及ばない他人でもある。だからこそ、心を砕きに砕いて分かろうとする。この他人だけども真剣に分かろうとする相手が子供。子供がが居ないとこの経験が出来ない。その結果、やはり他人に対してどうこか機微を知らん奴が多いように思う。
    ・自尊心より大切なことがあることを知らにゃいかん
    ・この子が将来どんな素敵な子に育ち親を喜ばせるかわからん、草の根を食ってでも育てにゃいけん。

  • ハチャメチャな男の物語 
    昭和を生きる明治男 面目躍如
    はた迷惑な男だが なぜか憎めない 猪突猛進
    この宮本輝、偏った宗教家的思想の持主? 右翼?極右?

  • 父と子 松坂熊吾、房江、伸仁 昭和22-24年 大阪闇市松坂商会

  • ワタシにとっていい作品は世界に没頭できる作品。ここにはちゃんと世界と人生が描かれている。ワタシは熊吾の人生に参加し始めたんだと思う。続きが気になって仕方ない作品に久々に出会えた!2巻を昨日買っておいて良かった~!読みます。

  • 20年前から、何度となく再読している作品。まだ続いているシリーズも楽しみにしている大ファンです。
    久しぶりにはじまりの流転の海を読んでみると、熊吾の粗暴ぶりにちょっとついていけない感じが自分のなかで芽生えていてびっくり。
    こういう親父いるよね・・から、こんな親父駄目だよ。。に気持ちが傾いていました。熊吾の魅力は変わっていないのですが、暴力への圧倒的な否定感が自分の中でうごめく感じです。でも、そういう時代で、熊吾自身も葛藤があり・・そこに焦点をあてた物語ではないですが。
    人間の弱さ、強さ、生き様かな?熊吾をとおして描かれた物語は魅力満載です。
    時代の流れ、自分も年を重ねての読後感。
    シリーズが進むにつれて熊吾も変わっていきますが。
    若い時代にこの小説に出会い、未だ完結していない物語。
    完結時に自分が何を思うのか、とても楽しみな作品です。

  • 10年以上前に一度読んでいるのですが、その時は良さがわからず途中で断念。
    今読んでみて、松坂熊吾という人物にものすごく引き込まれています!彼の発する言葉のなかに、時々現れる重み、深み。
    妻の房江が、度胸がすわっていてとてもかっこいい。
    伸仁の成長も楽しみです。

  • 次は「地の星」を読むぞ

  • 母に借りた!くまさん(主人公)が魅力的かといわれると人間らしくて嫌いになりそうな場面もある。でも人間ってそういうものなのだ。

  • 終戦直後の事業

  • 登場人物の人間臭さ、戦後復興に向かう時代のエネルギー、筆者の人間に対する洞察力、忘れがたい作品 長編の第一部として力強いインパクトあり

  • うーん、今更だけど、やっぱり宮本輝氏はいい!話が面白いし、こんな私でさえこんな面白いと思えるのはやっぱり文章がいいのではないかしらん。って、こんな文章しか書けない私が偉そうなこと言えませんが、でも言いたくなるほど私は今この本に夢中です。

  • 宮本輝の小説って読んでる時に映像がさまざまと浮かんできて、しばらくこびりつくんだよなぁ。。
    第7部?まではあるので早くよみたい。!

  • 読まずにはいられなくなる表現力と、読みやすくムダのない文章力。現代文学の最高峰の小説に間違いはない。最近の小説家にとって、あまりにも高過ぎる頂。

  • ライフワーク

  • 久々の大当たりだ。しかし、超大作(1982年より現在まで続き、第六部発表されている)である。つまり6冊でている訳だが、一冊一冊が分厚い。ただ、そんなことが気にならないくらい一気に引き込まれる。敗戦後の混乱期、わがままで理不尽なおっさんの波乱を見事描ている。

  • 主人公のおじさん、戦後の混乱期という舞台設定ともに、特に私の好みではないのだけど、なぜかグイグイと読み進められてしまう。人物のキャラクター設定が巧みで、どの人も強い顔と弱い顔を持っていて、一言では言い表せない複雑な性格付け。まだこの先続くようなので、期待。

  • 物語としても連載にしても、ここまで壮大な小説世界は初めて読みました。てっきり5部で完結かと思ってましたが、まだまだ続くようです…。

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流転の海 (新潮文庫)の作品紹介

敗戦から2年目、裸一貫になった松坂熊吾は、大阪の闇市で松坂商会の再起をはかるが、折も折、妻の房江に、諦めていた子宝が授かった。「お前が20歳になるまでは絶対に死なん」熊吾は伸仁を溺愛し、その一方で、この理不尽で我侭で好色な男の周辺には、幾多の波瀾が持ち上った。父と子、母と子の関係を軸に、個性的な人間たちの有為転変を力強い筆致で描く、著者畢生の大作第一部。

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