春のオルガン (新潮文庫)

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著者 : 湯本香樹実
  • 新潮社 (2008年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101315133

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春のオルガン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • あの春、おばさんと、テツと、猫たちと、私。それだけが、世界のすべてだった。

    春というと楽しいだけでなく、新しい環境での生活が始まり心が不安定になる時期でもある。誰だって悶々として怪物が夢に出てくるかもしれない。
    そんな時怪物に飲み込まれないように誰かがそばにいてくれるといいな。トモミにとってのおばさんやテツや猫たちやおじいちゃん、そして私にとっての母のような誰かが。人生どうしようもない事もたくさんあるけど勇気をもって乗り越えていこうと思えた作品。

  • 思春期。子どもから大人に変わる途中の不安定な感じがよく出ている。

    喧嘩ばかりしている両親、ガラクタ修理にとりつかれている祖父、隣家の不愉快なじいさん。隣家のじいさんに嫌がらせするため、トモミと弟のテツは猫の死骸を探し回るうち、野良猫たちの溜まり場でエサやりをしているおばさんに出会う。

    お話がこんがらがると言うか、あれ?これは夢?現実?と境目がよく分からなくなる感じが独特。
    浅野いにおさんの「おやすみプンプン」を読んだ感覚と似ているなぁ。梨木香歩さんの「エンジェルエンジェル」も連想した。

    「死」とか「正しさ」について子ども目線から描いた作品。トモミの祖父の話がズシンときた。

  • 「夏の庭」や「ポプラの秋」が良かったので読んでみました。
    ...が、自分が未熟なせいか、よくわからなかった。何でだろ。
    いろんな要素があり過ぎた?
    とても感想を述べにくいです。

  • 小学校を卒業したばかりの私。ご近所のトラブルから始まって、捨て猫とその世話をするおばさんに出逢う。すれ違っていた家族や宙ぶらりんな自分に思い悩む少女とその弟を切ないほどにリアルに描く。
    あらすじがうまく説明できません…(;´∀`)夏の庭、ポプラの秋に続いて読みました。子供の心情のリアルな描写、魅力的なおばあさん(本作ではおばさん)、死を通してのメッセージは通じるものがあると思います。後半は何度か涙しながら読みました。

  • 大人でもない、子どもでもない、そういった女の子のもやもや感がうまく描かれていると思います。
    もやもやしたことの答えが見つかるわけではなく、もやもやしたことをひとつひとつ自分なりに噛み砕いていく、
    そんな過程を見せてくれます。しんどいことでもあるのですが、心がすっきりとしていく面もあります。

    10代前半の子にとっては、うけとりかたが人によって結構かわる作品かも。
    いま、もやもやしているであろう隊長に一読をすすめたいですね。

    2014.05.31

  • 小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと川原に放置されたバスで眠った──。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはならないものになっていた。少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。

  • 「夏の庭」がとてもよかったので他の作品も手を出してみた。中学生へ進学する前の春休み。野良猫を通して知り合ったおばさんや、おじいちゃんの過去、家にいないお父さん、私より大事にされる弟…短い休み期間に成長していく主人公の心の声が瑞々しく響く。

  • 再読。
    解説を読むと、いつも思う。


    作者は本当にこんなに小難しいことを考えて書いたんだろうか。


    きっと何かしら説明を後付けでも付けられる文章を書く作家がいいと言われるんだろうけど、受け手には様々な思いが残る。


    トモミの葛藤が苦しかった。

    抗っても抗ってもどうしようもない現実。


    家族の不協和音。
    おばあちゃんの死。

    弟ばかりが愛されてるという不安。


    いろんなものが交錯して、出してしまいたくなって、抗って初めて周りが変わっていく。



    ラストがタイトルらしくて暖かかった。

  • これはすごい。
    思春期の子どものこころの描写が素晴らしいと思いました。
    「どうしようもないかもしれないことのために戦うのが、勇気」というくだりが印象的でした。
    この本は、折に触れて、読み返していこうと思います。

  • 湯本さんの描く世界は圧倒的に現実に近い。<BR>
    じわじわと締め付けられるような感覚がページをめくる度に強くなっていく。取り立てて大きな事件が起きるわけでもなく、淡々と過ぎていく日常の中で主人公と弟、そして周りの人々が生きていく。それなのに、小学生から中学生へと移り変わる主人公の気持ちが一歩一歩大きくなっていく。<BR>
    何も知らないでよかった歳から、嫌でも知らなければいけなくなっていく歳になる。自分の中で整理し切れなかった思いに悩まされ、迷わされ、どうしていいかわからなくなる。弟はこうも自由に真っ直ぐ進んでいるというのに、なぜ自分は迷走しなければならないのか。先に生まれて、弟よりも先に世界を知らなければいけない、そんな長女や長男の皆さんなら非常に共感できると思う。そこで凄いのは、湯本さんは決してぬるい結末を作らないということだ。主人公があるべきところへ行き着く、それをきっちり、過不足なく描いている。私はそういうところが好きだ。

  • ーーー
    小学校を卒業した春休み、私は弟のエツと川原に放置されたバスで眠ったーー。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いくつか一つでも欠けてはならないものになっていた。少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。

  • 小学校の春休みから中学生になる主人公と、
    その家族のちょっとした気持ちのひずみからスタートする物語。
    怪獣になる夢を見る、学校になじめない、新しい環境でやっていけるかな?という不安定な心の成長の物語。
    何がというきっかけがちょっとあいまいで、ちょっと物語としてはわかりにくいかも。

  • 小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと川原に放置されたバスで眠った──。
    大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。
    ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはならないものになっていた。
    少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。

  • 児童書にしては心の深い部分を書いた作品。お、いいなと思って読み進めたのだけど…少し惜しい。
    ひとつひとつのエピソードをもう少し掘り下げてほしかった。
    エピソード自体はいいのに浅いところで終わってしまって、読み終わった後に、はてどこが一番大事なところだったのだろう、と。ぼんやりしたものしか残らない。

  • 少年・少女期の瑞々しく脆く透明な一瞬を掬いあげたような作品だ。 少年も少女も家族や生き物や優しさを体を張って守るんだ。 そのことを思い出させてくれた。

  • 卒業式~中学校入学式(その数か月後)までの間。春休みの話。
    色々なことに気付いちゃう微妙な時期に、自分の周りで色々なことがあって、それは自分が得体のしれない怖いものを内なるなかに連れているからだと、そう思い続けてしまった(と、思う)女の子。何も考えていないようで、ズバッと鋭い所をついてくる二つ下の弟。隣家との間にある「塀」は、家族のエネルギーを奪っていってしまう。

    もうなんというか。どろんどろんした雰囲気で、最後まで読もうかどうしようか迷った感じで3分の1を読み終えたのだけど、その辺からこの世界にどっぷりつかってしまい、休むことなく最後まで読み切ってしまった。湯本さんの本は、そういう、変な惹きが…ある。が、これを小学校6年生にすすめるかというと…微妙だなぁ。

  • 卒業式〜中学校入学式(その数か月後)までの間。春休みの話。
    色々なことに気付いちゃう微妙な時期に、自分の周りで色々なことがあって、それは自分が得体のしれない怖いものを内なるなかに連れているからだと、そう思い続けてしまった(と、思う)女の子。何も考えていないようで、ズバッと鋭い所をついてくる二つ下の弟。隣家との間にある「塀」は、家族のエネルギーを奪っていってしまう。

    もうなんというか。どろんどろんした雰囲気で、最後まで読もうかどうしようか迷った感じで3分の1を読み終えたのだけど、その辺からこの世界にどっぷりつかってしまい、休むことなく最後まで読み切ってしまった。湯本さんの本は、そういう、変な惹きが…ある。が、これを小学校6年生にすすめるかというと…微妙だなぁ。

  • 小学校を卒業したトモミは中学校に入学するまでの春休み中。
    仲良しの弟テツ。いつも何かを修理したり、納戸の整理ばかりしているおじいちゃん。最近仲が良くないお母さんとお父さん。
    お父さんは殆ど家に帰ってこなくなった。前はこんな事無かったのに家の中がざわざわしてなんだか落ち着かない。
    トモミがずっと生まれる前に発生した隣地境界線のトラブルでお母さんはずっとイライラしている。
    元々うちの土地だったのに、隣のくそじじいは当然のような顔で塀を立ててしまった。
    トモミは見てしまった、テツが拾ってきた猫の死骸を隣りの庭に投げ込んでいるのを・・・。
    トモミは大好きなおばあちゃんが病気で腹 水が溜まり過ぎた時に、「おばあちゃんはもう死んだ方がいい」と思ったり、怪物になってしまった夢を見て不思議な昂揚感を感じてしまったりで、自分は良くない人間なんじゃないかという事を感じています。
    なんとなく家の中がぎくしゃくして、トモミも大人と子供の狭間でどうしていいのか不安定な気持ちを抱えています。
    ある日トモミとテツは廃車の中で一晩過ごすことにしました。おじいちゃんが毛布を持ってやってきて一緒に泊まりました。
    おじいちゃんの子供の時の話を聞きました。トモミも夢のこと、おばあちゃんの事を話しました。

    ほんわかした話ではありませんが、大人と子供の狭間の微妙な世界がよく書けていると思います。家族が上手くいっていないと確かにギスギスして身の置き所が無いんですよね。いつも息苦しくて子供なのにいつも気を遣ってばかりで。
    テツは猫の死骸を隣に投げ込んだりしますが、本当は良い子です。猫の餌やりおばさんの手伝いをしたり、病気の猫をなんとか助けようと必死になります。

    彼らの問題色々謎が残ったままなのですが、日常自分の周りで謎が全部解けるなんてありえないのでこれで良いのだ。

  • 角田さんの書評本よりピックアップしたのだが読み始めてその愚かしい行動に自分を責めること頻り、解説を先に読んじゃってから本編に取り掛かるなどネタバレを通り越して愚の骨頂の真骨頂。でもそんなことはものの数頁で杞人の憂いとなり物語にのめり込むことになるのだが…
    平易な文の少女のひとり語りのどこにそんな力が込められているのだろうと思えてしまうほど深く哲学的ですらあるその佇まいはあの「夏の庭」をも凌駕しありのままの生と死を私たちに投げかける。
    そして迎える何も解決しない結末と裏腹の不思議な清涼感は体験してみる価値ありの大人の童話、駒子さんの装画も素敵ですね

  • みずみずしい感受性とか、ガラスのような心とか、大人の都合で子供はとか、そういうの、正直もういまは求めてないなぁ、昔はこういう書き方決して嫌いじゃなかったのに、なんか読んでてあほらしくってね。たいしたことでもないのに深く傷ついてなんのかんのって、なんだかなぁ、贅沢だよね、今の子供って。暮らしに余裕があるからぐずぐず悩めるんだろうねぇ・・・・なんてババくさいことを思ってしまった

  • 弟、テツがとても魅力的に心に染み込んで来る。まっすぐな少年の心に逆らわず素直に行動してしまう危うさと愛らしさ。姉を絶対のように信頼している。大人の入り口に立った姉にとってこの弟は自分ができないこと、したくてもちゅうちょしてしまうことを平然とこなしてしまう羨ましい存在であるのかもしれない。

  • 3冊目の湯本香樹実作品。
    「夏の庭」「ポプラの秋」に続いて、
    この「春のオルガン」も小学生の子供と
    高齢の大人との交流を描いているけれど、
    前2作よりも毒が強い。
    大人のトラブルに巻き込まれ、
    無垢な子供のままではいられない、
    そんな変化の時期が描かれている。
    生きていくって綺麗なままじゃいられないものね。

  • 「夏の庭」「ポプラの秋」に続いて、私にとって三冊目の湯本香樹実。
    子供の頃、長期休みは私の中でそれぞれ特別な位置付けをされていた。一番思い出も多く、今でも「子供時代」を語る際に真っ先に頭に浮かぶのは夏休み。冬休みも、年末年始で行事も多く、それなりにわくわくした。
    そんな中で、春休みは少し特殊だった。
    休みの間特に行事があるわけではなく、大人達は普通に仕事だったので、とりたてて何か楽しみがあるわけではない。
    学年と学年の間の休みで宿題もない代わりに、休みが明けると環境が変わるのが分かっており、漠然とした不安と期待に包まれた短い休みだった。
    解説の、小学校を卒業した春休みにバスに乗った際、運賃を子供料金になるのかどうか迷った、というくだりが実体験と重なって大きく頷いた。

    これはそういう曖昧な「春休み」の物語。
    中学受験に失敗して公立中学に通うことになったトモミだが、彼女の周囲はそれ以外にも問題を抱えている。
    少女の視点なので大人たちの問題については結局分からないことも多く、ある意味何も解決しないまま、物語は閉じる。ただ、彼女が人は単純に善悪の二種に分類できるものではないことや、大人だってどうしようもないことがあるということを受け入れられたことが大きい。
    家出の時のおじいちゃんの対応がいい。あと、テツはいい男になりそうだ。

  • 小学校を卒業した春休み。もう小学生ではない、けれどまだ中学生でもない。
    トモミは自分が怪物になる夢を見る。
    現実では家の敷地の境界線を巡って母親が隣家のお年寄りと揉めている。
    父親は諍いをやり過ごすために仕事場に行ったまま帰ってこない。
    祖父は納戸の中の整理とそこにあった古いオルガンの修理に勤しむばかり。
    弟のテツは隣家にいたずらをしたり熱を出しで寝込んだり。
    トモミは自分自身の心と体におこる変化に戸惑いを隠せない。

    中途半端な春休み。その間に起こる様々な出来事が、幼い姉弟を成長させる。
    子供の季節の終わりを迎えた少女の揺れる日常を淡々と描く一遍。

  •  小学生から中学生になる直前の少女の物語。家族が家庭内と近隣居住者とトラブルが生じる中、目前に控えた中学校への入学にためらいが生じていた。そんな折、弟と近所の不法投棄場所にある廃バスに寝泊まりした、ちょっとした非日常の中で、かけがえのないものを見つけていく。
     多感な(?)時代を少女の視線で捉えていて、新鮮だった。親も気づいてくれない、弟はまだ幼く無邪気に過ぎる。そうして悩んでいる状態から、大切なものは自分の心の中にある。ただ忘れているだけ。それに気づいた少女は自らの道を歩み出し、少しずつ大人になっていく。

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