カデナ (新潮文庫)

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著者 : 池澤夏樹
  • 新潮社 (2012年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101318219

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カデナ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ものすごくおもしろかった、
    この小説、もっともっと評判になってもいいのに! いま読まれるべき本ではー?

    沖縄の基地だし、ベトナム戦争だし、でもっと硬くて小難しい暗い感じかと思っていたら、まったく違って、すごく読みやすくてエンターテイメントで、青春モノだし恋愛モノだった。
    沖縄の人々や生活、米軍基地、アメリカの軍人、戦争、そういうなんとなく知っているというレベルだったいろいろなことを、情報じゃなくて、身近なことという感じで小説をとおして知ることができるというか。
    ごく普通の人々がスパイ活動にかかわって脱走兵を逃がす、という小説の主軸となる話も、純粋にサスペンスフルだったし。
    あらためて、池澤夏樹さんて、ほかの著作を読んでわかっているはずなんだけど、人々を、女性や若者を描くのがうまいなあと。登場人物それぞれの語りで話がすすむのだけれど、その語り口調が読みやすいうえにそれぞれ「らしく」(らしい、とかいうのも失礼な感じだけど)てすばらしい。
    そして、声高になにかを主張するんじゃなくて、エンターテイメントな小説という形にして楽しませつつ、いろいろ考えさせるところがすばらしい。
    脱走兵を逃がす組織について、一致団結して、とかではなく、ひとりひとりが自分で考えてゆるく集まる、やめるのも自由、っていう考えにはなんだか感動すらした。

  • 小説としての出来はそんなに良いとは思わない。池澤夏樹はもっともっと良い小説をほかに書いている。だけど、わたしはこれをコザで読んだ。コザ十字路を歩いた日に、プラザ・ハウスをバスの中から眺めた日に、米軍基地で機械工として働くおっちゃんと話した日に、沖縄民謡を三線で弾き語りしてもらった日に、この小説を読んでいた。体験知と、小説から得たものが自分のなかで一体化していく実感を生々しく感じながら読めたこと。この小説を読むうえで最上の読み方だったと思います。一度あたまに入れた知識を、歩いて食べて話して聞いて得た体験を、大事にかかえて考えていかなければならない。

  • ベトナム戦争末期の沖縄を舞台に米軍基地内と外を結ぶスパイ組織とともに日常を送る見ず知らずの4名の物語。沖縄現代史とともに戦争と平和の本質を問う。メッセージ性の強い青春小説といった風情。

  • 池澤夏樹氏の中で初めて読んだ作品。
    読み応えがあり、スピード感もあって、最後まで飽きさせなかった。

  • 舞台は、1960年代後半、B52が配備された沖縄。米軍高官の秘書のフィリピン人女性、模型屋の店主、そしてドラマーの少年。アメリカ施政権下の沖縄で、それぞれが戦う”戦争”。それぞれが遠い彼の国を思い繫ぐそれぞれの闘い。そして最後に訪れた出来事――。
    置かれた環境に安住しながらも抱えるジレンマと、それに合抗い生きる術を見つけた彼らの闘い。当時の沖縄に、静かながらも、でも確かに存在したと思う意識感情。自分がその時代を生きてたら、どう生きてただろうか。そして変わらぬ沖縄。どう生きるか、は不変のテーマだと感じた本。ありがとう!

  • 限りなく☆5に近い☆4。池澤夏樹のある方面における最高傑作だと思う。

    沖縄人から語られた話というのは読んだことがない。でも、沖縄人の感覚は沖縄人にしか分からないし、本土の人間はそれを知る術がない。伝え聞くことはできるが、感じることはできない。なぜなら、自分たちは沖縄人じゃないから。そういう意味ではすごく濃密に沖縄の目線で書かれた話だった。

    昨年、沖縄に行った。きっかけはcoyoteの沖縄号と探検バクモンとCocco。

    coyoteは、沖縄とアメリカの関係を深く切り取った上、沖縄人のアイデンティティにも切り込んでいた。

    探検バクモンでは、嘉手納基地の中にあるアメリカタウンを取材していた。小波津という沖縄の芸人がこんなことを言っていた。「沖縄人は基地をなくしたいと思ってる。でも、沖縄は米軍による収入が多くを占めていて、アメリカは生活の中にある。基地をなくしたいと思いながらも、若者は基地の中で働くことをステータスのように感じることもある。アメリカはすぐ傍にあって、沖縄人はいつも矛盾の中に生きている」

    あとはCocco。慰霊の日に出演したNews23での筑紫哲也との会談や、めざましテレビのインタビュー。「沖縄人はいつも自分たちの願いは叶わないものだと思ってきた。ずーっとなんくるないさと言い続けてきた。でも、基地移設の話が挙がったとき、いままでなんくるないさーと言い続けていた沖縄人が、初めて自分たちの願いが叶うかもしれないってことを信じた。でも、最後にはやっぱりダメだった。」

    ずっと負け続けてきた沖縄。自己矛盾の沖縄。アメリカの沖縄。そんな沖縄に触れたくて、去年生まれて初めて沖縄に行った。

  • 三人の視点で描かれる、ベトナム戦争中の沖縄の夏。戦争、反戦、セックス、ロックンロール、そしてスパイ活動。

  • 池澤さんの長編というとじっくり向き合うエネルギーがないとしんどいかなと思ったけど、解説にもあるとおり1968年の沖縄を舞台にした”青春小説”ということで、すんなり入っていけた。沖縄のことは少しはわかるけれど、ベトナム戦争となるとほとんど知らない。テーマは重たいし、悲しいこともあるけれど、湿っぽくなくて、読後感も悪くない。

  • 沖縄嘉手納 アメリカ軍にとってはカデナ。
    アメリカ軍兵士にも苦悩はあった。戦火を潜って生き抜いてきた人の戦への気持ち、今戦火の中に暮らすベトナムの人たちの気持ちが一番わかるのは彼らかもしれない。沖縄に暮らす兵士と市民どちらも人間。フリーダ=ジェインと朝栄さんとタカと安南さん そして彼らの周りの人たち。丹念に語られるそれぞれの生きてきた様がちゃんとそこにある気がする。

    また沖縄でアメリカ軍兵士による事件がニュースになっている。基地の無い沖縄、いつまでも夢でしかないのだろうか

  • ベトナム戦争中に沖縄嘉手納に住んでいた3人の話。スパイ活動でハノイ住民を救うのだがハノイサイドの話が無いのでピンと来なく、会話調のため、一気には読んだもののダラダラと流し読みになってしまった。
    戦争は直接的にも間接的にも深い影と暗い記憶しか残らない。

  • 沖縄がまだアメリカだった頃、泥沼化するベトナム戦争のために爆撃機が行き来するカデナ基地を舞台に、沖縄人の日常、米国軍人の日常、その裏で行われたスパイ活動、反戦活動などを描いた物語。
    国籍やアイデンティティが異なる3人の主人公達が、葛藤したり葛藤しなかったりしながらとあるスパイ行為に「できる範囲で」加担するお話なので、メッセージは重いのだろうが、語り口は軽やかで、爽やかですらあったりする。
    沖縄の歴史を少し知って、印象がまた変わった。

  •  1968年の沖縄米軍カデナ基地が舞台。基地から北ベトナムへ飛ぶ戦略爆撃機、B-52を無力化するために、アメリカとフィリピンのハーフで女性空軍下士官ジェイン。アマチュア無線&模型店を営む嘉手苅朝栄。ロックバンドのドラマー・タカ。一見何のつながりもないし、CIAやKGBとは違う、いわば素人の3人がスパイ活動に関わった回想が交互にそれぞれの視点で描かれていく・・・・・。
     
     ラストちかくのB-52の離陸失敗事故の描写・・・当時実際にあった事件だったんだね!いまニュースを賑わせているオスプレイが、沖縄の普天間基地に配備される問題も改めて考えさせられる。帯には、「たった4人で100万人の命を救う方法。」と銘打っている。物語の根底には決して声高ではないが反戦平和が流れている。また、フリーダ=ジェインとB-52の機長・パトリックの恋いの行方というか、意外な結末も読みどころのひとつかも。
     ロケ現場に行く途中、雨のなか、駅前の店に突入。発売直後にかかわらず売り切れで、二軒目に、一冊だけあって、横から手が出て奪われるのではないかと(そんなことが前に何度かあったので)あわてて棚から引き抜き購入。そんな様子が「柔らかな犀の角 山崎努の読書日記」に綴られていた。
     俳優である氏がしゃかりきになってまで読む本って、一体何だろうっていう思いから興味をそそられ本書を手にした。ちなみ原作の映像化が、もしもあるとすれば、嘉手苅朝栄役だろうね。

  • テーマは重いが、語り口は軽やか。つるつると読める。
    しかし、語られる内容は、ベトナム戦争と太平洋戦争であり、沖縄がかかえる様々な状況だ。
    佐々木譲の解説が秀逸。

  • 初池澤作品。
    重いテーマ…でも、息苦しさはない。
    カラッとした読後感はこの作者ならでは?

  • 沖縄の米軍カデナ基地を中心とした物語。1968年に米空軍Bー52爆撃機(BUFF)が基地に配備され北ベトナムを爆撃する為に定期的に飛び立っていた。沖縄の人達や基地内で働く軍人が情報を盗みスパイ活動をしていく。少しでも北ベトナムの人達の被害を減らしたいと考えるこうした活動は仲間を騙す事の苦痛を伴う。本当にこんな事はあっただろうと思うが、物語にはジメジメしたところは無く酸っぱい思い出という感じになっている。

  • これは上手いと思う。戦争末期の殲滅戦を経て(!)米軍基地の過重な負担(!!)をなお強いられている沖縄を舞台にして、サイパンの悲劇を引きづりながら(!!!)、ベトナム戦まっただ中(!!!!)という時代に生きる年齢も性別も違う3人を中心に描かれた、ひと夏の冒険。どうやっても重苦しくなりそうなシチュエーションなのに、突き抜けた明るさと誰にも覚えのある青春、恋愛が違和感なく存在しているのは、作者の通底にある無常観のせいなのか。ちょっと乾いた感じで、読後感も悪くない。夏に読んだのは正解だった。

  • ベトナム戦争を題材にした小説で、沖縄は嘉手納を舞台に、帯の謳い文句を参照すれば「たった4人で100万人の命を救う」ために奔走する男女を描いたお話。

    裏表紙のあらすじなどから、勝手に二転三転する知略戦や手に汗握るスパイ的な潜入作戦などを想像してしまいました。けれど、実際は一部そのような部分はありましたが、戦争に関わってしまった人たちの、普通の人目線のお話という印象。

    戦争の、特にベトナム戦争に関しては兵士の立場で描かれた映画や小説は多いと思いますが、一般人視点の物語は珍しかったので、割と興味を持って読むことが出来ました。ただ、帯の謳い文句にもありますが主要登場人物4人が「救った」というその数字は、過大評価し過ぎじゃないか?と思ってしまったのが正直な気持ち。

    状況的に、そうでも思わないとやっていられなかった活動だったのかもしれませんけど。

  • 沖縄の風景を脳内で補完するにあたって、沖縄旅行はやはりよかった。書を捨てよ町へ出ようとはよくいったもんだ。ベトナム戦争時の沖縄、1968年夏。

  • 帯に「たった4人で100万人の命を救う方法。」と書かれていた割にはちょっとショボかった気がする。でもよかった!

  • スパイ小説だけど…
    ビリビリした緊張感がある訳でもなくまったりしている。

    これが実に心地よい。

    でも…戦争の重さを外してはいないの。
    だからうまいなーと思ってしまった。

    カッコつけずに描かれた作品。

  • いつものような強烈なメッセージがあまり感じられませんでした。言いたい事は分かるんです。しかし、スパイ活動や脱走支援のいずれもが盛り上がりに欠け、淡々と展開していくだけです。リアルと云えばリアルですが・・・。

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