ポプラの秋 (新潮文庫)

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著者 : 湯本香樹実
  • 新潮社 (1997年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101315126

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ポプラの秋 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ポプラの木のそばに立つ小さなアパート。
    父を亡くした7歳の私は、まるでポプラの木に引き寄せられるように母とそのアパートに移り住んだ。

    あれから18年。
    幼心に怖かった大家のおばあさんが亡くなった一一。

    「何でも、手紙が出てきたらしいわよ。」
    18年という時を経て守られたひとつの約束。今は亡き愛する人へと綴った手紙一。

    ***
    電車で読んだのが失敗でした。泣きました。
    「夏の庭」で有名な湯本香樹実さんの作品。個人的にはこのお話の方が好きです。
    死というものをこれだけ身近に引き寄せて、なおかつその重みを丁寧に響かせるのはこの作家さんならではですね。他の作品も読んでみたいです。

  • 小学一年生の時、お父さんが突然事故で亡くなった。
    「死」をなかなか受け止められず不安で押し潰されそうになった千秋はお父さんへ手紙を書く。
    アパートの大家のお婆さんが、あの世にいるお父さんへ手紙を届けてくれる、と言ってくれたから。
    周りで起こった出来事を日記のように手紙に書き綴ることで、自分の内面を吐き出す千秋。
    「書く」という行為が自分の気持ちを整理してくれて、千秋も徐々に落ち着いていく。

    最初はひらがなばかりの手紙だった。
    日を追って漢字が少しずつ増えていったこと、お父さんはきっと気付いて喜んでいるはず。

    秋になるとアパートのみんなで、庭にそびえ立つ大きなポプラの木の落ち葉を掃き集めて焚き火してお芋を沢山焼いた。
    勿論お芋はぬれた新聞紙と銀紙にくるんで。
    寒い中で食べる熱々の焼き芋は何よりのご馳走。
    ポプラの木は一部始終を知っている頼もしい証人だ。

    身近な人の死はとても切ない。
    そんな遣りきれない切なさを優しく包んでくれる静かな物語だった。

  • ポパイみたいなしわくちゃのおばあさんと、小さい千秋とのやりとりが微笑ましい。

    死んだ人に手紙を届ける仕事をするというおばあさん。
    千秋は亡くなった父宛てに手紙を書いて、おばあさんに預ける。
    父に手紙を書く中で、小さい千秋が抱えていた不安や焦りが、少しずつ解消していく。

    母から父に宛てた手紙を読んでいたら、嘘や秘密が必要なときもあるということが、建て前とか綺麗事ではなく、現実的な問題として分かったような気がした。

    ずっとひとりで嘘や秘密を持つことは苦しいけど、お母さんはその秘密をおばあさんに預けることで、少しは楽になったんじゃないだろうか。

    縁起でもないけど、大切な人が亡くなったときにもう一度読みたい作品。

  • 文書の表現が好きです。
    流れるような読みやすい文書なのに、
    登場人物の心象がしっかり伝わってきます。
    得体の知れない不安におびえる様子は
    きっと体験した人でないと書けないのでは、
    思えるほどリアルでした。
    でもそこで、ずーっと沈み込んでしまう物語ではなく
    おばあさんとの出会いが、
    主人公を変え、救ってくれる物語。
    ところどころの台詞が飾らないで、とても素敵です。

  • 夏の庭がそうであったように、この作者の「死」への対峙は柔らかで、穏やかで、温かみすら感じる。
    主人公がこころをよせる、アパートの大家のおばあさんは、死者への手紙を運んでくれる…
    主人公は亡くなった父へ手紙を書くようになる。1通書くたびに、まるで父の存在を消化するかのように。
    小学生が描くにはレベルの高すぎる文章力のある手紙なので、若干リアリティがないのだが、物語の世界観を冷やかすほどではなく、手紙の文面を通して感じられる、彼女が父の死を乗り越えようとする成長が、そして他人を思いやる優しさが、胸に迫る。
    そしてなんとなくは想像していた衝撃のラストで、彼女を包んでいた周りのすべての人をいとおしく思う。

    「夏の庭」のほうが好きだけど、目頭と心が熱くなる、素晴らしい作品。

  • 『西の魔女が~』と比較されやすそうな気がした。『ポプラの秋』の方はお婆さんと過ごした幼少期と大人になった現在の自分のニ視点で書かれている。それは一見小説にリアリティを持たせるかに思えるけど、「まい」の視点を貫いている『西の~』のほうがリアリティがある気がする。『ポプラの秋』、少し成長した自分が大事な人の死を受け入れるというのは設定的に読みやすいが、それが逆にリアリティを無くしてるような。色々な事がお伽噺っぽいというかノスタルジックというか。細かい出来事をひとつひとつ見ていくと、主人公をはじめとするポプラ荘の住人の辛い現実(離婚や自殺)が色々書き込まれているけれど、書き方が詩的に感じた。 (リアリティが何を指すか説明がいるな…)     でも読んで良かった作品。(13.12.28)

  • 秋のあいだに読みたいと思い手に取った本。
    「夏の庭」同様に素敵なほっこりと心が温まり、
    沁みていく素敵な物語だった。

    子供の頃におばあさんと出会うことで救われ、
    そして大人になってから、そのおばあさんの葬儀を
    手伝う中でまたもや救われる。
    人はどんな人と出会い、どんな関わり方をするか、
    それによって人生は豊かにも貧しくもなるのだろう。

  • 湯本香樹実初読。凄く、凄く良かった。最後のお母さんの手紙の件は特に良かった。梨木香歩の『西の魔女が死んだ』と似たような雰囲気の作品ではあるけど、私は断然こちらのほうが好み。図書館で借りたけど、あまりにも気に入ったので即日文庫をお買い上げ。将来子供が生まれたら絶対に読ませたい本。久々に素敵な本に出会えた。また読み返したいと思う。2011/414

  • 再読。この作者は…すごい。

  • 主人公の父親が主人公が7歳のときに死んでしまいます。
    その事実を、主人公は、なかなか受け入れられません。

    父親の死で呆然としている母親と主人公は、ポプラの木に導かれるように住まいを変えます。
    ポプラ荘に引っ越した後、いろんな闇が主人公の心に忍び寄ります。
    不安、恐れ、再婚した母への反発、そういったものが丁寧に描かれています。泣けます。

    父の死と主人公が向き合っていく機会を、ポプラ荘の大家のおばあちゃんがつくってくれました。
    主人公は、天国にいるお父さんにせっせと手紙を書いて、おばあちゃんに預けるのでした。

    20年後、おばあちゃんの葬式で、はじめて出会う人達との会話と、
    そして、20年前に母が書いた手紙。手紙に書いてある、父の死の真実。
    人と人とのつながりのすばらしさがつまった小説です。

    大人の場合、夏の庭よりこちらの作品のほうが感情移入度が高くなりそう。

    2013/04/30

  • 子供の頃の心の傷が亡くなったアパートの大家との約束によって救われる物語でした。
    悲しいし切ないけれど最後まで読むとほっ、とします。

    子供の頃に家族を亡くした自分の周りにもこんなおばあちゃんが居れば良かったのに…と思っても仕方の無いことだけれど思ってしまいました。

  • どうしようもない悲しみは、日々の繰り返しの中で癒えていくと気づきました。

  • 湯本香樹実を読むと、
    自分の中にある縺れた糸の塊も、
    少し解せそうな気になれる。

  • また、お気に入りの本に出会ってしまった感じです。

    このおばあさんのように、ちょっと怖くて、こだわりがあって、好きなものを沢山食べて、周囲の人へさりげない心遣いのできる、しかも気の強いおばあさんに、私もなりたいな・・・

    そして、千秋が大人になるまで、
    娘に反抗されても、嫌われても、一人で重い秘密を抱え続けていた千秋のお母さんも、ちょっと気になる存在です。

  • 図書室の本。

    気持ちに寄り添うこと。
    気持ちに向き合うこと。
    落ち葉が降り積もるように、ゆっくりゆっくりすすむこと。

  • 【夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る】

    千秋にとっておばあさんはどれだけ大切な存在だったか。。
    おばあさんがいなければ子供の頃の千秋は暗闇から脱出できなかっただろうし、
    母親ともうまく生活できなかっただろうな。
    最後に渡される母親から千秋への手紙には涙が浮かびました。
    母親にとってもおばあさんは救いの人だったのでしょうね。
    涙が溢れるほどまではいきませんでしたが
    読後はじんわりと心が温かくなりました。

  • この本との出会いは建て替えとなる図書館が古い本を配っていたところ私の手に収まりました。

    湯本香樹実さん本作で三作品目の読了と成ります。
    はじめて読んだのが『夏の庭』次が『岸辺の旅』

    本作品も他二作の様に死をテーマとする物語でした。
    主人公の亡父への想いと母への愛情と苛立ち、ポプラ荘の住人達の優しさ。そして何より大家のお婆さんとの秘密の約束。
    それらが絶妙に混ざり合う心暖まる作品でした。

    少し大げさかもしれませんが、近所付き合いが希薄になって行く今の日本に必要な作品かもしれません。



    子供の頃に父を亡くして母と共に引っ越したポプラ荘!
    そこの大家のお婆さんが死んだと連絡が入り主人公はお婆さんの葬儀に駆けつける為飛行機に乗る。
    かつて暮らしたポプラ荘の思い出が甦る・・・


    蛇足では有りますが、主人公が家の鍵が閉まっているかどうかを確認したい気持ち、私も解ります。

  • 6歳の千秋は、他界した父親に宛てて日記代わりに手紙を書き始める。最初は素っ気ない内容だったが、ポプラ荘の人たちと日々接するうちに、しっかりした文章へと変わっていく。生き生きした観察眼にほのぼのした。
    お葬式の情景がなんだか唐突。千秋がポプラ荘で暮らした3年の間、ほかの「依頼人」の存在を匂わせるエピソードがないのは不自然に感じた。
    自分も子どもの頃、月の兎の話(焚き火のところ!)はショックだったなぁ…。

  • 千秋が亡くなった父へ書いた手紙を読むたびに泣きそうになった。死がどういうものかよくわからないうちに(私自身この年になってもわかってないけれど)親を亡くすというのは、どれほどつらく恐ろしいだろう。
    そんな中出会ったおばあさんやポプラ荘の人たちとの交流には胸が温かくなった。オサムくんとの日々が微笑ましい。
    最後に明かされる真相は、これまたつらく切ないものだけれど、読後感はなかなか良かった。

  • ‪ポプラの秋

    ‪朝の電車で読んだら泣いた。陰と陽、光と陰、バランスがすっごくいい。‬
    ‪ほどよく晴れた秋の暖かい日差しの中縁側でまどろんでいる様なお話。‬

    ‪湯本香樹実先生が児童文学も書いてるからかとにかく読みやすい。なめらかに話が進む。
    起承転結の「結」のところで、ここでこれ来るのかと思いながら泣く。

    何回も読み返したくなる、好きな本の一冊になりました。

  • 父が急死した夏、母は幼い私を連れて知らない町をあてもなく歩いた。
    やがて大きなポプラの木のあるアパートを見つけ、引っ越すことにした。
    こわそうな大家のおばあさんと少しずつ親しくなると、おばあさんは私に不思議な秘密を話してくれた―。
    「あの世」への手紙、運んでやろうか。おばあさんの提案に、私は――。

  • 父を突然亡くした娘が、大家のおばあさんとの交流から、父への手紙を書き始めた。書くことで父の死を理解していく娘、抱える痛みが見え隠れする母、隠し守られた真実。秋に相応しいじんわりとくる小説だった。生きていると上手くいかないことはたくさんある。この本は、そんな投げ出したくなりそうな時に読むとより違ってみえてくるかもしれない。

  • 夏休みの空気をいっぱいに閉じ込めるのが本当に上手い
    もう二度と戻れないけど、私にも夏休みがあったのだ

  • 哀しみや空しさを埋めてくれるものは何?・・・その答えの一つを掘りだせる1冊。

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