サクリファイス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312613

感想・レビュー・書評

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  • 先に外伝を読み、その二人に大層惹かれて読んだので、色んな意味で衝撃を受けました…。うぅぅ…。
    でも、やっぱり面白かった!個人的には、ミステリ要素は無くても良かったんじゃないかと思うけど、それにより、ロードレースの奥深さや真のアシストが感じられたことも確か。ただ、スッキリ爽やかに読みたかったー!とも思ってしまうんだー。
    モヤモヤ感をまた味わったら嫌だなぁ…ミステリだしやっぱり死人出るの…?とおびえながらも、続編をすぐ読みたくなってしまっている。

  • 『サクリファイス』なんと正しい題名なのだろうか。
    自転車のロードレースには学生の頃に夜中にTVで「ツール・ド・フランス』を見て以来、少しだけ興味があった、少しだけ。その後、『サマー/タイム/トラベラー』に登場したり『Over Drive』をアニメで観たり『セカンドウィンド』を読んだりして要所要所でこの競技に出会ってきた。縁があるんだろうか。
    そして、そうやって出会ってきた自転車競技が青春モノとして描かれていた為にこの作品にも同じようなものを求めていたが綺麗に裏切られた。勿論、青春小説の括りに入れて充分よい作品なのだが、やはり優れたミステリィとして評価するのがよいのではないか。ミステリィ小説には「どんでん返し」とか「二転三転」とかが存在するが、まさにその通りである。興奮した。
    そして偽善であろうとなかろうと「犠牲」の意味を強く考えさせられる作品であった。

  • 自転車レースという競技は全く知りませんでしたが、面白いので一気に読了しました。
    レースの行方と登場人物達の関係性が自転車レースとミステリーを巧みに共存させて物語を成立させています。
    最後の衝撃的な事実に、自然と涙が出てきました。

  •  本屋大賞二位、大藪春彦賞受賞作。

     上記の評価も宜なる哉、読み応えのあるエンターテイメント作品でした。

     自転車ロードレースを題材としながらミステリ要素も内包。中盤以降は頁を捲る手が止まりませんね。

     スポーツ競技としての自転車ロードレースは日本では余り人口に膾炙していませんが、欧羅巴(特に仏蘭西)ではそれなりに人気と伝統のあるスポーツのようです。

     とはいえ最近では街中でロードバイクに乗っている人を見掛けることも多く、ロードレースを題材にした漫画『弱虫ペダル』が人気を博してアニメや舞台になっています。

     自分も『弱虫ペダル』のアニメを観ていたので大体は理解している心算でしたが、考えてみれば特異な競技です。
     個人競技のように見えて実は団体戦でもある。表彰台に上がれるのは一人だが、その一人のエースの為に他のチームメンバーはアシストとして身を挺する。正に一将功成りて万骨枯るという犠牲を前提にする稀有なスポーツといえるでしょう。

     チームの為の献身とスポーツマンシップ。その一方で確かにある個人的な勝利への渇望と栄誉。ロードレースという競技が持つ二面性とその相剋をヒューマンドラマに昇華しています。まさに小説の神髄は人情なり、ですね。

  • ロードレースを知らなくても面白い。
    レース中の疾走感や臨場感、熱量などが伝わってきて作品の世界にグッと引き込まれる。
    仲間を踏み台にして飛び出す者とアシストに徹する者。
    役割は違えど目指す場所は同じ。
    青春してるなあと思っていたら、まさかの悲劇で一気にサスペンスへと変わる。
    続編も読もう。

  • 競輪は知っているけれど、ロードレースとはなんぞや、と読み始めていくと
    なるほど。個人戦ではなく団体戦で、きちんと戦略があるのだ、奥が深いのだ、と物語に引き込まれていく。
    後々調べるとシリーズ化されているということで、この作品は四部作での一部作目みたいだ。
    そちらの方も読んでいこうかと思う。

  • ロードバイクレースを舞台にしたミステリー小説です。

    主人公が所属するチームが参加するレースが描かれつつ、主要人物の過去や、チームメイト同士の関係性が描かれていきます。

    一部腑に落ちない部分はありましたが、スポーツをテーマにした小説を読むことが苦手な私でも面白く読めました。

  • もともとサイクリングは好きだが、自転車競技の世界に初めて触れて知らないことだらけだった。何よりタイトルにもあるように、チームのエースを勝たせるために犠牲になるという考え方は馴染みがなく、理解するのに時間がかかった。自転車に人生をかける青春とサスペンスがきれいに融合していて新感覚で、加えて心地よいラストを迎えるところがとてもよかった。

  • サイクルロードレースの実業団を舞台にした、青春スポーツミステリー??

    非常にさらっと読めました。
    あまり知らない、サイクルロードレースの事が判り面白かった。
    ロードレースと言えば”ツール・ド・フランス”位しか知らないし、選手もランス・アームストロング位しか知らなかった私・・・

    チョット、ロードレースを見てみたくなった。

    ミステリーの部分はかなり?の感もあり、登場人物もあまり魅力的ではありませんが、軽快に読めて楽しめました。


    高校時代までは全国的にも優秀な短距離ランナーだった白石は、勝つための走りに疲れ、引退。
    サイクルロードレースのチームの一員としてエースを勝たせるために走る「アシスト」という役割がある事に惹かれ自転車競技に転向する。
    彼の所属するチームのベテランエースには過去に自分の地位を脅かす若手を事故に見せかけて大怪我をさせ、再起不能にしたと言う黒い噂がある。
    白石と同期で次期エースの座を狙う才能ある新人レーサーの伊庭。
    アシストの役割に満足しているのに、その実力から次第に周囲から注目されてしまう白石。
    そしてついに、再び「事故」が起きて・・・

  • なんでしょうかね…袴田の禍根と嫉妬、そして利用された香乃にイヤミスを感じてしまう
    けど石尾の意を決しての行動と白石の痛みを受け止める覚悟…その強さに救われます。

    “食らいついてこい‼︎”
    この言葉の深い意味を終盤に知り、心を動かされた。

    実際には真相は分からないけど、そこに疑いの余地がないくらい石尾が格好良かったです。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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