ゴランノスポン (新潮文庫)

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著者 : 町田康
  • 新潮社 (2013年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101319339

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ゴランノスポン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 表紙の絵が奈良美智なので、本屋でみかけた時てっきり吉本ばななの本だと思って手に取ったら町田康でした(笑)。

    歴史モノ?と呼ぶには語弊があるけれど歴史上の人物が出てくる「楠木正成」と、源氏物語のアンソロジーで既読の「末摘花」は別として、他の5つの短編は、題材は違えど同じテーマだった印象です。リア充な幻想というか中2病的な妄想だったり、いずれもなんらかの錯覚から醒める瞬間のお話。

    愉快な仲間たちとピースフルに生きている自分という幻想、快適な生活という幻想、そこそこの会社に正社員で入った勝ち組という幻想、尻から浄めの水が出る自分は選ばれた人間だという幻想、自分が同行してるのは偉い先生だという幻想・・・薄皮いちまいの仮面の下は嫉妬や不満、憤怒がマグマのように渦巻いているのに、それに蓋をして自分を騙し続けても、いつかそれは破綻する。

    表題作のタイトルの意味がわからなかったのですが、中村文則氏の的確な解説にて解決。いわゆるテレビ番組の最後に流れる「この番組はご覧のスポンサーの提供で・・・」というあれ、あれを部分的に抜粋したのが「ごらんのすぽん」ではないかと。なるほど!つまりそれは、テレビというフィクションの世界から「現実に引き戻される瞬間」のこと。なるほど!

    ただ個人的には、町田康にしては全体的に破壊力(?)が物足りなかったかなあという気がします。なんだろう、文学作品として小ぎれいにまとまってる感じがして。もっと破天荒でいいのになあ。

    ※収録作品
    「楠木正成」「ゴランノスポン」「一般の魔力」「二倍」「尻の泉」「末摘花」「先生との旅」

  • 著者の小説、初読み。猫エッセイの文体そのままに、不条理な世界の短編小説が7編収録されていた。表題作「ゴランノスポン」が「ご覧のスポンサーの……」からという解説にショックを受けた。カバーの奈良美智の絵から「ゴランノスノポン」という変な単語が頭の中に何度も出てきてしまった。難しい単語が、ルビもなしにポンポンでてきて、これまた大変だったな。昔読んだ筒井康隆を思い出す。

  • 源氏物語や楠木正成といった歴史物・古典をの町田調に軽快に訳してあったりといった短篇が幾つか。
    先生との旅、ゴランノスポン、尻の泉…いちいち笑わされる。最期がすう、と消えるように終わるのも良い。
    町田節を真似て文章を書いてみても、特に古典の町田訳を読んで切に感じるが、古語・口語体・カタカナの多い若者ことば・擬音の入り乱れたそれこそDJスタイル、次々に繰り出されることばのミクスチャーにこりゃ敵わん、とただただ感服する。
    中村文則の解説に「ゴランノスポン」は「ご覧のスポンサーの…」の途中だと書いてあって、成る程納得した。どうやら単行本では帯にそのようなことが書いてあったそうだが。
    何故表紙が奈良美智なのかも最早笑えてくる。

  • どれもこれも思い当たる節のあるストーリーで心が痛い。「表層的なハッピー感に拘泥する」ゴランノスポンは就活でよく聞く「仲間に感謝」の行にインスパイアされてる?しかし表層ハッピーは続けられない。一点の綻びから本性があらわになる。
    一般の魔力も思い当たる節があってつらい。自分を棚に上げて他人を批判、自分に非があることはすぐ忘れる。自分の嫌な気分を相手に察っしさせたい。この感情は普通なこと?
    先生との旅は相手の能力を過大に評価して身動きが取れなくなってしまう物語。自分の中の普通と相手の普通が違うと思い込んでいることが元凶である。そこに至るまでのなんだかんだ理由をつけて断りのメールという嫌なことを先延ばしにする姿勢も私にそっくり。
    というか全体的に見に覚えがありすぎてつらい。見られてたのかと思うほどにしっくりきてつらい。
    ゴランノスポン(ご覧のスポンサーでお送りしました)というタイトルで幻想から醒める瞬間を表現した物語群らしい。醒める前はあるあると思うことも多いが、醒めた後は完全に町田康の想像。綺麗にまとまりすぎているという感想もあったが、やっぱり結論があったほうがすっきりする。

  • 町田康の小説は、その他大勢の群衆に埋もれて生きるひとの決して尊くない哀しみが、ぱっと見、明らかに哀しいのに読めば読むほど哀しみに思えず、哀しみであることを忘れさせる。
    ページを閉じたあと、もやもやとした形で「哀し…」と脳内を哀しみのもやもやで薄く埋め尽くす、その清々しい脱力というか諦念が堪らない。
    そして、でも結局はフィクションなんだよなと、心置きなく離れられる軽さ。
    丁度よい悲壮。
    短編小説だからこその軽さであって、長編小説では、拭っても拭いきれない後味が残る。
    それはそれで、またいいんだけれど。

  • 「楠木正成」はよくわかりませんでした。ごめんなさい。
    「一般の魔力」が印象的。自分のものさしが絶対だと信じてやまない人、恐ろしいな。

  • あまり好きではなかった。。著者の猫エッセイに大感動しただけに、期待が空振りしてしまいました。。

  • 痛烈な皮肉の表題作、すっごく嫌な気持ちになれて、上手いなあと思う。
    末摘花は、爆笑。文章表現のもつ力(同じことがこうまで変わってみえるのかい、という)を見せつけられた感。

  • 町田康の短編集。『一般の魔力』という話の毒気がきつかった。以前の本と比べて読みやすい感じだ

  • 2014年6月
    ブックオフ五反田店

  • 痛快!現代をひたすら皮肉る。最新から最後までにやにやして、たまに声出して笑ってしまう短編集。
    「末摘花」は源氏物語のアンソロジーにも収録されていて、多分3回目ぐらいなんだけど、毎回同じ場所で笑う。一番気に入ったのは「尻の泉」。町田康特有のリズムで綴られるいかれた意識の流れ。くだらなさ。尻から泉が出る体質のせいでシャブ中にまで落ち込むどうしようもない主人公の悲しさ。各作品オチが秀逸でした。

  • 笑った。これぞ町田節。

    表題作は‘最高’‘いい感じ‘‘感謝’が口癖の主人子が最低でクズな現実を‘最高’‘いい感じ’‘感謝’という言葉で糊塗できなくなった瞬間、感情が爆発するストーリー。構成が秀逸。源氏物語「末摘花」の現代訳ならぬ町田訳なんか最高。ゲラゲラ笑って読んで欲しい

    ドス黒くてユーモアたっぷりの短篇集。

  • 他にも書いてた人がいたけど、
    前半の作品の方が圧倒的に好み。書いてた時期が違うのかな?

  • ゴランノスポン
    町田康
    新潮社

    現代人を デフォルメ しつつ描いてる
    全体的に よくわからん
    所々はおもろいISBN:9784101319339

  • 表紙とタイトルで衝動買いしたら大当たり。
    この、斜めから見てる感がとてもいい。

  • 町田康 短編集 世にも奇妙な物語もあり 主人公にむかついたり 笑ったり。 源氏物語の末摘花知ってたらもっとおもしろいんだろうなぁ。 

  • 長い電車旅のお供にぱらぱらめくっていた本

    満員電車の中で読むと、うっとする車内がさらにうっとする気がした。
    それが作者の思惑通りである気もするけど、「ハッピー!もう一度、読み直そう!」という気は起こらない本であった。

    世の中の軽薄なところ、ややもするとお下品なところが詰め込まれている。

  • 町田康は、たしか「夫婦茶碗」と猫のエッセーを読んだことがあるのだけれど、どうもついていけなくて挫折した覚えが。にもかかわらず、今回手に取ったのは、ひとえにタイトルに惹かれたから。

    しかし、やっぱり肌に合わなかった。最初の二編くらいまでは、ニンマリさせられたりしながら、まあ楽しく読んだのだけれど、後半はもう辛くなってきた。

    溢れ出てくる言葉のセンスは分かるのだが、根本を貫いている、“ひたすらいい加減”な感じが、ダメなのかな…。

  • 初めて町田康を読んだ。すごい文章。こういう文章力も文章力なんだと認識。ただ伝わるものと伝わらないものの差が激しく、そこはついて来いと言わんばかり。三つめの「一般の魔力」が一番わかりやすくもあり、面白かった。

  • 『目を覚ましたらブラインドから縞の光が差しこんでいた。
    素晴らしいことだと思う。
    太陽が僕たちに降り注いで生命が育つ。大地が潤う。そんななかで自然の一部として僕らは生きているんだ。そのこと自体がとてもありがたい。感謝。誰へ? すべてにだよ。すべてに感謝して生きていく。空に、海に、きみに、自分に。』

    『それぞれがそれぞれとしてそこにある。それこそが素晴らしい。空が美しい。感謝。』

    『それぞれがそれぞれであること。
    それが一番大事だと思う。
    それぞれが大事なのさ。』

    『けど同じことなんだよ。だってこんなに心がひとつになってるじゃないか。同じ、同じなんだよ。それぞれがそれぞれにみな同じひとつの音楽を聴いてる。あれ? ということはそれぞれの魂じゃないってこと?』

    『すべてとすべてとすべてに感謝。自分のすごさを常に忘れないこと。そして感謝すること。』

    『僕らはポジティヴな話しかしない。ネガティヴなことをいう奴はひとりもおらないのだ。世界中が僕らみたいな奴だったら戦争なんか一瞬でなくなる。感謝。』

    『最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。』

    『だから僕なんかは彼らを見て悲しくなる必要は毛頭なく、むしろ生きる勇気みたいなものを貰っているはずなんだ。ホームレス、最高。そして。感謝。』

    『本日がデッドということで、そのデッドを超えてデザインが来ないということはどういうことかというと、もしできなかった場合、関係者全員(勿来山先生と事務所の人を除く)が切腹して死ななければならないということである。優秀な介錯人がいればそうでもないが、そうでない場合、切腹というものは苦しいもので、そしていまは介錯ができる人なんてそういないから、切腹は間違いなく苦しいもので、首つりじゃ駄目ですか? といいたいところである』

    『ふっふーん、この繋がりはまったく意味が分からないが、よほど深い意味があるのだろう、と勝手に深読みしてくれる可能性がゼロとは言いきれない雰囲気が醸成されない可能性がないこともないこともない。』

  • 中村文則さんの解説でゴランノスポンの由来を始めて知り、妙に納得し、町田康氏の思慮深い設定に只々感心させられて思わず感嘆の溜息が読了後でてしまった。 現実と夢の狭間で誤魔化しなが毎日を過ごしている。そうでないとやっていられないストレスがある。趣味に没頭したり、旅に出たりして現実逃避する。そして人は自分のやっている事は間違いなく、自分の中でありえない真実は受け入れ難いという傾向があり、ある瞬間それがひっくり返る時に感じる恐怖と滑稽さや人間の傲慢さや信心深さが招く憐れな姿が描かれている。所々、いや随所に笑のツボがあるが、笑ながらゾッとするのは町田康氏ならではだと思う。

  • 表紙の奈良美智の絵を見て購入した短編集。怪しい心理描写がすごく面白い作品と、言葉遊びについていけない作品とが混在。

  • 短編集。
    全くわけのわからない話もいくてかあったが、人間の本性をありありと表現した作品だと感じた。

    登場人物の思考を独り言のようなタッチで描いているところが特に面白く感じて、共感する箇所も多かった。
    結局私も上辺だけ繕ったお腹の中は真っ黒な人間なのだ、みな誰しもがそうなのだ、と言われているような気がした。

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ゴランノスポン (新潮文庫)の作品紹介

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。明日またくる朝。浅漬――。現実から目を逸らし、表層的なハッピー感に拘泥する表題作「ゴランノスポン」。自らの常識を振りかざす人間の暴力性を浮かび上がらせ、現実に存在する歪みを描く「一般の魔力」。現代と中世が書物を介して烈しく混ざり合う「楠木正成」他、秘蔵小説7編を収録。笑いと人間の闇が比例して深まる、傑作短編集。

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