ゴランノスポン (新潮文庫)

  • 315人登録
  • 3.57評価
    • (13)
    • (22)
    • (22)
    • (10)
    • (0)
  • 26レビュー
著者 : 町田康
  • 新潮社 (2013年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101319339

ゴランノスポン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 著者の小説、初読み。猫エッセイの文体そのままに、不条理な世界の短編小説が7編収録されていた。表題作「ゴランノスポン」が「ご覧のスポンサーの……」からという解説にショックを受けた。カバーの奈良美智の絵から「ゴランノスノポン」という変な単語が頭の中に何度も出てきてしまった。難しい単語が、ルビもなしにポンポンでてきて、これまた大変だったな。昔読んだ筒井康隆を思い出す。

  • 表紙の絵が奈良美智なので、本屋でみかけた時てっきり吉本ばななの本だと思って手に取ったら町田康でした(笑)。

    歴史モノ?と呼ぶには語弊があるけれど歴史上の人物が出てくる「楠木正成」と、源氏物語のアンソロジーで既読の「末摘花」は別として、他の5つの短編は、題材は違えど同じテーマだった印象です。リア充な幻想というか中2病的な妄想だったり、いずれもなんらかの錯覚から醒める瞬間のお話。

    愉快な仲間たちとピースフルに生きている自分という幻想、快適な生活という幻想、そこそこの会社に正社員で入った勝ち組という幻想、尻から浄めの水が出る自分は選ばれた人間だという幻想、自分が同行してるのは偉い先生だという幻想・・・薄皮いちまいの仮面の下は嫉妬や不満、憤怒がマグマのように渦巻いているのに、それに蓋をして自分を騙し続けても、いつかそれは破綻する。

    表題作のタイトルの意味がわからなかったのですが、中村文則氏の的確な解説にて解決。いわゆるテレビ番組の最後に流れる「この番組はご覧のスポンサーの提供で・・・」というあれ、あれを部分的に抜粋したのが「ごらんのすぽん」ではないかと。なるほど!つまりそれは、テレビというフィクションの世界から「現実に引き戻される瞬間」のこと。なるほど!

    ただ個人的には、町田康にしては全体的に破壊力(?)が物足りなかったかなあという気がします。なんだろう、文学作品として小ぎれいにまとまってる感じがして。もっと破天荒でいいのになあ。

    ※収録作品
    「楠木正成」「ゴランノスポン」「一般の魔力」「二倍」「尻の泉」「末摘花」「先生との旅」

  • 源氏物語や楠木正成といった歴史物・古典をの町田調に軽快に訳してあったりといった短篇が幾つか。
    先生との旅、ゴランノスポン、尻の泉…いちいち笑わされる。最期がすう、と消えるように終わるのも良い。
    町田節を真似て文章を書いてみても、特に古典の町田訳を読んで切に感じるが、古語・口語体・カタカナの多い若者ことば・擬音の入り乱れたそれこそDJスタイル、次々に繰り出されることばのミクスチャーにこりゃ敵わん、とただただ感服する。
    中村文則の解説に「ゴランノスポン」は「ご覧のスポンサーの…」の途中だと書いてあって、成る程納得した。どうやら単行本では帯にそのようなことが書いてあったそうだが。
    何故表紙が奈良美智なのかも最早笑えてくる。

  • どれもこれも思い当たる節のあるストーリーで心が痛い。「表層的なハッピー感に拘泥する」ゴランノスポンは就活でよく聞く「仲間に感謝」の行にインスパイアされてる?しかし表層ハッピーは続けられない。一点の綻びから本性があらわになる。
    一般の魔力も思い当たる節があってつらい。自分を棚に上げて他人を批判、自分に非があることはすぐ忘れる。自分の嫌な気分を相手に察っしさせたい。この感情は普通なこと?
    先生との旅は相手の能力を過大に評価して身動きが取れなくなってしまう物語。自分の中の普通と相手の普通が違うと思い込んでいることが元凶である。そこに至るまでのなんだかんだ理由をつけて断りのメールという嫌なことを先延ばしにする姿勢も私にそっくり。
    というか全体的に見に覚えがありすぎてつらい。見られてたのかと思うほどにしっくりきてつらい。
    ゴランノスポン(ご覧のスポンサーでお送りしました)というタイトルで幻想から醒める瞬間を表現した物語群らしい。醒める前はあるあると思うことも多いが、醒めた後は完全に町田康の想像。綺麗にまとまりすぎているという感想もあったが、やっぱり結論があったほうがすっきりする。

  • 町田康の小説は、その他大勢の群衆に埋もれて生きるひとの決して尊くない哀しみが、ぱっと見、明らかに哀しいのに読めば読むほど哀しみに思えず、哀しみであることを忘れさせる。
    ページを閉じたあと、もやもやとした形で「哀し…」と脳内を哀しみのもやもやで薄く埋め尽くす、その清々しい脱力というか諦念が堪らない。
    そして、でも結局はフィクションなんだよなと、心置きなく離れられる軽さ。
    丁度よい悲壮。
    短編小説だからこその軽さであって、長編小説では、拭っても拭いきれない後味が残る。
    それはそれで、またいいんだけれど。

  • 「楠木正成」はよくわかりませんでした。ごめんなさい。
    「一般の魔力」が印象的。自分のものさしが絶対だと信じてやまない人、恐ろしいな。

  • あまり好きではなかった。。著者の猫エッセイに大感動しただけに、期待が空振りしてしまいました。。

  • 町田康の短編集。『一般の魔力』という話の毒気がきつかった。以前の本と比べて読みやすい感じだ

  • 2014年6月
    ブックオフ五反田店

  • 痛快!現代をひたすら皮肉る。最新から最後までにやにやして、たまに声出して笑ってしまう短編集。
    「末摘花」は源氏物語のアンソロジーにも収録されていて、多分3回目ぐらいなんだけど、毎回同じ場所で笑う。一番気に入ったのは「尻の泉」。町田康特有のリズムで綴られるいかれた意識の流れ。くだらなさ。尻から泉が出る体質のせいでシャブ中にまで落ち込むどうしようもない主人公の悲しさ。各作品オチが秀逸でした。

全26件中 1 - 10件を表示

町田康の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

ゴランノスポン (新潮文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

ゴランノスポン (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ゴランノスポン (新潮文庫)の作品紹介

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。明日またくる朝。浅漬――。現実から目を逸らし、表層的なハッピー感に拘泥する表題作「ゴランノスポン」。自らの常識を振りかざす人間の暴力性を浮かび上がらせ、現実に存在する歪みを描く「一般の魔力」。現代と中世が書物を介して烈しく混ざり合う「楠木正成」他、秘蔵小説7編を収録。笑いと人間の闇が比例して深まる、傑作短編集。

ゴランノスポン (新潮文庫)の単行本

ツイートする