- Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101315539
作品紹介・あらすじ
鉄道でユーラシア大陸を横断できないだろうか。そんな案が頭に浮かんだのが、災難の発端だった。シベリアの大地をのろのろ走るロシアの車両に始まり、切符の購入も死に物狂いの中国、中央アジアの炎熱列車、紛争の地コーカサスでは爆弾テロで停車し、Uターン。フランスではストライキに巻き込まれ…。様々な困難を乗り越えながら、最西端ポルトガルを目指し西へ向かう鉄道紀行。
感想・レビュー・書評
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タイトルのポップ感と相反して内容は良質のルポルタージュ。鉄道で横断する旅を通してその国の現状や歴史的背景に触れられており、自分がいかに(ああゆる意味での)清潔な国に住んでいるか実感させられる。学生時代、青春18きっぷでアチコチ電車の旅をした自分などはいますぐにでも旅に出たくなる。
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旅に求めるものとは何か?感動や興奮、人とのふれあい、自分を見つめ直す・・・、といったところか。では、多くの旅行記を書いている著者にとって「旅」をする理由は?・・・義務?
この人の旅行記はしぶしぶ始まり、途上も行くんじゃなかったと後悔を繰り返し、旅が終わっても達成感はなし。そんなつまらなそうな旅行記だが、読み出すとクセになるのは、著者の無感動な文体のせいなのか、著者に期待していない読者のせいなのか。
今回も数ヶ月にわたる列車によるユーラシア大陸横断という大旅行なのだが、著者のテンションは驚くほど低い。もう年なんだから、やらなきゃいいのに。-
2012/08/20
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ロシア東端の駅から中央アジア経由でのユーラシア大陸横断鉄道旅行。ほぼ車中泊。コーカサス地方をはじめ国の情勢等も織り交ぜながらの紀行文。紛争はじめ、10年でいろんなことが一変するような国々の"いま"を切り取っている。東欧などは、宮本輝「異国の窓から」の頃と現在を比較すると感慨深い。この種の紀行エッセイは、世界を帰納的な手法で読者に思い描かせてくれる。はやいはやしおもしろい。
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「鉄道でユーラシア大陸を横断!」て聴くと夢とロマンに溢れた旅を想像するのは私だけだろうか。でも、この本からはリアルな列車旅の様子がよく伝わってくる。車内連泊、入国・出国の緊張、カップ麺ばかりの食事、風呂は数日に一回、、、正直、誰もがやってみたい旅ではないかもしれない。だからこそ、日本にいるだけでは絶対わからない、地図には決して描かれない世界のすき間が浮かび上がってくるのだろう。
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旅行記を執筆する作家さんは多いが、本作の著者である下川氏は昭和29年生まれのベテランである。爆破テロに遭っても冷静に引き返し、街頭で娼婦に声をかけられても見向きもせず、樺太からポルトガルまでを坦々と進む印象を受けた。感情を爆発させる若者の旅行記も面白いが、祝杯の肴にイワシの炭火焼を選ぶような、渋い旅人の旅行記もまた面白い。
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旅行記であって紀行文ではないという感じかな。それでも中央アジア〜コーカサスあたりのそれは(書かれた時代も含めて)興味深かった。
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ロシアからポルトガルまで鉄道をひたすら乗り継ぐ旅行記。
道中の各国のままならない事情が垣間見えた。 -
ユーラシアの東端から西端まで鉄道で一筆書き的に旅した記録。とても憧れるけど、LCCの台頭で国際鉄道は衰退していくのかも。
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海外鉄道好きになった原点の本。
道中でのテロやイミグレーションといった日本では味わえない独特の雰囲気が感じ取られる一冊 -
「裏国境~」が面白かったのでこちらも読了。
見切り発車でロシアへ乗り込んでしまうというのもすごいけれど、行く先々の場所がすごい。
鉄道の旅の困難さを知っていて「国境を越え越えられるので行こう」と行ってしまうのがすごい。
夜行列車の旅は憧れるけれど、ロシアは無理だと痛感。
ヨーロッパのあたりになると駆け足になるけれど、よくよく考えてみれば西へ行くほど便利になり近代的になるわけで当たり前なんだよな。
今の時点では行けなくなった場所が多すぎる。貴重な体験記。