エンキョリレンアイ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101309729

感想・レビュー・書評

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  • 東京とNYとに離れた二人の遠距離恋愛。
    小手鞠さん初読みで、作風を掴みきれなかったように思う。
    東京で就職が決まり、京都で最後のアルバイトの日。そこは、本屋でその日は誕生日の女性。
    偶然、絵本を紹介した男性に恋に堕ちる。
    彼は、翌日には、料理の学校へ入学するためアメリカに飛び立つ。女性は、我慢できず空港へ見送りに行き、そこで二人の運命的な出会いを確認し合う。
    この2回会っただけの二人は、この後、パソコンのメールが主体のエンキョリレンアイを続けていく。
    会えない距離、見えない相手、そこに募る恋心。
    そのあたりをメールで上手く表現している。
    なんだけど、男性の設定が、アメリカで働いていたバンカー?一から料理の勉強?女性とルームシェア?メールの返信も甘めなんだけど、忙しいようだから、確実ではない感じ。申し訳ないんだけど、最初はロマンス詐欺的流れかと思ってしまった。
    運命の出会いから、数度の運命のすれ違い。そして、十数年後の再びの運命の出会い。
    キチンとエンキョリレンアイの小説でした。
    時代は変化して、いろんな通信手段ができてきて、遠距離恋愛は、存在しなくなるかもしれない。
    そして、このちょっとドロっとした、不安定にさせるような雰囲気が作風なのか、他のも読んでみようっと。

  • 遠距離恋愛の経験があり手にとってみました。

    始まりは、ドラマみたいな出会いで素敵でしたが、思ったより軽い雰囲気のメールや、花音が相談を持ちかけたとき、自分の経験談の話に塗り替えて話を返してしまうところ等…海晴がちょっと大人気ないなあと思ってしまいました。
    海晴に魅力を感じなかったせいか、最後まであまり入り込めないまま終わりました。

    文章自体は読みやすく、あっという間に読めてしまいます!

  • タイトル通りのザッ遠距離恋愛の話。
    会えない時間は想いを育てる。
    距離がますます枷となり、
    想像することで理想すら超えていく。

    きゅんきゅんではないけど
    せき切るような逢いたい想いを
    読みながら共感する数時間だった。
    スマホもガラケーもない頃の遠恋小説。

    再会できたのは、すいもあまいも
    知った後の大人になってからなので
    きっと続きは熟した恋愛になるのだろう。

  • 繋がっているけど繋がっていない。
    エンキョリ恋愛の難しさがとても響いた。

    自分の気持ちは理解しすぎていても他人の気持ちは絶対にわからないこと、またそのことによって不安が募り交差してしまう。

    花音の不安が増大してしまったが、それ以上にあの人は優しい人であり素敵だと感じた。
    途中読み進みていて、え!?かいせいなにしてしんの!と感じたがまさか本屋で再会して終わるとは驚きともう少し読みたいなーと感じた一冊でした!

  • 会った日数よりも会ってない日数の方が長いはずなのに、ここまで想えるのはすごいなあ。

  • はじめの彼からの手紙はほんとうにニヤニヤしながら読んでいたと思う。
    そしてすれ違う場面では自分がカノちゃんになった気持ちで焦ってどうしようもなかった。
    なのになんだかあっけなく13年間が書かれて、13年後が書かれて、ちょっと付いていけなかったかな。
    でもこれが運命的だから、と言われれば納得できてしまうのかなー現実ではありえない!と思ってしまうけれど。

    そして何より大切なのは、タイミングと自分で自分の気持ちを伝えることだと感じたなぁ。

  • 運命的に出会った二人は出会ってすぐ離れ離れになる運命だった。アメリカと日本の遠距離恋愛。
    恋に落ちた瞬間と,止められない気持ちから突き動かされる激情が,ちょっと懐かしい感じ。最終的にはハッピーエンドと言っていいのかな。
    このすれ違いは遠距離が原因ではなくて,お互いの信頼が築かれないまま離れ離れになったことでは。と思いつつ,一緒にいる時間が長くても信頼関係にあるとは限らないか,と一方で思う。
    人は嘘をつく,嘘をつかなくても全てを話すわけでもない,言葉から得られる信頼なんてたった一握り。きっと目を見て話をして,一緒にいる時間が一番大事なんだと思う。そんな風に思った小説。

  • あなたとの距離はこんなにも近くて遠い。

    偶然の出会いから,すれ違う長い日々。距離も時間も長いエンキョリレンアイ。カタカナは表意文字だから,漢字と違って音だけになってしまう。「遠距離恋愛」ではない,からっとした平坦なことば。結末は幻かと思ったけど,ようやくたどり着いた場所ということか。やはり遠かった。

  • 恋愛小説、というにはあまりにも深い一冊。
    人の想いとはなんなのか、ということを考えずにはいられなくなる作品でした。

  • 比喩がとても綺麗で巧みでした。
    「 あのひとの言葉を、ひとつ残らず覚えている。
     優しい言葉も、熱の籠った言葉も、さり気なく置かれたひとことも、ただの相槌でさえも。いいえ、それは覚えているのではなくて、突き刺さっているのだ。ガラスの破片のように、柔らかな薔薇の棘のように。がからわたしの胸は、こんなにも、痛い。北へ、北へと、あのひとの住む町に向かって、まるで河面を滑るように走る電車の中で、泣き出してしまいそうになるくらい、叫び出してしまいそうになるくらい……
     あなたが、好き。」
    この他には、出会いと空港のシーンがお気に入りです。花音が恋に駆けている様子がいいです。
    わがままを言うなら、二人の電話の様子や花音から海晴への手紙が読みたかったです。想像してくださいということなのでしょうけれど...
    後半の展開が速すぎて、無駄が削ぎ落とされすぎていて私の気持ちが付いていけませんでしたので、後半のみを何回か読み直して味わっています。
    海晴がアデロンダックの山奥から手紙を送らなかったのが変だなと思ってしまいました。今までの手紙の感じや結婚まで考えているのならば、二週間の間に送りそうに思えたのです。
    一つ一つの文が美しくて、引用してとっておきたい文が沢山あったのですが、ストーリー展開や人物描写があんまり好きになれなかったのは残念でした。

著者プロフィール

1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。ニューヨーク州在住。
『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な著書に『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』(講談社)『星ちりばめたる旗』(ポプラ社)ほか、主な児童書に『心の森』(金の星社)『やくそくだよ、ミュウ』(岩崎書店)『シナモンのおやすみ日記』(講談社)など多数。

「2024年 『新装版 まほうの絵本屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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