人柱はミイラと出会う (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312415

作品紹介・あらすじ

"人柱"城などの難工事の際、完成を祈願し、神への生贄として生きた人を地中や水底に埋めること-留学生のリリーは、工事現場からミイラが発見されるという、奇怪な殺人事件に遭遇する。その死体から浮かび上がる、この国の信じられない風習とは…人柱に黒衣に参勤交代。江戸の風俗がいまだ息づくパラレル・ワールドの日本を舞台に、石持流ロジックが冴え渡る傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 文庫で良かったかなという印象。500円でちょうどよい娯楽だった。 東郷という切れ者な男が不可解な謎を解いていくのを留学生であるリリーの視点で見ていくという作品なのですが、この東郷という男が気に入らない。なんというか作者の理想が色濃く出過ぎていて気持ち悪いのです。そんな完璧な男いるか、そのヒントでそうは繋がらんだろと言いたくなってしまいます。ミステリ読者なので大抵の超展開には慣れていたのですが、これにはちょっと無理があるな…、と。わたしの肌には合いませんでした。

  • 人柱、お歯黒、参勤交代など、古来の風習が残るパラレルワールドの日本を舞台にした作品が、七編収録された連作短編集です。

    石持さんといえば、変則的なクローズドサークル作成が得意というイメージですが、このような世界観を持った作品集を発表されていたことに驚きました。

    風習の説明をスムーズにする為に、外国人留学生を語り手にするところも上手いと思いましたし、何よりその発想力の凄さにただ脱帽するばかりです。

    シリーズ化はされていないようですが、面白い試みだけにもっと読みたいと思ってしまいます。

  • 海外留学生が日本の風習について「?」となりそれに答える形で話が進み、読者もそれに引き込まれて「今の日本にはこんな風習があったんだ」と納得してしまいそうになる、設定の妙。

    ・人柱はミイラと出会う
    建設現場において、工事が順調に進むことを祈願してかつては生きた人間が犠牲となっていた「人柱」だが現代においては、個室が設けられそこに人柱が隔離されることで継続されていた、というところから始まる。マンション建設の「人柱」部屋から、寝袋にくるまったミイラ状の遺体が発見された…
    ショートショートの基本は星新一か手塚治虫に有り、感

    ・黒衣は議場から消える
    議員の背後に黒ワイシャツ黒ズボン、顔を隠した「黒衣」が存在して裏方仕事を実施する制度。その中で一人の黒衣の遺体が発見された。
    典型的なミステリ謎解きのパターン連発という印象。

    ・お歯黒は独身に似合わない
    独身女性が若い歯科医と車の中で、白い歯をお歯黒状態に染めている。この謎は。
    安楽椅子探偵パターン。現実にありそう。

    ・厄年は怪我に注意
    厄年休暇制度、いいなー。笑笑
    一番現実味がない話だったかも

    ・鷹は大空に舞う

  • 石持さんらしい、奇抜なアイデア!今の日本にまだ人柱の制度が変わった形で残ってたり、黒衣やお歯黒、参勤交代も現存しているという。さらに厄年を使った、厄年休暇という制度。厄年は不幸にあいやすいので、1年働いてはいけないという…。ぜひとも実際に欲しい!
    けどまあ中途半端な感じの恋愛はいっただろうか…?

  • 私が知らないだけで、もしかしたらそんな職業や風習が日本にあるのかな?と一瞬思わせるようなパラレルワールド日本の話。
    そんな職業や風習にまつわる事件をアメリカ人留学生の目線からみた感じで書かれた短編集。
    個人的に印象に残ったのは人柱と厄年の話。あと黒衣も。私が日本人じゃなかったら、これらの話を読んで、そんな職業や風習が日本にはあるんだ、と思ってしまいそう。
    逆にお歯黒は留学生が来るようなグローバルな世界では難しいかも?と思った。

    他にも干支とか鏡開きとか西洋人には新鮮に見えるであろう風習でもう一冊くらい書いてもらって、続編が読みたいな。

  • 2017年9月19日読了。
    2017年64冊目。

  • 古くから伝わる風習や習慣が、現代も制度や文化として残っていたら……。そんな空想をもとに描かれた作品で、現代ファンタジーとして読み始めるも、すぐに途中で「あ、そうだそうだ、これは石持浅海作品だ」と気づかされる、なんとも言えない面白さがある摩訶不思議なミステリです。世にも奇妙な物語が好きな人にオススメ。惜しむらくは2017年8月現在、古本屋でしか手に入れられないこと。どうか再販をしてほしい。

  • 設定が面白い。
    かなり久し振りに石持さんの本読んだけど
    あ〜この感じ。って懐かしくなりました。

    一瞬「人柱」ってホントにあるのかと思ったよ。

    オチもキレイ。

  • 最初本当に人柱職人が存在するんだ知らなかったわって思ったんだけど(笑)しかしなんというか都合の良すぎる展開。職人なの?探偵なの?もしや神?ってレベル。厄年休暇の制度はいいですね、勿論その間有給扱いになるならですが。

  • 人柱、黒衣、お歯黒、厄年、鷹匠、茗荷、参勤交代、日本の風習が色濃く残された架空の日本が舞台の連作短編集。

    探偵役の直海は、座間味くんのパラレル日本版といった感じ。

    これもBGと同様ファンタジーと安楽椅子探偵の融合ではあるのだが、こちらの方が格段にしっくりくる。

    無理矢理感はあるし、ラブロマンスは余計だとは思うが、最後にアメリカの文化に驚愕する様は面白かった。

    とりあえずもう一回、続編あったら読んでみたい。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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