マザーズ (新潮文庫)

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著者 : 金原ひとみ
  • 新潮社 (2013年12月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (615ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101313320

マザーズ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 読み終わった瞬間産声が聴こえた気がした。凄まじい小説。改めて私は金原ひとみが大好きだと思った。弥生が死んだシーンは頭を殴られたようなショックを受け、自分から湧き出てきたわが子を失った気持ちに圧倒された。終盤に連れてユカや涼子、五月がそれぞれに、妻や母親として安定した状態に為っていくことに心から安堵した。
    女であるということは、大体の場合妻として、母親として誰かを愛し、産み育てるということであり、自分の躰に他者を取り入れ、吐きだし、いずれは一部でなくなってゆくことを、哀しみ、苦しむことも含まれている。濃厚な愛が子供を失わせ、生存を危うくさせ、狂わせてゆくことがあり、それは決して稀なことではないのだと思う。女という性がまとう生々しく詩的な、切実で破裂しそうな危うさが、理屈ではなく私自身の胎内へと肉薄し、自分が女であることを、改めてどんなことなのか、その一端を見ることができた。読んで良かった。女が母に為ることは、ひどく業が深く、それ故に物語的で、文学的で、畏ろしいことなのだと感じたし、そんなことを思わせてくれた金原ひとみに感謝したい。

  • 子どもを持つ母親たちのヒリヒリした気持ちがとてもリアルに正直に描かれている。
    そこはすごくよかったのだが、ユカが、他2人に比べて楽に生きすぎていると思った。ドラッグ、不倫、だめでしょ、これは。本人悪気ないし、嫌いだなー、こういう人。

  • 読んでて辛いのにやめられず、あっという間に読み終わった。というか、読み始めてしまった以上終わるまで読まないわけにはいかないという感じ。
    小説家でもモデルでもクスリをやってても浮気をしてても、子供育てる苦労は、ごく普通な主婦の自分と同じなんだなって思いました。
    わたしが子育てしてたのは20年以上も前で、携帯もネットもメールもなかったから孤独だったんだろうって思ってた。夜中に子供が泣き止まないときに、つぶやいたりしたら仲間見つかるだろうし、なんでミルク飲まないの?って検索すれば、いろんな答え出てくるだろうし、いいよなあーって思ってた。
    だけどそんなことないんだなあーやっぱり孤独なんだなー。どうして夫という生き物は妻をどんどん孤独に追い詰めるんだろうね。

    それぞれの心の動きがよくわかりすぎて辛かった。こういうふうに考えるのは自分だけだろうって思ってたこと(そんなに意識せずにだけど)が、理路整然と文章になっていて、びっくりした。そっかわたしが思うことってそれか。って思ったり。

    3人とも共感できないけど、ちょっとした気持ちの動きがよくわかるとこいっぱいあった。

    でもどっちかといえば、内容全部忘れたい。笑


    2016/10/11

  • 初、金原ひとみ!芥川賞受賞の蛇にピアス、をすっとばして本作。色々衝撃的なストーリーと、どこか別世界感がある東京の高層マンション暮らし…。また書き足しながら少しずつ更新します。

  • 160408読了。
    久々の金原ひとみ。私にとって彼女の小説の登場人物はいつも同じ女の人で、蛇にピアスの“ルイ”に始まり、ハイドラ、オートフィクション、憂鬱たち、ぜんぶその一人の女性の成長過程に見える。
    今回のマザーズは全員同じ保育所にこどもを預ける母親で、虐待しそうな専業主婦、不倫相手とこどもを作ってしまうモデル、旦那と別居してドラッグをやめられない小説家というなんともマッドな登場人物たちで構成されている。
    育児に疲れ、傷つき、冷めたり鬼のように怒ったりする彼女たちを見て、なぜだか少し安心してしまう。
    手のかからないこどもなんていない。完璧な母親なんていない。
    なんだかんだ幸福なこの3人を、最後は「この人、幸せになれるかな…」というじんわりとした慰めの目で見てしまうのがなんとも言えない。
    けっこう長編で、最初は途方にくれるけど、読んでいるうちにどんどん加速していく。
    登場人物といっしょにわーっとなって読み飛ばしてしまったところも、最後に戻ってこられた。
    一読の価値あり。

  • 各登場人物の抱えているそれぞれの問題が重くて、読むのにすごくエネルギーが要った。特に涼子の描写とユカの描写が金原ひとみらしく重厚で疲れた。
    それぞれ共感できるところもあるし、自分もそうなったらどうするかなと考えてしまうシーンがたくさんあった。

  • 幼い子供を持つ3人の女、皆どこか少し壊れてると感じたけれど、自分自身子育てを経験してきたということもあり3人それぞれの孤独感や寂しさがとても共感できた。作り物の話だけれど、会話や登場人物の思いや考えに気取りがなく、感情が凄くリアルでストレートなところが良かった。

  • 息子を虐待し、施設に預ける羽目になった母親が、息子に暴言を吐く父親に電車内で会ったシーンになんとも言えない寂しさと切なさを感じた。

  • もちろんこんなふうなんじゃあないけど、登場する3人の母親全員の気持ちが理解できる。たぶん、完璧に。だからこそ途中で本を閉じたくなった。すごい筆力。

  • 私の子育ても孤独との戦いだったし、夫婦の関係も色々あった。だからかな、感情移入しながら読み進めた作品。私にとっての金原ひとみデビュー作。

  • 沢山の不幸が詰まった一冊。その中のいくつかは、程度の差はあれ、多くの女性が体験し、私も通過してきた。だから分かる、けれど、少し大袈裟すぎて、その世界に酔い過ぎて、なんだか自己満足の塊にも感じる。
    わかりやすい不幸を集めたけど、現実の方がもっと地味でその割りには乗り越えられない憂鬱が溢れていて、作者の言葉で言えば、絶望に満ちているよ。

  • 蛇にピアス以来。
    初めの2ページで、蛇にピアスの閉塞感を思い出して読み進められなくなった。
    10何年も前なのに。
    好きではないけど、凄い作家さんなんだろうな。

    いつか読めるかな。

  • Kanehara's latest novel is filled with true-to-life portraits of young women like herself, people who suffer for love or the lack of it. But, the theme in this story, which is the family, contrasts starkly that of her other works. for the first time, she reveals the anxiety and inner struggles of young mothers in Japan who are often obliged to raise children without the understanding and support of their husbands.

  • 思ったよりは陳腐なストーリーだったし悪趣味だったけど、育児の辛さを訴えるのには大成功している。母親に会いたくなった。

  • 今回もグロテスクー^_^; 子育てとセックスは、愛に溢れた幸せでしかたない行為だと信じたい。けど、現実はそれだけじゃないことも確かで、、。こういう暗くて救いようのない世界も確かに存在する。昔の私だったら共感してたかも。今はもうないかな。みんな負の連鎖を断ち切って幸せになってほしい。

  • 3人の母親が子育てをしていく中での苦悩を書いた作品。子どもって遠くで見ると、かわいいけどいざ自分の子どもってなるとこの作品のような出来事が起こってしまうのだろうかと思った。文章表現がわかりやすく、面白かった。

  • 女性性に対する痛切すぎる叫びでありつつも、大衆性に一定の譲歩があるところが、流石と言うべきなのか、悲しいと言うべきなのか。金原ひとみの蛇とピアスのあまりの勢いと切実さはわたしの心を深く深く捉えたが、あれ以上のものは未だどの本にも見受けられないように感じる。はんをおしたような、というとまた悲しいのだけれど。しかし出産・育児というものを掲げるとまたそれは違った金原ひとみが現れるのだけれど。それは本当に、世の中の母性に対する叫びであり、言葉の勢いはとどまるところを知らない。金原ひとみの本を一冊読むたびに、わたしの心を遙か彼方まで動かした蛇とピアスにおける金原ひとみは一体どこに行ってしまったんだろうといつもおもう。

  • ストーリーとしては面白いけど、3人をいったり来たりで一気に読まないと誰が誰だかよくわかんなくなる。専業主婦の人以外の2人はどっちがどっちだっけ?って感じで人物像が非常にイメージしずらかった。
    後半は割と面白かったかな。子どもは手がかかるけど何より可愛い何より愛しいと信じてやまない人はこの本読んだ方がいい。
    愛情が理屈じゃないように嫌悪感も理屈じゃないのだから。

  • 金原ひとみさんは、蛇にピアスを芥川賞受賞時以来。
    蛇にピアスは、露悪趣味な感じが、うーんって感じだったけど・・・

    この作品も露悪的なところがあるけど、あえて出産育児という神聖視される領域を露悪的に描くことによって、現代の出産育児をリアルに描くことに成功している。

    母親は意識的、無意識的に母親というイメージに囚われた存在。
    そのイメージは清く、温かく、そこからはみ出すことを許そうとしない。
    そのイメージの中でうまく立ち回れる人、窮屈さにもがく人。
    現代の核家族、地域性の欠如の中で、逃げ場のない母親は、子供を傷つけてしまう。
    傷つけられる子供は常に不幸だが、母親もまた不幸。

    あえて露悪的に母親の本心を描き切ることによって、その母親の不幸な構造が浮き彫りになる。

    虐待のニュースを聞くと、なんでこんな未熟な子が子供を産むんだと思ってしまうが、そのような見方自体が、過度に母親を神聖視し、母親を追い込んで行くのだということを気づかされた。

    人間なんて、多かれ少なかれ未熟な存在。
    未熟な人間が子育てできるように支えあえる環境をつくること、それが一番難しいけど必要なことだと思う。

  • 登場人物と同じ女性として、自分自身が母親になったときのことを考えさせられました。きっと誰しも経験し得る、でも言葉にできないような感情が溢れているように感じました。

  • ピーキーな小説だ。
    前半は読むのがダルい。いや、嘘だ、ダルくない。しかし、読むのに時間がかかる。約600頁中、前半の400頁ぐらいまでに読了までのほとんどの時間を使って読んだ。いちばんおいしい高回転域の部分は次の150頁ほどで、ここは一気に読める。しかし、一気に、しかも感情を揺さぶられながらその部分を読むには回転数を上げていくかのような前半部分が必要なんだな。

  • 【ネタバレ含】恋愛とか結婚については脳みそが沸くほど
    客観的に考えて考えて考えて
    ある程度自分のスタンスや考え方が見えてきた。
    昔の彼のおかげで恋愛偏差値は上がったと思う。

    ただ、今のあたしがどう考えても全く想像できないのが
    「妊娠」「出産」「育児」「子ども」の分野。
    幸せな家庭を絶対築きたいあたしは
    かわいい奥さんになりたい。

    王様のブランチで金原ひとみが
    「医師も看護師も保育士も資格が必要なのに
     母親だけ子どもが生まれた瞬間に母親になる」
    って言っていたのがとても印象的に残ってて
    母親になるための予習として読了。
    (それもどうかと思うけどさ)

    最初は母親3人とも不幸すぎて話がこんがらがっちゃった。
    1人くらい幸せにできないのかとも思ったけど、
    金原ひとみの作品にそれを求めちゃだめだと思い直し。
    でも、母親の気持ちを想像しまくっていたあたしには
    3人の気持ちはすごく腑に落ちて理解できる。
    あたしはどんな母親になるんだろう…。

    なんだか、生半可な教科書よりずっと命を感じて
    自分に子どもができたら絶対堕胎なんてできないって思った。


    子どもがいればあたしの感じ方もずいぶん違うような気はするけれど、
    子どもが生まれても旦那様の奥様でいたいあたしは
    やっぱり今は夫婦の絆の方に目がいっちゃう。
    子どもはやっぱり全力で守るんだろうけど、
    あたしは旦那様を一番に考えたいと今は思う。
    夫婦が幸せなら、子どもは絶対幸せだと思うもん。
    それが家族だよ。


    あとは、ユカをみてると
    ルイがそのまま大きくなったような印象がして、
    危なっかしくてハラハラした。
    でも、甘えていてもユカはしっかり母親で
    きちんと幸せを掴んでいく姿に安心したよ。

  • やっぱり装丁がださいのだが、それが母という太古から変わらないものですよ、とか言われたら納得する。
    筋はすっかり忘れていたが、五月が弥生とマンションを出たとき思い出してぎょっとする。
    カッコセリフの間に短文で「ここは地獄だ。」とかの畳み掛けがマンガ的にダイレクトアタック。

  • 子供を同じ保育園に預ける3人の母親の話が順繰りに語られます。
    作家のユカ(ドラッグ常用)、モデルの五月(不倫)、専業主婦の涼子(虐待)と、それぞれ重い事情を抱えてます。

    ドラッグや不倫自体には共感できないのですが、それ以外の登場人物たちの思いには、ものすごく共感ポイントが多くてリアルでした。

    特に専業主婦の涼子は、この3人の中では一番普通で一番共感できるのですが、子育てに行き詰まりを感じる涼子には入り込みました。
    実際虐待にまで至らなかったものの、涼子の抱える閉塞感はものすごく分かります。

    保育園に行けば熱を出し、治ったと思って預ければまた熱を出すような子供の描写もまさに私も昔通った道。

    涼子が虐待に至るまでの描写は本当に苦しい。
    分かっちゃダメなんだろうけど、涼子の気持ちも分かってしまう。しんどいよね、辛いよね。。。
    育児を経験した人には涼子の気持ち分かるんじゃないで
    しょうか。育児が楽しくて楽しくて仕方がない人って、どれぐらいいるんだろう?って私は思います。
    私は辛かったです。特に一人目の育児は楽しいともあまり思えなかった。
    私には子育てって向いてないんだなぁって実感しましたね。

    でも幸い(?)私には仕事があって、保育所に預ける事が出来て、色んな人に関わってもらって育児が出来た。
    一人で抱え込まなくて済んだ。
    その事がやっぱり大きいですね。

    色々苦しい気持ちを呼び起こされる読書でした。
    小さい子を育てている真っ最中に読まなくて良かったです^^;
    そんな時に読んだら鬱になったかもしれない^^;
    それぐらい毒が強かったです・・・

    苦しくて、息苦しくて、孤独で、しんどくて、ここに書かれている負の感情は子育てする母親にとって全部リアルな本音だと、私には思えます。
    ここまで本音を抉り出す金原さんはすごいです。

    そして、ラスト。
    ただ苦しいまま終わるんじゃなく、少しの光が見える終わり方好きでした。

  • 2014/01/09読了。この本のテーマは孤独な育児。小さい子供がいる3人の女性の目線で書かれています。
    不倫中の作家の五月、夫とは週末婚状態のモデルのユカ、専業主婦の涼子。3人は同じ保育園に子供を預けているのがきっかけで出会いますが、そこまで親密にはならず、本音は話せない仲。ほんとうは辛いのに問題がないように装ったり、人の状況を羨んだり、または見下したり。
    みんな夫はいるものの子育てにはあまり関与していないし、ほんとうに孤独で、読んでいて辛くなってしまうところも多くありました。
    作者の金原ひとみさんは2人の子供がいるということで、子育てエピソードにはすごくリアリティがあります。(まだ私は子育てしてないので、そうなんだろうなと想像しているわけですが)。子育ての辛さを経験する人はたくさんいるのに、こういうテーマで書かれている小説は珍しいのでは?子供が産まれたら、もう一度読みたいと思う小説です。

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マザーズ (新潮文庫)の作品紹介

同じ保育園に子どもを預ける作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子。先の見えない育児に疲れ切り、冷めてゆく一方の夫との関係に焦燥感を抱いた母親たちは、それぞれに追い詰められてゆくが……。子どもへの愛情と憎しみに引き裂かれる自我。身も心も蝕む疲労、そして将来への深い不安――。不倫、虐待、流産などのタブーにあえて切り込み、女性性の混沌を鮮烈に描く話題作。

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