聚楽: 太閤の錬金窟 (新潮文庫 う 13-2)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101309323

感想・レビュー・書評

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  • 解説:縄田一男

  • とんでもない傑作.

    なお,表現にやや晦渋,冗長なところがあり,いささか読みづらい部分があるが,そういった部分は大胆に飛ばしても差し支えない.

  •  『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュノス』も傑作だったが本書も抜群に面白い。富と権力を持て余した秀吉晩年の頽廃的な時代を背景に、贅の限りをつくした御屋敷の地下で繰り広げられる夜毎の秘儀、ジャンヌ・ダルクやジル・ド・レに異端審問・錬金術と随所に埋め込まれ共鳴する中世ヨーロッパ、権力者たちの様々なインモラルな関係などなど、幾多の禍々しくも妖しいイメージが炸裂し実に伝記小説らしい魅力たっぷりの作品だった。背景となる歴史史料が興味深く、それが伏線として鮮やかに回収され、しかも全体のアイディアは豪快で一大妄想絵巻として完結するところが素晴らしい。また無常なる世に天下人の侘しさが残るエンディングもいい。きらびやかで色彩豊かな描写も鮮やかで、特にタイトル通り横溢する金が作品を印象深いものにしている。またキリシタン関連の用語を中心に漢字とルビを駆使した表現でエキゾティズムを喚起していくところも唸らされる。やっぱり言語の力が想像力を駆り立てるのだなあ。SF的想像力が爆発する半村良や無常感と裏腹の強烈な馬鹿馬鹿しさの山田風太郎忍法帖に比べると、しれっとした文章でとんでもない大法螺を吹かすのがこの作家の持ち味であるような気がしてそこがなんとも可笑しい。中盤で法衣を来た伴天連が巨大ロボットと立ち回りをするシーンなどは最高である(いやホントなんだってば)。
     これを大河ドラマでやればいいのになあ<無理です

  • 最初の数ページで「おまえはいったい何を言っているんだ」となったけれど、
    そう思いながら先に進ませてしまうだけの筆力があるのではと思った。

    主人公は秀吉のように見せて、どちらかというと家康かも。
    あと本多正信の出番がやけに多い

  • 時は安土桃山、関白となり聚楽第に入った秀次が果てるまでを山場にした絢爛たる伝奇小説です。グノーシス、錬金術、グロッタ、アンドロギュヌスですか!ゴシック小説と見まごう道具立てです。マニエリスム期に花開くグロッタが、聚楽の地下に出現するとは、思いもよらない想像力ですね。グロテスクの語源であるグロッタで繰り広げられるバトルシーンは、目も眩むほどの豪奢でグロテスクな描写で、戦慄のクライマックスでした。伝奇ものは、風呂敷を広げすぎて、破綻することがありますが、本作は周到に設計され完成度が非常に高い。とにかく、脱帽するような傑作です。

  • 内容的に分かりにくいし読みにくい
    キリスト教的素養と日本史の裏側が必須か
    結構飛ぶし、暗示的な表現、わざと分かりにくい表現等読むのに少ししんどい

  • 絢爛豪華でグロテスク。交錯する異国文化。ここがこう繋がるか、となかなか楽しかった。秀吉像が坂口安吾だなあ。

  • 信長に続き日本史に西洋文化をからめていくのですが、今回はジャンヌ・ダルク&ジル・ド・レイで錬金術ですよ。
    あまりにインプットが多くて、メチャ疲れました。
    相変わらずグロいのも朝の通勤電車で読むには辛かったっす... 
    しかしこの発想力はすごいです。
    なんとなく辻褄あってるような気にさせる手腕もさすがです。

    自分の情報処理能力には辛かったということで星3つ。

  •  伝奇小説に西洋のオカルト思想を絡める手法は、「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」以上の奇想に満ちています。
     キリスト教の異端信仰や錬金術が持ち込まれ、そして今作で信長たちに結びつけられるのはジル・ド・レ。秀次の奇行がジル・ド・レの虐殺に絡みつく発想が凄すぎる。
     しかも史実に上手く当てはめ、説得力に満ちた筆力で圧倒されます。
     ショック映画ファンも納得のグロな描写の連続も凄すぎるし。
     イエズス会の使者と服部忍者が手を組んで戦う相手の秘術は、風太郎の忍法を想起される珍奇さでもあります。
     760頁もの大作ですが、面白くて一気に読んでしまいました。

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