形影相弔・歪んだ忌日 (新潮文庫 に 23-7)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312873

作品紹介・あらすじ

僅かに虚名が上がり、アブク銭は得たものの内実が伴わぬ北町貫多は虚無の中にいた。折から、藤澤淸造の自筆原稿が古書の大市で出品された。百四十一枚の入札額を思案するうち、ある実感が天啓の如く湧き起こる(「形影相弔」)。二十数年振りに届いた母親からの手紙に、貫多の想念は激しく乱されるが……(「感傷凌轢」)。孤独な魂の咆哮を映し出す私小説の傑作六編。『歪んだ忌日』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 2019/3/30購入
    2019/4/14読了

  •  9冊目。文庫化しているものに関して粗方読んできたが、それを踏まえた上で、丸くなった印象を受けた。20年以上没交渉になっていた母から手紙が届く『感傷凌轢』のセンチメンタルはまさにそれで、あぁ、こういうのも書くんだなぁという感じ。さすがに実母にまで悪態尽くしにしてしまっては読み心地が悪過ぎてしまうからだろうか、あるいは著者が持つ子心か。

     ただ、作風に慣れたためか、最初に同著者の小説を読んだ時の衝撃はなくなった。6篇のうち3篇は芥川賞受賞後の貫多を描いた作品であり、従前の爆発的な憤怒や雁字搦めにねじ曲がった感情はややトーンダウンしているように思える。

     より破壊的、というか破戒的な小説が読みたいと望んでしまうのは、贅沢な悩みだろうか?

  • まあ、いつもの内容だけれども。
    「黙れ、経血!」

    形影相弔
    青痣
    膣の復讐
    感傷凌轢
    跼蹐の門
    歪んだ忌日
    ポストモダンの時空に舞う貫多 富岡幸一郎

  • 文庫になってるのは大体全部読んだけど、飽きてきたなぁ。

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著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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